佐藤総研 (独立系シンクタンク)

代表 佐藤鴻全  少数精鋭の独立系シンクタンク /研究分野:政治、経済、外交、軍事、歴史、科学、技術、経営、ビジネス、芸術、芸能、森羅万象 

■調査、執筆のご依頼は、下記Twitterへご連絡ください。
■研究員募集中(学歴・職歴・専門分野不問、知的好奇心と文章力のある方歓迎、語学堪能尚可)



■ご訪問頂いた皆様、ありがとうございます。お気に入り下さいましたら、当ブログ http://blog.livedoor.jp/ksato123/ を、BLOGOS http://blogos.com/recommend/blog/add/ に推薦頂ければ幸いです。

香港、ウイグル対中非難決議で、習近平国賓訪日を潰せ

来年「桜の咲くころ」の中国習近平主席の国賓訪日に、反対の声が浮上している。

香港の民主化デモ弾圧、ウイグル収容所での人権蹂躙を行っている中国の行為に対し、習氏の天皇陛下との謁見とそれに続く天皇陛下訪中でお墨付きを与えてもいいのかという事だ。

そもそも、その他にも尖閣諸島周辺の領域侵犯や不透明な罪状で日本人の拘束をしている中、敢えて国賓待遇での訪日招聘をしたのは主に経団連の意向が強く働いたものだ。

安倍政権は、酷い悪化を経験した日中関係改善の好機と見て踏み込んだものと見られる。確かに、日本経済が対中輸出や中国進出に依存している割合は大きく、関係改善を図るのは現実政治を考えれば必要であった。

しかし、中国からの秋波は、米中が貿易戦争から覇権戦争へ移行しているのが明らかになりつつある中、対米牽制のため中国が日本にすり寄って来た打算的なものであり、状況が変われば一瞬のうちに掌を返すのは自明で、得られるメリットに対して踏み込み過ぎ、カードを切り過ぎた。

1989年の天安門事件後に天皇陛下訪中で、日本が世界に先駆け実質的に中国の人権蹂躙容認のメッセージを発し、その後の国際ルール侵犯許容も手伝って、中国の膨張を許しモンスターに成長させた事の二の舞を踏む事になる。特に、今回は米中覇権戦争の帰趨が定まらない中、更に致命的になる恐れがある。

習近平国賓訪日という最大の外交失政は防ぐ必要がある。しかし一旦国賓待遇で招聘した以上、政府がこれを取り消すことは現実的には難しいだろう。このままでは、安倍政権は、反対の声に耳を塞ぎ「粛々と」訪日を進める事になってしまう公算が強い。

これに対し、国会としては、超党派での「香港、ウイグル対中非難決議」で対抗するべきだ。

もしこれが可決したなら、恐らく訪日は取り消しか延期となるだろうが、仮に訪日すれば政府から面前で改善申し入れを行う事を定めて置く事により、最大外交失政を致命傷にする事を辛うじて避けられる。

外交の要諦は、「国際的大義を伴う長期的国益の追求」に他ならない。

今回の習氏国賓訪日は、人権無視という面で国際的大義を、領土問題や経済的メリット等という面でも長期的国益を著しく毀損する(経団連会員企業の経営者任期に見合う程度のメリットは有るのだろう)。

与野党有志の決起を期す。

MMT理論は、従来の積極財政の別表現に過ぎぬのでは?

米国で論争となり日本でも中野剛志氏等が盛んに喧伝し話題となったMMT(現代貨幣理論)については、まだ評価が定まっていない感がある。

先月30日には、無所属の馬淵澄夫・元国土交通相とれいわ新選組の山本太郎代表が立ち上げた「消費税減税研究会」の初会合が開かれ、減税財源策として再びMMTが注目を集める可能性も出てきた。

MMT主張の要旨は、「日本や米国のように『通貨主権』を有する政府は、自国通貨建てで支出する能力に制約はなく、デフォルトを強いられるリスクもない。財政赤字や国債残高を気にするのは無意味である」という事のようだ。

従来の積極財政論とMMTを分かつのは、前者が経済成長を経ての財政改善を一応想定している事だろう。平成の田沼意次こと亀井静香氏ですらその点は押さえていた・・・否、亀井さんは少し怪しかった。十数年前に亀井氏応援のオフ会に参加した際、筆者が公共事業の次を語るべきでは? と水を向けたところ、結局亀井氏は合点の行かぬ表情をしたまま帰って行った。

亀井氏の事はともかく、大方の積極財政論者は、景気回復を経ての財政改善を少なくとも建前としては一応想定しているだろう。

一方のMMTではそれを想定していないが、積極財政に当たっては「ハイパーインフレにならない限りは」という条件が付く。

ここがMMTのパラドキシカルというかトリッキーな部分であり、最大のキモだ。

MMTではハイパーインフレになりそうになったら増税等をするとしているが、現実政治でそんなにタイミング良く増税可能なのかと議論になっている。しかしより肝心な問題は仮に増税等が出来たとして、それを続けていたら単なる緊縮気味の財政となってしまうという事だ。そのためMMTは、増税の伝家の宝刀を抜く寸止めの所で薄氷の積極財政を行う事を想定していると思われる。

そして結局、「ハイパーインフレにならない限りは」の条件を中長期でキープするためには、将来の経済成長に基づく財政改善を想定した政府中央銀行の信用維持が必要となるだろう。そうなるとMMTは従来の積極財政論(念のため亀井氏は除く)と同じ事の別の表現であるという結論に至るが、如何なものだろうか?

消費者心理は消費税増税のダメージを受けながらも、このところ日経平均株価は続伸するという不思議な現象が続いた。長期に渡った安倍政権も閣僚辞任に繋がる不祥事や失政が続き、少し屋台骨が揺らいできた風情だ。

一葉落ちて天下の秋を知る。

経済成長に基づく国家再生の具体図と実現という王道が望まれる。

即位の礼に際しての雑感 天皇制、皇位継承問題について

◆天皇制の意義◆
22日本日、即位礼正殿の儀をTVで視た。やはりその厳かな雰囲気に伝統の継続性を感じた。

筆者は正直な所、皇室に対して格別の思い入れはない。古代に於いて初代天皇が立ち、天皇制が確立したのは、皇統に元々神性が在ったから戦に強く、民心を纏め、国を富ます事が出来たためなのか、逆に戦に強く、民心を纏められ、国を富ます事が出来たから神性が宿ったのか、等々はよく分からない。しかし同時に筆者は、多くの日本人と同様に皇室は日本にとって必要不可欠なものだと思っている。

日本を日本たらしめているのは、価値中立的に見て島国としての隔絶性、日本語の特殊性、精神的一体性を保つ天皇制、の3つだろう。その一脚である天皇制が崩れれば日本がバラバラになる。

日本がバラバラになって、日本の存在感が希薄になれば多くの日本人は「英語の下手な単なる東洋人」と成り果ててしまう。例え海外で働く国際ビジネスマンでも多くは日本と関係性を保ち、日本とへその緒が繋がっているから稼げるのであって、その紐帯が無くなれば大半は海外で働く普通のビジネスマンで収入もそれなりとなってしまうのではないか。

