吹矢のばらつき(TU氏10m)矢の射出角度(2021.9.17改訂)

この記事は以前の記事(2021.8.25投稿)を改訂したものです。
動画の再生速度を10%に落として矢の姿勢を確認しやすいようにしました。
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2021.8.21、NHK文化センターにおいてTU氏(10m)の「矢の射出角度」を観察しました。

同氏には時々、筒先から矢が「上向きに射出される」という現象が観察されます。
発生頻度は6ラウンド(30本)で1、2本あるかないかです。
ジョイント式筒の場合には筒内面に段差があると、射出時に「矢の射出角度」が変動することがありますが、同氏はグラスファイバー1本筒260を使用していますので段差の影響は考えられません。

また、今回の現象は2017.6.16に「ジョイント式筒の段差の飛行姿勢への影響」を調べた時の「矢の飛行状況」とは明らかに違い、飛行姿勢が大きく変動することはありません。
(この時の結果は再編集して2021年8月25日に投稿していますのでご参照ください。)

本日も同じような現象が確認されましたので以下に紹介します。
以下の動画は高速度(240コマ/秒)で撮影したものです。
再生速度を10%に落としてスロー再生しています。

次の動画は「矢が筒内面の下側に沿って射出された」時のものです(動画1)。
殆どの場合はこのように射出されますので、ここでは「矢が正常に射出された」と表現することにします。


「矢が正常に射出された瞬間」のコマ写真を次に示します(写真1)。
正常射出6522

次の写真は、このコマ写真に補助線を引いたものです(写真2)。
矢が筒内面の下側(写真の右側)に沿って射出されていることが分かります。
正常射出6522jpeg
次の動画は「矢が上向きに射出された」時のものです(動画2)。


次の写真は「矢が上向きに射出された瞬間」のコマ写真です(写真3)。
上向き射出6523

次の写真はコマ写真に補助線を引いたものです(写真4)。
矢が筒内面の上側(写真の左側)に沿って射出されていることが分かります。
このことから、「矢が上向きに射出される」というよりは「筒内面の上側に沿って射出される」という表現の方が適当であるように思います。
この点で、今回の現象はジョイント式筒の段差の影響とは別のものであると言えます。
上向き射出6523jpeg

ところで、2021.7.3にも同じような現象が見られました。
その時の動画を以下に紹介します。
この時は1000コマ/秒で撮影しましたので画質が悪くなっています。
同じくスロー再生しています。

次の動画は正常に射出された時のものです(動画3)。
矢は筒内面の下側に沿って射出されています。


次の写真は射出された瞬間のコマ写真です(写真5)。
定規を当てて見ると「矢が筒内面の下側に沿って射出されている」ことが分かります。
TU10m正常射出:コマ写真jpeg

次の動画は矢が上向きに射出された時のものです(動画4)。


次の写真は「矢が上向きに射出された瞬間」のコマ写真です(写真6)。
「矢が筒内面の上側に沿って射出されている」ことが分かります。
TU10m上向き射出:コマ写真jpeg

 このような現象の原因として「挿入された矢が始めから上を向いていた」ことが考えられます。
マウスピースから挿入された矢は通常は「矢の先端が筒内面の下側に下りた状態」でセットされます。
この時、筒内面に結露があると「矢が筒内面に密着」してしまう可能性があります。
また、矢の径が太い場合には矢の後端が筒にきつめに固定されてしまいます。
この状態で筒を的に向けると筒は約90度(人によってそれ以上)回転するため、矢の先端が上を向いたままになることが考えられます。
このような状態で息を吹き込むと矢は「そのままの姿勢で、上向きに射出される」のではないかと考えられます。
次の機会に透明のアクリルパイプ(内径13ミリ)を用いてこのことを検証したいと考えています。

この記事を書きながら、かつて名人と言われたKS氏の言葉を思い出しました。
同氏は「筒を構えて狙いを定める時に、指で筒をトントンと叩くと良い」と言われていました。
これは正に「矢の先端が結露によって筒の上側に密着する」のを防ぐためであったようです。
今更ながら同氏の洞察力の深さに感心させられます。

しかしながら、この方法は今では「基本動作」の観点から、余計な動作として減点対象になってしまうものと思われます。
実際、同氏は段位認定試験の時に審査員よりその動作を止めるように注意を受けていました。
このことから、吹矢には「基本動作」(美しさと健康指向)と「成績追求」(競技指向)の二面性があることを改めて感じています。
 

矢のセッティング方法による上向き射出の可能性

最近、筒先から「矢が上向きに射出される現象」がよく見られます。

ここでは、その原因を探るために透明パイプを用いて「筒の中で矢がどのような状態になっているか」を調べました。
具体的には、パイプに矢をセッティングする条件を色々と変えた時に矢の状態がどのように変化するかを観察しました。

