井上浩二のブログ:現在(いま)を考える

株式会社ケーティーコンサルティング、株式会社シンスター の代表取締役井上浩二が、ビジネスに関して日々考えていることを発信。

株式会社シンスターでは、人材育成に関するコラムを発信しています。是非こちらもご覧ください。

2011年08月

自分流を作る(第4回):仕事形態その2

前回のブログで「仕事形態」に関して書いたのですが、二人の方からコメントを頂きました。fctamさん、G3KSさん、ありがとうございます。今回のブログでは、お二方のコメントを基に会社で、または個人で仕事形態での「自分流」を作るために大事なポイントだと私が考えた事を書いてみますね。

在宅勤務はどうやったら上手く行くのか?
fctamさんは、前職でフレックス勤務を採用されていたようですが、その時には、
・書斎など在宅勤務での仕事環境の用意
・自宅環境での仕事以外の誘惑
の2点から、結構難しさを感じたと書かれていますね。確かに、朝から家で仕事をしようにも、家庭の事情から集中して仕事が出来る環境を用意するのが難しい方もいますよね。また、家にいればTVを見ようが、本を読もうが、何をしても自分を制する人はいませんから、時に誘惑に負けてしまう事があるかもしれません。こういう状況下で仕事を無理やりするくらいなら、いっそのこと環境の整っている会社に行ってしまった方が良いと言う考えになるかもしれませんね。一方で、混んだ電車に乗って会社と家を往復する通勤時間は無駄だと思う方もいる。(fctamさんは、その時間を有効活用する事で無駄にならない工夫をされているところが素晴らしいですね。)ただ、ここでちょっと考えてみたい事があります。「在宅勤務⇒会社に出社せずに仕事をして良い」と考えると、何も家で仕事せずとも近くの図書館や喫茶店で仕事をしても良いわけですよね。(但し、いつでも連絡が取れるようにしておかなければいけませんが。)家が午後や夜になると仕事をしやすい環境になるのであれば、何も朝から仕事をしなくても良いかもしれない。また、仕事以外の誘惑に負けると言うポイントに関しては、ご自身の弱さと言う事もありますが、その仕事をやらなくても当面誰も困らない状況にある(と思ってしまっている)と言うようなケースもあると思います。何を言いたいかと言うと、在宅勤務のようなフレックス制度を導入する場合に最も大事なポイントは、
・仕事の成果物を明確にする
・仕事の期日を明確にする
事にあるのではないかと言う事です。極論を言ってしまえば、必要な時に連絡がとれさえすれば、後はどこでどんな仕事の仕方をしても構わない。期日までに必要な成果物をきっちり出しさえすれば。在宅勤務などのフレックス制度では、会社勤務のように会社に何時間いなければならないと言う拘束から、そして無駄な通勤時間から人を解放することが非常に重要な目的です。(危機管理や環境対応も現在のイシューですが。)そう考えると、上記のように制度を運用できれば良いと思うのですが、それがなかなか上手く行かない。その大きな理由は、「日単位での成果物の明確化」だと私は思っています。会社や仕事によっては、そもそも成果物自体が明確になっていないまま仕事をしている場合もありますし、成果物が明確になっていてもそれを日単位で管理しているところは稀だと思います。これが定義できないと、在宅で実施可能かどうかの判断もつきませんし、会社としても個人としても実務内容や仕事の仕方を管理できないでしょう。人にもよりますが、働く場所や時間をある程度裁量を持って仕事が出来れば相応のメリットが出ると思います。「成果と期日を明確にする」と言う事をどのように実践できるか、自分たちなりの工夫を皆さんも考えてみては如何でしょうか?