そのため筆者は、日本の存在感が希薄になっては困り、それを支える天皇制を守らねばならないと考えており、コアな保守陣営からはプラグマティックと叱責されるかも知れないが、「天皇機関説」ならぬ、言わば「天皇機能説」とでもいう立場だ。

◆皇位継承問題◆
さて、天皇制に於いて現在最重要の具体的な問題は、皇室の継続と皇位継承問題であろう。

皇位継承問題を考えるに当たっての優先順位は、々勅爾侶兮魁↓継承時の紛糾回避、E租と開かれた皇室とのバランス、の順であると筆者は考える。

「愛子内親王待望論」とか「秋篠宮は器に在らず」とか週刊誌やNHK始めマスコミが煽るが、一時の風に翻弄されてはならない。皇位継承第一位の秋篠宮親王や親王妃紀子が叩かれる前は、現天皇と現皇后、愛子内親王が叩かれて秋篠宮家が持ち上げられていた訳で、マスコミの作り出す世論の風向き等、一瞬にして変わるものと考えるべきである。

例え秋篠宮親王が器に在らずとしても、御本人に自覚を持って頂くべきなのは言うまでもないし品位も重要ではあるが、存亡を直ちに分ける戦国大名の継承ではなく象徴天皇制に於ける継承問題であり、器云々を持ち出すなら客観的な基準など作れるはずもなく、そもそも血族間の世襲制から問われなくてはならなくなってしまう。開かれた皇室は良いが、急進的に開かれ過ぎた皇室、神秘性が失われ俗な言い方をすれば有難みのない皇室なら、そもそも皇室をわざわざ構える意味が無い。

上記を踏まえれば、具体的には筆者はエリザベス女王を戴く英国等の例もあり女性女系天皇を頭から完全否定する者ではないが、皇室の継続のためには女性女系天皇論は百年間凍結して旧宮家復帰を軸に考えるのが適当ではないかと考える。

皇室を巡って国論が割れる事は、日本の弱体化とそれに続く侵略を想定している某国の望む所である。既にマスコミその他に対し、相当に工作活動が行われていると考えるのが自然であろう。

国民にも、その事に想いを致して頂き、真摯かつ冷静な対処を望みたい。

AIが招く未来: パンとサーカスか? 大衆の奴隷化か?

◆AIの世紀◆
自動運転の開発に各グループで多額の研究費が投じられ、一方イーロン・マスク氏は人間の脳にAI直結の電極を埋め込む事に実際に取り組む等、社会はAI化へ向けて加速している。

このAI化社会に関して語られる主要な問題点は、1つは一説には2045年頃とも予想されるシンギュラリティ(技術特異点)到来に伴うAIによる人類支配等の問題と、もう1つは漸次進むAI化・ロボット化に伴う労働問題、失業問題である。

AIによる人類支配等については、社会の総意として多重のキル・スイッチ等の安全装置や基準、規制、組織を設置してそれを防ぐ事になると考えられ、AIロボット兵器についての国際的規制については、既に本格的な検討が始められている。

さて一般庶民にとって、より切実なのはAI化・ロボット化に伴う労働問題、失業問題の方である。移行期にはこうした投資に対してペイしない手作業の工業やサービス業が残るが、技術の発展と低コスト化により、その範囲は徐々に狭められ、究極的にはAI化・ロボット化に関する起業家やコーディネーター、関連技術者、高度なマネージメント・人的サービス、一部の芸術家やエンターティナー等だけしか喰えない世界が来て、労働力がそこへシフトして行くと思われる。

しかしその産業と職種のシフトの本質は、基本的には嘗ての産業革命によって起こった事と変わらない。ただ、それが加速度的に(恐らくは消費者の消滅も伴いながら)且つ徹底的に行われるだろう所に違いがある。

◆ベーシックインカム◆
そして、それに伴う失業者の救済や貧富の格差への対策として、ベーシックインカム(BI)の導入が提唱されており、既に幾つかの国では地域を限定して実験が行われている。なおビル・ゲイツ氏は、AI・ロボットを所有する資本家と持たざる者との貧富の格差拡大の解消のために、「ロボット人頭税」の導入を提唱し、BIの財源として使う事を想定している。

概ねBI推進論者が想定しているのは、現存の各種社会保障を廃止し、代わりに例えば日本円で6〜8万円・人月程度のBIを老若男女、収入に係わらず支給し、現行社会保険の事務コストを軽減し、BIを基に柔軟な働き方を後押しし適材適所の雇用流動化社会を円滑に実現するといった所のようだ。

いわばこれは、〜運諭弊儷謀に学習し柔軟に職種転換を図るような人)をモデルとして想定している。しかし実際には、∪膺諭弊験彊貔斛働しないと共に、最小限の消費しかしない世捨て人)や、0人(労働しない事に加えて、小人閑居して不善を為すような輩)も相当数発生し、かつそれらが世代を超えて階級化し大きな社会問題になるのではないか。

BIの導入は、AI・ロボット化を推進する論者達からは、大量失業社会に対して恐怖心を抱く大衆への麻酔薬として、また怠け者からは労働から解放されたパラダイスへの期待として、同床異夢で支持されている感がある。

◆パンとサーカスか? 奴隷化か?◆
究極的には、やがて投資に対してペイしない奴隷的労働も、何れかの時点でペイして行きAI・ロボットが担うため、奴隷にすらして貰えないような社会になるのかも知れない。

また労働から解放され、生涯一切労働をせずに、AI・ロボット化による生活の利便だけを享受する者の存在も、障碍等の特別な場合を除いて許されなくなるのではないか。

確かにAI・ロボット化により、生活は格段に便利になり労働時間も短くなると思われる。その面では「大衆のAIロボット奴隷所有」が行われるとも言える。

しかし、一切労働しないことは、社会を支える階級からの施しを受けることであり、いわば彼らの「ペット」となる事を意味する。その「ペット」の存在を許すかというと、その存在を少なくとも世代を超えて許す程、社会を支える側の階級は酔狂ではないだろう。仮に「ペット」を飼うコストが相対的に非常に少なく済むようになると共に彼らが予想外に酔狂であったとしても、第一施しを受ける側は承認欲求を満たされず、前述の仙人や悪人の大量発生の様に病んだ社会になって行くのではないだろうか。

「パンとサーカス」という有名な言葉があるが、これはよく知られているように帝政ローマ時代にローマ市民が奴隷による生産と奉仕により、衣食住と娯楽を享受した事を言う。しかし、その「パンとサーカス」の社会にも兵役の義務は存在した。そしてそれは、植民地としての属州の拡大が限界に達した時に終わった。

