2017年01月19日

人間の条件














戦争映画について最近考えている。「この世界の片隅に」を得た今、あらためて日本の戦争映画の数々を読み直してみてもいいのではないか。

この映画は大長編である。ギネスブックにも載ったぐらい、トータル9時間半にも及ぶ、オールナイト上映されたという伝説の映画だ。五味川純平のベストセラーを余すところなく映画化したこの作品は、映画の黄金時代に撮られたからでもあろうか、出演者もロケーションも壮大なスケールである。

あらすじもまた長い。
おそらく満鉄と思われる企業に勤める梶(仲代達矢)は、満州のある炭鉱の労務管理を担当することになった。それを気に恋人の美千子(新珠三千代)と結婚し、新たな生活をはじめたのである。だが炭鉱では労働者の中国人に対する抑圧的な取り扱いが行われていた。梶はこれに対しより人間的な扱いを試みるが、組織の論理や増産第一のかけ声に抗することはなかなかできない。
もとより支配者と被支配者、戦争をやっている国同士の人間が、仲良くすることなどできはしない。その根本矛盾の中で梶はある種ヒロイックに抗うのである。労働者の中国人は脱走を計画し、何度か成功する。それを梶は裏切りととらえるのである。梶の方針は増産そのものには寄与したとして、一応評価はされた。しかし脱走を企てた中国人の処刑に立ち会うよう、憲兵から求められた梶は、その場で処刑の中止を要求。その行動があだとなり、軍隊に召集されることになったのである。

軍隊では二等兵となった梶。本人は兵士としては頑強で優秀だが、左翼的な思想ということで警戒されている。日本の軍隊という場は暴力が支配している。私的制裁に抗議する梶だが、まことに無力である。そんな中で虐待に耐えかねた兵士の小原(田中邦衛)が自殺。さらなる無力感に襲われる中、野外での訓練中に親しかった兵士が脱走。それを追いかける混乱の中で、梶は虐待の張本人を死に追いやってしまうのである。

満州国境へと出された梶は、そこでも軍隊内の暴力に立ち向かうが、相変わらず無力である。そしてついにソ連軍が国境を越えてきた。圧倒的な戦力差の前に、部隊は全滅し、わずかな生き残りとともに梶は生きるための戦いを始める。途中、避難民や他の部隊の生き残りと合流するが、次々と彼らは死んでいった。そしてある村でついにソ連軍に投降。捕虜となった梶はまたも過酷な強制労働に従事させられ、そこでもなんとか生き残りをはかるが、戦友が同じ日本人捕虜の虐待によって死亡すると、それに対し復讐。そのまま捕虜収容所を脱走する。しかし衰弱しきっていた梶は、ついに雪の中で力尽きる。

商業映画ながら、これほど加害者としての日本人を描いた作品はあまりないだろう。当時はあり得ないであろうヒューマニストとして梶という人間を設定して、戦時中の理不尽さを強調する、まさしく典型的な「反戦」映画といえる。とはいえ「日本」だけが批判の対象ではない。敗戦後は中国人も襲い掛かってくる。ソ連軍も捕虜を虐待する。そして主人公の梶自身も何人も殺人を犯す。戦争がもたらす「人間」の崩壊が克明に描かれていくのである。なにをもって「人間」は「人間」たりうるのか。

こういう問題作が、商業映画として成り立つ条件は今の日本社会にはもうないだろう。しかし新しい時代に新しい手法をもって、「戦争」を扱う作品が出てきた。そこにあるテーマは、50数年前のこの映画とも共通する部分がある。すなわち「戦争」の中でも「人間」らしく生きていくことの尊さである。










ktu2003 at 19:27コメント(0)トラックバック(0)書評・映画評 

2017年01月10日

映画誌「キネマ旬報」は10日、2016年に公開された作品ベスト・テンと個人賞を発表した。日本映画の1位は戦時中の広島を生き抜く女性を描いたアニメ「この世界の片隅に」だった。アニメ作品が1位になるのは、1988年度の「となりのトトロ」以来で、アニメ作品の日本映画監督賞受賞は初。(朝日新聞)