細切れの時間を有効活用する
fctamさんは、通勤時間を自己研鑽の時間にあてていると書かれていましたね。新聞や本を読む、あるいは自分で何かを考えるなど上手く通勤時間を利用している方は多いと思います。これは、個人の工夫のしどころですね。通勤時間だけでなく、仕事をしていると会議と会議の合間の中途半端な時間とか、外出時の移動時間とか、色々と細切れの時間が発生します。この時間を上手く使える人と使えない(使っていない)人では、1カ月、半年、1年・・・と長期的に見て行くと非常に大きな差が出ます。皆さんも、是非上手く活用して下さいね。活用するためのポイントとしては、
・通勤のような毎日恒常的に発生する時間では、基本的なルーティーンを作っておく事
・非定期に発生する時間では、次に時間が空いたら何をするかを常に考えておく事
が大事だと個人的には考えています。特に後者の非定期の時間は、予め考えておかないと細切れの短い時間は何もしないうちにあっという間に過ぎてしまいますからね。
また、このような時間の有効活用ツールも大事ですね。fctamさんは、スマホを最大限に活用してpodcastとevernoteの組み合わせで自己学習しているとの事。素晴らしいですね。最近のpodcatで何かお勧めはありますか?evernoteは、自分なりにどんな使い方の工夫をしてメモやスクラップを活用していますか?もし良かったら、共有して下さい。他の読者の方も良かったら、
・自分で使っているツール
・利用上の工夫
など、共有しませんか?こう言う事は、色々な人のアイデアを聞き、良いやり方をお互いに取り入れて行く事が非常に重要です。是非、是非、コメントして下さい。
ちなみに、私は現在iPadを色々と活用するようにしています。新聞、雑誌などは基本的にiPadで読み、サイトのマイページでクリッピングしています。また、仕事上必要なファイルなどもPDF化してiBooksで管理しています。キャビネットイメージで本棚を使って上手く情報を管理できますし、どこでもiPadさえあれば必要な情報を見る事が出来てとても便利ですよ。また、メモ書きにはFastFingaと7notesを使い分けています。両方とも手書きメモをデータとして保存するツールなのですが、とにかくメモだけ書いておきたい時はFastFinga、テキストを再利用可能なデータにしたい時は7notesを使っています。ま、iPadに関しては仕事術系の本も沢山出ているので、私よりももっと上手く使っている方も多いと思いますが、今のところ私にはこれで十分。でも、もっと良い活用術がある方は、是非教えて下さいね。

生産性を上げるためには何を考えるべきか?
最後に、G3KSさんがコメントしてくれた非常に重要なポイントに関しても触れておきます。G3KSさんは、そもそも生産性とは何かを明確にしなければ、世の中で「日本のホワイトカラーは生産性が低い」と言われているからと言って「生産性を上げよう」と言っても何も具体的な活動に結びつかないのではないかとコメントしてくれています。正にその通りですね。日本のもの作りは生産性が高いと言われていますが、これも企業や作っているものによって異なります。ホワイトカラーの生産性と言っても、やはり企業や業務によって異なります。大事なポイントは、
・無駄がないか
と言う事ですよね。無駄があったら、それをなくしたい。ちょうどタイミング良く、先週の日経で「しごと 再考」と言う特集を組んでくれたのですが、その第2回に正にこのトピックが取り上げられていました。ここでは、まず在宅勤務の効果を示す事例として
・時間内に仕事を納める意識が高まった(NTT持ち株会社社員)
・今まで必要以上に打ち合わせをやっていたような気がする(損保ジャパン社員)
のコメントが挙げられていました。更には、事務職にも製造同様の「カイゼン」が必要だと言う事例として、リコーとパナソニック電工の事例を挙げ、
・不要不急の会議をなくす
・会議の参加人数を絞る
・会議の時間を短縮する
ためのトップの言動や取り組み内容が簡単に紹介されていました。パナソニック電工さんでは、この取り組みを「シゴトダイエット」活動と呼ばれているそうですが、良いネーミングですよね。要は、無駄をそぎ落とす。しかし、その際には何が無駄かを定義できないといけない。そのためには、仕事の目的、期待される成果がまず定義されていないといけないのだと思います。これは、最初のポイントにも書きましたが、そもそもこれが定義出来ていなければ、必要な要因も工数も想定できませんから、そもそも生産性を議論する事も出来ないでしょう。アウトプットである売上や利益のみから感覚論で生産性を議論してはいけませんよね。皆さん個人、部署、会社でも、何が無駄なのか、何故それが無駄と言えるのか、何故これまでそうしてきたのか、と言った事を議論し、自分達流の「カイゼン」を実行してみては如何でしょうか?
働く場所、時間、周囲の人を含めた働き方に様々な工夫ができると、会社としても個人としても色々なメリットがあると思います。但し、その工夫の仕方は会社や個人によって異なる事は言うまでもありませんね。今は、このような議論をするいいタイミングなのかもしれませんから、皆さんも考えてみては如何でしょうか?

