“役者(三人)が揃った!?”と声高らかに原点回帰、291回目となる東京での朗読会。
 まずは役者の片割れ二人、杪谷と私は23日3時過ぎ、東京都世田谷区にある『現代朗読協会 羽根木の家』に到着。杪谷は“風情バンバン”の数寄屋門?を撮影です。
 主催の『現代朗読協会(2006年設立、代表 水城ゆう氏)』は、朗読について真摯に考え、深く表現を追求している団体。代表の水城さん(もう一人の役者?)は、この朗読会のきっかけを作ってくれた人。いや、生みの親!?なのかも知れません。
 遡ること13年前。若かりし水城さん (余計かな?) から「イベントで何かやろう」と話が来たのです。そこで企画したのが「木を植えた人」の朗読!ところが、このイベントがポシャり、折角だから形にしようと翌年の1999年1月、岐阜県武芸川町のギャラリー『是』で第1回目が開催されました。それを知った水城さん、言い出しっぺがやらないわけにはいかないと(罪の意識!?) 2回目、3回目を福井県大野市の『七間美術館』で開催してくれたのです。どうです、この見事な責任感。どうやら代表的な“良い人”のようですね。
 さて、会場となる『羽根木の家(約120坪)』は、昭和10年に建てられた築76年の木造二階建ての古い、古〜い家。しっかり古い!でも、その歴史が安らぎと柔らかな感じを作り出し、“朗読はここで”と言わんばかりの空間になっているんです。
 門をくぐると、現代朗読協会の制作者で朗読家でもある野々宮 卯妙(うたえ)さんが庭に出て、糟谷 久矢(ひさし)さん、船戸川 広匡(ひろまさ)さんら若手を従え、草取りの真最中。それを眺めながら杪谷と私「良い朗読をするにはまず草取りからか?・・・この姿勢が素晴らしいね」と、手を汚さず、ただうなずくだけ・・・二人とも偉くなったものです。
 草取り係に変身した野々宮さんが玄関に向かって一声。すると「ヌッと」顔を出したのが、あのペテン師!?いや失礼!!ミュージシャンで、作家でもある水城さんです。
 朗読は、玄関を入った左側の八畳と六畳の二間に隣接した約八畳分の広縁部分を使用。縁側の先にはガラス戸を通して立派な庭。苔むした石、柚、シュロ竹、梅、椿といった樹木、さらに、水城さん言うところの「名も知らぬ木々」が植えられています。これに反応した杪谷が「ばらさん、いい、いい処です」としきりに感激!! この“感激の庭”を背に縁側中央に朗読椅子。そして、朗読の前後に水城さんがキーボードで参加することに決定。
 ところが準備中の5時20分頃、日立市を震源とする地震が発生した!!やっぱり今の東京は恐い。もしも公演中に地震が来たらと考えると・・・いや、考えない事にしよう。
 縁側の右端に杪谷、後方に私。水城さんは我々の反対側にキーボードを置いて待機です。
 8時を回り26人(男性6人)の観客でスタート。静かな即興演奏が流れると客電が消え、蝋燭明かりのみ。曲を受けて野々宮さんの燭台下げが始まる。炎が揺れないようにゆったりと進む。朗読家だけあって見せる事を心得ていて、憎いほど見事な火消し役!!古民家が醸し出す雰囲気を得て朗読をゆっくりと語っていく。時折、井の頭線の電車が(10分に1本ぐらい)ゴトンゴトンと通過。さらに秋を彩る虫の音も趣を添えるように鳴き渡る。ところがラスト近く“おっと!読み間違えた、カナンをブナンと言ったぞ!?・・・でも、どうやら悟られなかった”(ところが、杪谷と水城さんには分かっていたようです。)
 朗読が終わる頃に曲がインサートされる。その中で私は立ち上がり、ガラス戸を開けて静けさが漂う秋の庭に降りた。暫く佇んだのち観客の視界から消え去る。満を持した杪谷が“感激の庭”へライトアップ。ゆったり流れる曲に乗って、苔むした石、梅の木、柚の木、シュロ竹へと明かりを灯し続ける。杪谷の思いに観客も刺激され「至福の時」を味わっているのかも?ライトアップと水城さんの音楽が朗読をグッと引き寄せ、感動を繋いでいきます。音楽が暗闇に溶け込み、全てが闇に消えていきました。
 築76年の古民家が観客の心を捉え、25年以上にも亘る三人の交流が、作品を通してブフィエにも勝る!?「もう一つの森」を築いたのです。教訓『やはり、年は重ねるものです。』