皆さん、資生堂のヘアケアブランドのTSUBAKIはご存知ですよね。アジアの女性をターゲットにヒットした花王のアジエンスに対抗し、2006年に日本の大女優を何人も起用し、日本の女性の美しさを賛美するSMAPの"Dear Woman"を使って大ヒットさせたブランドです。その時に投じたマーケティング費用は、なんと50億円!当時、業績回復を狙った資生堂の「メガブランド戦略」の目玉でしたね。当時の社長の前田氏は、インタビューで次のように語っていました。
資生堂は、お客様ニーズの多様化や流通の細分化に対応する形で、大量のブランドを作っていた。その数は100を超えていたという。「その時代の中では正しい選択だった」と振り返る前田社長。しかし、「小粒なブランドがたくさん出来てしまった」という問題意識を抱いていた。
そこで、100のブランドを30前後に絞り込み、6つの商品カテゴリーでシェアトップを狙う戦略に舵を切ったそうです。厳しい競争環境での選択と集中、分かり易い戦略ですね。ところが・・・先週資生堂の魚谷新社長が発表した同社の2020年までの中長期戦略は、現在の120のブランドの約2割、28ブランドを廃止し、選択と集中により若者をターゲットにしたマーケティング投資を行っていくと言うものでした。どうなんでしょう?発表内容だけ見ると、何だか2006年と同じことを繰り返しているようにも見えるのですが。資生堂は、今回発表された中長期戦略を実践することで、生まれ変わる事が出来るのでしょうか?皆さんは、どう思われますか?
『同じ過ち』を繰り返さない
言うまでもありませんが、それはやり方次第ですよね。じゃ、どんな取り組みが必要なのか?そこで考えなければいけない事は、2006年からの取り組みが何故上手く行かなかったかですね。100あったブランドを30にまで減らしたのに、今や120ものブランドに増えてしまっている。限られた経営資源を集中して投下するために絞ったのに、何故こんな事になってしまったのでしょう?前田前社長は、先に参照したインタビューで「売上至上主義から顧客第一主義」への転換を軸にしていると語っています。そのために、店頭での「ビューティーコンサルタントの活動革新」を行ったようです。これ自体は、非常に良い取り組みに思えますよね。一方、同時に行わなければならないことがあると思うのですが・・・やっていたのかなぁ?競争の厳しい成熟市場で、市場の細分化とニーズの多様化が進むなんて言われる時代。他社は、少しでも競合を出し抜こうと、新たな商品を開発してくる。そこで、競争優位性を発揮したい商品開発部門は、当然のことながら他社に負けじと新たな商品を開発する。しかし、会社の戦略としては「選択と集中」の徹底を軸としている。そうなると、
・商品開発から上市の基準を厳しくする
・業績の上がらない商品の改廃を明確な基準に基づき継続的に行う
のどちらか、または両方をやらなければいけないはずですよね。言葉で書いてしまうと簡単なのですが、実際にこれを企業のメカニズムとして機能させるのは、非常に難しい。多くの企業にとっては、特に後者の徹底が重要なのだと個人的には思います。他社が新商品を継続的に出してくるのに、新商品数が少ないのはなかなか怖くて出来ないのが人の心情。そうなると、心を鬼にして、「やめるものは、やめる」が出来ないといけないのですが・・・実は、食品や日用品などのコンシューマー向けメーカーは、同じような課題を抱えているように思います。多くの企業で、数年に一度『スクラップ・アンド・ビルド』なんて言われる活動が行われるのですが、それはその時の不採算商品を思い切ってスクラップして、採算性の高い商品ポートフォリオを新たに組み直すといった活動になっています。しかし、数年経つと・・・また元に戻っているなんて企業が結構あるんですよね。こんな事が繰り返される。さて、今回の資生堂の戦略では、どこまでこのような内容に踏み込んだ戦略になっているのでしょう?2020年が楽しみですね。頑張れ!
「なぜ、なぜ5回」の徹底
新たな取り組みを考える、その際に『同じ過ち』を繰り返さないために重要なのは、言うまでもなく課題の本質の追求、つまり「なぜ、なぜ」分析です。何故、今の状態になってしまっているのか?を徹底的に考え、それを繰り返さないためには、あるいは変えるにはどうやったら出来るかを、組織で突き詰めて考えなければいけないのだと思います。しかし、これがなかなかできない。結構表面的な事象の洗い出しに留まり、実践により効果を生む取り組みにならない。例えば、「組織が縦割りの弊害、コミュニケーションが取れていない」なんて課題に対して、「組織横断の会議を行おう!」なんて解決策になっていたりする。(勿論、やらないよりましですが。)そもそも、何故縦割りになっているのか、何故コミュニケーションをとって(とれて)いないのかと言ったことを、徹底的に分析しないといけないのですが、「コインの裏表」的な解決策が出されている事が多いように思います。「課題の本質を分析する」、これも言葉で書くと簡単ですが、「言うは易し、行うは難し」なんですよね。
さて、今年も残すところあと10日になってしまいましたね。どうでしょう?振り返ってみると、「また今年もこれまでと同じような失敗をしたな」とか、「結局今年も自分で立てた目標を達成できなかった/そのための行動をしなかった」なんて事があるのではないでしょうか?(勿論、私も多々あります。)来年こそは、『同じ過ち』を繰り返したくないですよね。クリスマスから正月にかけ、皆さんも少しはこんなことも考えてみては如何ですか?
