2006年01月27日

パレスチナ議会選挙、ハマスが過半数

b40aefeb.jpeg

1月は、中東情勢も激動の展開を見せている。

年明け早々に、イスラエルのシャロン首相が倒れ、現在も入院中である。シャロン首相は、自らのカリスマ的な人気をもとに、恒久的なイスラエルの安全保障を確立しようともくろんで、ガザからの撤退と壁の建設という硬軟織り交ぜた戦略を見せつつ、新党を結成して選挙に臨もうとしたが、今後の政治活動は難しくなった。

一方のパレスチナでは、10年ぶりに議会選挙が行われ、現政権のファタハが43議席に留まり、イスラム原理主義組織のハマスが76議席を占め、定数132の過半数を獲得した。クレイ首相は辞任を表明している。背景には、ファタハの汚職体質による腐敗と、生活向上が一向に進まない現状への不満がある。

ハマスは、自爆テロなどの抵抗活動を続ける一方で、医療・福祉・教育などの社会事業に力を入れている団体でもある。民衆の強い支持があるという。

さっそくイスラエル側は対話の拒否を表明し、アメリカも武装闘争放棄が対話の前提、という立場だ。中東和平は再び暗転するのであろうか。

私は必ずしもそうは考えていない。

ハマスも近年、相次ぐ幹部の暗殺で組織が弱体化した、とも伝えられている。イスラエルとの対話を模索する柔軟路線も内部にはあるという。今回の選挙に参加したこと自体が、それを示している。政権を確保するとなれば、野党的立場にあった時とは状況が変わってくる。内政・外交において矢面に立ち、責任も大きくなってくるだろう。

あのアラブに忌み嫌われていたシャロン首相でさえ、パレスチナとの対話というよりはイスラエルの都合で決めていた政策ではあったが、パレスチナとの共存の道しかない、とは考えたのである。

交渉の余地はないかに思われるハマスが、政権を握ったことで逆に現実路線を選択する可能性も決して小さくないのではないか。

ハマスは自爆テロを今のところ控えている。政権樹立にあたっては、連立を呼びかけるともしている。過半数を占めているのだから単独政権も可能だが、この姿勢は大切である。武装闘争が、民衆の真の解放と生活改善につながるのかどうか、それを統治者として真剣に考えてもらいたい。

一方、イスラエル側も単に突き放すのではなく、なぜハマスが支持を得ているのかの背景を冷静に考えるべきだ。過酷な占領により苦しむ民衆の生活を支援してきたのが、ハマスだった現実を見なければならない。またぞろ暗殺や謀略などの手法を使っても、民衆の反発を招くだけである。

結局のところ、両者が歩みよる以外に道はないのだ。

 



ktu2003 at 19:02コメント(6)トラックバック(3)国際ニュース  

トラックバックURL

トラックバック一覧

1. パレスチナ評議会選挙でハマスが単独過半数へ  [ Backpackerかく語りき♪快晴じゃーなる♪ ]   2006年01月27日 21:34
1月25日に投票が行われたパレスチナ評議会選挙(定数132)で、初参加のイスラム原理主義組織のハマスが、単独過半数を制する見通しになった。少なくとも70議席は確保した模様。 一方、アッバス自治政府議長の支持母体、パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハは敗北を認め...
2. 中東  [ 共通テーマ ]   2006年01月31日 12:53
紛争が続くイラン、イラク、パレスチナ、レバノン・・・ 中東の政治、経済、社会、文化について語ってください。
3. テロリストか?政党か?  [ 笹団子のひとりごと(LD版) ]   2006年01月31日 23:00
パレスチナ評議会選、ハマス過半数…闘争継続を表明 【ラマッラ(ヨルダン川西岸パレスチナ自治区)=佐藤秀憲】25日投票が行われたパレスチナ評議会(国会に相当、定数132)議員選は、26日夜までの開票(開票率95%)の結果、初参加のイスラム原理主義組織ハマ....