やはり、金銭報酬を受けるかどうかに関わらず、何らかの労働(社会への奉仕)を伴わないような社会は持続不可能なのではないか。

AI・ロボット投資に対してペイしない低賃金の仕事が残る限りは、その従事者に対する対策は前述のBIではなく、基本的に労働を前提として足りない部分を公的に補う諸外国で既に導入されている「給付付き税額控除」の拡大等が主役となり、BIについては、もし仮に導入されることがあったとしても、あくまでも急激な移行期、「淘汰」の過程の方便と位置付けられると思う。

また、そういった低賃金の仕事すらAIに代替されて無くなる時代には政府が彼らを雇い入れ、例えばリスクの高い火星移住等のプロジェクト的な仕事に(半ば強制的に)投入するようになるかも知れない。

さてこう言った事をつらつら考えて行くと、そもそも労働の意味とは何なのか? と言う問いに突き当たり、そしてそれを問う事は人類の存在理由とは何なのかを問う事に繋がる。また冒頭で軽くスキップしたAIの人類支配の対策についてはもっと深く考えるべき問題とも思われる。だがその辺りはある意味神の領域に踏み込む事になりそうでもあり、また稿を改めて論考を続けたい。

「核入り統一朝鮮」にどう対処すべきか

韓国の文在寅政権は、22日の大統領府発表により日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)廃棄に踏み込んだ。

これに先立ち文大統領は、「北朝鮮と経済協力すれば日本を経済で追い抜ける」旨の発言をしている。しかし、幾ら文氏でも普通にやって経済で日本に勝てるとは思ってはいない。その本心は「核入り統一朝鮮」を実現し、核で日本を脅して各種賠償金名目等で多額の収奪をすれば、日本を追い抜けるというもので、国際社会の目を気にしてそれをオブラートに包んで述べたものだろう。

GSOMIA廃棄は、このタイミングで行う事には国内事情はあったにせよ、大きくはこの流れに沿うものだ。

文氏の経済協力のラブコールに対して、北朝鮮の金正恩の答えはつれないものだが、これは統一朝鮮の主導権争いについて文氏を牽制したものと考えられる。

さて、「文氏の想い」はともかくとして、核入り統一朝鮮の実現は果たして本当に有り得るだろうか?

米国のトランプ大統領は、長距離核ミサイルさえ廃棄すれば、北朝鮮の核保有を容認しかねないようにも映る。(もっとも、今は金正恩委員長とデレデレしているが、トランプ氏は脅迫状の事をラブレターと呼び、笑顔で弾丸を放つようなギャング気質も持ち合わせている人物ではある。大統領選の戦況が不利になれば、ミサイル攻撃と爆撃で北朝鮮の核施設を破壊し挽回を図るオプションも持ち合わせているとは思われるが。)

中国の習近平主席にとっては、核入り統一朝鮮は両刃の剣ではあるが、米露とのパワーバランスの中でこれを容認し陣営に組み入れる事は有り得るだろう。

金正恩氏も、連邦制で朝鮮連邦の元首に収まり一族が当面安堵出来るのであれば踏み込む事も考えられるし、韓国民も前述の核脅迫スキームで経済問題が手当て出来るのであればナショナリズムの高まり次第では躊躇しないだろう。

日本としては、先ずこれらにより核入り統一朝鮮が実現しないように図る必要がある。核抜きを図れればよいが、そうでなければ決して統一させないようにし、朝鮮半島を中国との間で半永久的に緩衝地帯とし続ける必要があるだろう。このために北朝鮮と結び韓国を牽制する場面も将来訪れぬとも限らない。

しかしこれらの抵抗にも係わらず、もし核入り統一朝鮮が実現してしまうとするなら、日本は事前に対馬を前線と見定め核武装の覚悟を決める必要も出て来よう。

「贅沢税」への組替ほか 消費税5%減税の青写真

先の参院選で躍進したれいわ新選組の山本太郎代表は、消費税の5%への減税を来たる衆院総選挙に向けた野党共闘の共通政策とする考えとの事だ。

筆者は、只でさえ消費しない民族の日本人には消費税は相性の悪い税制と考えており、山本氏が掲げる政策の内で消費税減税に限っては賛成の立場だが、もし本気でそれを実現させるつもりなら、来たる総選挙で、若しくは総選挙後の多数派工作で保守層の一角を巻き込まなければ実現はしない。

そのためには先ず、参院選でれいわ新選組や立憲民主党等の掲げた「最低賃金の大幅引き上げ」や「奨学金返済チャラ」等は、少なくとも「出来たらベースの公約」とし3年間は実施しないとする等と謳う必要があるだろう。

さて、肝心なのは減税財源である。2018年度の消費税収は約17.7兆円(地方消費税含む約22.5兆円)である。10%への増税・軽減税率適用後の消費税収見込みは約21兆円(地方消費税含む27兆円)であり、その半分、地方消費税を含む約13.5兆円の財源をどうやって捻出するかが課題である。

これについて、消費税減税をすれば経済成長してリターンするのだから取り敢えず全額国債増発で賄うという考えや、恒久的に赤字国債で賄う事で問題なしとするMMT(現代貨幣理論)、また全額法人税や所得税増税等で賄うという考え等もあるが、その実効性はともかく何れも保守層も含めた多くの賛同を得る事は難しいだろう。

そのため、現実政治を考えれば、財源問題に一刀両断のスパッとした策は有り得ず、色々な所に負担を分散せざるを得ない。

この事を踏まえ、以下に私案として財源案の概略を示す。( )内は各財源見込額。

●消費税の一部「贅沢税」への組み替え(2兆円)
筆者は、消費税の一部「贅沢税」への組替は有効な財源の一つであると考える。実際的には、消費税率を基本5%に減税すると同時に、一例として1人5千円以上の外食に15%、1万円以上の外食や、50万円以上の高級ゴルフクラブセット、100万円以上の宝飾類、400万円以上の高級自家用車等に対しては20%へ増税する等、「贅沢消費」に幅広く課税する事が考えられる。

2兆円に達するには、もっと「贅沢品」の下限を拡げる事や、高税率にする必要があるかも知れないが、消費しない民族でも一定以上の富裕層は、ある程度の間接税増税では消費を抑える事はしないので、税収面でそれなりの期待は出来るのではないか。但し10月より導入される軽減税率制度より更に複雑怪奇となってはよろしくないので留意が必要なのは言うまでもない。

「贅沢税」ではないが、マレーシアのマハティール首相が昨年6月に消費税を廃止し、売上税・サービス税を復活させ財源の一部に充てた事は、一つの参考にはなるだろう。

●国・地方の公務員人件費の減額(4兆円)
国・地方の2019年度公務員約290万人の人件費約26兆円のうち、自衛官約25万人分、警察・消防約45万人分を除き、2割カットすると約4兆円の財源が出てくる。

また、適材適所の配置転換等をした上で、もし全体として人員不足なら、例えば3割カットで1割増員する等のバリエーションも有り得るが、それでも民間平均給与を下回らないと思われる。なお、次に述べる、その他の行政改革で捻出される財源額とバーターで人件費減額幅は上下し得る。