かねてから評判の高かった作品が、ついに昨年の映画ベスト1の評価をもらった。
『キネマ旬報』自身もこの作品を誌上で注目作として取り上げており、批評でも3氏が5点満点をつけて、ベスト1の有力候補とみられていた。昨年はアニメ映画が次々とヒットした年で、しかも作品の質的な評価も高かった。そんな一年をどう総括するかというとき、「この世界の片隅に」が選ばれたのは妥当だといえる。アニメーションとしては「となりのトトロ」以来28年ぶり2作目のベスト1であり、片渕監督の監督賞はアニメ作品では史上初めてである。この実績だけなら、宮崎駿に並び、超えたことになるだろう。

「この世界の片隅に」は年が明けて上映館数が大きく拡大し、興行収入はすでに10億円を突破している。大ヒットといっていいだろう。比較的小さな映画館からムーブメントが始まったという点も、映画評論家の心を刺激したのではないだろうか。かつて「ニュー・シネマ・パラダイス」が単館上映から名作と評判をとっていったように。

そして、主演をつとめたのんの演技も高い評価を得ている。今までいろんな作品があったが、アニメ作品でこれだけ声優が絶賛されたことはないだろう。本職の声優でない俳優の起用は近年のアニメでは珍しくないが、彼女は「俳優を起用したから絶賛されている」のではなくて、声の演技の枠をはみ出して、キャラクターと一体となる演技を見せた。それがなぜ可能だったかは、インタビューで彼女が語っているように、作品へのきわめて知的なアプローチがあったからである。

「あまちゃん」に続いて、のんにとってこの作品は大きな財産になった。芸能界の掟との関係でいばらの道は続くだろうが、作品が彼女の武器になる。この作品がそうなってほしいと思っていたが、よかった。2013年にテレビドラマで大ブームを起こし、2016年に映画でベスト1の主演をつとめた。彼女はある種の伝説になりつつある。

ktu2003 at 19:04コメント(0)トラックバック(0)書評・映画評 

2017年01月06日

 菅義偉官房長官は6日午前の記者会見で、韓国南部・釜山の日本総領事館前に慰安婦問題を象徴する「少女像」が設置されたことへの対抗措置を発表した。長嶺安政・駐韓大使と森本康敬・釜山総領事の一時帰国や日韓通貨スワップ協定の協議中断など4項目。2015年末の慰安婦問題をめぐる日韓合意の着実な実施を迫る姿勢を鮮明にした(朝日新聞)。

日本がこういう措置を外国に対してとることは珍しい。もともと国交のない北朝鮮を除けば、異例の対応といえる。一昨年の「合意」が存在するが故の姿勢である。

一昨年の合意が成立したときから、果たして合意がちゃんと履行されるのか懐疑的な見方があった。元慰安婦側の反発も大きかったし、朴政権の支持率が低迷していたからだ。それでも財団ができて、元慰安婦に実際に支援金が渡っている。あとは少女像の問題がどうなるか、ということだったが、これについては合意の解釈が分かれていた。日本側は撤去への道筋をつけたと考えていたが、韓国側はそこまで確約していたとは考えていないだろう。
そこに、韓国政局の激動があった。朴政権は事実上終わり、政府は何等かの決断ができない状況である。野党側は日韓合意の破棄を主張しており、新政権が発足すれば合意自体が危機に陥る可能性がある。

日韓の和解がなかなか進まないのは、たとえばアメリカとの間で行われたような、広島や真珠湾での慰霊の行動など、わかりやすい和解の「演出」がままならないからである。前にも述べたことがあるが、たとえば安倍首相が元慰安婦と会い、そこで言葉を交わすというようなパフォーマンスが行われれば、ともかくも区切りはつくのである。韓国政府の側も、当事者の頭ごしに交渉をしているふしがあるのも、世論の支持を得られない理由だろう。

私は日本の戦争責任について、十分な謝罪が行われたとは思っていないのだが、ともかくこの問題については、元慰安婦も高齢で時間がない。生活支援として日本から一定額が拠出されることは、それ自身まったく意義のないことではないと考える。また、保守色の強い安倍政権で実行されることにも、意味がある。保守派の反発を抑え込める可能性が高いのもいまのタイミングだ。だから、この枠組みを破棄する姿勢を韓国側が示すとすれば支持できない。

もっとも、今の韓国政府に世論の反発を押し切ってまで何かを決断できる状況は存在しない。当面は、改善の兆しがあった両国関係も再び悪化することになるだろう。また、大統領選への影響を考えると、合意の枠組みを守る可能性のある候補に不利になる効果をもたらすともいえる。