今回用いた透明パイプと矢は次の通りです(写真1)。
透明パイプはアクリル製で外径16.2mm、内径13.0mm、長さ103.0mm、矢はカスタム矢でヘッドパーツが淚滴5mm、ウィングパーツがワインレッドです。
透明パイプと矢2本

ここで、No.6の矢はパイプの内径に合わせて太さを調整しています(写真2)。
パイプを垂直にして上から矢を落とすとスルスルと落ちる程度の太さです。
2021.09.03緩めの矢No.6

No,8の矢は少し太めに調整しています(写真3)。
パイプを垂直にして上から矢を落とすと約1mm程パイプから飛び出す程度の太さです。
2021.09.03太めの矢No.8


1.マウスピースなしの状態での観察

(1−1)緩めの矢の場合

矢を挿入してからパイプを回転させた時に矢の向きがどうなるかを観察しました。
これは、矢を挿入してから筒を口元にまで移動する時に筒が回転することを想定しての観察です。

緩めの矢(No,6)では、パイプを回転させると矢も一緒に回転しますが、矢の先端は重力のために常に筒内面の下側に下りた状態になることが分かりました(写真4と同じ状態)。
すなわち、パイプが回転しても「矢はパイプ内面の下側に沿った下向きの状態」に保たれます。

このことから、緩めの矢であれば「矢は常に下向きの状態」に保たれ、矢が上向きにセットされることはありませんでした。

(1ー2)太めの矢の場合

次の写真は太めの矢(No.8)を無理やり押し込んで挿入した状態を示しています(写真4)。
始めは矢はこのように下向きにセットされています。
下向きセットNo,8

次の写真は写真4の状態からパイプを180度回転させた時の状態を示しています(写真5)。
矢の先端は下に下りることなく上を向いたままになっています。
これは、矢の後端がパイプにきつめに固定されているためと考えられます。
上向きセットNo.8

このことから、矢が太い場合には「矢が上向きにセットされる」ことが分かりました。
このような状態で息を吹き込むと矢は上向きに射出されるものと考えられます。

(1ー3)筒内面に結露がある場合

次の写真は内面に結露があるパイプに緩めの矢(No.6)を挿入した状態を示しています(写真6)。
当初、矢は下向きにセットされています。
結露あり:下向きセットNo.6

次の写真は写真6の状態からパイプを180度回転させた時のものです(写真7)。
矢の先端が下りずに上向きの状態になっています。
これは、結露により矢がパイプ内面に密着して固定されているためと考えられます。
結露あり:上向きセットNo.6

このように、パイプ内面に結露がある場合には矢がパイプ内面に密着するために、緩めの矢であっても「矢が上向きにセットされる」ことが分かります。


2.矢止めマウスピースを装着した場合

(2−1)マウスピースの装着状況

次の写真はパイプに矢止めマウスピースを装着した状態を示しています(写真8)。
パイプはマウスピースの矢止めの位置まで入り込んでいます。
IMG_2068マウスピースを被せた状態

次の写真はマウスピースを装着したパイプに矢を挿入した状態を示しています(写真9)。
矢は太めの矢(No.8)を使用しています。
矢はマウスピースの後端に合わせて挿入していますので、矢の後端がマウスピースの矢止めで固定されています。
IMG_2069矢を挿入した状態

次の写真は写真9の状態からマウスピースを外した状態を示しています(写真10)。
マウスピースの中では矢が矢止めの分(5mm)だけパイプから飛び出していることが分かります。
したがって、パイプの後端部分では矢の外径が細くなっているので、パイプと矢はゆるゆるの状態になっています。
この状態で矢止めマウスピースを装着すると、矢止め部分で矢の後端が浮き上がるために矢はパイプ内面に密着しにくい状態になっていることが分かります。
IMG_2070マウスピースを外した状態

(2ー2)太めの矢の場合

太めの矢(NO.8)を挿入した後にパイプを的に向ける(回転させる)と、矢は同じように回転しますが、矢の先端は重力のために常に筒内面の下側に下りた状態になりました。
すなわち、パイプが回転しても「矢はパイプ内面の下側に沿った状態」に保たれました。

ここでは太めの矢(No.8)を用いたことから、矢の径が多少太くても「矢はパイプ内面の下側に沿った下向きの状態」に保たれることが分かります。
すなわち、矢止めマウスピースを装着した場合には矢が上向きにセットされることは考えにくいと言えます。

(2ー3)筒内面に結露がある場合

パイプに何回か息を吹き込んで内面に「結露」を生じさせてから矢を挿入してみましたが、矢がパイプ内面に密着することはありませんでした。
これは、矢がパイプから飛び出していることと、矢止めによりパイプ内面から浮き上がっているためと考えられます。
このことから、多少結露がある場合でも矢止めマウスピースを装着すれば「矢が上向きにセットされる」という現象は起こりにくいものと考えられます。

