◆日本の医療体制◆
新型コロナBA.5株が猛威を振るっている。更にケンタウロスとも名付けられるB.A.2.75株も出現してきている。
世界的の流行の中で単位人口当たりの感染者数は、日本が世界トップとなり医療逼迫を起こしつつある。これには、日本ではこれまで感染者が少なかったことの揺り戻しや、欧米では軽症ではあまり検査を受けない事も影響していそうだ。
また、新型コロナは、日本では行動制限や厳しい隔離や防疫を要し受診機関に負担をもたらす感染症法の2類相当と位置付けられ、これが感染者増に耐えられない逼迫化の元凶と言われてきた。
なお、海外では、もちろん日本と同じ分類制度ではないが、感染力は高まったが毒性は低くなったオミクロン株以降、多くの国でもっと行動制限等が緩和され普通の風邪に近い扱いになっている。
それでは、日本でも5類に落とし、海外と同じように普通の風邪扱いにすればよいのだが、そうならない要因として、2類相当のままなら医療業界に多くの公費が落ちるからとかも噂されている。
多くのプレイヤーが関わるのでそういった要素は皆無ではないのかも知れないが、最も大きな要素としては、特に欧州各国と違い民間の小規模な医療機関が多いため、重症者が急増した際に機動的な対応体制シフトが出来ずに容易にキャパオーバーしてしまうためだろう。
これへの緊急対応として、政府が医療機関の重症化対応をアレンジし、医師会の反対を恐れず必要なら民間病院の接収にも踏み込み体制シフトを図るべきである。憲法違反云々の問題があるなら政府は裁判覚悟で行い進んではこれを立法化し、また今後コロナ以外の危機対応のためにも、順次公立病院化を進めるべきだろう。
もちろん、小規模な民間病院が重症化対応をすることは難しいので、軽症、中等症患者のうち、自宅療養以外の患者の対応や、他の病気や怪我の対応を中心に行い、大病院での重症化対応シフトを側面サポートすることになる。
日本のこれまでのキメ細かい医療体制には良さはあるものの、これからの新たな感染症、バイオテロ、国内外での戦争のリスク等を考えれば、医療体制も危機対応型への組替えが迫られよう。
なお、新型コロナは、感染症のセオリー通り感染力増加と弱毒化し、「普通の風邪」となって行く趨勢だが、様々な要因で強毒化変異を起こし流行するかもしれない。その際には機動的に対応をシフトさせるべきである。
日本の新型コロナ対応として、水際対策にも問題がある。諸外国からは「鎖国」と揶揄される絞った対応の一方、その実強制力を持たないザル体制である。ここにもメスを入れ厳格な体制を構え流行状況等に応じメリハリを持った水際の調整を行うべきだろう。
◆思いやりワクチン?◆
さてそんな中で、政府はコロナワクチンの接種を呼び掛けている。ワクチンの感染予防効果については、厚生省のデータが改正された結果、年齢や接種回数等によっては殆ど期待できない場合もあると推察されるようになった。
https://agora-web.jp/archives/220620071252.html
感染予防効果に疑問符が付くなら、大切な人を守るためのワクチンという「思いやりワクチン論」がなかなか成り立ちにくい事になる。
しかし、重症化予防効果はあるようなので、高齢者や既往症者等、重症化率の高いグループに対するメリットに加え、もともと若年層は重症化率は低いものの、ワクチン接種 ⇒ 自身の重症化予防 ⇒ 医療キャパ逼迫回避 ⇒ 思いやりワクチン、というロジックは辛うじて成り立たない事もない。
それならそうと堂々と謳えばよいのだが、どうも政府はその点を暈して思いやりワクチンという感情に訴える、ほっこりする言葉でワクチン接種を推進したいようである。このもやもやした対応が、ワクチンの在庫処理が目的ではないか等、あらぬ疑いを引き起こしている事は残念なことである。
ところで、英国でのネット報道によると、英国政府からワクチン接種者の方が非接種者より単位人口当たりのコロナ死亡者数が多いという統計が発表された。
https://expose-news.com/2022/07/22/uk-gov-confirms-91percent-covid-deaths-triple-vaccinated/
このネット報道の表現にバイアスがないかの検証、各国のワクチン種類の違い等諸条件の考慮、またこの統計データ自体の詳細な解析が必要ではあるが、もしこれがそのままワクチンの重症化予防効果の逆転を意味するのであれば、副作用リスクに加え、個別にはともかく全体としてはワクチン政策の大転換を要する事態となる。
こういった我々の懸念を払拭するためにも、研究機関、製薬会社、各国政府、世界機関等には、引き続き真摯な研究と誠実な発表に全力を傾けて頂きたい。