「和解」という意味でいうならば、「少女像」の問題は一つの象徴的なもので、韓国政府側が「わかりやすく」この問題をどう処理するかがかぎだ。少なくとも外交施設からは移転するという形での妥協ははかれないだろうか。



ktu2003 at 18:15コメント(0)トラックバック(0)国内ニュース 

2017年01月03日

元阪急(現オリックス)で活躍したダリル・スペンサー氏が2日、死去したと米国・カンザス州のメディア、ウィチタ・イーグル電子版が伝えた。88歳だった。(デイリースポーツ)

今年最初の記事は残念な知らせとなってしまった。
日本の野球史を語る上では絶対に外せない人物である。

1952年にジャイアンツでメジャーデビュー。2年目には20本塁打を放ってレギュラーに定着。しかしその後まる2年出場ができず、56年に再びレギュラーとなり、以後もコンスタントに2ケタ本塁打を放つ、強打の内野手だった。カージナルス、ドジャース、レッズと移籍する中で成績が下がっていき、64年に阪急にやってくる。

当時はメジャーリーガーというだけでインパクトがあった時代。ましてやレギュラーを張った選手ということで、日本とはレベルの差があった。1年目から36本塁打を放って阪急の主砲となり、翌年もサイクル安打を達成するなど打撃好調で、野村克也と三冠王を争った。しかし敬遠作戦や交通事故で負傷するなどしてタイトルを逃した。

スペンサーは攻撃的なスライディングや、投手のクセを研究するなど、それまでの日本野球になかったプレースタイルを持ち込み、大きな影響を与えた。そして阪急というチーム全体にそれを浸透させ、パリーグに覇を唱えるチームへと導いたのである。68年限りで一度退団するが、71年にコーチ兼任で復帰したところにも、そうした指導者としての実力が示されている。

メジャーリーグでは1098試合、901安打、105本塁打、428打点、.244。
日本では731試合、615安打、152本塁打、391打点、.275。


ktu2003 at 16:57コメント(0)トラックバック(0)プロ野球 

2017年01月01日

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
旧年中はトラックバック156、コメント8をいただきました。
すっかり更新頻度も低下してしまっているのですが、とりあえずやめる気は今のところないので、だらだら続けてはいこうと思っています。

さて、平穏に2017年は明けた。それが何よりである。世界は近年にない不安の中で幕を開けた。何せアメリカがどうなるか予想もつかないというのはもっとも不安である。そしてさっそくトルコでのテロが伝えられているように、そうした不安も強い。年末も強い地震が日本ではあったが、どこかでまた大きな災害が発生しないだろうか。不安を数え上げればきりがないが、一方で新しい試みにむかって努力している人たちもいっぱいいる。私も微力ながら自分の持ち場でそうした試みに参加していきたい。

憲法が果たしてどうなるのか、自衛隊は南スーダンで無事でいられるのか、天皇退位をめぐる動きはどう決着するのか、大きな話としてはそういったことが気になっている。SMAPなきあとの芸能界の動きも注目だ。スポーツは当然1年1年の大きな動きがあるのでいうまでもなく注目である。人間が活動を続ける限り、常に新しいことが起こり続けるし、また普通の生活も続いていく。そのなかでささやかな幸せをどのように見つけていくか、誰にとってもそれこそが問題なのであろう。小さな幸せを喜べる気持ちでありたい。

ktu2003 at 21:39コメント(2)トラックバック(2)雑記 

2016年12月31日

いい天気の大晦日である。

今年は大掃除もそこそこに、仕事も休みを少し早めにとり、やや余裕のある年末となったが、あっという間に時間がすぎていく。ほとんどテレビは観ていない。ネットの前にいるか、読書をするかという程度。年末だからといって、特別何かする必要はなく、むしろ淡々と過ごすのが良いのではないかと思えてきた。個人的にはこの一年、平穏無事に過ごすことができて何よりである。研究に一区切りがついて、次のネタを探すのはなかなかたいへんなのだけれども。

日本国内の政治は奇妙なほどに、政権の安定が目立ってきた。野党再編は一応実現したものの、とても民進党が政権を奪還できそうな雰囲気になく、野党共闘も進まない。そんな中で安倍政権は政策を着々と進めているようにみえるが、それが十分な成果をあげているかというと難しいところである。経済が好転しているとは明言できず、外交も海外情勢の不透明感が増してきて難しくなってきた。根本的な行財政改革に手が付けられないままに、ずるずると時がたっているように見える。予算案がもう身動きがとれなくなってきていることを如実にあらわしていた。

