井上浩二のブログ:現在(いま)を考える

株式会社ケーティーコンサルティング株式会社シンスター の代表取締役井上浩二が、ビジネスに関して日々考えていることを発信。

株式会社シンスターでは、人材育成に関するコラムを発信しています。是非こちらもご覧ください。

2010年08月

「捨てる勇気」はありますか?

先週の土曜日に、ある製造業のお客様先の幹部の方々とお客様の今後の戦略を検討する経営塾がスタートしました。製造業のお客様なので、MOT(技術経営)の観点を取り込んだスキルインプットを行い、その上で半年かけて自社の中期経営計画を実現するための戦略を策定して行くという内容のプロジェクトです。その第1回目と言う事で、色々な事例を織り込みながら経営戦略と技術戦略に関してお話させて頂いたのですが、そこで取り上げたケースから自分でも色々と考えているので、今回はその話を書きますね。


ジャンルトップ戦略の根本にある「想い」

この週末、色々と考えさせられたケースと言うのは、コニカミノルタグループのケースです。このグループは、皆さんご存じだと思いますが、2003年にコニカとミノルタが統合して出来た企業です。複写機などの情報機器を中核事業とし、コニカとミノルタが有していた様々な要素技術、応用技術、製造技術を活かしてビジネスを展開しています。最近では、有機EL照明や有機薄膜太陽電池と言ったビジネスまで手掛け、安定した成長を続けるためにしっかりとしたビジネス基盤を作っているように思います。この企業が戦略の軸に置いている考え方があり、それを「ジャンルトップ戦略」と呼んでいます。手がけるビジネスはそのジャンルでトップになる、つまりはトップにならなければ生きていけない、そう言うある種の「凄み」さえ感じるような強い意志の表れだと私は理解しています。この「凄み」ですが、どこから出てきているかと言うと、恐らくこの企業が体験した大きな「痛み」にあるのだと思います。それは、旧コニカ、旧ミノルタ両社の創業事業であるカメラ・フィルム事業を捨てたと言う痛みです。
コニカミノルタは、前社長の太田氏の言葉を借りると、「全ての事業が成長する薔薇色の計画」を2003年に策定します。その結果、両社の創業事業を元に作られたフォトイメージング事業は、毎年70-90億円の赤字を垂れ流す事になってしまいます。そこで、2006年に同社はフォトイメージング事業から撤退する事を決め、この事業をソニーに売却します。(ミノルタのα7000を愛用していた私にとっては、結構ショックでした。)後から、更に外から見れば、赤字事業から撤退して再成長軌道に乗せたと言う話に見えますが、実際にはとても辛い、苦しい決断ですよね。過去の諸先輩が作ってきた事業、これまでは会社を支えてきてくれた事業から撤退する決断は、とても容易ではありません。この痛み、苦しみを伴に経験したからこそ、有機ELもパネルではなくGEと組んで照明を、モノクロの競争が厳しくてもカラー複写機を「選択」して投資し、そのジャンルでトップになって行くための戦略が描けているのだと思います。


「捨てる勇気」を持てるか?

コニカミノルタがフォトイメージング事業を売却した2006年3月期は、経常利益ベースでは768億円の黒字でした。もしかしたら、この事業を継続していても何とかなっていたかもしれません。しかし、最終損益を543億円の赤字決算にしてリストラを断行したわけです。ものすごい「勇気」だと思います。皆さんは、どう思われますか?
このような「捨てる勇気」は、レベルや規模の違いはあるにせよ、個人でも、一企業の組織でも、会社でも必要に応じて持たなければいけないのだと思います。個人レベルでも、何か新しい事をやりたいと思うと、何かを捨てないとやれない事がありますよね。会社の中の一組織でも、何か新たな業務を行おうとすると、これまでやって来た事を止めなければ出来ない場合もあります。(例えば、これまで以上に既存のお客様へのグリップを強めたいと思うと、新規開拓の一部を諦めるとか。ただ、工夫次第では両立させることが出来る場合もありますが。)人は、現在と言う軸で切ってみると時間も能力も限りがあります。そこで、何か新しい試みをする際に、許容量を考えて最善の策を採らないと全てが中途半端になって何も上手くいかなくなってしまうかもしれません。だから、「捨てる勇気」も必要になってくるのだと思います。そう考えると、自分はそう出来ているか、考えてしまいますよね。


