会社の上司が部下に、
「昨日お客様からクレームがあったなんて、そんな大事な事を何故直ぐに報告しないんだ!」
「明日の避難訓練には出てくれって?何でもっと早く皆に連絡しておかないんだ!」
「提案内容を3日も考えて何の進捗もないって?何でもっと早く相談しないんだ!」
なんて事を言っている場面、皆さんも幾度となく見かけているんじゃないんですか?所謂、『報・連・相』ですが、これがなかなかちゃんと出来ない。「うちの会社は、こんな基本の『き』が出来てないんですよ」なんて話を、私も良く耳にします。先日もそんな話を聞いたのですが、悪いことに「あんな事も連絡してこないなんて、あいつ(部下)は私の事を嫌ってるんじゃないかな?」なんて、相手の気持ちまで疑ってしまっていました。確かにビジネスマンの常識ではあるものの、なかなかしっかりと、『報・連・相』がやり切れている会社、組織はないように思います。どうしたら出来るようになるのでしょう?そもそも、、『報・連・相』を行う力の本質は何なんでしょう?皆さんは、どう思われます?

方法論は色々あれど・・・
、『報・連・相』をしっかりやって行こう、そのための方法論と言うか、工夫は色々ありますよね。まずは、どうやって『報・連・相』を行うか。フェース・ツーフェースを好む方は、朝礼などの日時定例会でやったりしますね。会議の時間を持ちたくない、あるいは勤務場所が分かれるなど物理的に集まるのが難しかったりすると、メールで行うところもある。どちらも、日報なんかのテンプレートを上手く作ると、よりスムーズにやれたりしますよね。ま、どちらのやり方をしても難しいのは、相談ですね。これは、比較的タイムリーに、時に細目にやらないといけない。そんな時に考えるのがルールですね。例えば、自分で10分考えて納得するやり方が出てこなかったら、必ず相談するなんてルールを作っている会社もある。また、自分に意思決定の権限があるかどうかをチェックして、なかったら必ず相談するなんてルールもある。ただ、これだけだとモチベーションが上がらない場合があるので、公式・非公式の評価に組み込んでいる会社もありますね。良い相談をした人やしっかり報告・連絡をしている人を、皆の前で褒める。これだけでも、人としては嬉しい。それだけでなく、MBOの目標に組み込んで、正式な評価項目にしている場合もありますね。こんな工夫をすることで、、『報・連・相』を改善して行くわけですが、どうしても最後に残る問題は『漏れ』と『内容の適切さ』ですね。これを防いだり改善したりするためには、方法論としては互いに質問したり、やっている事の一覧(To Doリストのようなもの)を作ってチェックリストとして活用したり、なんて言うやり方があります。しかし、それでもやり切れない事が多々ある。そもそもは、各人のスキルの問題?そのスキルとは?難しいですよねぇ。

自分がしてもらってうれしいことは他人にもする、嫌な事は他人にはしない
このフレーズ、私が良く使うフレーズです。「幼稚園で習いましたよね。人間としての基本として」なんて言ったりしています。、『報・連・相』ですが、その本質はここにあるんじゃないかなぁ、なんて個人的には思っています。
「この話し、ちゃんと報告しておかなかったらあの人はなんて思うだろう?そもそも、自分があの人の立場だったら・・・」これを一歩立ち止まって考えられるかどうかなのではないでしょうか。連絡も相談も同じ。「この件、きっとこのやり方で出来るよな。でも、あの人に相談しないでやったら、あの人はどう思うだろう?」を考えれば、相談しないでやるなんて出来ないのでは?要は、相手がどう思っていて、どうしたら気持ちよく、楽しく仕事が一緒にできるか、相手に対しての気配りですね。そんな視点で色々な人を見ていると、、『報・連・相』の三拍子がそろっている人は、実は非常に気配りに長けている人が多い。顔色が良くない人には声を掛けたり、困って良そうな人には手助けできる事はないか聞いたり、掃除や整理整頓を率先してやったり、更には食事や飲み会などの席で周りが楽しくできるように色々と身軽に動いたり・・・周りの人を良く見ていますよね。で、できるだけ皆が気持ちよく、楽しく仕事ができたり、その場を共有できたりするように気配りをしている。その延長が、自分の仕事での、『報・連・相』なのではないかなぁ、なんて私は思うのですが、皆さんはどう思いますか?

受ける側も相手が気持ちよくできるようにしないといけない
これまで、、『報・連・相』をする側の事ばかり書いてきましたが、一方で受ける側の気配りも非常に重要ですね。例えば、何か相談してきたことに対して、
「なんでこんな事、いちいち相談してくるんだ!俺だって忙しいんだぞ!」
なんてセリフを吐く人がいますね。寅さんじゃないですが、「それを言っちゃおしめぇよ」ですね。相手が、、『報・連・相』をする気がなくなりますよね。自分がどんなに忙しかろうが、難問を抱えていようが、部下の、『報・連・相』をちゃんと受け止めてあげないといけない。で、相手が何を考えて、どう思ってそれを話しているのかをしっかりと考えた上で適切な対応をすることが大事ですね。例えば、もう相談しなくてもこの手の事はやって良いと判断したら、
「その考えで良いよ。こういう事は、もう君は自分の判断で出来るようになっているから、次からは相談せずに進めても良いよ。」
ぐらいの事は言ってあげないといけない。ただ、ここで曲者なのは「こういう事」ですね。それってどんな内容、レベルの事なのかがなかなかクリアには共有されない。そうなると、時に次にその部下が「そういう事」と判断して相談せずに何かをやって失敗する場合がある。その時に、
「なんで相談しなかったんだ!」
と頭ごなしにやると、これまた悪循環にはまるリスクありですね。なんで相談しなかったを聞き、それは何故相談しなければいけないことだったかを説明しないといけない。ま、これは正論ですけど、そんな綺麗には行かないですよね。人間ですから。感情もあるし。組織として、『報・連・相』を定着させるためには、成功や失敗を繰り返しながら、その組織ならではやり方を作っていかなければならないのだと思います。そこで本質的に必要な事は、相手に対する敬意と気配り、私はそんな風に思うのですが、皆さんはどう思われますか?