資生堂は、お客様ニーズの多様化や流通の細分化に対応する形で、大量のブランドを作っていた。その数は100を超えていたという。「その時代の中では正しい選択だった」と振り返る前田社長。しかし、「小粒なブランドがたくさん出来てしまった」という問題意識を抱いていた。
そこで、100のブランドを30前後に絞り込み、6つの商品カテゴリーでシェアトップを狙う戦略に舵を切ったそうです。厳しい競争環境での選択と集中、分かり易い戦略ですね。ところが・・・先週資生堂の魚谷新社長が発表した同社の2020年までの中長期戦略は、現在の120のブランドの約2割、28ブランドを廃止し、選択と集中により若者をターゲットにしたマーケティング投資を行っていくと言うものでした。どうなんでしょう?発表内容だけ見ると、何だか2006年と同じことを繰り返しているようにも見えるのですが。資生堂は、今回発表された中長期戦略を実践することで、生まれ変わる事が出来るのでしょうか?皆さんは、どう思われますか?
『同じ過ち』を繰り返さない
言うまでもありませんが、それはやり方次第ですよね。じゃ、どんな取り組みが必要なのか?そこで考えなければいけない事は、2006年からの取り組みが何故上手く行かなかったかですね。100あったブランドを30にまで減らしたのに、今や120ものブランドに増えてしまっている。限られた経営資源を集中して投下するために絞ったのに、何故こんな事になってしまったのでしょう?前田前社長は、先に参照したインタビューで「売上至上主義から顧客第一主義」への転換を軸にしていると語っています。そのために、店頭での「ビューティーコンサルタントの活動革新」を行ったようです。これ自体は、非常に良い取り組みに思えますよね。一方、同時に行わなければならないことがあると思うのですが・・・やっていたのかなぁ?競争の厳しい成熟市場で、市場の細分化とニーズの多様化が進むなんて言われる時代。他社は、少しでも競合を出し抜こうと、新たな商品を開発してくる。そこで、競争優位性を発揮したい商品開発部門は、当然のことながら他社に負けじと新たな商品を開発する。しかし、会社の戦略としては「選択と集中」の徹底を軸としている。そうなると、
・商品開発から上市の基準を厳しくする
・業績の上がらない商品の改廃を明確な基準に基づき継続的に行う
のどちらか、または両方をやらなければいけないはずですよね。言葉で書いてしまうと簡単なのですが、実際にこれを企業のメカニズムとして機能させるのは、非常に難しい。多くの企業にとっては、特に後者の徹底が重要なのだと個人的には思います。他社が新商品を継続的に出してくるのに、新商品数が少ないのはなかなか怖くて出来ないのが人の心情。そうなると、心を鬼にして、「やめるものは、やめる」が出来ないといけないのですが・・・実は、食品や日用品などのコンシューマー向けメーカーは、同じような課題を抱えているように思います。多くの企業で、数年に一度『スクラップ・アンド・ビルド』なんて言われる活動が行われるのですが、それはその時の不採算商品を思い切ってスクラップして、採算性の高い商品ポートフォリオを新たに組み直すといった活動になっています。しかし、数年経つと・・・また元に戻っているなんて企業が結構あるんですよね。こんな事が繰り返される。さて、今回の資生堂の戦略では、どこまでこのような内容に踏み込んだ戦略になっているのでしょう?2020年が楽しみですね。頑張れ!
「なぜ、なぜ5回」の徹底
新たな取り組みを考える、その際に『同じ過ち』を繰り返さないために重要なのは、言うまでもなく課題の本質の追求、つまり「なぜ、なぜ」分析です。何故、今の状態になってしまっているのか?を徹底的に考え、それを繰り返さないためには、あるいは変えるにはどうやったら出来るかを、組織で突き詰めて考えなければいけないのだと思います。しかし、これがなかなかできない。結構表面的な事象の洗い出しに留まり、実践により効果を生む取り組みにならない。例えば、「組織が縦割りの弊害、コミュニケーションが取れていない」なんて課題に対して、「組織横断の会議を行おう!」なんて解決策になっていたりする。(勿論、やらないよりましですが。)そもそも、何故縦割りになっているのか、何故コミュニケーションをとって(とれて)いないのかと言ったことを、徹底的に分析しないといけないのですが、「コインの裏表」的な解決策が出されている事が多いように思います。「課題の本質を分析する」、これも言葉で書くと簡単ですが、「言うは易し、行うは難し」なんですよね。
さて、今年も残すところあと10日になってしまいましたね。どうでしょう?振り返ってみると、「また今年もこれまでと同じような失敗をしたな」とか、「結局今年も自分で立てた目標を達成できなかった/そのための行動をしなかった」なんて事があるのではないでしょうか?(勿論、私も多々あります。)来年こそは、『同じ過ち』を繰り返したくないですよね。クリスマスから正月にかけ、皆さんも少しはこんなことも考えてみては如何ですか?