2018年04月22日

♯Metooの日本的展開〜「女性活躍社会」?〜

テレビ朝日は19日、財務省の福田淳一事務次官を取材した女性社員がセクハラの被害を受けたとして、同省に抗議文を提出した。福田氏は同日、改めてセクハラを否定。財務省は調査を続け、テレ朝から聞き取りもする方針を示した(朝日新聞)。

福田氏からセクハラ被害を受けたと訴えているのがテレビ朝日の記者だったことがわかって、新たな波紋が広がっている。1年半にわたってのやり取りの中だということで、ある意味では「女性」であることを武器にした取材だったのではないか?という勘繰りが広がった。そして記者の訴えを当初上司が取り上げず、週刊誌に情報が持ち込まれたこともわかってきた。問題は深刻である。

公的関係と私的関係の線引き。取材をどの程度許すかの裁量。もしセクハラのリスクを考えるなら、女性記者を取材現場から外すという動きが起こりかねない。あるいは女性記者の取材には応じないなど。すでにそれに近い動きが起きているともいう。本末転倒な話である。「女性活躍」社会というが、政治や経済の中枢、さらにマスメディアでも圧倒的な男性優位は変わっていない。その中で女性が我慢を強いられるという構図は、実は与党も野党もない。もっともこの問題で発言している政治家が野田総務相である、というところに現れている。彼女こそ、自民党という男性優位社会の牙城で厳しい戦いを続けてきたのだ。

「女性活躍社会」は安倍政権の掲げたスローガンである。女性の社会進出、などというテーマは大昔から語られ、そのことを総論で反対する人は誰もいない。男女が一緒に社会で活動するのは当たり前になっている。これまでの「女性の社会進出」は、男性と同じ場所で働き、あるいは同じ待遇で扱われることを中心に進められてきた。だがそれでは無理が生じることがわかってきた。様々な制度や考え方が、男性であることを前提に組み立てられてきたからだ。さらに、男女が一緒の場にいることで性的な言動や接触が問題になることが増えた。

セクシャル・ハラスメントは、「性的嫌がらせ」と日本語が当てられているが、性的な嫌がらせだけなら糾弾や拒否すればいい。そこに権力関係や上下関係が入ってくるので、問題が複雑化する。上司と部下、先輩と後輩、監督と選手。多くはパワーハラスメントも伴っている。上のポジションにいるのは男性が多い。そしてそういう男性は、かつての男性優位時代に成長し、出世した。意識を変えるのは難しい。

相撲の「女人禁制」問題、女子レスリングの「パワハラ」、さらに芸能界での契約トラブルも女性タレントが圧倒的に多く、そこに多く性的な問題が絡むといわれる。これらの問題ももとは同根だろう。「女性活躍社会」を実のあるものにするには、数として女性が活躍しているというだけではなく、制度や意識改革がもっと必要になってくる。欧米ですらまだ♯Metoo運動が必要なのだ。ましてや日本は。




ktu2003 at 09:33コメント(0)国内ニュース  

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