June 08, 2004

「P2PとBlogの勉強会」 ログ及び補足資料(2)[P2Pの現状]

 前回に続いて、6月6日に行われました「P2PとBlogの勉強会」のログと補足資料です。この部分では現状のP2Pのソフト/サービスについてまとめています。

 現状のP2Pを利用したサービス/ソフトウェアのうち、代表的な物をあげておきました(6ページ)。現状のP2P技術を使ったソフトウェア/サービスは「ファイル共有」「遊休PCを利用したグリッド(分散コンピューティング)」「インスタントメッセンジャー(IM)」「コンテンツ配信」の分野があります。「ファイル共有」については、Winny等の事件などでご存じの方が多いと思いますので今回は省略します。

 それでは「遊休PCを使ったグリッド(分散コンピューティング)」について説明したいと思います(7ページ)。これらのアプリケーションの目的は「スーパーコンピュータを使っても解くのに時間がかかる問題を、インターネット上のクライアントに小分けして配り、そこで計算処理してもらおうというもの」です。

 スクリーンセイバのようなもので配布されているのが一般的だったのですが、最近では、PCの使用中でも計算する物もあります。例えば、私は今パワーポイントを使っていますが、同時に「分散コンピューティング」のプログラムが動いています。

 今ご覧になって頂いているのは私のパソコンの「CPU使用率」ですが、ほぼ100%に近い数字になっています。これは、この「分散コンピューティング」のためのプログラムが、私のパソコンのCPUを限界まで使っているからです。このプログラムを終了させると…ご覧の通りCPUの使用率は10%程度になります。このように、「遊休PCを使ったグリッド」は、自分のパソコンに余裕がある場合に計算処理をしてもらうものです。

 では、実際にどのような「遊休PCを使ったグリッド」があるのを見てみましょう(8ページ)。恐らく、一番有名な物は「SETI@Home」という宇宙人探しのプロジェクトです。これは、インターネットにつながっているコンピュータを使って地球外知的生命体の探査(SETI)を行う科学実験です。どのようなものかと言いますと、電波望遠鏡を使って宇宙からのデータを収集し、それを参加者にサーバを通して配布します。参加者は配布されたデータを解析し、解析した結果をSETI@Homeのサーバに返すという仕組みです。

 このような「宇宙人探し」の他にも、様々な「遊休PCを使ったグリッド」があります(9ページ)。オックスフォード大学は、当初3〜6カ月間の期間で予定していた炭疽菌治療研究が24日間で終了していますし、日本でもNTTデータが行ったブロジェクト「cell computing」では、通常のパソコンでは611年かかる計算を約4ヶ月で終了しています。

 次にP2Pを使ったコンテンツ配信を見てみます(11ページ)。通常、インターネットを使ったコンテンツ配信ですと多数のクライアントが少数の配信サーバに接続するため、接続できるクライアントに限界があり、データを受信できないクライアントも出てきます。

 ところが、P2P型のコンテンツ配信ですと、コンテンツを視聴しているユーザが、そのコンテンツを次々と中継していくため配信元の回線が細くともコンテンツ配信が可能になります。

 今までの方式ですと、コンテンツを配信する側(サーバ)と、コンテンツを受信側(クライアント)の役割が固定されていましたが、P2P型のコンテンツ配信では、個々のコンピュータが、サーバにもなりクライアントにもなるため、このような形態が可能です。


 このような、P2P型のコンテンツ配信は一部のネットラジオでも使われておりますし、ニッポン放送が実験的にP2P型のコンテンツ配信技術「チェインキャスト」を導入したり、MozillaやLindowsと言ったデータ量が多いファイルを配信するために「BitTorrent」というP2P型のコンテンツ配信を利用しています。(11ページ)

 次にインスタントメッセンジャー(以下IM)について見てみましょう(12ページ)。皆さんの中にはIMをお使いの方多いと思いますが、念のため概要を説明します。このIMというツールは、自分が現在の状態。例えば、オンラインなのかオフラインなのか? 暇なのか忙しいのか?といった。状態(プレゼンス)を相手に通知できます。その上で、相手と文字ベースのチャットを行ったり、動画や音声チャットを行うことができます。

 一般的にP2PのツールというとWinnyのような「ファイル交換ツール」を思い浮かべる方も多いと思います、しかし、現在のところIMは世界中で1億人以上の人間が利用しているツールと言われており、ファイル交換ツールなどと比べてもIMの利用者が多いことがわかります。


 さて、ここまでP2Pの実際の利用方法について見てきましたが、簡単にどうして、これらのソフトウェア/サービスがP2Pを利用するのかを、簡単にまとめたいと思います。(13ページ)

 まず、P2P技術を使えば、特定のサービスを安く提供できる点があります。先ほど紹介したSETI@Homeは、ソフトウェアを動かしているパソコンを除けばわずか50万ドルで構築できたと言われています。これに対して米国のスーパーコンピュータ「ASCIホワイト」は組み立て費用に1億ドル以上かかっています。

 また、ファイル交換サービス提供していたNapsterですが、P2P技術を使わずにNapsterと同様のサービスを行うとストレージ・回線等の費用で6億6700万ドルの費用が必要だと言われています。

 さらに、P2Pの場合ですとサービスが急速な成長に耐えられます。クライアントサーバのモデルですと、急にサービスの受信者が増加した場合は、サービスを提供するサーバにアクセスが集中するため、サービスを提供するサーバに巨大な負荷がかかり、正常にサービスが続けられません。

 しかし、P2P型のモデルの場合、参加しているコンピュータはサーバにもクライアントにもなることができるため、急にサービスの受信者が増えた場合でも、同時にサービスの提供者も増加する事になり、基本的にサービスの運営には問題はありません。実際にNapsterは11ヶ月で1000万、20ヶ月で6000万人とユーザ数が激増しましたが、サービスに大きなトラブルはありませんでした。


 このように、P2Pは様々なメリットもありますが、同時に(皆様がご存じの通り)大きな問題点を持っています。次は現在のP2Pをまとめながら、新しいP2Pのあり方を見ていきたいと思います。(次回に続く)

kozai22 at 23:35│Comments(0)TrackBack(3)P2P 

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1. 外資系生保 大幅増収 テレビ東京  [ s blog ]   May 31, 2005 12:09
... アリコジャパンなど外資系各社が大幅な増収となったことが分かりました。 外資系は、市場が拡大している医療・介護などの商品で強みを発揮し、明治安田生命、日本生命など8社が減収となった国内勢と明暗を分けました。
2. 日本生命  [ マネーライフ徹底研究 ]   November 10, 2005 03:18
本文は「日本生命」に関するニュース、ブログを紹介しています。
3. 明治安田生命  [ マネーライフ徹底研究 ]   November 10, 2005 04:02
本文は「明治安田生命」に関するニュース、ブログを紹介しています。

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