福島消費者相、罷免〜鳩山政権、重大局面に〜

閣僚が罷免される、というのはそうあることではない。
今回が、わずかに５例目である。

これまでのケースは、戦後の混乱期や、政局が混乱したとき、あるいは発言の責任を取らされた場合といったものだった。
基本的な政策の違いによる罷免ははじめてである。

鳩山内閣は、日米共同声明に基づき、沖縄の米軍普天間基地の移設先として、名護市辺野古沖にすることを閣議決定した。この署名を福島消費者相は拒否。閣僚の署名なしに閣議決定はできない。したがって、閣議決定を決断した以上、署名できない人間は切ることになる。

首相は地元や連立与党の合意を得られなかったことを陳謝し、これまでの見通しの甘さを認めた上で、辺野古に移設する以外に普天間返還の道はないことを述べ、理解を求めた。

一体、この間の議論は何だったのだろうかと思わざるをえない。ここまで公約と結果が違った以上、責任を明らかにするのがこの政権のとるべき道であろう。もちろん、もっと世論や国民の後押しが必要だったとの声もある。しかし、鳩山内閣内がごたごたしていたのでは、そんな支持は集まりようもなかった。

社民党の言い分のほうが、筋は通っている。県外・国外移設を政策としていたからこその連立政権だった。だから党首が閣僚を罷免された以上、連立にとどまる選択肢はない。社民党内にも連立維持派はいるだろうが、それは党分裂につながる。とはいえ、社民党に沖縄の声を実現できる方策があったわけでもない。所詮はその程度の力しかない政党である。

２ヶ月弱後に迫った参院選の情勢も、また不透明になった。社民党との選挙協力もご破算。これでにわかに注目を集めるのが、第三極を目指す諸政党である。参院で過半数を確保するために、民主党はどこと次の連立を組むのか。公明党か、みんなの党か、はたまたその他の政党か。そういった揺さぶりが、各政党にかかってくるのではないか。

鳩山政権の今後は苦しい。もう支持率は限界まで低下している。今回の一件も、支持率アップにつながる可能性は低い。ずるずる選挙に突入して、敗北して辞任するか、その前に決断するか、いずれにしても連立を組み替えての新政権誕生が視野に入ってきた。
社民党の先も苦しい。さらなるじり貧は必至か。

Comments

1. Posted by RYU   2010年05月30日 13:11

トラバありがとうございます。

党によって統一見解が得られない事は、党の分断を示唆すると共に、党といった勢力単位で政治を語る事が難しくなって来た事の表れでもあると思います。脱派閥が政界の動向であったと共に、個々の代議士にとっては脱政党という潮流は、政界再編へ向けた環境が整ってきた、という事ではないでしょうか。

基地移設問題に関しては、与党による移設推進に賛成です。北朝鮮の武力の恫喝に対しては、東アジアの安定と各国関係の深化を台無しにするマイナス要素であり、敵も味方もないような無軌道外交をこそ軸がぶれているもので、米軍の抑止力が無ければ北朝鮮の暴発を防げるものではないと思うからです。

いずれにしても、参院選の結果次第でありますが、各党には個人的な私怨や利害を超えて、理念で結託して、もっと進んだ政治主導を実現して欲しいです。

2. Posted by hontino   2010年05月30日 15:53

TBありがとう！まったくご意見に同感です。
　政策も筋もとおらない民主党。政権与党になったばかりで戸惑いもあるという言葉はもう通らない。
　おまけに鳩山さんの期限切りの軽率な約束はすべて破られる。
　国民はもう彼の言葉や約束を信じまい。国身に信じられない総理は意味がない。
　早く鳩山さんを切らないともっと深みに……

3. Posted by 虎哲   2010年05月30日 18:04

ありがとうございます。
＞政界再編
確かにそれが必要になってきたようですね。もっと争点が明確になるような形での勢力変動が起これば、国民も意思が示しやすくなります。新党がいくら乱立しても意味がないです。
＞鳩山さんを切らないと
鳩山政権は長くても参院選までで終わるでしょう。こうなった以上。連立の組み替えは別の首相のもとで、ということになるかと。