〈監督〉中村義洋
〈原作〉伊坂幸太郎
〈出演〉濱田岳 瑛太 関めぐみ 松田龍平 大塚寧々 キムラ緑子 なぎら健壱
〈備考〉同名小説の映画化。
〈見た日〉2008.2.2(DVD)
〈きっかけ〉本が面白かったから。

〈感想〉ちょうど一年ほど前になるだろうか。あの当時、なかなか暇だったぼくは、この本の帯が偶然目に付き適当な気持ちで買った。時間が有り余っていたあの頃が懐かしい。
 そして、あまりの面白さに一日で軽々と読破したぼくは数人にこの本を薦めた。「面白い本は何?」と聞かれたら「アヒルと鴨のコインロッカー」と答えるようにしていた。そんな作品が映画化されたのであるが、なぜか機を逸してしまい、DVDになった最近ようやく拝見した次第である。そんな次第である。

 この作品はある種(あ、ここからはガンガン、ネタバレでいきますから)本でしか使えないトリックを生かしている作品だと思う。それをどのように映像化するか、それは極めて至難の業であり、ちょっとした失敗が大惨事になるということは容易に想像がつく。
 文章表現の場合、登場人物の間での(作為的に構成された)勘違いを、うまく誤魔化してクライマックスの“伏線回収どんでん返し”にもっていけるが、それを映像にするとなると、誤魔化し方が極めて難しい。そこがこの映画の最大のポイントとなる。
 それをこの作品では、前半部分でモノクロの映像を使って表現した。モノクロ映像は回想のようでもあり、空想のようでもあり、そのどっちつかずの所をふわふわ動く表現として作られていたように思える。これが観る側は錯覚を引き起こさせる。なかなか苦肉の策だったのであろう。結末を知っているぼくからすれば、制作者側の苦労が見て取れた。これによって一応作品の質を保つことには成功していた。
 そして、後半は前半のモノクロを含めて、すべての謎解きの形で物語の回収活動が進む。そして、著作通りのエンディングへと向かう。

 原作と映像作品は別物という前提を踏まえたうえでも、やはり原作が勝るであろう。少なくとも、原作を上回る水準ではない。原作のある程度の長さが、最後の部分のどんでん返しをより心に染み入らせるための助走の役目を果たしていたのに対し、映画はそれを前半一時間で無理やり片付けた感が否めない。助走9:謎解き1ぐらいが適切だったのに、助走1:謎解き1になっているせいで、どんでん返しも少々驚きが薄い。ながーい助走の末のどんでん返しであって、この映画はその“どんでん”に欠ける。
 もちろん、結末を知っていたということで、驚きが薄れるというのはわかっていたのだが、それにしてもこれは原作ほどの内容的質を保っていないだろう。それに、もし原作を読んでいなかったら、多少わかりづらい面もあったような気もする。
 映画化が失敗だったとは思わないが、せっかくいい作品なのだから、映画を観るよりも原作を薦めたいというのがぼく個人の思いである。
 しかし、世界観を守ろうという制作側の意図は伝わってきた気がする。
〈評価〉3…大塚寧々は、きれいだ。

アヒルと鴨のコインロッカー