矢速測定

吹矢のばらつき(TI氏6m)矢径、息の強さ、狙い

令和5年(西暦2023年)7月1日、NHK文化センターにおいてTI氏(6m)の矢速測定を行いました。

同氏は6月3日の矢速測定において「息の強さ」「狙い」「射出角度」が大きく変動していることが観察されました。
とくに「射出角度」は矢径が太い矢を吹いた時に大きく変動していることが分かりました。
この時の測定結果は「吹矢のばらつき(TI氏6m)息の強さ、狙い」(6月30日付)として投稿していますす。
 
今回は測定前に矢径を調整しました。
矢径の調整は矢切りゲージを用いて、矢止めマウスピースを外した状態で筒を立て、上端(吹き口)から矢を落とした時に「スーッと」落下するように調整しました。
同氏の矢は暫く調整していなかったので、いずれの矢も太くなっており、矢は吹き口に止まってしまう状態でした。
とくに前回、射出角度が大きく変動した矢は一段と太かったことが分かりました。

また、前回の測定では「息の強さ」と「狙い」が大きく変動していましたので、本人には、それらの点をとくに意識して注意深く吹くようにお願いしました。


以下に示す動画は矢の飛行状態を高速度(240コマ/秒)で撮影したものです。
飛行状態を観察しやすいように再生速度を遅くして超スロー再生にしています。


次の動画は矢が正常(やや下向き)に射出された時のものです。


次の動画は矢がやや上向きに射出された時のものです。


次の動画は矢がやや下向きに射出された時のものです。


これらの動画を見ると、矢が筒先から射出される時の「射出角度」が前回のように大きく変動する現象は見られませんでした。
これは、矢径を調整したためであると思われます。

しかしながら、依然として多少の変動が観察されていることが気になります。
矢のばらつき状態から見て、その影響は少ないと思われますが、次回には矢の種類を変えて観察したいと考えています。


次表は、矢の飛行状態を高速度撮影した動画を詳細に観察することにより各種項目について測定した結果を示します。
NO.2の矢については1点の黒枠内に当たったために、矢が的に到達した瞬間を確認することができませんでした。
このため、動画コマ数をカウントできませんでした。
表矢速測定2023.07.01TI6mjpg


表中の各種項目の測定方法は次の通りです。
解説矢速測定2023.07.01TI6mjpg

次のグラフは「矢速と到達位置(上下方向)の関係」を表したものです。
グラフ矢速測定2023.07.01TI6m注釈入りjpg


以上の結果から、次のことが分かります。

1. 「矢径」を調整することで「射出角度」の変動が大幅に改善された。
 このことから、太すぎる矢では「射出角度」が変動する可能性が高いと言える。
 また、その影響は小さいと思われるが、依然として「射出角度」に多少の変動が見られる。
 今後は矢の種類を変えて観察したいと考えている。

2. 「息の強さ」「狙い」を意識して注意深く吹くことにより、それぞれの変動が減少した。
 「矢速」「狙い」の変動が前回(6月3日)よりも大幅に改善された。
 その結果として成績(6ラウンド)が186点と大幅にアップした(前回159点)。
 しかしながら今後、距離が6mよりも長くなると、より一層の安定化が望まれる。

吹矢のばらつき(TE氏10m)狙い

2021年2月14日、南宇治コミュニティセンターにおいてTE氏(10m)の矢速測定を行いました。

同氏は現在四段を目指して練習に励んでいます。
しかしながら、矢のばらつきが大きく、なかなか安定して四段の成績を出すことができません。
肉眼で観察する限りではとくに大きな問題点が見当たりません。
そこで、高速ビデオ撮影(240コマ/秒)によりその原因を探ってみました。
筒は一本筒を使用しています。

次の動画は11本目の矢について撮影したものです。
矢が射出される直前に筒先が下方向に少し振れていることが分かります。
また、コマ送りで観察すると、射出時に矢が微妙に上を向いていることが分かります。