そして世界は混迷がはっきりと目に見えるようになってきた。イギリスがEU離脱を選択したかと思うと、アメリカでは政治経験のないトランプ氏が大統領に選出された。韓国の朴大統領もスキャンダルで職務停止に追い込まれ、ブラジルのルセフ大統領も同様の事態に見舞われ、五輪に出席できなかった。そしてテロが各地で発生し、イスラム国の脅威は依然消えていない。来年はいったいどうなるのだろう、という不安が近年になく高まっているように思えるのである。

今年も自然災害の猛威が襲ってきた。熊本地震は前代未聞の震度7が2度にわたって襲い、最初の地震をやり過ごしたかと思ったところの2度目で、被害が拡大した。豪雨や台風被害もあった。自然災害ではないが、年末には糸魚川で大火があった。いきなり生活を破壊される事態は、残念ながらもう珍しいことではない。

スキャンダルが実に多い1年でもあった。「文春砲」と恐れられた週刊文春の一連の報道によって、政治家が、芸能人が、スポーツ選手が、その他著名人が次々とその地位を失っていった。そして、ネットやマスコミで厳しい批判を浴びることになり、かわしきるのがだんだん難しくなってきている。

スキャンダルに加えて、芸能界はその構造が厳しく問われた一年でもあった。SMAP解散は大きな時代の節目ともいえるが、何より事務所の対応のまずさが目立ち、沈黙するテレビや芸能マスコミの癒着ぶりも明らかになった。レコード大賞をめぐるスキャンダルも表面化し、音楽業界の凋落の原因も明らかになった。一方で、テレビや映画のヒット作はSNSでの評判から火が付いたというものが次々と登場し、ようやくSNSが一部の盛り上がりから、実際の人気を演出するようになってきたといえようか。「君の名は」の大ヒット、「逃げるは恥だが役に立つ」のブーム、「真田丸」の各地での動員力、「この世界の片隅に」の評価など、新しい時代の胎動のようなものが見えてきている。従来のテレビ・新聞メディアを中核とする芸能界の構図が、メディアの変化によって崩れつつある。

リオオリンピックは運営が不安視されたが何とか無事に終わった。日本勢は最多のメダルを確保した。これまでに比べると、選手への注目が分散し、特定のスターや流行語が生まれにくくなったようである。一方で次期五輪をめぐってはゴタゴタが絶えない。とても国家的盛り上がりにはならないだろう。スポーツ界はプロ野球の盛り上がりがあり、サッカーで鹿島のクラブワールドカップ準優勝があり、テニス錦織やフィギュア羽生の活躍もあり、相撲では10年ぶりの日本出身力士の優勝ありと、話題豊富であった。

SMAP解散とあわせて、今上天皇の退位意向表明も、時代の節目を感じさせる出来事だった。皇室も新しい形になっていかねばならない、ということは明らかだが、政治の動きは鈍い。ほんとうの皇室に対する敬意など、実は誰も持っていないのかもしれない。自分の望むイデオロギーと妙な「伝統」への思い入れしかみえない。あるいは単に自分が責任を負いたくないという、自己保身。

社会的には、いろんな形で盛り上げようという努力はみられるが、人口減少が続き、給料が上がらず、災害が頻発し、休日も十分に取れない中で、停滞感は一向に解消されていない。GDPがすべての指標ではないだろうが、ずるずると相対的地位が低下していっているのは事実。外出する人が減っているというデータもあり、高齢化の進展とあいまって、「活気」を生み出すのが難しい状況であるのも確か。それなりの「幸せ」を追求するほかない。

ともあれ皆様、よいお年を。

ktu2003 at 10:31コメント(0)トラックバック(0)雑記 

2016年12月29日

今年は久々にFAが話題になった年だった。

読売はさすがに危機感いっぱいを感じさせ、DeNAから山口、ソフトバンクから森福、さらに日ハムから陽と、史上最多の3名を獲得した。FAではこのほかに、オリックス糸井が阪神へ、西武岸が楽天へと移籍。大物が動いた1年と評価できるだろう。一方で、今年は海外FAはなし。メジャーへの選手の流れも、今は止まっている。逆に、メジャーへ這いあがった村田透が日ハムで日本復帰を果たす。