「選択と集中」は生易しいものではない

昨今、多くの企業の中期経営戦略などで「選択と集中」と言う言葉が躍っています。しかし、本当にこれが実行できているでしょうか?集中するために、何を捨てているでしょうか?簡単にはできませんよね。しかし、環境変化の激しい現在では、「勇気を持って」何かを捨て、注力すべき事に必要な経営資源を投下しないとビジネスが上手くいかないのだと思います。(そうやっても、上手くいかない事も多いですから。)皆さんも、個人レベル、組織レベル、会社レベルでどうあるべきか、現在どうなっているか、ちょっと立ち止まって考えてみては如何でしょう?
こんな事を考えていると、現在の日本の政治家の方々にも、こう言う事を考えてもらいたいですよね。玉虫色、薔薇色の政策では、上手くいかない。現在の日本を立て直すためには、国家としても勇気を持った「選択と集中」が必要なのだと、個人的には思います。しかし、井の中の蛙が権力闘争(と表現するには、あまりにも稚拙ですが)に明け暮れているようでは、日本の未来はどうなることやら・・・税金を納めている一国民としては、勘弁してもらいたいところです。

戦略的リーダーシップ:今、日本に求められるリーダーとは?

ちょっと大仰なタイトルですかね。何も、私が日本のリーダーとはかくあるべしと大上段からお話しするつもりは、ありません。しかしながら、最近の政治を見ていると本当に嫌になってしまうので、皆さんとちょっと考えてみたいな、と思いこのようなタイトルをつけてみました。
先週の日本の政治に関して、何か記憶に残ったニュースはありますか?私の記憶に残ったニュースは、鳩山元首相グループが主催で行った勉強会と懇親会のニュースです。勉強会自体何をやっているのかとも思いますが、印象に残ったのは150人が集まった元首相の別荘での懇親会のシーン。いかに軽井沢と言えども暑いでしょうに、スーツにネクタイ姿で大の大人が寄り添い、時に耳元で何か話している。しかも、結構ニヤニヤしながら。いやぁ、気持ち悪いですね。
話題の中心は、言うまでもなく9月に行われる民主党の代表選のようです。そこに、小沢さんが立候補を検討しているとか。あれだけ「政治と金」の問題で国を騒がせた人を、また担ぎ出そうとする人がいること自体、私には不思議でならないですね。どんなに能力のある方か知りませんが、国を動かすべき政治家としてあれだけの問題を「あの年齢で」、「ついこの間」起こしたばかりの方なのに。あまりにもレベルが低いですよね。いつまで経っても、所謂「権力闘争」なのでしょうか?しかし、トップに立っても権力がないように思えますが・・・


日本のリーダーとしては、何が求められるのか?

本来、日本を良くしていくためには何をすべきかを語るべき方々が、どうやら上記のような状況にいる時に、現在のリーダー職を預かっている方は何をしているのでしょう?菅首相は、「強い経済、強い財政、強い社会保障」の実現を目指して頑張っているはずですが・・・参院選の時は消費税、現在は雇用対策でしょうか?「こども手当」に「農家の戸別所得保障」、その先は上述の対策。これで、本当に「強い経済、強い財政、強い社会保障」が実現できるでしょうか?全て無駄とか意味が無いと言うような事を言うつもりは毛頭ありませんが、これでは難しいでしょうね。恐らく、強い財政、強い社会保障は強い経済が成立して初めて実現できると思います。その強い経済を作るために、何をすべきか、そのベクトルを作る能力がないと、現在の日本のリーダーは務まらないのだと思います。円が1ドル85円程度と言う円高進行に、何ら手を打っていない。多くの企業が1ドル90円台の想定で今期ビジネスを計画していると言うのに。中(国内)ばかり見て、外を見ない。あるいは、諸外国と対等に議論し渡り合う能力がない。これでは、どうにもならないですね。
個人的には、「経済を強くする」リーダーとしては、

・経済のグローバル化とそこで必要とされるビジネス
・その中で日本企業が求められる戦い方
・これを成功させるために育てるべきスキル・技術

と言った事を理解し、自分なりにどうすべきかを考える力が必要なのだと思います。そのためには、環境ビジネスは勿論、社会インフラや現地の企業をどう整えていくか、そのために必要な技術や知識はどのようのものかに関して、まがりなりにも有識者の言っていることが理解できるぐらいの見識は必要なのだと思います。これがあって、初めて日本政府としてどのような制度などを整備すれば良いのか、今回の円高進行などの問題にどのように対処すべきなのかが考えられるのではないでしょうか?
グローバル経済の中での日本、そのような大きな枠組みで物事を見て判断し、方向性を打ち出すべき人が、京都のJobパークを訪問して「参考になった」と言っているようでは、・・・ですね。
(但し、この活動が全く意味が無いと言っているわけではありませんよ。誤解のないように。あくまでも、優先順位や力配分の問題です。)NHKの「龍馬伝」の坂本龍馬ではないですが、今の日本の状況、そこに対する危機意識を持って、日本を如何に守るかと言うようなことをしっかり考えて動いてもらいたいものです。(危機意識が足りないのかなぁ?)