よろしければ「自分流」の工夫、是非コメントして下さいね。

自分流を作る(第3回):仕事形態

先週末、昨年度に研修を行ったある企業の方々が久しぶりに集まって研修後の成果などを話そうと言う企画をしてくれたので参加して来ました。皆さん、研修で議論した事を色々と実務に活かしてくれているようでとても嬉しく思いました。そのような場で、必ず私が集まってくれた方にする質問があります。それは、「今の仕事は楽しいですか?楽しんでいますか?」と言う質問です。多くの方は、「勿論楽しんでいますよ、例えば・・・」と言うお話をしてくれるのですが、今回ちょっと興味深い返事をしてくれた方がいらっしゃいました。その方は、「面白いけど、楽しくないんです。」と仰るのです。難しい事を言うなぁと思いながらどういう事か聞いてみると、仕事の内容自体は興味を持って取り組める事もあるのですが、待遇や環境面で意にそぐわない事が沢山あって楽しくなくなっている、と言うような事でした。その一例として話してくれた事が、「通勤」です。その話を聞いて他の方が、「新聞や雑誌を読んだり、携帯でメールをしたりと、通勤時間にも色々出来て良いじゃないですか。」と言うと、「それは、通勤中の時間を無駄にしないために「仕方なく」やっている事。居心地の良い家で同じ事をするか、他の事をする方がずっと良いと思っている。」と反論されていました。混雑した電車にもまれて職場に行く、往復では2時間以上、関東ではこれぐらいの時間を掛けている方々も多いと思うでですが、この時間を楽しいと思っている方はそもそも皆無に近いと思います。郊外で車通勤をされている方で、好きな音楽を聞いて楽しむなどしている方もいると思いますが、考えてみれば車で音楽を聞かなくても良いようにも思いますね。皆さんは、仕事のための「通勤」をどう思われますか?

仕事形態の工夫
ライフワークバランスや子育て主婦の戦力化などの観点から、フレックスワークや在宅勤務などの仕事形態が以前から議論され、このような就業形態を採用してきた企業の事例も既に多数存在します。また、東北大震災後には、企業の事業継続性を担保する、有事の帰宅難民を少なくする、節電対策などの目的から在宅制度を採用したり、その枠を広げたりする企業も多いようです。(日本テレワーク協会への在宅制度に関する相談は昨年から倍増しているとの事です。)多くの企業では、在宅制度は月に何日、週に何日などの枠を設定し、上司の認可に基づいて実施しているようですが、皆さんの会社では在宅制度は導入されていますか?最近の報道で面白いなぁと私が思った事例は、オフィス・コロボックルの事例です。これはサテライトオフィスの利用な事例なのですが、同じ事務所を複数の企業で共同利用すると言うものです。現在は、内田洋行、京セラミタ、ぺんてるなどオフィス関連の企業が共同で利用しているとの事ですが、異なる企業の方が情報交換して企業間の協業の種を作る事も狙っているようです。
また、上記の目的とはちょっと違って「生産性の向上」を狙っている事例もあるようです。日本HPは、社員の生産性向上に着目して在宅勤務の適用枠を広げたとの事です。(私の知っているHPの方は、きっとそんなきれいごとじゃないよ、と言いそうですが。)ちょっと古い資料ですが、社会経済生産性本部の資料によると2006年度の日本の労働生産性は先進7カ国中最下位で、OECD30カ国中で20位となっています。日本のホワイトカラーやサービス業の生産性が低いと言う事は以前から指摘されていますが、仕事形態を工夫する事で生産性を高められるのであれば、色々な取り組みを試すべきですよね。
一方、このような仕事形態は、コミュニケーションが難しくなる/悪くなる、コミュニティとしての会社の意義が薄れる/個人が疎外感を感じる、そもそも生産設備などが必要で会社に出勤しなければ仕事が出来ない人との不公平が出る・・・などなど、色々な問題も指摘されていますね。つまり、表面的なメリットだけを見て導入する訳にはいかないと言う事です。自社にとって最適な形が何かを模索し、上手く機能する制度を導入する必要がありますね。