●その他行政改革(2兆円)
例えば各省庁の行う経済系の調査は重複が多い。その他の行政事務にも同じように重複するものがあると考えるのは自然だ。

また、各種補助金申請受付、審査業務等も、そもそも基となる法律が複雑な申請基準を設けているものが多い、これらを立法からしてスマートで合理的な基準に改めれば行政事務はかなり削減されるだろう。

その他、旧民主党の事業仕分けに懲りずに視点を変えれば、まだ行政改革による予算削減の余地は有ると思われる。

●法人税・所得税等の増税(2兆円:地方税含む)
法人税や所得税を上げ過ぎると、今在るのか無いのか分からないジャパニーズ・ドリームが完全に息を止められて、企業や起業家の海外逃避が始まるので程々にはする必要があるだろう。

なお、れいわ新選組は先の参院選で法人税への累進税率導入を唱えたが、これは企業が節税対策で企業分割を行い対処するから上策ではない。増税をするなら租税特別措置の整理と、それで足りなければ直球勝負の税率UPで行うべきだ。

●国債増発(3.5兆円)
上記合計で10兆円。減税財源約13.5兆円に未だ3.5兆円足りない。消費税減税は消費をダイレクトに刺激し経済効果が高いので、将来の経済成長とそれに伴う税収としてのリターンを期待して、この程度の国債増発は実験としても有権者の許すところではないか。

以上、実際に財源を見積もるには、各種データを用い条件を変えた何種類もの精緻なシミュレーションが必要ではあろう。

内政最大の課題は少子高齢化であり、これに対し消費税を増税し続けて対処するのはイタチの追いかけっこに過ぎず、本来すべきなのは老人も健康を保って働ける自立社会への社会構造改革と経済成長による少子化の逆転だ。

筆者はその梃子とするためにも、消費税減税を実現させねばならないと考える。

正義とは何か?

表題の問いに自ら答えるなら、筆者は概ね以下のような事だと考える。

●正義とは、システムであり秩序である。通常は、既存の秩序を維持する事が正義である。しかし既存の秩序を破壊し改変する事が正義となる場合がある。

●例えばコンピュータ・システムが多様なように、多様な正義が併存する。
 2つの正義が衝突する時には、システム間の存廃もしくは止揚による統合が起こる。

●新しい秩序が正義となるのは、その判断基準として次の不等式が成り立つ場合である。
 【 旧秩序の齎す幸福総量 + 秩序変更に伴う流血と破壊の総量 < 新秩序の齎す幸福総量 】
 尚、2つの正義の衝突の正否、その結果の正否についても、当式に当てはめ判断されるべきである。

人々が、共同体の営みの中に何らかの継続的なルールや秩序を見出した時に、そこに共同体の正義が発生する。

古今東西、人々は正義を巡って争い合って来た。小は家庭のルールについて等であり、大は世界覇権を巡る争いである。

今日、日本の内政に目を向ければ、少子高齢化、低成長、財政逼迫で、旧来のシステムが立ち行かかなくなり、自助に舵を切るか、公助共助に舵を切るか、またそれらをどのような時間軸でどう組み合わせて行くか等が問われている。

LGBT問題では、同性婚を認めて行くべきか、その場合に人口動態、社会構造にどういう影響を及ぼすのか等が問われている。

中東問題については、イスラエル、イスラム教シーア派、スンニー派等の間で、各者がどのような妥協をして地域秩序を成り立たせるかかが問われている。

中国の民主化については、30年前の天安門事件の正否、また今後更なる経済成長、強国化の果てに民主化を求めるのか、民主化を先にするのか、その速度、手順をどうするかが問われている。

米中覇権戦争については、米国が中国を屈した方が良い世界が訪れるのか、逆に中国が米国を屈した方が良いのか、或いは何か別の道が在るのかが問われている。

ここで冒頭に掲げた不等式を補い、そこで使った「幸福総量」を敢えて更に数式化すれば、
【 幸福総量 = 受益者の数 × 個々の幸福度 × 幸福の質 × 持続年数 】と言う辺りか。

ヘーゲルが「ミネルヴァのフクロウは、タ暮れに飛び立つ」と書いたように、秩序の改変や衝突が起きる場合には、何が正義であるかは後付けで結果を見た上でないと確定し難い。また、「個々の幸福度」とは、「幸福の質」とは、何を以てそうするのか? 等と深掘りして問うて行けばキリがない。

しかし、内外共に変化の激しい時代に於いて我々は、中でも多少なりとも言論を致す者は特に、那辺に正義が在るかを常に自身に問うて行かねばならぬだろう。

消費税増税を望むのは、老人と公務員か

◆一定の増税賛成層◆
参院選が4日公示されて17日間の選挙戦に突入した。NHKニュースを見ていたら、街頭インタビューの中で1人のお年寄りのご婦人が、候補者に望む事として消費税の増税を挙げていた。

消費税増税延期の聞き間違いではないかと思ったが、確かに増税と言っており、筆者は軽いショックを受けた。

しかし考えてみれば、政府が増税の理由として年金財源の確保も謳っているのだから、年金受給世代としては全員がそう思っている訳ではないだろうが、増税に賛成というのも正直な気持ちなのだろう。知り合いの老齢者を思い浮かべても、その感触は受ける。

一方の若い単身者や子育て世代にとっては、年金受給は遠い先であり、政府は消費税増税分を幼保無償化財源等に使う事も謳っているが、それ程直結しては考えていないようだ。

なお、消費税増税に賛成する有権者は、反対を下回るものの相当程度いる。 (時事通信6/7〜10日調査

その他で消費税増税に賛成なのは、先ずは国地方の公務員が挙げられるだろう。何も統計を取った訳ではないが、何しろ自分の食い扶持がそこから出ているのだから、安定財源の確保を願うのは人情としては自然だ。

加えて、官僚組織のトップに立つ財務省主計局は、増税を成就させる事が財務省「中興の祖」として尊敬を集め、よりよい天下り先も確保されるという仕組みとなっており、強いインセンティブが働いている。

また、他に消費税増税に賛成なのは、バーターで法人税減税を確保したい大企業の経営者、所得税累進課税の税率UPや社会保険料の高額負担でこれ以上取られたくない高給サラリーマン他の高額所得者、及びこれらを取り囲む政界、学会、マスコミ等が挙げられるのではないか。

◆自助に舵を切れ!◆
逆に言えば、世論調査で消費税増税反対の方が多いという結果が出ている事を考えれば、まことにザックリ言えばそれ以外の層は、意識高い系を除いて概ね消費税増税に反対と言ってよいのではなかろうかと思う。

EU等では消費税率は日本よりもっと高いが、ただでさえ金を使わない働きアリのような日本人には、消費に対してペナルティ的に働く消費税は相性が悪い。消費税率は下げこそすれ、これ以上上げれば消費の萎縮効果たるや悲惨な結果を日本経済に及ぼすと筆者は考える。

さてしかし、もし消費税を上げないとすると、将来の年金支給等の社会保障財源不足はどう賄うのか?