コメント一覧

1. Posted by 快晴   2006年01月27日 21:33
こんばんは。

>結局、両者が歩みよる以外に道はない

まさにその通りですね。ただ、それが最大の難関なんです。そもそもハマスは武力闘争を放棄していないだけでなく、イスラエルの存在そのものを認めていないんです。だから、まともに話し合いが出来るのか?
私には、それが心配なんです。

ただし、柔軟路線に切り替わる可能性はあると思います。武力でなく、民主的な選挙で選ばれたんですから、その点で希望は残されていると思います。

追伸
TBさせていただきます。
2. Posted by らいおん   2006年01月28日 03:48
中東情勢はまたこれで新局面という印象を持っています。

ハマスがどういう方向に舵を切るのかまだわかりませんが、
少なくとも民衆がハマスを選挙で支持したということは、
変化が求められたのだと思います。
3. Posted by 虎哲   2006年01月28日 10:05
コメントありがとうございます。
>まともに話し合いが出来るのか?
まずは自爆テロ停止を続けること、すなわち積極的には動かない
現状を維持するのが得策ですね。急にハマスの根本方針を変えるのは
無理だとしても。
当面イスラエルは話合いに応じない
でしょうが。アッバス議長の動きがカギを握ると思います。

>選挙で支持
これはやはり大きいことです。謀略でこれをつぶせば、非難はイスラエル側に向くでしょう。
4. Posted by 洛北孫子亭   2006年01月28日 22:06
今回のパレスティーナの選挙の結果ですが、驚くには当たりません。
これまでのイスラエルの暴虐の限りを思えば、ハマスの勝利はきわめて自然でしょう。
それから、「イスラム原理主義勢力」との報道のされ方も嘘ではないでしょうか。イスラム原理主義じゃなくてパレスティーナ民族主義、というのが何よりも先に来るでしょうから。どうも、「イスラム原理主義」という枠組みの中に十把一絡げに放り込んでしまうという、ものすごく雑な言い方がまかり通っているような気がします。
で。
歩み寄り・・・ですか?無理でしょう。
というか、イスラエルの辞書にはそんな言葉は存在しません。
これまで、歩み寄りを提示してきたパレスティーナ自治政府に甘い餌をちらつかせては反故にする、歩み寄りを提案するヨーロッパの提案は無視するか食い散らかす、という道義的に極めて悪辣な事を繰り返してきたのがイスラエルです。

(続く)
5. Posted by 洛北孫子亭   2006年01月28日 22:07
(承前)
そんなイスラエルの姿を具象化したら、シャロンの形になります。なにしろ、レバノンで虐殺をやるわ、休戦状態をぶち壊すわ、ジェニンで虐殺をやるわ、パレスティーナの自治区に大きく食い込む形で長城を築くわ、そこまでした挙げ句に
「これで勘弁してやる」
とばかりに和平を進めたところで、パレスティーナの人々が納得できるわけがないのです。

イスラエルの存在を認める。それ自体がパレスティーナの人々にとっては屈辱的な譲歩なのです。イスラエルの存在を自明のものとする、そんな風潮が僕には我慢がなりません。
反イスラエルは反ユダヤ主義と同義ではない。その真理が、映画「ミュンヒェン」を前にして何処まで空しく響くか。あまり楽しくはないですが、楽しみにしています。
(了)
6. Posted by 虎哲   2006年01月29日 04:14
コメントありがとうございます。
>イスラエルの存在を自明のものとする
しかしそのイスラエルにも、今や大勢のパレスチナ人が含まれる
ようになっているのが現実です。お言葉を引き取るとしたら、
ユダヤ国家としてのイスラエルは「自明」ではない、という
ところでしょうか。
>屈辱的な譲歩
ハマスであれ何であれ、未来への展望を示す必要があります。
自爆テロでは未来は提示できません。
>ヨーロッパの提案
要はアメリカです。アメリカが援助をやめればイスラエルは弱小国家
に過ぎないんですがね。

コメントする

名前
URL
 
  絵文字
 
 
Archives
最新コメント
livedoor プロフィール
  • ライブドアブログ