さて、皆さんは自分流の仕事形態の工夫をどう考えられますか?
・自分個人としてこう考える
・自社、あるいは自部門としてこう考える
・日本企業を強くする視点からこう考える
上記、あるいは上記以外、どのような観点からでも結構です。皆さんの意見をコメントして下さい。前回は、ある方から「お題が難しすぎる」と指摘されたので、今回は少し身近なテーマで皆さんと「自分流」を議論できたらと思い、「仕事形態」をテーマとしてみました。如何でしょう?皆さんと議論できる事、楽しみにしています。

自分流を作る:第2回

先週、漸く菅首相が退陣の意向を表明しましたね。これに伴い、民主党の代表選に関する報道も色々となされていますが、出馬を表明されている馬淵澄夫前国土交通相は震災復興の財源確保に関し「安易な増税論を振りかざすべきではない」と発言し、増税せずに今後の復興を実行すると言う立場をとられているようです。皆さんは、この考えに賛成ですか、反対ですか?「増税」に関してどう思われますか?
私は、馬渕氏の「安易な」と言う言葉だけをとるとその考えには大賛成ですが、現実問題として増税は避けられないと思っています。被災された方々への対応、更には原発の問題を解決していくために必要な支出を考えると、現在の国の財政状況では必要な対応をとる事は難しいと思います。「増税はしない」と言うのは非常に聞こえは良いですが、この発言をするのであれば復興にかかる費用の想定とその財源を明示する責任がありますよね。しかし、馬渕氏はその説明をしていない。(これまでの民主党のやっている事は、みんなそんな感じですが。)当然、増税の前に今の無駄な支出を減らすべきです。(国会議員も減らすべきでしょうし、国家公務員の体制・組織も見直すべきでしょう。)しかし、それでも不足する分は徴収せざるを得ないのですから、その適切な方法を考えるべきだと思います。これまでITも導入して個人別管理を可能にする取り組みをしてきたのですから、それを最大限に活用して被災して生活が厳しい方は納税を軽減する。一方、余裕のある方には期間・金額を明示して相応の負担をお願いする。また、消費税以前の物品税の考え方にはなりますが、奢侈税(贅沢税)などの導入も検討するべきでしょう。国の復興、これは国民全体で考えるべき問題ですから、公平な考え方の基に国民全体が可能な負担をすべきと思うのですが、皆さんはどう思われますか?

今回は、前回からの続きで「自分流を作る」で書こうと思っていたのですが・・・皆さんからのコメントがなく、ちょっと凹みました。皆さん、もっとコメントしやすいお題だったら良かったのかな、なんて思い、上記の「復興財源のための増税に賛成・反対」なんてお題を考えてみたのですが、如何ですか?それとも、お忙しくてコメントどころじゃないのかな。ま、私なりにもまた考えてみます。

そのような中、たったおひと方ですがコメントを寄せて下さった方がいます。ちょこさん、コメントありがとうございます。嬉しいなぁ。端的なコメントの中に、「自分流」を作る上で考えるべき非常に重要なポイントが書かれているように思いました。私なりの考えも交えて、皆さんと一緒にポイントを押さえてみようと思います。

業種・業態特性を考える
チョコさんがコメントしている、「小売業=接客・サービス業」と捉える視点は非常に重要なポイントだと思います。小売業ですから、品揃えと価格は競争力を考える上で勿論非常に重要な要素ですが、「電化製品」と言う買回り品を扱っている小売業では説明力も重要な要素となる。分かりやすい説明をしてもらい、「気持ち良く」買い物が出来る「買い場」を作る事が、他社との差異化を行う上で非常に重要になるわけですね。日本企業の「接客・サービス」のきめ細かさは、世界でも定評があるところ。日本の家電業界NO.1企業として品揃えと価格で競争力があり、接客力も磨いてきたヤマダ電機としては、当然のことながらこの部分でエッジの効いたグローバル展開を図るべきですね。更に、この「接客・サービス」に関しては、「感謝と信頼」を理念に掲げる山田会長の思いもある。お客様が気持ち良く買い物をする、つまりお客様の情緒的価値に応える差異化を図るためには、ヤマダ電機の文化や価値観を理解してもらう必要がある。そこで、公用語を日本語にして、時間がかかっても日本で教育しているのだと私も思います。日本企業固有の文化や思想を軸にしたグローバル展開を考える企業にとっては、参考にすべき手法ですよね。何でも欧米流が良いわけではない。また、東京大学が秋入学の検討を始めていると言った報道などもありますが、日本の大学がグローバルスタンダードに沿った運営をするようになると現在よりもアジアを含めた世界からの留学生は増えて行くのでしょう。(ある方は、本当に東大が秋入学に移行したら、日本人が東大に入るのは今より数段難しくなると仰っていたのが印象的ですが。)このようなトレンドを考えると、ヤマダ電機が行っているリクルーティングの仕組みは、先を見越したアドバンテージを作る取り組みとも評価できるように思います。グローバル競争の中でどこでエッジを立てるかを考えたヤマダ電機の取り組みは、ヤマダ電機らしさがあって良いなぁ、と思うのですが、皆さんはどう思われますか?