各企業ではどうか?

これまでは、日本のリーダーと言う観点から私なりの考えを書いて見ましたが、日本の個々の企業でのリーダーと言う観点から考えてみるとどうでしょう?私は、言うまでもなく、同じように考えるべきだと思っています。どういうことかというと、

・会社がおかれている環境と、その環境下で自社が提供すべき
 ビジネス
・そのビジネスで自社に求められる戦い方
・これを成功させるために育てるべきスキル・技術


と言ったことを理解し、自分なりにどうすべきかを考える力が求められるのだと思います。そう考えると、個々の企業は自社を取り巻く環境、自社のポジション、人を含めた経営資源の質と量を考えた上で、自社にとって必要なリーダーを状況に合わせて作り出していかなければいけない。つまり、環境が変われば必要なリーダー像も変わる。そこを理解して、適宜必要なリーダーとはどのような人材かを定義し、それを会社全体に伝えて組織として必要なリーダーを育てる/見つけ出すと言った活動が必要になるのだと思います。どのような組織体でも、必要なリーダー像が普遍などと言うことはないわけですから。(但し、リーダーとして求められる基本的な素養・姿勢・知識などに関しては、普遍的な考え方は当然ありますね。)皆さんは、リーダーとして自分がどうあるべきか、状況に応じて考えていますか?(私のブログを読んで下さっている方々は、きっとお考えだと思いますが。)是非、一度立ち止まって見直してみて下さい。もしかしたら、新たにやるべきことが見つかるかもしれませんよ。

最後に、ちょっと宣伝になりますが、9月14日に人材育成の観点から、「自社戦略とリンクした『戦略的リーダーシップ』の考え方」と題したセミナーを実施します。興味があり、お時間のある方は是非ご参加下さい。(かなり席が限られるので、抽選になってしまうかもしれませんが。)セミナーで、皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

マーケティング戦略を考える:Fit's Link(ロッテ) vs. Stride(キャドバリー)

皆さんは、ガムを噛みますか?私は、個人的にはガムはあまり好きではなく、めったに噛みません。電車などでガムを噛んでいる方で、たまに「クチャ、クチャ」と音を立てている方もいらっしゃいますよね。あれも、大嫌い。と、個人的にはあまりガム派ではないのですが、最近面白いなぁと思った商品があったので、ちょっとマーケティングの題材として考えてみました。その商品は、タイトルに書いた2社の2つの商品です。皆さんは、どう思われているのか、特にガム好きの方のご意見などもらえると嬉しいなぁと思っています。読んで頂いた方、是非ご意見下さいね。


会社としての狙い

そもそもお菓子業界は、ここ数年の少子化のトレンドで「超成熟」マーケットで非常に厳しい戦いをしていますね。そのような中、できるだけお菓子を食べない人にも食べてもらおうと色々な新商品を出していますね。ちょっと古いですが、ガムの典型例がロッテのXYLITOL(キシリトール)ガム。キシリトールにう蝕予防効果(ま、むし歯予防効果ですね)があると言う事で、少し高めの値段設定で、医薬品イメージを出してヒットさせた商品です。その後は、残念ながらガムとしては、新たなブレークスルーがなく、口臭予防などの効能を出したり、お菓子としての面白さを出したりして色々な商品を出して来ています。そんな中では、ロッテのFit’sはマーケティング的には面白い商品ですね。なつかしいフニャフニャ感のあるガムですが、CMソングに合わせて面白い振りを付けてビデオでYouTube上に投稿してもらう消費者巻き込み型のマーケティングを行って成功した商品です。(ただし、この試みが「ガムをかまない人」をどれだけ獲りこめたかは不明です。)
このFit'sが、キャドバリーの新商品Strideに対抗してFit's Linkと言う商品を出し、両社の商品とも売上を伸ばしているようです。どちらの商品も、「味長持ち⇒爽やかな息長持ち」を特徴としています。これらの商品は、恐らく、
・ガムをかまない人を取り込む
・他社のユーザーを奪う
と言う2つの目的を持っているように思われるのですが、さてその狙いは達成されるでしょうか?