自助に舵を切れ、と筆者は言いたい。

年金支給年齢は、今よりも限りなく後倒しにする選択を可能とし、代わりにその場合累進的に支給額を増やし、死ぬまであるいはその5年位前まで働ける社会(但し週3、4日勤務等)を構築する。そして年金を「うっかり長生きしてしまったが、運悪く働けなくなってしまった場合の文字通りの保険」として位に置付け、貰わずに死ぬのが理想という程にする。筆者はそういった風が日本人には合っていると考える。

その前に、小さな政府として、国地方の公務員平均給与は基本的に2割減とする。なお人員配置も見直すが、全体的に人員が不足しているなら平均給与を3割減とし、1割増員してもよい。

また一例を示せば、官庁は企業に対して各種経済統計調査を行っているが、財務省、経産省、総務省等、またその各部局から同じような調査を全部合わせれば10件を超える勢いで掛けている。これらは基準を統一して一括調査とし、データベース化すれば官民共に可成りの効率化となる。このような行政の重複は他にもあるだろうから、全体では相当なものになるだろう。

自公は消費増税断行でこの参院選を突っ切るつもりだ。一方の野党の主張は、消費税増税延期、凍結、減税、廃止まで、更に代替財源も様々で百花繚乱だ。

また自民の候補者の中にも消費税増税反対を主張して臨む者もいる。その意気はよいが、ならば消費税増税凍結の議員立法提出を公約に掲げればよいが、そうでなければ選挙用の単なるポーズと取らざるを得ない。

安倍総理は、外交、経済で、他党や党内のライバルが政権を担った場合を少し想像すれば、比較してよくやっていると言えるだろう。

しかし、今回の消費税増税は頂けない。政権の末節を汚し、きっと後悔することになる。
筆者は、総理にギリギリでの改心を促すためにも、参院選で手痛い打撃を与え、国民は明確な意志を示すべきと考える。

消費税増税正面突破なら、山本太郎で緊急避難を

◆2,000万円問題の竜頭蛇尾◆
炎上した年金不足2,000万円問題に対する野党の追及が竜頭蛇尾のようになってきて、安心した安倍政権は噂されていた衆参同日W選を避け、参院単独選挙に向かう風情が強くなってきた。

少子高齢化を止めない限りは、究極、年金などは「うっかり長生きしてしまった場合の文字通りの保険」位に考えて置いた方がよいのかも知れぬ。

それはさて置き話を政局へ戻すと、この年金不足問題が炎上する前は、10%への消費税増税の是非が選挙の最大争点とされていたが、今回の炎上のお陰により、却って図らずも増税が焦点隠しされたような格好になっており、安倍政権は消費税増税を正面突破で強行すると見られる。

安倍政権は、消費税増税分の使用目的として、幼保無償化や大学無償化等を挙げるが、そもそも前者については代わりに児童手当の幼年割り増しかバウチャー制で、入園の有無や幼稚園保育園を選べるようにし競争原理を働かせるべきだし、後者については大学のレベルを問わない仕組みのため「バカ田大学」の学生も増える代物で、却って日本の競争力を落とすことに繋がる。

このように、増税したくて堪らない財務省と官邸が妥協して捻り出した人気取りのための頓珍漢で取って付けたような理由での増税は愚の骨頂だし、米中覇権戦争の最中でのそれは景気への配慮を犯罪的に欠いており、第一に社会の仕組みを変える事のない消費税増税は単なるソロバン勘定の弥縫策で政策の順序が違う。(拙文:「消費税再増税でアベノミクスが、バカノミクスになる日」参照)

◆れいわ山本の登場◆
ここに来て、参議院議員の山本太郎は「れいわ新選組」を立ち上げた。参院選もしくは衆参W選に向け消費税廃止を目玉政策として掲げるようだ。

筆者は、山本のこれまでの左翼的言動や、それが色濃く反映した今回のその他の政策には基本的に反対の立場ではある。

山本は「消費税廃止を唱えれば、他の野党も5%への消費税減税位までは打ち出す所も出て来るかも知れず、それが狙いだ。」という旨をインタビュー記事で答えているが、その意気やよし。

旧民主党の残党、特に立憲民主党の枝野幸男等は、「消費税凍結」を唱えているが、かつて民主党が政権奪取する際の選挙公約を180度ひっくり返して、自ら10%への消費増税法案を提起し成立させているのだから、信用しろという方に無理がある。

もし枝野の立憲民主党に5%への消費税減税を唱えさせれば、今後増税に肯定的な態度に転じるには嘗ての2倍の噓を吐かねばならず、一定の抑止力にはなるだろう。

安倍首相は、5%から8%への増税後の景気低迷に懲りて本音では消費税増税に反対だったとも見えるが、ここに来ての野党の余りの体たらくぶりに慢心し、また森加計事件で財務省に借りでも出来たのか知らぬが、「やっぱり今回は消費増税が必要だよなぁ」と思い始めているように見える。

であるならば、安倍首相には12年前の第一次安倍政権時の参院選大敗の悪夢を味わって頂くしかあるまい。

政治も外交も相対的なものである。大悪魔と中悪魔の2択しかない場合には、中悪魔を選択する事が正義となる。

安倍政権が消費税増税正面突破をするなら、参院選もしくは衆参W選では山本太郎で緊急避難をすべきだ。

山本が核となり消費減税限定のオリーブの木が醸成され、消費税増税の悪魔に憑依された安倍政権を誅す。筆者はそれを期待し応援したい。

令和、向かうべき国の姿 −自助と長期的国益の追求−

●内政に於いては、ナショナル・ミニマムを伴いつつも自助に舵を切る事。
●外交に於いては、国際的大義を伴う長期的国益の追求。

令和への改元に当たり、もし筆者が新時代の日本を方向付ける指針を掲げるとするならば、上記2点を挙げたい。

◆平成から令和へ◆
日本は、平成の時代を終え令和の時代を迎えた。振り返れば平成の時代は、戦火に見舞われなかった平和の時代ではあったが、経済成長が低調に推移して相対的国力が大きく後退し、国民の幸福感も低下した混迷の時代であった。

これは、少なからず「平成」の2文字が持つイメージのマイナス側面が、主体性無き事勿れ主義として目先の利益と安寧を求める事を隠然と助長した結果であった気がする。プラザ合意による円高ドル安に対処出来ず、方向性なく流れて行った末のバブルの発生と、金融失政によるその急激な破裂と、税制を含めた内政の失敗の連続でその後の低迷を招いた。

この事から筆者は、新元号については、もう少し積極的なイメージの字を使うべきと考えていた。このため、「令和」と聞いたときの第一印象は、音の響きから冷たい感じ、消極的なイメージを受け、ネガティブな評価をした。しかし、積極的なイメージのために「興」とか「栄」とかが入ると何やら不動産屋っぽいし、「武」等を入れる訳にも行かないだろうから、選択肢は限られたのだろう。