経営システムの特性を考える
一方、ユニ・チャームの取り組みですが、この企業は自社の経営システムの特性を良く考えているのだと私は思います。SAPSと言う経営システムに代表されますが、ユニ・チャームは「システム」でエッジを効かせて自社の優位性を作ろうとしているように思います。高原社長ご自身がインタビューで語っていますが、高原社長が志向したのは先代のカリスマ経営者からの脱却、システマティックな経営による組織力の向上です。そのために、PDCAを自社流にアレンジしたSAPS経営を磨いてきたのだと思います。この考え方は、どちらかと言うと欧米流の経営学に根ざした論理的な経営だと思います。その特性を浸透させるには、もしかしたら日本語よりも英語の方が適しているかもしれません。しかし、言葉よりも大事なのは、この仕組みと戦略を理解し、どのような行動をとる事が戦略実現に向けて大事なのかを論理的に考え、説明できる能力ですね。この能力を持った人材を、高原社長は「ユニ・チャームウェイを完全にマスターしている“黒帯人材”」と呼んでいるように思います。そう考えると、この黒帯人材の国籍は殆ど意味を持たないのでしょうね。また、チョコさんが指摘しているように、日本で人材を育成するよりもこの方がスピーディーにグローバル展開を進められるでしょう。現在のグローバル環境の変化を考慮した上で、自社が作り上げようとしている経営システムの特性に根ざしてグローバル展開を図るユニ・チャームも、また素晴らしい企業ですよね。

体験=体感を如何に作るか
最後に、両社共通で私が良いなぁと思う事もコメントしておきます。それは、両社とも「体験=体感」を重視しているように見える事です。人を育てるには、理屈を概念だけで理解してもらうだけでは十分ではない。実体験として体感することで「納得感」を作り、教育を受けた人材が腹落ちして実行できる事が重要だと思います。そのために、ヤマダ電機は日本マーケットと言う「超成熟市場」で実務にも就けることで、ユニ・チャームはユニ・チャームウェイを実践している優秀な人材と一緒に仕事をする事で、両社の大事な部分を体感してもらおうとしているのだと思います。このような体験から体感を生み、納得を醸成する手法は人材育成では非常に重要な事だと思います。個人的な体験では、私が以前在籍したアンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)もこれを非常に上手く実践していた会社だなぁと思います。私が入社したころは、シカゴから車で30分ほどのセント・チャールズと言う小さな町に研修所がありました。聞いた話では、以前そこにあった大学を買い取って改築した施設だそうですが、アメリカの有名なビジネススクールを模したような施設でした。そこに、新入社員の時から行って長期の研修を毎年受けたのですが、世界中から社員が集まって研修を受け、議論すると言う手法をとっており、正にOne Firmと言うコンセプトを体感する場でした。また、シカゴの空港からはリムジンを呼んで研修所まで行くように指示されるなど、自分が入社した会社のステータスを意識させるような手法も使われていました。そのような場で自社の先輩や仲間と交流し、グローバル統一の方法論を学びながら議論すると言う手法は、ACと言う企業がどういう企業なのかを体感させるには非常に上手いやり方だと思った記憶があります。そのような「体験=体感」を作るのは、日本企業はあまり上手くないなぁと個人的には思っているのですが、この両社は違いますね。このポイントも、良く考えられているように思います。如何でしょう?皆さんは、どう思われますか?

さて、本当は「自分流を作る」をテーマに、皆さんとヴァーチャルで議論するような事を何回かやろうかと思っていたのですが・・・よろしければ、扱って欲しいテーマ、企業などありましたら、コメント下さい。

自分流を作る:第1回(かな?)

