May 05, 2004

怒れる音楽ファンはネット政治を巻き起こす(輸入盤CD規制に関するシンポジウム 感想)

 昨日行われた「"選択肢を保護しよう!! 著作権法改正でCDの輸入が規制される? 実態を知るためのシンポジウム"
」に行って来た。開始前の40分前に会場に着いたのにも関わらず、会場前には行列ができており、この問題がいかに大きいかが改めてわかった。

 今回の「シンポジウム」で語られた内容については、Web上にすぐれたサイトがあり、シンポジウムの内容も音声ファイルで配布されているので、シンポジウムの内容自体は割愛する。シンポジウムの内容について、個人的には独占禁止法の問題や譲渡権等の法律面が整理されて語られていたので、非常に勉強になった。(このエントリの下に音声ファイルの配布先やまとめサイトのリンク集があります。シンポジウムの詳しい内容はこちらの方が詳しいです)

 今回のシンポジウムに参加して感じた事は2点ある。まず、「音楽ファン」がレコード業界等に対して(控えめな表現で言うと)「怒って」おり、彼らが出す音楽媒体に対して、非常に強い不信感を持っているということ。もう1点は、インターネットが「政治」というものに接近し始めているということだ。

 まず、普段か輸入盤を購入している「音楽ファン」にとっては今回のような話は「寝耳に水」だったと思う。しかも、どうもこれが通常の「音楽ファン」だけで無く、レコード会社内部の人達やアーティストの人達も知らなかったらしい。

 今回のシンポジウムに参加された人は、どうしてこのような重大な問題が突然出てきたかについて、「5大レーベル」「某レコード会社の会長」「文化庁」という単語を使って答えられると思う。彼らが暗躍した証拠としては「状況証拠」でしかあげられないが、個人的には、彼らが暗躍した可能性は非常に高いと思う。はっきり言って、この人達のために「輸入レコードが買えなくなる可能性」が出てくること自体が不愉快だ。

 また音楽ファンは、ます々レコード会社から発売される「音楽媒体」に対して不信感を強めていくと思う。今回のシンポジウムでは「著作権法改正」と直接は関係ないが、CCCDに対する意見も非常に多く見られた。個存知の通りCCCDは正確に言えばCDでは無い。そのためCCCDを音楽プレーヤで再生して何らかのトラブルがあった場合でも保証は無い。輸入盤が無くなってしまえば、国内盤のCCCDしか選択肢が無くなる場合も出てくる。

 さらに、今回のシンポシウムでは次期CD規格にリージョンコードが含まれる可能性など、ます々音楽が聞き難い状況ができつつある。今回のシンポジウムでも「CCCDは絶対に買わない」と言っている方がいらっしゃったが、この人と同じ気持ちの人は多いだろう。


 もう一つ感じことは、インターネットと政治との結びつきが強まったということだ。従来もインターネットを使った「反対運動」はあったと思う。だがいずれも、ネット内部の「自己完結」で終わっていたと思う。
 
 ところが、今回のシンポジウムでは民主党の川内博史衆議院議員がパネリストとして参加していた。野党とはいえ、国会議員の方が「輸入CD禁止問題」に来るということは、インターネット上の「反対運動」もそれなりに効果があったということだろう。

 今回の問題は世間一般ではマイナな問題であると思う。音楽をそれほど聞かない人達にとってはどうでも良い問題なのかもしれない。しかし、「問題」によっては確実に投票する人も出てくる。少なくとも、あのコンソシーアムに参加した人間であるならば「年金問題」や「イラク問題」よりも「輸入CD禁止問題」に反対する人間を最優先で投票するだろう。

 このことはインターネット利用者が「政治」に興味を持ち「利用」をはじめる第一歩かもしれない。ネット上の情報を組み合わせれば、自分が投票しようしている人間が、過去にどのような政策/法律案に賛成したかがわかるようになっている。少なくとも今回のシンポジウムに参加した人達は、「著作権法の一部を改正する法律案」に賛成した議員に投票する可能性は少ないだろう。

 今回の「著作権法の一部を改正する法律案」というのは、音楽を聞かない人達にとっては、あまり関心の無いマイナな話題かもしれない。しかし、政治に無関心なネットユーザを起こしてしまったことは間違いが無い。現にこの法案に反対しているWebサイトでは、国会議員にメールを送ることを勧めているサイトや国会議員について色々と言及したサイトも出てきている。たとえ「著作権法の一部を改正する法律案」がどのようになろうと、次の「問題」が出てくれば、このような動きはさらに大きくなって現れるだろう。



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輸入盤CD規制に関するシンポジウムのリンク集


輸入盤CD規制に関するシンポジウムのメモ

洋楽が買えなくなる!?レコード輸入権の問題点がわかってきた【ロフトプラスワン報告】 [絵文録ことのは]

5月4日新宿ロフト+1

輸入権シンポジウム暫定配布ページ

酔記/2004-05-05/輸入盤CD規制 - IKeJIWiki(シンポジウム音声ファィル ミラー)

[参考]2003年総選挙選出衆議院議員

kozai22 at 20:39│Comments(2)TrackBack(2)IT全般 

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CD輸入規制:実態を知るためのシンポジウム(MEMORY LAB) さかな、朝日美穂、篠原ともえ…などなどのプロデューサーを務め、自身でもレーベルMEMORY LABをやっている高橋健太郎氏が、ピーターバラカン氏、Dubbrock's Dublog の音楽評論家、藤川毅氏らと、CDの輸入が規制され
2. 輸入CD禁止問題  [ 拝啓、代々木上原様 ]   May 11, 2004 22:43
小生がやっている馬鹿番組の中でネット音楽を めずらしく(自爆)まじめに鋭い視点で考察する 人気コーナー『横田ゼミナール』で話題になった話。 アジア等からの安価な逆輸入CDの販売を食い止める のを名目上の目的として、輸入CDの販売に規制を かける法案を政府は国会に提

この記事へのコメント

1. Posted by cab   May 05, 2004 21:08
TB頂いたので、コメントいたします。

そうなんですよ。カナリ怒ってます。
上の上田氏の作っていらっしゃる議員一覧のようなものに、ある政策に関して賛成したとか反対したとかいう属性データをつけて、DB化して簡単に検索できるような選挙ポータルサイトでも作ってやろうかしら。
そのぐらいしないと、先生方は本当に危機感感じないみたいだし。

本来能天気で音楽好きの技術者を怒らすなよ、と。(^^)
2. Posted by 横田   May 06, 2004 09:17
cabさんコメント&TBありがとうございます。
それにしても、みんな本当にみんな怒ってましたね…

今までは、ただ「怒っていた」で終わってしまったのだと思いますが。
今回のシンポジウムでは、幸か不幸か「政治」というものが出てきました。
津田さんも「良い音楽について語りたかったりする衝動ってのはボーダーレ
スなんだよね。だからこそ「政治」なんつーものが関わってくるのがムカつ
くわけなんだが。」と仰っていますが、私も本当は「年金とかイラクとかの
問題は口出さないから、向こうに行っててくれ」と言いたい気分です。

しかし残念ながら、どうも自分達の住みやすい環境にするには、こちらもあ
る程度、積極的に「政治」に関わらなければならないようです。

ちなみに、「ある政策に関して賛成したとか反対したとかいう属性データを
つけて、DB化して簡単に検索できるような選挙ポータルサイト」とのことで
すが、すごく良いアイデアだと思います。今後はそのような、政治家の「履
歴書」によって、こちらも「投票」というアクションがしやすくなると思い
ます。口約束よりも過去の実績をシビアに見る方が良いのかもしれません。

それでは今後ともよろしくお願いします。

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