次の動画は7本目について撮影したものです。
矢が射出される直前に筒先が左方向に少し振れています。
矢は正常(やや下向き)に射出されています。


これらの動画から次のことが分かります。


1)矢が筒先を出る直前に筒先が少し振れている。

 振れる方向とその程度は毎回微妙に変化している。

 このために、矢が射出される瞬間の「最終的な狙い」が「当初の狙い」から微妙に変化しているものと思われる。

2)矢が筒先を出た後も筒先が振れている。

 「狙い」を安定化させるためには、少なくとも矢が的に到達するまでは振れないように心がけることが望ましい。

3)矢が時々上向きに射出されることがある。

 この現象は筒先が射出直前に下方向に振れた時に起きている。

 このことから、矢は正常(やや下向き)に射出されているにも拘らず、筒先が下方向に振れたために相対的に矢が上を向いているように見えるものと考えられる。

4)「矢の飛行姿勢」は安定している。

 
次の表は動画を観察することにより各種項目を測定したものです 。
表2021.02.14TE0mjpg

表中の各項目の測定方法は次の通りです

解説2021.02.14TE0mjpg

次のグラフは「矢速と到達位置(上下方向)の関係」を示したものです。
グラフ2021.02.14TE0mjpg

以上の結果から次のことが分かります。


1)矢速の値が比較的安定している(変動率7.2%)。

「息の強さ」が比較的安定していることを示している。

2)自由落下距離の変動幅が小さい(5.9cm)。

 このことも「息の強さ」が比較的安定していることを示している。

3)上下方向のばらつきが大きい(10.5cm)。

 「息の強さ」が安定していることから、上下方向の「狙い」が変動しているものと考えられる。

 狙いの変動には前述の「筒先の振れ」が影響していると思われるが、これ程のばらつきになるとは考えにくい。

このことから、当初の「狙い」自体にばらつきがあるのではないかと思われる。

4)左右方向のばらつきが大きい(9.0cm)。

 これは左右方向の「狙い」が変動していることを示している。

 この場合も「筒先の振れ」と「狙い」自体のばらつきが影響しているものと考えられる。

5)同矢速(111.1km/h)における上下ばらつきが大きい(最大10.5cm)。

 このことは上下方向の「狙い」が変動していることを示している。

 このばらつきには「筒先の振れ」も影響しているものと考えられる。


3.まとめと今後の対策

1)矢が筒先を出る前後に筒先が少し振れている。

「筒先と的の位置関係」を意識しながら、吹いた時に筒先が「狙い位置」から外れないように心がけることが大切である。

 少なくとも矢が的に到達するまでは筒先をそのままの位置に保持することが望ましい(残身)。

2)「息の強さ」は比較的安定している。

3)上下・左右方向の狙いが変動している。

 「筒先と的の位置関係」を意識して、常に同じ位置に筒先を合わせる。

 本人は的が見づらいために「狙い」が定めにくいと自覚されているようである。

 眼鏡の度を調整して的がはっきりと見える状態にする必要があるように思われる。 



以上の分析結果は次のようにまとめられます。

分析結果2021.02.14TE10mjpg

吹矢のばらつき(HE氏8m)狙い

2020年12月9日、京都府勤労者福祉会館(リブウェル城南)においてHE氏の矢速測定を行いました。

同氏は最近、矢が大きくばらつくようになりました。
肉眼で見る限りでは美しい基本動作をしており、ばらつきの原因が分かりません。
何が原因なのかを高速ビデオ撮影により探ってみました。

次の動画は矢の飛行状態を高速度ビデオ撮影(240コマ/秒)したものです。
矢が筒先から射出される時に筒先が振れずに安定しています。


次の動画では筒先が少し右方向に振れていることが分かります。


次の動画では筒先が少し上方向に振れていることが分かります。


これらの動画を観察することで次のことが分かります。

1)矢が筒先を出る直前に筒先が少し振れている。

 振れる方向と程度は毎回微妙に変化している。

 このために「最終的な狙い」が「当初の狙い」から変化しているものと思われる。

2)矢が筒先を出る時の「矢の向き」がやや変動している。

 時々、矢が上向きに射出されることが気になる。

 ジョイント式筒の段差をチェックする必要がある。

4)「矢の飛行姿勢」は安定している。


次の表は、動画を詳しく観察することで各種の項目について測定したものです。
表2020.12.09HE8mjpg

表中の各種項目の測定方法は次の通りです。
解説2020.12.09HE8mjpg

「矢速と到達位置(上下方向)の関係」を図示したものが次のグラフです。
グラフ2020.12.09HE8mjpg

これらの結果から次のことが分かります。

2.矢速測定結果

1)矢速の値が比較的安定している(変動率5.9%)。

 このことから、「息の強さ」が安定していることが分かる。

2)自由落下距離の変動が比較的小さい(6.1cm)。

 ほぼ7点の領域に収まっていることから「息の強さ」が比較的安定している。

3)上下方向のばらつきが大きい(9.5cm)。

この値は自由落下距離の変動幅(6.1cm)よりもかなり大きいことから、上下方向の「狙い」が変動しているものと思われる。

4)左右方向のばらつきが大きい(9.0cm)。

 左右方向の狙いが変動している。

 「筒先の振れ」が影響しているものと考えられる。

5)同矢速(84.0km/h)における上下ばらつきが大きい(最大7.0cm)。

 このことは、上下方向の狙いが変動していることを示している。

 この場合も「筒先の振れ」が影響しているものと考えられる。



以上の分析結果は次のようにまとめられます。
分析結果HE8mjpg

吹矢のばらつき(TH氏10m)狙い

2020年12月27日、南宇治コミュニティセンターにおいてTH氏の矢速測定を行いました。

同氏はパーフェクトを頻繁に出す反面、時々矢が大きく外れることがあります。
このため、なかなか安定して好成績を出すことができません。
何が原因なのかを高速ビデオ撮影により探ってみました。