先週、過去70年間最上位の格付けを維持してきた米国債がついにトリプルAからダブルAプラスに格下げされましたね。基軸通貨であるドルの格下げは、グローバルに進展するパラダイムシフトの一つの象徴的な出来事のように思いました。この事象と並行して円高(と言うよりはドル安)が進み、日本企業も「待ったなし」でこのパラダイムシフトにどう対応するかを考え、実行して行かないといけない状況になっていると思います。このような事を考えながら何を書こうかと思案していたのですが、ちょうど皆さんも夏休みの時期だと思いますので、皆さんと以前にもやったようにこのブログを使って何かヴァーチャルに議論できたら良いなぁと思いつき、今回の題材を考えてみました。タイトルにも書いたとおり、「自分流」と言う事で皆さんと議論してみたいと思うのですが、如何でしょう?過去のパラダイムが崩れ、これまでの公式が通用しない時代に突入している。そこでは、自ら考えて自分にとって最適な手法を編み出して行かないといけない。このような状況下で、成功している(と思われる)企業はどのような「自分流」を作っているのでしょうか?また、何故そのような「自分流」を是としてビジネスを作っているのでしょうか?色々な企業の取り組みに関し、皆さんと議論してみたいと思っています。初回は、ヤマダ電機とユニ・チャームの取り組みを題材に議論しましょう。

社内公用語は日本語で理念の浸透を図る
先週のBCNのメルマガに、気になるタイトルがあったのでクリックして読んでみました。山田会長に聞くヤマダ電機の中国戦略と言う記事です。ヤマダ電機は、言わずと知れた家電量販店のNo.1企業ですが、中国(海外)への進出は昨年末の瀋陽店が1号店です。ヤマダ電機ほどの企業が「遅いんじゃないの?」と思われる方もいると思いますが、そこには理由があります。山田会長によると中国進出を検討し始めたのは2007年と言う事ですが、そこからヤマダ電機は中国に進出するための人材を日本で採用し、日本で育成すると言うことに取り組んでいました。ヤマダ電機は、日本で中国人留学生を採用し(瀋陽店向けには100名)、「創造と挑戦」や「感謝と信頼」に代表されるヤマダ電機の経営理念からビジネスの仕組みまですべて日本語で教え、浸透させたとの事です。山田会長は、「日本語の実態が分からないと、経営理念の本質は理解できないのではいか」と語り、将来現地を担う人材に日本語で自社のビジネスの根本から教育し、人材の質と量を揃えた上で海外進出、グローバル化を図っているようです。
山田会長は、今後の中国ビジネスに関して「お客様のための店づくりを通じて、中国での業界の発展に寄与していきたい」とも語っています。それは、中国の家電量販店は「自分のための店であって、お客様のための店づくりができていないから」とのこと。自ら作り上げた「経営システムを輸出」することにより、中国の既存プレーヤーに範を示し、業界全体の発展に貢献したいと言う考えは素晴らしいですね。この考えは、日本の小商圏展開でコスモスベリーで地域家電店とFC展開をしたり、地元の電気工事会社とネットワークを作ったりした「共生」の手法と相通じますね。皆さんは、このヤマダ電機の手法をどう思われますか?

優秀な人材が会社を「一枚岩」にする
ユニ・チャームも昨今大変注目を集めている成長企業ですが、ユニ・チャームはヤマダ電機とは異なる手法でグローバル化を進めているようです。これも先週ですが、日経電子版に高原社長のインタビュー記事の広告が出ていたのでクリックしてみました。高原社長は、以下のように語っていました。
「グローバル展開においては・・・優秀な人材を惜しまず海外拠点に派遣しています。・・・「ここは重要な拠点です」と口で言うよりも、優秀な人材を派遣することの方が、はるかに説得力がある。派遣された人間が周りに好影響を与え、その人自身も成長するスパイラルを作り会社に貢献してくれます。」
その上で、「ユニ・チャームウェイを完全にマスターしている“黒帯人材”は日本人の精鋭」と説明し、この精鋭を海外に積極的に派遣する事で、この人材を核にして企業理念からビジネスの仕組みまで浸透させる手法をとっているとの事です。台湾、韓国などの現地法人トップは現地人財との事ですが、「共振の経営」に共鳴する人材を現地で採用し、日本から配された優秀な人材が"伝道師”となってユニ・チャームウェイを伝える事で、「一枚岩」のグローバル化を図っていると言う事ですね。
(ユニ・チャームはSAPSと言うユニークな経営手法を編み出した企業としても有名ですが、これは以前「結果はついてくる」で簡単に解説したので、そちらをご覧下さい。また、その他にも、「新たなパラダイムでのBPR(その3):外向きのアンテナを磨く」、「シリーズ「巻き込み力」第21回:意識変革」の回でも取り上げているので、よろしければこちらもご参照下さい。)