ターゲティングとコミュニケーション戦略

Strideのパッケージは、シンプルで「格好良い」感じ。ミントとフルーツの2つの味で、10代中盤から、少し広めに40代前半ぐらいの方をメインターゲットに置いているのかなぁという感じです。つまり、Cloretsと同じ年代層をそのままターゲットにしている感じです。一方、Fit's Linkも、同じようなパッケージで味も同じく2種類。但し、Fit'sは10代から20代の若者をメインターゲットにしていたようなので、そういう意味では少しターゲット広げようとしているのかなぁ、と言う感じです。品揃えも価格もほとんど一緒、チャネルも同じと言う事になると、コミュニケーション戦略が非常に重要になりますね。時間があったら、両社のCMをご覧になってみて下さい。
Stride CM 
Fit's Link CM
如何ですか?皆さんは、どう思われましたか?
私としては、ロッテのFit's Linkの方が上手く今回の商品特性を伝えられているのではないかと思いました。まず、味がどれだけ長持ちするかを「40分」と明確に伝えています。更に、それを東横線で渋谷から横浜までと視聴者が実感できる長さで伝えている。従来の商品との違いを、分かりやすく、恐らく視聴者が共感できるように伝えていますね。一方、Strideは、私のように芸能ネタに弱い人間には、出演者の高感度、同一視のインパクトが測れないので・・・でした。類人猿にまでさかのぼるという発想自体はとても面白いと思うのですが、ガムを噛み続けるとなると・・・ちょっと違うような気もしますね。類人猿の時から愛用していると言うのであれば、分かるのですが。皆さんは、如何ですか?(私に感性がないのかもしれなだけなので。)ただ、Fit's Linkは、このCMだとこれまでと同じ若年層は共鳴しそうですが、上の年代は難しいかもしれませんね。パッケージを大人向けにデザインしたのとは、ちょっと整合性がないかもしれません。ただ、長期的にはStrideの持つ30-40代の年齢層を奪おうと狙っているのでしょうから、今後両社の凌ぎを削る戦いは興味深い展開になるかもしれませんね。


そもそも、目的は達成できるか?

両社の戦いの現状を客観的に見てみると、上記のようになっているのですが、長期的にはこれらの商品はどうなって行くのでしょうか?マーケットに受け入れられて、本来の目的を達成できるでしょうか?皆さんは、どう思われますか?是非、ご意見をお知らせください。ちなみに、私の個人的な考えを書いておきますね。私は、これらの商品はもう一工夫すれば、面白いマーケットが作れるのかもしれない、と思っています。現状のままだと、ニッチ商品で終わってしまうかもしれないなぁ、と思っています。折角、「味長持ち」を特徴として出しているのですから、これを武器に何とか新たなマーケットを開拓したいですね。例えば、こんなアイデアは如何でしょう?完全ばら売り。(アジア諸国では、低所得者向けには当たり前の売り方で、日本も昔は量り売りをしていましたね。)
現商品は、12枚入りで100円です。1枚をバラでプラスチック包装で10円で売っても良いように思います。駅で新聞を買う人など、10円単位のおつりがくる人に「ちょっと口臭をケアしてみませんか?」と言うような形で1,2個でも買えるようにしてあげて、試す事が出来るようにする。そんな取り組みをすると、あまりガムをかまない人にとっては直ぐに味がなくなるわけではないので、結構楽しめる。(40分持つ必要はないと思いますが。)お買い得感も手伝えば、また買う気になる。その上で、他の商品では機能・嗜好性を追求して、ガムのユーザーになってもらう。「ガムなんて、すぐに味がなくなっちゃうから買う気がしない」などと考えているユーザーを取り込んで行くには、良い商品に思えるのですが。皆さん、どう思われますか?
一方、上手くマーケティングを行わないと、この商品はあまり良い結果を生まないかもしれないですね。なぜかと言うと、こう言うガムを噛み続けるのは、
・ガムを常習している、ガムを噛んでいないと口寂しいユーザー
・ガムを良く噛むのだが、財布が寂しくなってきているので消費量を抑え
 たいユーザー
のような気がします。前者のユーザーは勿論いらっしゃると思いますし、ガムのメーカーとしては好ましいお客様ですね。しかし、後者のユーザーは、ガムのメーカーとしては好ましくない。こういうユーザーが増えると、メーカーとしては自分の首を自分で絞めるようなものになってしまいます。そうすると、より消費を増やしてもらうための試みを行って行く事になり、結局こう言う商品はメーカー自体が力を入れて行かなくなると言う事にも繋がりかねませんね。


