June 10, 2004

「P2PとBlogの勉強会」 ログ及び補足資料(3)[P2Pの今後]

前回、前々回に続いて、6月6日に行われました「P2PとBlogの勉強会」のログと補足資料です。P2Pの今後について説明します。資料通りだと、わかりにくい点もあるかとは思いますので、一部追加したり省略しています。


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 これまで、見てきましたようにP2Pには様々なメリットがあります。特にブロードバンド化に伴い、個人の発信情報もテキストから音声・映像データに移行していくことになり、個人が「無意識的に」リッチコンテンツを配信するにはP2Pの利用が不可欠になるでしょう。(14ページ)

 しかしながら、しかし、ファイル交換ツール以外にP2Pを使ったツールはまだ認知度は低く、なかなか普及しないのも事実です。そこで現状のP2Pの問題点と、SIONetに代表される今後の新しいP2Pを考えたいと思います。

 まず、現状のP2Pをもう一度、まとめたいと思います(15ページ)。今までの紹介したP2Pを思い浮かべていただけるとわかりますが、現状のP2P型ソフトウェアの特徴は「個々人のデバイスを連結し"能力"を集中できる。」事と「個々人のデバイスを連結し、"経路"を作ることができる」事が大きな特徴です。

 SETI@HomeやWinny等のアプリケーションを思い出していただければ、おわかりの通り、これらのアプリケーションはインターネット上に散らばったCPU処理能力やディスク容量等のネットワーク資源を連結し、独自の「経路」を作っています。ただ、逆に言いますと現状のP2Pは「独自の経路でネットワーク資源を集中させる手段」という域を出ていません。

 ただ、最近ではP2Pにも新しい動きが出ているように思います。それらの動き見てみましょう(16ページ)。まず、新しいP2Pの特徴を挙げてみたいと思います。まず、一点目として「複数のネットワークに接続できる」こと。2点目として「パソコン以外のデバイスでもワイヤレスでも接続できる」こと。3点目として「意味情報が取り扱える」こと。4点目「自分の情報を制御できる」ことの4点です。

 では「複数のネットワーク接続」できる点から見てみましょう。現状のP2P技術を使ったソフトウェアは、基本的に各ソフトウェアについて一つのネットワークしか使えません。例をあげれば、SETI@Home用のソフトウェアでWinnyのネットワークからファイルをダウンロードできません。

 しかし、最近では複数のP2Pネットワークに接続できるソフト/サービスも登場しています。例えば、「BOINC」という分散コンピューティングのためのプラットフォームがあります。(17ページ)

 従来は、分散コンピューティングのプロジェクトの毎にプログラムが必要でしたが、BOINCを使うことにより、ひとつのコンピュータに複数のプロジェクトを混在でき、さらにプロジェクト単位にもコンピュータリソースを配分できるようになります。

 このほかにも、最近のファイル共有ソフトウェアの中には、複数のファイル交換ネットワークと接続できるものもあります。

 次に「パソコン以外のデバイスともワイヤレスで接続できる」点を見てみましょう。(18ページ)現状のP2Pソフトウェアはパソコン以外のデバイスとの接続できるものはあまりありませんが、最近のパソコンやPDAには「無線LAN」が搭載されています。

 このようなデバイスが増加する事により、アクセスポイントを必要としない、無線で接続できる端末のみで構成されたネットワークである「アドホックネットワーク」が現実の物になろうとしています。

 これらのネットワークが実現できれば「ワイヤレス端末同士が接続を行うので、中央サーバにトラブルがあった場合でも、通信が行われる。」といった点はもちろんのこと、「ワイヤレス端末に自分の情報を入力しておき、近くのワイヤレス端末から自分に興味のある情報をプッシュしてもらうことも可能」になります。(19ページ)

 このようなアドホックネットワーク/メッシュネットワークを促進している企業として、日本ですと「スカイリーネットネットワークス」、「メッシュネットワークスジャパン」、海外ですと「スカイ・パイロット・ネットワーク」といった企業が、この分野では有名です。(20ページ)

 3点目として、特にファイル交換ネットワークに言えることですが、現状ではファイルがP2Pネットワークをただ回流しているような形になっており、こちらが目的のファイルを検索しないと、データをダウンロードできないような形になっています。

 このような物だけでは無く「意味情報」を取り扱っている、P2Pソフトウェアも出てきています。例えば、glucoseというニュースリーダは、自分の読んだ記事を周りのユーザにプッシュし、自分の好みのニュースを配信するユーザとの距離を近くする事で、自分の好みのニュースが交換されるクラスタに配置されるようにする機能があります。(21ページ)

 最後に「自分の情報を制御できる」という点ですが、ファイル交換ソフトを使ったP2Pソフトでは、「特定の相手だけに公開する」「自分の公開する情報を細かく制御する」といった点がやりにくい面があります。

 しかし、最近ではP2Pを使ったグループウェアなども登場しており、スケジュール管理、グループ内での通信、ファイル共有など、自分/グループの情報を制御できます。(P2Pを使ったグループウェアのメリットは必ずしもこの点では無いのだが、一般的にP2Pというと「自分の情報を制御できない」という印象が強いと思ったので、あえてこのような言い方にした)

 P2P型のグループウェアでは「サーバーを介さずに数台のPCから情報共有を開始することができる。」「インターネットに接続しているPC同士であれば、複雑なシステムを構築せずに情報共有を実現できる」といった点も大きな特徴です。(22ページ)

 これらの4点は、P2Pの説明ではあまり語られていませんでしたが、現在P2Pで問題になっている「コンテンツ管理(違法コンテンツ)はどうするか?」「セキュリティ/迷惑メールをどうするか?」「情報漏洩にはどのように対処するか?」といった点を解決するには、これらの点が重要になってくると思います。

 現在のP2Pは「ネットワーク資源」を集中し、独自の経路でそれを転送しているにすぎません。今後のP2Pは、ただネットワーク資源を集中するだけではく、今後のP2Pは「ネットワークデバイス同士が直接的に資源交換・共有・制御配布を行う自律分散ネットワーク」に変わっていかなければならないと思っています。(23ページ)

 最後まで聞いていただきありがとうございました。

(この後、Blog、Wiki、ソーシャルネットワーキング等の説明を行なった。)


kozai22 at 00:23│Comments(0)TrackBack(0)P2P 

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