さて、上記の2社はどちらも企業理念から人材に浸透していなければいけない、人材の量も大事だが「質」の方が大事だとしているところは共通ですが、これを実践する手法が異なりますね。勿論、どちらが正解と言う訳ではありません。ここで、皆さんと議論したいのは、
・何故、両社の手法は異なるのか?
・各々の手法の良いところはどのようなポイントと思うか?
と言ったような事です。上記のようなポイントでなくても、何かご自身で考えた事があれば自由にコメントして頂いて構いません。また、今回のような議論のテーマとして「こんな企業のこの取り組みを議論しませんか?」と言うご要望もOKです。是非、ブログ下部にある「コメント」からご意見を寄せて下さい。皆さんと、色々と意見交換したいと思っています。(こう言う企画が上手く行ったら、いつかオフ会なんかも企画してみようかと思っています。)

最後に、蛇足ですが今月のITメディアエグゼクティブのコラムが掲載されたのでお知らせしておきます。お時間のある方は、こちらもご笑読下さい。今回からは、電子書籍への取り組みをケースとしてファシリテーター型リーダーとして考えるべき事を解説しています。

大局観はありますか?

先週の日曜日、ついにTVのアナログ放送が終了しましたね。アナログ放送が終了する瞬間を目撃しようと、正午にはアナログでTVを見られた方も多いのではないでしょうか?(私は、仕事をしていてみませんでしたが。)

アナログ放送終了を迎えて私なりに考えた事があったのでその話を書こうと思っていたのですが、ふと終了後の今の状況を確認してからにしようと思い、自宅のTVでアナログ放送をつけてみました。すると、何とアナログ放送が映るではないですか!私の住んでいるところは浦和、今回の除外地域である東北3県ではないのに。きっと契約しているケーブルテレビ局(JCOM)が何らかの理由で放送しているのだと思い、JCOMさんのカスタマーセンターに電話して聞いてみました。すると、とても丁寧に2015年3月までの暫定措置としてケーブルテレビ局がデジタルをアナログに変換して放送している事、具体的な政府方針などに関しては申し訳ないが説明できない事などを教えて下さいました。なるほど、デジタルに対応できない世帯向けにはケーブルテレビ局に協力してもらっての対応もしているのだな、と少々納得しかけたのですが・・・月々4,000円以上の料金を払ってケーブルテレビの契約をしている世帯がデジタル対応できないなんて事があるのでしょうか?そりゃ、多少は個別の事情のあるご家庭などもあると思いますが、どうも合点がいきませんね。このサービス、総務省主導でやっているそうですが、この対応にどれほどの意味があるのでしょうか?皆さんは、どう思われますか?

本当に、「今」やらなければいけないのか?
地上デジタル放送への完全移行の目的は、「限られた資源である電波の有効活用」です。この考え方は至極もっともであり、国として取り組んで行く事に私個人としては異論はありません。しかし、今回の施策により地デジ難民が10万世帯発生したとも言われ、総務省やテレビ局の電話相談窓口には、移行当日の24日正午から28日までに、累計28万件を超える相談が寄せられているそうです。地デジ化のように非常に多くの人に影響を与えるような施策を実行する際には、実施後に発生する問題を最小限に抑えるために周到な計画を立て、施行準備段階で発生する様々な問題にも迅速・適切な対応をとる事が出来る体制を用意して進めなければいけない事は、言うまでもありません。しかし、今回はこの施策実行を目前にして予期せぬ「大震災」が発生しました。当然のことながら、政府・官庁はその対応に追われたわけですが、そこで地デジ化と言う施策を延期すると言うオプションが本当に真剣に議論されたのでしょうか?ネットの調査では、今回の震災で東北地方の方々は直接の被害を受けたが、その後の電力問題で諸事情が変わった家庭は日本全国にあり、その家庭の事情を考慮していないと言う批判も出ているようです。長期的な観点からは、遅かれ早かれ打たねばならない施策のは理解できますが、実施を例えば1年遅らせる事でどのようなインパクトが発生したのでしょうか?そこで生じるデメリットと、現在発生している問題とその対応、更にはその対応力を震災復興に振り向けた場合のメリットは検討されたのでしょうか?私には、どうも疑問が残ります。大きな計画を立てたのであれば、出来る限り計画通りに実行できるように最善を尽くすのは当然の事。しかし、予期せぬ環境変化が起こった場合は、その変化に如何に対応出来るかが非常に重要になります。今回の件では、私個人はそこに納得感がありません。「今」やることの必要性を変化に対応しながら考え、時に柔軟に計画を変更する、これは企業、個人にも求められる力ですね。今回の件から、その重要性と対応するために考えるべき事は何かを改めて考えさせられました。