色々と私の個人的な考えを書かせて頂きましたが、所詮私はガムのユーザーではないので、もしかしたら全く的外れかも知れません。皆さんは、どう思われますか?どなたでも、でも特にガム愛好者の方、お読みになって何か思われたら、是非コメント下さい。宜しくお願いします。

安易な責任/原因追求をしてませんか?

唐突ですが、皆さんは3年前にある消費財メーカーの品質保証部門の責任者となりました。ある日、ユーザーから2年前に買った商品の故障修理の依頼が来ました。(その商品は、昨年生産終了のあまり売れなかった商品で、生産期間は5年間です。製品保障は、小売店のオプションで3年ついてます。)
現場で対応すると、搭載しているソフトに不具合がったのですが、3年前にソフトに改良を加えた際に設計書が適切に管理されておらず、現場の方がかなり苦労されて修理を行いました。コスト削減活動を会社として取り組んでいる折、この事例が経営会議にまで報告され、品質保証の責任者であるあなたが役員に呼ばれ詰問されました。

「xx君、あの商品の設計書は何故ちゃんと管理されていなかったんだ?ソフトに改良を加えた場合には、必ず設計書もメンテナンスするルールになっているはずだよね。他にもこういう製品があるんじゃないのか?君の管理はどうなっているんだ?」

さて、皆さんであれば、この詰問に対してどう応えますか?

1. 「大変申し訳ありません。直ぐに調査して対応策を検討します。」
2. 「あの製品の生産開始、改良時点の品質保証責任者は○○さんです。その責任を問われても・・・」

如何でしょう?

「こんな極端な回答例しかないのでは選べない」と、お考えの方も勿論いらっしゃると思います。その方は、自分だったら何を考え、どう答えるか考えて下さい。

しかし、こういう事って結構ありますよね。企業でも、社会でも。継続性があることですから、それを行う責任者も体制も変化する。世の中も変化する。(昔は、小売で保障期間のオプションなんてなかったですからね。)そう言う中で、何か問題が起こると、現状の体制、責任者だけを見て、その責任にする、そんな安易な責任/原因追求が数多く行われていると思います。

今日、何故こんな事を書いたかと言うと、先週から報道されている「行方不明の高齢者」に関して、テレビで色々な事を言っている偉い先生方のコメントを聞いたからです。随分と高名な方々が、現在の「無縁社会」の大きな問題の一つだとコメントされていました。確かに、血縁者の方々が現在行方不明になっていても、そのまま放置していると言う問題は今の問題です。しかし、いつから行方不明、あるいは音信不通になっているかと言うと、25年前、30年前、長い方は40年前などずっと前からの話です。それは、1970年代、80年代と日本の景気が右肩上がりの時代の話であり、産業構造が1次産業から2次、3次産業へとシフトしていく時代の話です。現代の若者も含めた、「孤独死」などの問題を論じている「無縁社会」の話とは、そもそも問題の本質も、内容も異なると思います。親子3代で農業などを中心に家業を行っていた大家族の時代から、核家族化が進む中で起こってきた問題ではないでしょうか?それを、現代の流行の問題である「無縁社会」の問題だと言う方々は、何をもってこの話をしているのでしょう?私には、安易に自分の知っている今々の問題に摩り替えているようにしか見えないのですが。これでは、このような問題は解決しないと思います。テレビなどで、行方を聞かれている不明者の70歳を越える血縁者の方々のインタビューを見ていると、強くそんなことを感じます。

以前、似たような事を思ったことがあります。それは、年金問題の対応で当時の舛添前厚労相が対応の遅れを詰問されているときのことです。舛添前厚労相は、対応期間、費用など見積もりきれなかったことに対しては責任があると思いますが、そもそも年金問題を引き起こしたのはそれまでの長い経緯があり、その間の責任者は別の方々ですよね。現総理の管直人氏もその一人ですね。しかし、当時は野党の先頭を切って舛添氏を批判していた。ご自身の責任は、どうなのでしょうね。そもそも、今この問題はどうなっているのでしょう?管総理は、前職からしてもこういう問題の対応状況などしっかり説明する責任があるように思うのですが・・・