昨年は大物の引退が相次いだ年だったが、今年もそれほどではないものの、世代交代を感じさせる1年であった。DeNA一筋だった三浦は、引退試合としては異例のイニングを投げ、めった打ちを食らった。彼らしいのかもしれない。投手ではほかに、武田勝(日本ハム)、福原(阪神)、小松(オリックス)、新垣(ヤクルト)など。そして忘れてはならない。優勝と200勝を花道に、黒田(広島)が引退したのである。日本復帰からのストーリーは、まるで台本があったかのような流れだった。

打者ではサブロー(ロッテ)、後藤(楽天)、鶴岡(阪神)、多村(中日)など。突然だった印象があるのは足のスペシャリスト、鈴木尚(読売)であった。また、楽天創設メンバー最後の現役だった牧田も引退した。

移籍組の大物は、細川(ソフトバンク→楽天)、田中浩(ヤクルト→DeNA)、吉川(日本ハム→読売)といったあたり、そしてトレードもここ数年では活発だった印象。

外国人選手ではバース(日本ハム)が日本シリーズでの活躍を置き土産にメジャーへ戻り、デスパイネ(ロッテ)はソフトバンクへの移籍が濃厚。ロッテはこの穴埋めにゴメス(阪神)獲得の情報がある。ブランコ(オリックス)はけが続きでもうだめか。オンドルセク(ヤクルト)はトラブルを起こし退団。

なお、まだ人的補償や、戦力外選手のテストの動きもある。

来年は大谷の去就が最大の注目点である。


ktu2003 at 19:15コメント(0)トラックバック(0)プロ野球 

2016年12月28日

米ハワイを訪問中の安倍晋三首相は27日午前(日本時間28日早朝)、オバマ大統領とともに真珠湾のアリゾナ記念館を慰霊のため訪問した。犠牲者の名前が刻まれた壁に献花し、黙禱(もくとう)を捧げた。日本の現職首相が同記念館を訪れ、慰霊を行うのは初めて。日米両首脳はその後、真珠湾で演説し、首相は「日米の和解」を強調した。(朝日新聞)

「同盟関係」をうたうアメリカとの間ですら、75年という時間を要した。和解の意義はもちろんあるが、何より戦争をしてしまうということが、これほどのわだかまりを残すということでもある。さきにオバマ大統領が広島を訪問したことへの答礼という側面がある。
首相の発言は儀礼的で、建前だろう。これはそういう場でもあるし、謝罪はしないというのも広島のオバマ氏と同様である。今の情勢を考えると、むしろ発言と逆行する流れが進んでいることを心配する。

月並みだが、隣国とのこうした和解はいつ実現するのだろうか。何とか政治レベルで決着させようとする姿勢は、安倍政権にはみえる。韓国との合意、ロシアとの交渉。ただ、「戦略」が感じられる反面、「情」的な面での配慮が若干欠けるように思える。「和解」はアメリカとの間だけで達成されても「戦後」の区切りにはならないし、今の日米関係が沖縄の問題をみても、正常な状態とは必ずしもいえないのである。

今のタイミングになるのは、トランプ政権の出方が読めないからだろう。また、任期の終わるオバマ氏への置き土産でもある。そしていうまでもなく、政府間の関係だけが問題なのではない。日米の国民レベルで正常な友好関係を続けていくことが大事である。

ktu2003 at 19:12コメント(0)トラックバック(0)国内ニュース 

2016年12月27日

フジテレビの「SMAP×SMAP」が最終回を迎え、SMAPの5人がそろうことがひとまずの最後を迎えた。
20年間の名場面を延々と流し、最後は「世界に一つだけの花」を歌って、長い礼をしての終わりだった。

寂しい終わり方だ。メンバーの肉声は聞こえない。テレビ局がまるで追悼番組のように演出している。だが単にSMAPの「葬式」というだけではない。構造に乗っかっているテレビ局や、芸能事務所の「葬式」でもあるのだ。

何があったにせよ、こんな終わらせ方をさせるべきではなかった。野次馬などどうでもいいが、長年応援を続けてきたファンに対しては一言あるべきだし、それをさせるのが芸能事務所だが、むしろさせなかったのだろう。「ファンを大事に」というのはお題目で、自分たちの内輪の論理を優先したのである。

考え方の違いを「仲たがい」というのなら、それは確かにあったのだろう。40を過ぎた大人である。別の道を行きたいというのなら、それがいかなる背景のもとで、あるいは望まぬことであっても、その選択を尊重するべきだろう。真相は所詮外野にはわからない。今後はそれぞれが芸能界で、あるいは他の世界かもしれないが、自分の人生を歩んでいく。その中でおのずからこの選択がもった意味もわかってくる。