次の動画は矢の飛行状態を高速度ビデオ撮影(240コマ/秒)したものです。
矢が筒先から射出される時に筒先が振れずに安定しています。


次の動画では筒先が少し左方向に振れていることが分かります。


これらの動画を観察することで次のことが分かります。

1)矢が筒先を出る直前に筒先が少し振れている。

 振れる程度は小さいために「狙い」への影響は少ないと思われる。

 ただし、振れの程度が毎回微妙に変化していることから、さらに安定化させることが望ましい。

2)矢が筒先を出る時の「矢の向き」が安定している。

 矢は正常に射出されている。

3)「矢の飛行姿勢」が安定している。

 矢はスムーズに飛行している。


次の表は、動画を詳しく観察することで各種の項目について測定したものです。
表2020.12.27TH10mjpg

表中の各種項目の測定方法は次の通りです。
解説2020.12.27ST10mjpg

「矢速と到達位置(上下方向)の関係」を図示したものが次のグラフです。
グラフ2020.12.27TH10mjpg

これらの結果から次のことが分かります。

1)矢速の値が非常に安定している(変動率3.9%)。

 このことから、「息の強さ」が素晴らしく安定していることが分かる。

2)自由落下距離の変動が非常に小さい(4.0cm)。

 「息の強さ」が安定していることを示している。

 同時に、矢速の値(100.2km/h)が大きいので、「息の強さ」の変動が上下方向のばらつきとして現れにくいことを示している。

3)上下方向のばらつきが大きい(8.0cm)。

この値が自由落下距離の変動(4.0cm)よりもかなり大きいことから、上下方向の「狙い」が大きく変動していることが分かる。

4)左右方向のばらつきが大きい(7.5cm)。

 左右方向の狙いが大きく変動していることが分かる。

5)同矢速(101.0km/h)における上下ばらつきが大きい(最大8.0cm)。

 このことから、上下方向の狙いが大きく変動していることが分かる。



以上の分析結果は次のようにまとめられます。
分析結果TH10mjpg

吹矢のばらつき(TY氏10m)筒先の振れ

2020年12月27日、南宇治コミュニティセンターにおいてTY氏の矢速測定を行いました。

同氏は最近、「二段構え」だった狙いの動作を一つの動作にすることで安定して高成績が出るようになりました
高速ビデオ撮影(240コマ/秒)により好調の要因を探ってみました。
その結果、意外なことが分かりました。

次の動画は矢の飛行状態を高速度ビデオ撮影(240コマ/秒)したものです。
矢が筒先から射出される直前に筒先が大きく下方向に振れていることが分かります。


この動画を観察することで次のことが分かります。

1)矢が筒先を出る直前に筒先が大きく下方向に振れている。
 筒先が振れるタイミングは肉眼では確認しにくいが、動画を見ると「矢が射出される直前に」振れていることが分かる。

 また、振れる程度は毎回微妙に変化していることも分かる。

 このために、矢が射出される瞬間の「最終的な狙い」が「当初の狙い」から毎回微妙に変化しているものと思われる。

2)矢が筒先を出た後も筒先が大きく振れている。

 矢が出た後なので「狙い」の変動には影響していないと思われるが、「狙い」を安定化させる観点から考えると振れないように心がけることが望ましい。

3)矢が筒先を出る時の「矢の向き」がやや変動している。

 これは、矢が射出される直前に筒先が下方向に振れているために一見、上向きに射出されているように見えているものと思われる。

 ジョイント式筒に見られる段差の影響ではないと考えられる。

4)「矢の飛行姿勢」は安定している。


次の表は、動画を詳しく観察することで各種の項目について測定したものです。
表2020.12.27TY10mjpg

表中の各種項目の測定方法は次の通りです。
解説2020.12.27ST10mjpg

「矢速と到達位置(上下方向)の関係」を図示したものが次のグラフです。
グラフ2020.12.27TY10mjpg








これらの結果から次のことが分かります。

1)矢速の値が極めて安定している(変動率3.4%)。

 このことから、「息の強さ」が素晴らしく安定していることが分かる。

2)自由落下距離の変動が小さい(4.2cm)。

 このことも「息の強さ」が安定していることを示している。

3)上下方向のばらつきが大きい(10.0cm)。

 「息の強さ」が安定していることを考えると、このばらつきは「上下方向の狙い」が変動しているためであると思われる。

 この狙いの変動には「筒先の振れ」が大きく影響しているものと考えられる。

4)左右方向のばらつきが大きい(7.5cm)。

 左右方向の狙いが変動している。

 この場合も「筒先の振れ」が影響しているものと考えられる。

5)同矢速(94.8km/h)における上下ばらつきが大きい(最大6.5cm)。

 このことは、上下方向の狙いが変動していることを示している。

 この場合も「筒先の振れ」が影響しているものと考えられる。



以上の分析結果は次のようにまとめられます。
分析結果TY10mjpg


 以上のことから、好調の要因は「息の強さ」が極めて安定していることに加えて、最近「狙いの動作」を注意深く行うことで「筒先の振れ」の程度が安定化したためではないかと思われます。

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