会社でも同様だと思います。やはり、このような過去からの継続的な取り組みが引き起こした問題に対して、安易な責任/原因追及をしてはいけませんね。

最初の質問に戻ると、恐らく皆さんが考えたように、
・そもそも、自分が責任者になってからの対応がどうなっているかを説明
 する必要がある。(ちゃんとやっていればOK)
・過去の製品に対して、目配せをしていなかったとしたら、そこには少々
 責任がある。そうだとしたら、
 - 対応範囲
 - 対応期間・工数
 を検討して、対応策を立てる
と、言うことを議論する必要があるのでしょうね。但し、論理的にはこの内容になりますが、それを相手の感情、会社の状況も考え、上手くコミュニケーションしなければなりませんね。そこを、面倒くさいと思うと、

1. 「大変申し訳ありません。直ぐに調査して対応策を検討します。」

なんて、答えてしまうのでしょうね。但し、そうすると本当の問題解決にはならない場合が多く生まれてしまう気がします。

皆さんも、ご注意くださいね。

(世界で)輝く人の条件

先週の金曜日、テレビ東京の「世界を変える100人の日本人」と言う番組で、脳外科医の福島孝徳先生が取材されているのを目にしました。この先生は、ここ数年テレビの取材も積極的に受けておられる様で、「神の手」と言われる難手術をやってのける一方、毎日新聞には脱税の疑いで記事にされる(名誉毀損で提訴)などの話もあり、素晴らしい外科医なのでしょうがちょっと胡散臭いところもあるのかなぁ、などと思っていました。ところが、番組を見ていると(当然、番組向けに少し誇張したところなどもあると思うのですが)、朝から走り回って難手術をこなし、ボランティアとして貧しい患者さん達への手術も行い、家事も自らこなし、自分の髪も自分で切ってしまうような、とても人間味のある素敵な人だなぁ、と言う好印象を持ちました。
ちょっと話は逸れるのですが、ノーベル化学賞受賞者の下村脩先生が先月日経新聞で連載していた私の履歴書を読んでいた際にも、やっぱり世界で輝く人は違うなぁ、などと思っていたので、今回は私なりに考えた「世界で輝く人の条件」を5つ書いてみたいと思います。(勿論、これだけではないと思いますが。)


自分を奮い立たせる力:奮起力

何かに向かって邁進する力、そういうものがないとなかなか世界のある領域をリードするような人材にはなれないのだと思います。福島先生の場合は、自分でないと救えない人がいる、そういう人が世界中で待っていると言う責任感、使命感のようなものだと思いました。下村先生の場合は、世界でもかなりニッチな発光タンパク質の領域の研究で、自分がやらなければやる人が誰もいなくなってしまうかもしれないと言う領域を、自分がやり遂げなければならないという使命感を感じました。
このような、責任感や使命感は、ともすると独りよがりのようにも思われます。自分でも、恐らく時には「自分が出来なくても・・・」などと逃げたくなるような時もあると思います。一方、周囲からは「あいつは自意識過剰だから・・・」とか、「あなたがやらなくったって・・・」などとも言われかねないことのようにも思われます。しかし、自分が意味のあることだと考えたことに対し、責任感・使命感のようなものを持ち続け、自分を奮い立たせる力があるからこそ、このような素晴らしい結果を出すことができるではないかと思います。


たゆまぬ努力、がんばる力:自律力

皆さんは、片足で何時間立ち続けることが出来ますか?私は、テレビを見てびっくりしました。福島先生は、片足で顕微鏡などの機械を操作しながら手術をするので、何時間もの手術をほとんど右足一本で立って手術をされているそうです。(機械を操作し易いようにと、必ず足袋を履いて手術をされているところもとてもユニーク。やっぱり、全ての道具にまで拘るんですね。)時には、天性、天才などと言う天から授かった才能を持っている方もいらっしゃると思いますが、福島先生はそこにものすごい努力をされて「神の手」と言われる技術に磨きをかけているようです。御年68歳でしょうか?この年齢で片足でものすごく繊細な脳外科手術を行うために、福島先生は術後にも片足だけで立って、顕微鏡を使い、ゴムを患部に見立てて傷口を縫合する訓練を続けているそうです。(特に、若いころに腕を磨くために実践したそうですが。)自己研磨のために、長期間継続的に訓練を続ける力、自分を律してやり通す力は、ものすごいと思いました。下村先生も、実験のために毎日毎日ものすごい数のオワンクラゲを取り、発光成分を抽出し続けたとの事。やはり、何か使命感のようなものに突き動かされて、がんばり続けたのだと思います。自分を律して自分の腕を磨く、がんばり続ける、そう言う力が欠かせないのですね。


