2015年12月28日

慰安婦問題、日韓で合意

慰安婦問題をめぐる日韓外相会談が28日午後、ソウル市内で開かれ、両外相はこの問題で最終妥結した。両外相は、元慰安婦支援をめぐり韓国政府が財団を設立し、日本政府が資金を一括拠出することで合意。また、慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した。(朝日新聞)

あわただしく合意したという感はあるが、安倍政権ということを考えれば相当踏み込んだ合意内容という印象を持った。

この年末という時期に外相が行くのだから、おそらく相当合意の見通しがあったと考えられる。内容を見ると、日本側が慰安婦問題について「軍の関与」を認め、おわびの気持ちを表明。さらに政府予算から10億円を拠出して、韓国政府が財団を設立する。そしてこの事業が履行される前提で、双方が非難や批判を控える、というものである。また、これが「不可逆的な解決」だともしている。

首相がもっともこだわったのは、戦後70年談話に盛り込んだ、次の世代に謝罪の宿命を負わせない、という点であった。この点の言質を取ったわけである。一方で、金銭的には報道よりも大幅に増額された形で、しかも政府予算から拠出することになった。これは、韓国側からすれば「事実上の国家賠償」と説明しうるものである。

かつて、村山政権が取り組んだ「アジア女性基金」は、韓国側世論が反発して解決をみなかったが、この合意内容をみれば、「基金」という枠組みは歴史的に改めて評価の対象になろう。この「基金」においては民間からの寄付という形をとり、それが批判の材料にもなったが、今回そこが国費という形に変わっている。ただ、日本側説明では「賠償」ではなく、韓国側設立の財団への拠出という形で「人道支援」であるということになった。日韓基本条約の「請求権」問題をそういう形で処理したのである。ただ、本当に「解決」となるには、元慰安婦や支援団体の理解も得なければならないし、双方のナショナリズム的な世論も警戒せねばならないだろう。

この問題に限ったことではないが、戦後処理の問題において、日本は極めて不十分な対応をしてきた。70年たってしまった今、どんな対応をしたところで「遅きに失した」ことに変わりはない。とはいえ、今できる最善の「償い」に取り組むことには意味がある。何もしないよりは、いい。当事者が決して納得いかないにしても、何等かの形がとられれば、区切りをつけることはできる。そんな合意であることを願う。

もちろん、慰安婦問題をめぐる史実をしっかり後世に伝え、歴史研究を進めることに終わりはない。忘れてしまっていい、という話でもない。また、韓国との歴史認識・戦後補償問題がすべて解決したわけでもない。ナショナリスティックな議論に振り回されて、後戻りすることは、それこそもう終わりにせねばならない。





ktu2003 at 19:20コメント(2)トラックバック(4)国内ニュース  

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1. 日韓 「慰安婦問題」 解決?!  [ 王様の耳はロバの耳 ]   2015年12月29日 08:11
【「慰安婦」日韓合意】「最終的で不可逆的に解決」確認 元慰安婦支援で韓国新財団に10億円 昨日28日訪韓した岸田外相と韓国のユン外相が「慰安婦問題」について共同記者会見して合意内容を公表しました。 しかしこの合意に「合意文章」が無いそうです。 したがって...
2. 慰安婦問題の合意  [ 反戦塾 ]   2015年12月29日 13:20
 日韓の慰安婦問題妥協が押し詰まった本年最後の大ニュースのようだ。  こういったことで「勝った、負けた」を言ってはならない。国家間・民族間で勝ち負けを言っていい
3. 玉虫色  [ 落ちこぼれのつぶやき ]   2015年12月29日 23:19
【「慰安婦」日韓合意】「最終的で不可逆的に解決」確認 元慰安婦支援で韓国新財団に10億円 合意しても文章にできなかったのなら近い将来韓国側の政権がかわったらまたぞろ課題として登場してくるでしょうね。残念ながら そう感じます。
4. ネトウヨ涙目だろうが、「慰安婦和解」は不充分すぎる!  [ たたかうあるみさんのブログ ]   2015年12月31日 14:14
年末の慌ただしい中、安倍総理は急遽、岸田外務大臣を訪韓させ、いわゆる「従軍慰安婦

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1. Posted by あるみさん   2015年12月31日 14:19
いつも拙ブログへの関連記事へのTB、ありがとうございます。
私の意見は、TB返しをしたブログの通りです「当事者」を無視した「政治合意」など、本来の解決にはなりません…もちろん、最終解決にも…
実際、「合意」から2日たった本日でも、韓国では「不支持」の世論が上がっています。
2. Posted by 虎哲   2015年12月31日 14:53
ありがとうございます。
ご意見のとおり、当事者を無視した交渉や解決はあり得ないと思います。しかしながら、まったく「評価」に値しない内容でもないという感想もあります。
・日本の情勢を考えると、「謝罪と賠償」に真摯な政権が近い将来に生まれる可能性は極めて低い。これは国民の問題だが・・・
・元慰安婦の方々が高齢化し、「解決」自体は急がねばならないこと。
・日韓関係そのものにかなり悪影響が出ているということ。

こうしたことを考えると、ともかく「枠組み」を一つ作ったことは評価できると思います。

当事者と日本側の「代表」の接触が欠けているのは最大の問題点です。これからはそこが大事でしょう。もちろん、首相が真摯な言葉とともに面会するのが最善ですが。

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