国内ニュース

2019年07月04日

参院選が4日、公示された。受け付け開始の午前8時半には、各地の選挙管理委員会で陣営関係者が立候補を届け出た。21日の投票日に向けた選挙戦が始まった。(朝日新聞)

一時は衆議院との同日選もささやかれたが、結局は通常選挙になった。
大きな争点はない。安倍首相は憲法改正を強調するが、実際には年金はじめ生活、経済問題への関心が高い。
6年前は自民党が圧勝して改選過半数を確保している。だがこれは民進党はじめ対抗する野党がばらばらな状態だった。したがって、1人区で野党がすべて1本化している今回は、それほど勝つことはないだろう。与党側にとっては守りの選挙になる。また、憲法改正発議に必要な3分の2の議席確保も、自公プラス維新とその他を合わせて考えると、ほぼ不可能な数字だという。
一方野党も、3年前の野党共闘時代に比べ、民進党が分裂し立憲民主党と国民民主党に分かれた。この競合が複数区で起きており、共倒れの危険もあるし、比例代表でも競合してしまう。こうした中では、与党側に大きなダメージを与えるのも難しいだろう。

そんな中で、今回は諸派とされる政党が久々に存在感を見せている。NHKから国民を守る党は、統一地方選での躍進の余勢をかって、全国の選挙区に候補者を立てた。選挙区の候補者はなんと自民党に次ぐ多さである。NHKへの不満票がどれくらいあるのかはかれるし、NHK政見放送でNHK批判を存分に展開するという珍しい絵が観られるのは面白い。同じく地方で進出している幸福実現党も、議席確保は難しいだろうがどれくらい得票するかはみどころである。
山本太郎氏率いるれいわ新選組が話題を集めている。個性的な候補者を集め、自身も比例区に転身し、特別枠を他の候補者に割り当てた。あるいは左派票を食うともいわれている。

争点は見えづらいが、それなりに基準を探して、投票するしかない。




ktu2003 at 23:25コメント(0) 

2019年06月11日

麻生太郎金融担当相は11日の閣議後の記者会見で、老後の生活費が2千万円必要だと明記した金融庁の報告書について、「正式な報告書としては受け取らない」と述べ、受理しない考えを明らかにした(朝日新聞)。

首相諮問機関の報告書を、政府が拒絶するという前代未聞の出来事である。盤石に見える安倍政権にとって、年金問題は第1次政権の悪夢がよみがえる。さっそく野党が追及材料にしており、政府・自民党は火消しに必死だが、国民の生活実感からすれば、報告書は偽らざる実態を明らかにしたと受け取れるかもしれない。

年金の額だけでは、現実問題として老後を豊かに暮らせない。これは広くいきわたった現実であり、実際には一定の貯蓄をして乗り切っているのである。そして、年金受給年齢がどんどんあがったり、定年が伸びたりしている現状、さらに少子高齢化が進む将来を考えるなら、報告書はまったくまっとうなことを言っている。ただ問題は、年金だけでは老後やっていけない、という現在の制度設計にある。「百年安心」などというこれまでの政府の主張は、信頼されているとは思えなかったが、それを政府機関自身が認めたというわけである。

より若い世代になれば、もっと年金額は減ると言われている。現役時代の収入に応じて年金額は決定されるから、収入が伸びない現状だと悲観的な将来設計になる。できるだけ貯蓄に走り、消費意欲は減退するだろう。いや、今まさにそういう時代になっているからこそ、消費が伸びない社会が到来しているのではないか。

そこで資産を運用することを呼びかけたりもするのだが、そんなリテラシーを持っている人がどれだけいるのか。来月に迫った参院選では、この問題は当然争点になる。そして野党もただ批判するだけではなく、あるべき制度設計を提示する必要がある。そのための選挙にしなければならない。

ktu2003 at 19:56コメント(0) 

2019年06月02日

自宅で長男(44)を刺したとして、警視庁は1日、東京都練馬区早宮4丁目、元農林水産事務次官の熊沢英昭容疑者(76)を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕し、発表した。(朝日新聞)

