2015年11月30日

水木しげるさん死去

「ゲゲゲの鬼太郎」などの作品で知られる漫画家の水木しげる(みずき・しげる、本名武良茂=むら・しげる)さんが、30日午前7時18分、多臓器不全のため東京都内の病院で死去した。93歳だった。(朝日新聞)

彼なら100歳を超えても元気でいるのではないか。そんなことを思っていた。昨年、体調を崩したということだったので、少し心配はしていたのだけれど。

幼少のころからのエピソードを聞くだけで、異能の人だと思えた。51人受けた試験で1人だけ不合格、なんて狙ったってできるものではない。身近に妖怪を感じることができ、風流を解する親のもとで育った異能の人物が、時代の波に巻き込まれた。戦争だった。

左腕を失いながらも、九死に一生を得た彼は、好きな絵を、漫画という形で生涯描き続けることになった。妖怪もの、戦記ものを中心にしたその絵は、オリジナリティのあるものだったが、なかなか売れなかった。貸本漫画という場所で、長くもがき苦しんだそのさまは、テレビドラマ「ゲゲゲの女房」で描かれた。

40代も半ばを過ぎてから、売れ出した。手塚治虫からの王道の子ども向け漫画とも、梶原一騎に代表される劇画とも少し違った、濃密な大人の世界を漫画で展開した。「ゲゲゲの鬼太郎」は、誰もが知る、漫画大国日本を代表する作品の一つである。そして、妖怪という存在を現代社会に定着させるうえで果たした文化的な役割も大きい。

戦争をテーマにした作品群も数多い。従軍体験をここまで詳細に描いた漫画家は彼一人であろう。貸本屋時代のリアリティある作品も、後年の自伝的な作品もある。とくに彼の描く「日本兵」の姿にはリアリティがあった。「昭和史」や「ヒトラー」にまで作品は及んでいる。

近年では故郷・鳥取の境港市が鬼太郎を利用した観光でにぎわい、「ゲゲゲの女房」が人気となってその生き方も広く知られた。全集の刊行も始まっている。

功なり名を遂げても、彼のひょうひょうとした様子は変わらず、多くの人に慕われた。高齢で、天寿をまっとうしたはずなのに、ものすごくさびしいのである。けれと、妖怪たちのいる世界へ、あるいは本来いるべきところへ帰ってしまっただけかもしれない。そんなことを思わせる。

ktu2003 at 19:59コメント(1)トラックバック(4)訃報  

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1. 水木しげるさん死去 93歳  [ つらつら日暮らし ]   2015年12月01日 08:00
心から哀悼の意を表します。
2. 追悼!水木しげる先生  [ たたかうあるみさんのブログ ]   2015年12月01日 21:39
携帯のニュースサイトをちょっと見て驚いた…あの水木しげる先生が亡くなられたという
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4. 水木しげる、西へ。  [ どーか誰にも見つかりませんようにブログ ]   2015年12月02日 01:16
漫画家の水木しげるさんの訃報を受けてですが、まぁ、何か、そういうものです。高齢である事は周知のはなしであったから、いつかは、こんな日が来るのではないかと思っていたもの ...

コメント一覧

1. Posted by あるみさん   2015年12月01日 21:44
いつもTBをありがとうございます。
私も水木センセイには、100歳ぐらいまで生きてもらって、「妖怪の復権」やあるいは「戦争体験」などについてどしどし語っていただきたかったと思います。
心よりご冥福をお祈りするとともに、「あの世」でどんな活躍をされるのか、楽しみ?です。

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