後人を育てる意思と力:増殖力

この力、何と呼んだら良いのか迷ったのですが、「増殖力」として見ました。これは、結局個人なんてたかが個人、力の限界は見えているので、周りを育てることで自分の力を個人力以上にしようとする意思と力と私は考えています。福島先生は、世界にお弟子さんが50人(と言っていたように記憶しているのですが)、そのうち一番弟子が10人いらっしゃるそうです。番組では、アメリカの20代の医師に自分の施術を見せ、実際に自分がアドバイスしながら施術させて技術を伝授しているシーンを紹介していました。下村先生も、自分の研究が絶えないように研究成果とその手法を論文などに纏め上げ、後人に伝えていると書かれていました。やはり、自分の行っていること、行ってきたことに意味があると言う強い信念を持っているので、それを継続させるために後人を育て、集団、あるいは組織で結果を出せるようにしようと活動されているのだと思います。自分で磨き上げたものだから自分だけのものにするというような、了見の狭い鎖国主義のような考えとは正反対ですね。自分が磨き上げたものをオープンにし、周囲に伝えて個人力を超えた力にしていく。このような意思と力、「増殖力」をこのような方々は持たれているのですね。


広い見識と考え:俯瞰力

番組では、福島先生が「僕が日本の総理大臣になった方が・・・」などと言うジョークまで飛ばしてお話されていたので、きっと心底思っておられることなのだと思いましたが、医学だけに関わらず広い見識と考えをお持ちなのだなぁ、と思った話がありました。それは、
『日本は資源のない国なのだから、資源国のような形での世界貢献はできない。日本の資源は「人」であり、この資源が戦後日本を経済大国にしてきた。この重要な資源である「人」の力、技術力や想像力を磨いて世界に貢献しなければ、日本は直ぐに三流国になってしまう。』
と言った趣旨の発言だったと思います。
医学、しかも脳外科と言う分野で卓越された力をお持ちの方が、医学だけの狭い分野に留まらず、日本の力、日本の世界貢献する分野を考え、その中でも自分が行っていることの意味も位置付けて活動されているのだなぁ、と思いました。やはり、広く世の中を見る目、そこで必要なことが何かを考える力、そう言う俯瞰力をお持ちだから人として素敵だと賞賛される活動が出来るのだと思います。


気分転換:切り替え力

最後に、福島先生の気分転換はドラムの演奏とクラシックカー?(アメリカ高度成長時代のキャデラックなど)の収集とドライブだそうです。ドラムは、医学を志す前から趣味として?続けていたこととの事です。どちらも、ステレオタイプ的に言うと高名なお医者様には不似合いな趣味のようにも思えます。しかし、演奏している時も、ドライブしている時も福島先生のお顔はとても嬉しそうでした。きっと、この趣味に打ち込んでいる時には、そのことしか考えていない、見えていないのだと思います。その時間が、恐らく先生の完全な気分転換、頭を白くする時間なのだと思います。こういう時間を持つ力があるから、また次の事に取り組むときには集中力を高めることが出来るのではないでしょうか?こういう、頭を白くして気持ちを切り替える力も持っていないと、これだけ頑張り続けることは出来ないのだろうと、私個人としては思います。

以上、「・・・力」を持つことと言う形で、「世界で輝く人の条件」などと自分なりに書いてみましたが、皆さんはどう思われますか?タイトルで、(世界で)と括弧に括って書いたのは、実は世界である必要はないと思っているからです。会社でもどこでも、リーダーになる人には程度の差こそあれ上記のような力が必要なのではないかと私は思っています。皆さんは、どう思われますか?
livedoor プロフィール

Koji

美味しい食べ物とお酒をこよなく愛すコンサルタントです。戦略立案とBPR、及びこれを実現するためのITなどに関するコンサルティングを提供しています。また、ビジネスリーダーを育成するシンスターで企業研修などの講師も務めています。
株式会社ケーティーコンサルティング、株式会社シンスター代表取締役

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