「令和」の出典が、中国の古典にルーツがあるものの、漢文でありながらも日本の古典である万葉集の序文から取った物である事には、聖徳太子が隋の煬帝に送った国書にある「日出る処の天子・・・」の一節や遣唐使の廃止にも通ずる自主独立の気風が感じられる。

◆令和と国の指針◆
さて、筆者はこのように元号が我が国の盛衰に少なからず影響を与えると考えるものの、当然ながら最も大切なのは、国民の主体的な意識であり国の指針である。

筆者は、改元に当たっての国の指針として、内政に於いては冒頭のように、ナショナル・ミニマムを伴いつつも自助に舵を切れという事を掲げたい。

個人に於いては、自らの稼ぎと蓄えによって賄う事を基本とし、社会保障は年金を含め止むを得ず窮したときに利用する、「文字通りの保険」として再度位置付ける仕組み作りが必要だろう。

地方自治に於いても、各自治体の自主財源で運営する事を基本とし、然は然り乍ら住民サービスのナショナル・ミニマムを維持するために地方交付税等で下駄を履かすものの、これを恒久的な下駄と時限的な下駄の2つに分け、後者を15年乃至20年程度で逓減させ自立を促すような仕組みが必要だと思う。

外交とは、国際的大義を伴う長期的国益の追求に他ならない。改元に当たっての外交に於ける国の指針としては、筆者はこれを掲げたい。

世界を取り巻く最も大きな課題として、中国の台頭による米中覇権戦争と、イスラムの人口増も手伝う中東の混乱がある。

大国の興亡として、米国に代わり中国による覇権確立は理屈の上では在ってもよいが、少なくとも共産党一党独裁で信教言論の自由が許されておらず、少数民族に対する人権蹂躙が平気で行われている今の中国による支配を許せば、世界は暗黒に覆われる。

このため、日米同盟を基軸に、露、印、欧州、アジア諸国等、加えて進んではイスラムの世俗化穏健化を図りこれを加え、中国包囲網を完成させその牙を抜き、国際社会の善き住人となってもらわねばならない。

一方で、日米同盟を中心とするも、日本は主体性を持ってイラク戦争のような筋の悪い大義無き戦争に加担する事は避け、イスラム・中東の安定に向けても国際的大義と長期的国益の追求を以て米国への忠告も含め対処する必要がある。憲法改正に際しては、そのエッセンスをビルトインする事が望ましいだろう。

日本が国として栄え、四海に大義を敷く。令和を迎え、国民は心新たに気概を以て臨む必要がある。

消費税再増税でアベノミクスが、バカノミクスになる日

◆消費税とラーメン屋理論◆
果たして今年10月に、政府は消費税を10%へ増税するのか?

安倍首相側近の萩生田光一自民党幹事長代行の18日朝のネットニュースでの発言で、筆者は消費税増税がこれまでの五分五分以下から四分六の割合で増税延期に傾いた気がした。もっともこれは、自民党の苦戦が伝えられた21日投開票の衆院大阪12区、沖縄3区両補選のための口三味線だったのかも知れぬ。だが、両補選では実際に自民候補が負けたため、夏に衆参同日選挙を打っての増税延期の割合は更に七三に高まった感もある。

さて、そもそも消費税増税は順序が違う。

この時期の消費税増税は、客足が低迷し赤字が増えたラーメン屋が単なる算盤勘定で行き成り値上げするようなものであり、本来先ずやるべきは、味の改良であり、工夫による原価の低減と冗費の削減、調理配膳のオペレーションの合理化、入りたくなるような店作り等だろう。その後にどうしても採算が合わなければ値上げはあってもよいが、先に行うべきものではない。さもなくば、一時期の客単価は増えるかも知れぬが客足は更に遠ざかり、より左前になって行く店が殆どではなかろうか?

第二次安倍政権発足にあたって唱えられたアベノミクスは、1. 大胆な金融政策、2. 機動的な財政政策、3. 民間投資を喚起する成長戦略であったと記憶しているが、日銀の黒田バズーカによる金融緩和ばかりが目立つものの、特に成長戦略は目ぼしい具体策と効果はついぞ姿が見えない。

◆増税と社会構造変革◆
かつて「税と社会保障の一体改革」というのが盛んに唱えられたが、要は単なる算盤勘定の話であり穴の空いたバケツで水を汲みだすような弥縫策であった。真の命題は「社会保障と働き方の一体改革」等でなければならず、社会の仕組み、構造の変革でなければならない。

安倍政権は、「働き方改革」として、「同一労働同一賃金」「残業削減」等に踏み出し、それは一定の効果は見込めるものの、社会の仕組み、構造を変えるとまでは言い難い。

社会構造変革というと大壇上に構えた感があるが、筆者が思い付くものとしては、以下のような所である。

●社会保障の持続可能性の強化
・老齢者雇用企業への法人税控除、軽減税率の拡充
・「在職老齢年金減額分の積立延払い制度」導入(単なる減額制度の廃止では、年金財政を悪化させるだけに終わる)
・その他、平均寿命の5年ないし10年前からの年金受給選択へ、インセンティブを与える支給制度
・タバコ税の重税化と、ニコチン・タールなし電子タバコ購入への健康保険の適用
・尊厳死の社会的実装

●出生率の向上
・児童手当の18歳までの支給年限拡大
・保育料無償化予算の児童手当制度への組み込み
・就園の有無を問わず、就学前年齢児童全般への支給化
・上記を含む児童手当の金額倍増(なお、これらには所得制限を加える)

●国際競争力の強化
・各種規制へのサンセット方式(適用期限設定と継続なら議決を要す)の強化
・バカロレア(共通大学入学資格試験)と、高得点者(特に理数系科目)への返済不要奨学金の導入
・上記バカロレア低得点者の入学集中大学への補助金、軽減税率の適用廃止

以上、児童手当の拡充を除いては大して金も掛からぬと思うが、効果が出てGDPが上昇し税収が増えるまでは国債で凌ぐか、それが嫌なら公務員人件費カットを充てる事も考えられる。(国:約5兆円、地方:約25兆円のうち自衛官、警察官等を除いた20%カットで数兆円の財源が見込める)

消費税増税を唱える安倍首相は、本音では増税による景気腰折れで政権の末節を汚したくない。
一方の立憲民主党の枝野代表は、口では消費税増税反対を唱えるが、本音では増税したくてたまらない。少なくとも増税やむを得ずと考えている。(旧民主党の政権奪取前の公約と、実際にやった事を見比べれば明らかだろう)

安倍首相は、この時期の消費税再増税が後世「バカノミクス」等と言われる日を迎えかねない事は、2014年4月の増税による景気失速で骨身にしみて承知しているはずだ。

ある日記者会見で、「リーマン・ショック級の出来事が起こった訳ではないが、世界経済と我が国経済の現状は、潜在的にその可能性を完全には否定し難い状況にあり・・・」等と、シレっと述べて衆参同日選挙に突入する。

消費税再増税凍結へ向けて、安倍首相の蛮勇を期待したい。

大阪都構想は、人事一元化か、単純統合でよくないか?