ジャニーズ事務所への風圧は徐々に高まっている。ファンクラブの規約に関してクレームがついたニュースは、それほど大きくは伝えられなかったが、世間の目が厳しくなっていることの現れである。また、ジャニーズ勢のスキャンダル報道も多くなってきている。微妙にジャニーズへの目が厳しくなり、タレントの力も弱まっている中での動きだとみている。ジャニーズ事務所には確実に大きなダメージになった。問題は、嵐が後継者たり得ないことである。

嵐はアイドルグループとしてはSMAPよりも稼いでいるし、ファンも多い。しかしそれがゆえに、SMAPのような「国民的」アイドルグループには成り得ないのである。彼らが、グループとして、あるいはメンバー個人として、何をこれまで残してきたかを見れば如実にわかる。「世界に一つだけの花」のように300万枚を売り上げることも、「SMAP×SMAP」のように30%以上の高視聴率を獲得することも、木村拓哉のようなファッションリーダーにして高視聴率俳優を生むことも、中居正広のように個人で司会番組を多数持つこともなかった。もちろんこれから生み出すことはあるかもしれないが、可能性は低いと思う。嵐も長年アイドルをやってきての現在だからだ。彼らは仲は良さそうだが、ファンを超えた広がりが弱い。冠番組の視聴率も上がらないし、出演ドラマも「ヒット」はあっても「大ヒット」はない。それは本人たちの問題というよりは、芸能界の構造が変わってきていることも原因ではあるのだが。

そして下の世代に至っては、作品で幅広い支持を得ることはほぼ不可能になり、単なるアイドルグループになってしまっている。要するにファン以外は認知できないのである。AKBグループとあまり変わらない。それはジャニーズ事務所がタレントの縮小再生産を繰り返し、新しい発想を拒絶しているからにほかならない。そしてメディア・芸能界の構造が変化していく中で、ジャニーズの成功モデルももはや有効ではなくなるだろう。一例を挙げればネット社会への決定的な対応の遅れを挙げることができる。

事務所が権力を振りかざしていても、抱えるタレントの実力が伴わなければおのずから限界はやってくる。功労者たるSMAPをこういう処遇で終わらせたことは、じわじわと響いてくるだろう。もっとも、ジャニーズ事務所が衰えることは芸能界にとってはむしろ望ましいことだと思うが。



ktu2003 at 00:27コメント(0)トラックバック(2)芸能 

2016年12月20日

プロ野球・巨人などで投手として活躍した加藤初(はじめ)さんが11日、午後2時32分、直腸がんのため、静岡県内の病院で死去した。66歳。同球団が20日、発表した。(朝日新聞)

高校時代は無名校の出身。進学した亜大は中退し、社会人で注目された。しかしプロの希望をめぐって会社ともめ、けんか別れの末に72年、西鉄(現・西武)に入団した。

西鉄は黒い霧事件の影響で弱体化しており、1年目からフル回転。17勝を挙げて新人王に輝き、順調なスタートをきった。2年目以降も主力投手として投げ続けた。76年、トレードで読売に移籍すると、ノーヒットノーランを達成するなど15勝4敗の好成績でリーグ優勝に大きく貢献した。

ところが同年オフの健康診断で肺にガンが見つかり、引退の危機に瀕した。しかし幸いなことに自然治癒して復帰。83年には血行障害に見舞われるがそこからも復帰を果たした。

当時の読売の投手陣はぶ厚かった。その中で、エースではないが先発・中継ぎ・抑えとどこでも投げた。デビュー時はコントロールが悪かったが、だんだん投球術も磨かれ、また表情を変えずに投げ続けることでも知られた。故障が多く1年間フル回転することはまれだったが、86年にも14勝するなど、ベテランになっても実績を残し続けている。90年限りで引退。通算成績は、490試合、141勝113敗22S、防御率は3.50。

引退後は解説者を経て西武のコーチに就任、その後台湾や韓国でも投手コーチを歴任し、11年まで活動をつづけた。

波乱万丈の野球人生だった。何度も野球をやめる危機があったにもかかわらず、40歳を超えて現役であり、引退後も海外での指導者活動が長かった。きっと充実していたのではないかと思うのである。

ktu2003 at 18:57コメント(0)トラックバック(0)プロ野球 
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