1事象への対応だけでなく、全体を捉えて考える
そもそも、地デジ化の施策は携帯電話の普及に伴う電波利用携帯の変化と言うマクロ環境の変化がトリガーだと私は認識しています。この環境変化から考えなければいけない事は、直接的には電波の利用方法と言う事になりますが、そこをいじると言う事は日本の「通信インフラ」全体を考えなければいけないのだと思います。限られた資源を有効に活用する⇒アナログのデジタル化、この図式でテレビのアナログ放送の議論になっていますが、アナログと言えばもう一つ大きな通信インフラがありますね。そう、アナログ固定電話です。1990年代前半に、ニコラス・ネグロポンテは、有線固定網の利用が中心であった電話・インターネット等は無線網に切り替わり、一方で従来は無線網の利用が中心であったテレビ等は光ファイバーなど逆に固定網の利用に切り替わってゆくだろうという有線・無線の逆転と言うネグロポンテ理論を発表しました。それから、約20年でこの仮説は徐々に現実になってきています。日本でも、NTTは会社を上げて「光化」に取り組み、ご存知のように光TVのサービスも提供しています。更に、今回の地デジ化に伴うアナログサポートを総務省がケーブルテレビ局にお願いしていると言うところから考えても、地デジ化は大局としてはアナログ固定電話の廃止も含めたプランとして国民に提示し、取り組むべきではないでしょうか?米国では、既に固定電話のサービス停止日を模索しているようです。日本も、無線で起こっている一事象だけへの対応ではなく、「通信インフラ」全体の変革として考えるべきだと思います。(但し、その実現に向けては現在固定電話網を利用している緊急連絡網などの仕組みをどう変えるかと言った事も検討しなければいけないですし、NTTの問題もあるし、一朝一夕には難しいですけどね。)多くの企業でも、競合の打ち手や市場の変化に伴い、そこで起こった事象への対応だけに目をとらわれてしまう事は往々にしてあると思います。その見方も勿論必要ですが、一方でもっと広い観点から大局を見て対応を考える事も必要ですね。地デジ化の実施から私はこんな事を考えていたのですが、皆さんはどう思われますか?

最後に、先週ちょっと嬉しい事があったので書いちゃおうかな。あるお客様先での事なのですが、多分3年ぐらい前にある研修を行った時に参加された方に偶然お会いしました。その際、研修でお話しした事を実ビジネスに活用されているかお聞きしたのですが、「もちろん活用していますよ。井上さんの会社のHP、ブログも時折読ませて頂いてますよ。ブログで書いている事は、ときどき勝手に引用させて頂いています。」なんて言われました。嬉しいなぁ。毎週このブログを書き続けるのも結構大変でして、時に「もうやめちゃおうかなぁ」なんてめげる事もあるのですが、このような声を聞かせて頂くとこんな私のブログでも少しは役立つ事があるのだと実感でき、改めてしっかり書いていこうと思いました。Oさん、良かったらコメントも寄せて下さいね。楽しみにしています。
livedoor プロフィール

Koji

美味しい食べ物とお酒をこよなく愛すコンサルタントです。戦略立案とBPR、及びこれを実現するためのITなどに関するコンサルティングを提供しています。また、ビジネスリーダーを育成するシンスターで企業研修などの講師も務めています。
株式会社ケーティーコンサルティング、株式会社シンスター代表取締役

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