◆「統合」の形◆
(A)府と市を統合せず、「府市人材バンク」を新設し府市職員全員を移し、そこからシャッフルして府と市に出向させる。
(B)府と市を統合するが、単純統合とし、旧大阪市の区を特別区に再編するようなことはしない。

筆者は、「大阪都構想」は上記の何れかの方法で代替するのがベターだと考える。

統一地方選が今一つ盛り上がりが無く始まったが、その中での一番の注目は大阪都構想を焦点にした大阪府知事、大阪市長入れ替えダブル選挙だろう。

大阪都構想は、東京を筆頭に関西圏以外ではもう旬を過ぎた感もあるが、筆者は以前一時期、関西圏に住んでいた事もあり、それなりに緩くウォッチし続けてきた。

大阪都構想は、「府市合わせ」と言われる犬猿の仲の両者が箱物などを競う二重行政の弊害に終止符を打つために橋下徹氏が率いる「維新」により提唱され、2015年5月17日にこの是非を問う住民投票が行われ僅差で否決された。

部外者からの岡目八目で単純化すると、大阪都構想のメリットとして挙げられるのは、前述の二重行政の解消に尽きるだろう。一方、デメリットとしては新たに再編した特別区に区役所を建設する等のコストが大きい事だ。

一説には、これらのコストが、統合による経済効果や行政収支改善を上回り兼ねないという試算もあるようだ。

◆橋下氏の喧嘩殺法と現実性◆
広域行政と中心都市間の問題は、イギリスでの「グレーター・ロンドン」の曲折を見ても、普遍的課題であり、府市統合は反対陣営の一部が唱えるようにトンデモ政策という訳ではない。

犬猿の仲と言われて弊害を生んでいるなら、統合もしくは実質的な統合を行うのは合理的な対策だろう。企業の世界でも買収してグループ会社となったが、競合し合って弊害が出る場合には、大幅な人事交流を行なったり、合併してしまうのはよくある事だ。

ただ大阪都構想には、特別区の新設と区役所の建設が加わる。これについて、「維新」としては住民密着の行政サービスの提供等の考えもあるのだろうが、部外者の筆者から見ると「大阪都」として東京都と同じ形にしたいという発想と、景気浮揚を図ると共に建設会社を巻き込んで味方に付けたいという戦術も感じられる。

橋下氏も先の住民投票では、大阪「都」を強調し、東京都と同等のものを目指す勢いで、現行の「都構想」案で民意を問うた。それはド派手な「華」を掲げる事で戦術としては間違っていなかった。しかし、否決後は大阪を東京が災害等で機能不全になった際、若しくは壊滅した時に首都機能を代替する「副都」「陪都」としての位置付けを前に示し始めた感もある。大阪がパワーアップする事は、関西圏外から見ても望ましい事だ。

だが、名称は「大阪都」でもよいが、大阪が「東京都」と同列としてトコトン張り合った場合、国家統合の意識、国としての一体感が希薄となり、絵空事ではなく進んでは中国等に付け入られる事になり兼ねず、橋下氏が「変節」したのなら妥当だろう。また、2025年の大阪万博等を考えれば、区役所新設の景気浮揚効果も人手不足で逆目に出る事も考えられる。

以上、「統合」のメリットとコストのバランスを考えると、「大阪都構想」は、筆者は冒頭に掲げたような所、若しくは(A)から(B)への移行に落ち着くのがベターだと考える。

大阪維新は、柔軟性を持ってダブル選に臨む方がよいのではないか。



◆補記(W選の結果を受けて 2019/4/14)

府市統合には賛成。
だが、特別区設置は役所・議場建設、機構再編で費用が掛かり過ぎだ。
単純統合して、旧24区のままで特別区なんかは作らなければよい。

なお、大阪府議会の議席は、市が府に呑み込まれたのか逆なのか分からなくなる程度に旧大阪市の中選挙区に厚めに再配分してやれば、大阪市消滅によるデメリットは解消される。

マティスもパウエルも、米中覇権戦争を理解していない。

内外から尊敬を集めていたマティス国防長官が、トランプの指示により予定を早めて1月1日付けで退任した。退任の理由は、主にトランプのシリア撤退策に同意できなかったためだと言われている。

しかし、IS(Islamic State)壊滅の目途がついた現在、シリアに秩序を取り戻すためにはプーチンとアサドに任せる他に現実的な選択肢はない。

また、公開された辞表に記された「同盟国に敬意を払うべき」といった大統領への進言は、⇒「NATO加盟諸国にもっと配慮せよ」⇒「ロシアを第一の仮想敵国とし続けよ」⇒「中国は第一の仮想敵国ではない」との冷戦期のノスタルジックな世界観に基づく暗喩も含まれており、トランプは受け入れられない。

マティスは昨年1月に、トランプ政権下では初めての「国家防衛戦略」を公表し、中国、ロシアとの軍事的な競争への対応を最優先の課題としたが、ここでも中国と、ロシアをせいぜい同列に扱っていた。戦略の本質とは、第一に物事の優先順位付けであるから、予算獲得のための方便だとしても両軍事大国への対応を同列に記述するのは異様な印象を受けた。恐らく、中国でなく飽くまでもロシアを第一の敵としたい願望の現れだったと思われる。

パウエルFRB議長も、昨年12月の利上げ実行と、今年度の利上げペースの柔軟性への市場の疑問符から、NYダウ平均他の株価を大きく引き下げた。パウエルは、利上げペースの柔軟性についても発言していたものの、今年になって改めて表明することを余儀なくされた。

それには、専門外の学者出身であるのに加えて鼻眼鏡のボサボサ髪の風貌から、市場への感度が鈍いとのイメージを持たれたことも関係したのだろう。

ともあれ、マティスとパウエルに欠けているのは、今は米国が経済戦争や冷戦といった表現では不十分な、中国と覇権を掛けた総力戦に突入した有事にあるという認識だ。そのためには、「ロシアも中国も同じく脅威です」というような寝言を言っている場合ではなく、優先順位を付けロシアと結び他国を交え中国包囲網を築かなければならないし、金融政策に於いても中国に足元を見られないように機敏に動く構えをしていなければならない。

曲がりなりにも国防と金融政策のトップが、この体だったのでは先が思いやられる。筆者は政・軍・産・官・学・メディアを始めとした米国民の覚醒を切望する。

一方のトランプの言動にも、疑問府が付く。

トランプは、アフガンからの撤退も画策しているとも伝えられるが、シリアはプーチンに任せるにしても、アフガン撤退は後をタリバンに任せることにも成りかねず、相当慎重なシナリオと手順が必要になるだろう。

またトランプは、日本を含む各国に対して「レシプロカル(相互的)」な貿易を主張しており、2国間貿易バランスを目指せば、結果の平等に繋がるのみならず、従来のマルチ(多国間)バランス・ルールに比して世界経済は縮小均衡に向かってしまう。中国との覇権戦争と、それを遂行するためにも中国を除いた各国との貿易戦争は峻別するべきである。