以上のことから、矢止めマウスピースを装着することにより、矢が多少太い場合でも、結露が多少ある場合でも「矢が上向きにセットされる」ということは起こりにくいことが分かりました。


3.矢を挿入する深さを変えた場合

次の写真は、矢をマウスピースの矢止めの奥にまで押し込んで「パイプの後端にまで挿入した」状態を示しています(写真11)。
矢の後端が矢止めの奥まで入り込んでいます。
IMG_2071矢を奥まで挿入した状態

次の写真はマウスピースを外した状態を示しています(写真12)。
矢がパイプの後端にまで挿入されています。
IMG_2065 

この状態はマウスピースなしの場合と条件的に同じであると言えます。
したがって、矢が太い場合には写真4、5と、結露がある場合には写真6、7と同じ観察結果が得られました。
すなわち、どちらの場合にも矢が上向きにセットされることが確認されました。

このことから、矢止めマウスピースを装着していても、矢を奥まで押し込むと矢止めの効果が発揮されないために「矢が上向きにセットされる」ことがあると考えられます。


4.観察結果のまとめ

以上の観察結果は次のようにまとめられます。

1.マウスピースなしの場合
 1)緩めの矢であれば、筒が回転しても矢は常に下向きにセットされる。
  このため、矢が上向きにセットされることは考えにくい。
 2)矢の径が太い場合には「矢が上向きにセットされる」ことがある。
  これは、矢の後端が筒にきつめに固定されるためと考えられる。
 3)筒内面に結露がある場合には、緩めの矢であっても筒内面に密着して固定されることがあるために「矢が上向きにセットされる」ことがある。

2.矢止めマウスピースを装着した場合
 1)矢が筒から5mm飛び出した状態でセットされるため、筒の後端部分では矢と筒はゆるゆるの状態になっている。
 2)多少太い矢であっても矢の先端が常に重力で下に降りた状態になることから、矢が上向きにセットされることは考えにくい。
 3)矢の後端が矢止めで浮き上がるために矢が筒内面に密着しにくい状態になっている。
 4)多少結露がある場合でも矢が筒内面に密着することがないため、矢は常に下向きにセットされ、上向きにセットされることはないと言える。
 以上のことから、矢止めマウスピースは矢を正常にセットする上で極めて有効であることが分かります。

3.矢を挿入する深さの影響
 1)矢を矢止めマウスピースの奥まで挿入すると、矢の後端が矢止めから外れて筒内面に密着するので「矢の径」や「結露」の影響を受けて正常にセットされないことがある。
 2)このような状態では矢が上向きにセットされることがあると考えられる。

以上のことから、矢止めマウスピースを装着した場合には「矢が上向きにセットされる」ことは考えにくいことが分かりました。
ただし、どの程度の「太さ」と「結露」が許容範囲なのかはまだ曖昧で気になるところです。

吹矢のばらつき(KT氏10m)筒先の振れ、射出角度(2021.6.14観察)

2021年6月14日、旭屋カルチャースクエアにおいてKT氏の「筒先の振れ」「矢の射出角度」を観察しました。

同氏はカーボン1本筒を使用していますが、時々矢が上向きに射出されることがあります。
高速度ビデオ撮影(240コマ/秒)によりその原因を探ってみました。
観察にはカーボン1本筒、カスタム矢(ヘッド/3mm、ウィング/ブラック)、矢止めマウスピースを使用しました。

次の動画は矢が下向きに射出された時のものです(動画1)
撮影速度は240コマ/秒、再生速度は10%に下げてスロー再生しています。
矢が射出される直前の筒先の振れがありません。
矢は筒内面の下側に沿って射出されています。
今回の観察において筒先の振れがない場合には全て矢は下向きに射出されていました。


次の動画は矢が上向きに射出された時のものです(動画2)。
矢が射出される直前に筒先が下方向に振れていることが分かります。
このように、筒先が振れた場合には高い確率で矢が上向きに射出される現象が観察されました。


次の写真は動画1で矢が筒内面の下側に沿って射出された瞬間のコマ写真です(写真1)。
補助線は印刷した後に描き加えています。
矢は筒内面の下側に沿って下向きに射出されています。
正常射出2021.6.14KT5892jpg

次の写真は動画2で矢がやや上向きに射出された瞬間のコマ写真です(写真2)。
矢の先端が筒内面の下側から少し浮き上がって射出されていることが分かります。
上向き射出2021.6.14KT5900jpg


以上の観察結果から「射出直前に筒先が下方向に振れた場合には、矢が上向きに射出される」ことが分かりました。
しかしながら、筒の中はブラックボックスで、中で何が起きているかが全く分かりません。
このため、他にも上向きに射出される原因があるのではないかとの疑問が残ります。

そこで、次は透明パイプを用いて、「筒の中で矢が動き出してから射出されるまでの状況」を観察したいと考えています。

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