ともあれ、魔人トランプと、21世紀のヒトラー習近平の覇権を掛けた戦いは予断を許さない。各国、各国民は旗色を鮮明にし、この天下分け目の戦いに主体的に関与する必要があるだろう。

同性愛タブーの起源と未来 LGBTに関する小考察

新年早々の平沢勝栄代議士のLGBTについての発言が、物議を醸したとのことだ。

昨年の杉田水脈代議士の「生産性」論文と、それへの小川栄太郎氏等による擁護文を載せた「新潮45」の廃刊の一連の問題が、まだモヤモヤしたまま燻っている感がある。

さて、筆者は取り敢えずその論争の内容から少し離れて、同性愛に限って少々その起源と未来について考えてみたい。

先ず、禁忌(タブー)にはそれぞれ起源があると思われる。例えばイスラム教徒が豚を食べないのは、主に伝染病を避けるためだという説は有名な例だ。

起源を辿ると、同性愛を禁じたのは、古代ユダヤ教の時代に於いて殲滅戦を含む民族間の領地争いが激しく「産めよ増やせよ」が正義だったからではないか。また、時代が飛ぶが特に近代国民国家の総力戦に於いて、国民からなる軍隊の規律を保つ必要があったからだろう。

してみると、遠い未来に目を向ければ、仮にその是非はともかく生殖手段の主流が人工授精と遺伝子工学となり、戦争がAI・ロボット・電子戦になった場合には、禁忌の根拠が希薄になると思われる。

今はその過渡期であり、そのためLGBT問題について、擁護・推進派と抑制・消極派の両者でモヤモヤ感が消えないのではないかと感じられる。

ザックリとしたことを書いたが、以上は比較的人畜無害の考察かと思う。この観点から筆者は、同性愛については特段に否定も肯定もしない中立の立場であるが、最後に別の観点から少し踏み込んだ意見をご紹介したい。

筆者の知人に、同性愛に関して「ア●●セックスについては、衛生上の観点から、特に深刻な感染症対策として、法的に罰則付きで禁止することは出来まいか」と真面目に考えている者がいた。

このようなプライベートな領域に、法が立ち入ってよいかということについては、その知人は「禁止にするのは被せ物をしなかった場合に限り、異性間の同行為についても適用する」等の条件を付ければ、深刻な感染被害と流行の相当な危険性を伴う行為の禁止として十分に立法可能であり、それが巡り巡って同性愛者を含むLGBTに対する社会の恐れや偏見を減少させるのではないかと語っていた。

その実効性はともかく、筆者も一考には値するかと思い、蛇足ながらご紹介させて頂いた。

日露平和条約は「日米露三国同盟」への布石でなければ意味がない。

◆プーチンの無茶ぶり◆
9月に露ウラジオストクで開かれた「東方経済フォーラム」での、プーチンによる唐突な無条件での日露平和条約締結のオファーに対し、安倍総理は流石に「無条件」は避けるものの、前のめりの姿勢で臨んでいる。

当然ながら日本の報道と世論は、果たして北方領土が何島返ってくるのかに焦点が当たっている。日本としては4島一括返還が予てからの国是ではあるが、歯舞・色丹の2島返還に加え、国後・択捉の2島について平和条約締結後の継続協議に持ち込むのが現実問題としてのリミットではないかとも言われている。

さて返還の一番のネックとなるのが、返還された島に米軍施設が設置されるか否かであると言われている。2島の場合、北海道本島に施設を設置するのと軍事的に実質的な差異はないが、プーチンとしてはロシア国民に対する面子を保つためにも絶対に譲れない線であろう。このため、それについての日米露間での同意なしでは、2島も返ってくる事はない。

しかし、全てが上手く運んで2島+アルファとなったとしても、ましてや2島以下で打ち切りになった場合には特に、国是であった4島一括返還から遠く離れると言うことになる。その上プーチンからの請求書にどの位の額が書き込まれるかも不明だ。

◆国運を掛けて◆
それゆえ筆者は、敢えてこの時期に日露平和条約を結ぶのは、実質的な「日米露三国同盟」への布石でなければ意味がないと考える。それ無くば、コストとリスクを負ってここでカードを切る事は4島一括返還でもない限り無駄と言えるだろう。

即ちプーチンは中国との「不信同盟」を捨てて、トランプは米国内の反対勢力を抑え、日本を触媒として、将来の実質的な三国同盟(少なくとも協商)関係への方向性を打ち出せるかをもって、今回の日露平和条約の是非が諮られるべきである。

第一の軍事大国の米国が、第三の軍事大国であるロシアと結び、第二の軍事大国である中国を抑える。それに重ねて、第一の経済大国である米国が、第三の経済大国である日本と結び、第二の経済大国である中国を抑える。古来、勃興する挑戦者に対する勝利の方程式は自明である。

今の中国は、その人権、領土、経済に対する無法ぶりと影響力を考えれば、嘗てのナチスドイツに匹敵し、習近平は巨大市場を抱えた現代のヒトラーである。いわば大悪魔である習近平に対するには、現在の覇権国の主トランプが中悪魔であるプーチンと組むべきなのが、国際秩序の現実的正義である。またそうでなければ、恐らく日本の安全保障も保つ事は出来ないであろう。

奇しくも冒頭の「東方経済フォーラム」でのプーチンによる唐突な、無条件での日露平和条約締結のオファーは、座席の配置から安倍総理に対し習近平を挟む形で行われた。プーチンとしては、「三国同盟」は恐らく視野に入っているだろう。しかし、日本が乗って来なければ中国からの侵略リスクを抱えつつ「中露不信同盟」を続けざるを得ず、それをバックに習近平は南沙諸島掠奪等々を始めとした覇権拡大を背後の守りの憂い無く続ける事になるだろう。

トランプはというと、ペンス演説によって国家第一の敵は中国であるという認識が米国民にも芽生えつつあると言え、身動きが縛られるロシア・ゲートの行方は流動的だ。

日本は、刻々と動く国際情勢とその行く末を見極め、更に自ら情勢を作り出しながら、国際的大義と国運を掛けて日露平和条約交渉に臨まなければならない。(一部敬称略)
RSS
Profile

佐藤鴻全

佐藤総研代表、会社員、文筆家、196X年生、東京近郊在住
座右の銘: 四海大義
Tweet to @Kozen_Sato
!function(d,s,id){var js,fjs=d.getElementsByTagName(s)[0];if(!d.getElementById(id)){js=d.createElement(s);js.id=id;js.src="//platform.twitter.com/widgets.js";fjs.parentNode.insertBefore(js,fjs);}}(document,"script","twitter-wjs");

最新記事
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

Profile

佐藤鴻全

QRコード
QRコード
Recent Comments
「最新トラックバック」は提供を終了しました。
  • ライブドアブログ