元官僚トップの殺人、というショッキングなニュースである。限られた情報だが長男は44歳にして無職。ネット社会の恐ろしいところ、というべきか、彼はゲームの世界ではかなり知られた存在だったようである。名前を出してツイッターもやっていた。どうやらゲームの世界にはまり、抜け出せなくなっていたようだ。
社会のトップにまで出世した人物が、家庭内に大きな問題を抱えていて、その決着をつけるために殺人を犯した、というストーリーができてしまう。

先日の川崎の通り魔事件では、容疑者が長年引きこもっていたことが明らかとなり、当事者団体から報道のあり方について懸念を示す声明が出ている。中高年世代になっても引きこもっている人が数十万人いるということが伝えられているが、彼らが「犯罪者予備軍」であるかのように伝えているメディアもある。いうまでもなく、大半の人はそんなことはない。大阪の宅間元死刑囚も、秋葉原の加藤死刑囚も、「引きこもり」などではなかった。原因を「そこ」に求めてはいけないのだろう。

川崎の事件の容疑者は、両親の離婚後どちらにも引き取られず、伯父夫婦と生活していたが、中学を卒業後はほぼ社会との接点がなかった。ネットや携帯すら扱っていなかった。同居していた伯父夫婦も顔を合わせずに生活しており、現在の顔はわからなかったほどである。行政に相談はしていたようだが、具体的な対策がとられることはなかった。もちろん、殺人や自殺を計画していたとしてもわかるはずがない。
今回の殺人事件の被害者となった長男は、大学院まで出た高学歴だが、就職はできなかったのだろう。ネットゲームに場を求めたのだろうか。「引きこもり」だとしても、前者とはかなり違う。

現在の40〜50代は20代で平成不況に突入し、いわば「割を食った」世代である。団塊の世代の子供たちで、人口も多かった。しかしこの世代の苦境によって、少子化が決定的に進み、社会保障の今後にも不安が出ている。政府もこの世代に対する「失敗」を認めて、つい最近対策を打ち出したばかりだ。だが巻き返すのは相当難しいだろう。中でも「引きこもり」とされる人々の場合、親がすでに高齢となっており、その死後はどうするか、がいよいよ差し迫った問題となってきた。もちろん就労を促すのも一つの方法だが、みんながうまくいくわけではない。生活保護や他の手段、「就労」といっても様々な形態を含め、一つの答えを求めないことが重要だろう。


ktu2003 at 08:29コメント(0) 

2019年05月28日

 28日午前7時45分ごろ、川崎市多摩区登戸新町で「路上で小学生が刺された」と119番通報があった。神奈川県警によると、小学6年生の女児と39歳の男性が死亡、十数人が負傷し、小学生2人と40代の女性の計3人が重傷。(朝日新聞)

凄惨な事件が起きてしまった。このところ子供が交通事故に巻き込まれることが相次いでいたが、今度は通り魔である。犯人も自殺を図って死亡したので動機などの解明は難しくなってしまった。だが、狙ったのが私立小学校のスクールバスを待つ列であったことを考えると、特定の人物や集団というよりは、社会一般にたいする、あるいは自分自身の境遇に関する不満をぶつけ、その上で自殺するというところまで計画していたとみるべきだろうか。

こういう犯罪を防ぐのは、現実的には極めて難しい。思想的背景でもあれば別にして、個人としてよからぬことを考えていてもそれを読み解くのは家族でも難しい。また、学校のセキュリティーという問題を考えても、学校の敷地外でバスを待っていたのであるから、天下の往来である。そこに刃物を持った人間が襲ってくるのを想定して対策を立てるというのは、現実的ではない。

殺人事件自体は年々日本では減っている。社会は安全になっているが、セキュリティーが向上したことによって思いとどまる人間が増大した分、それでもやってしまう人間の所業がより残虐になる一面はあるのではないか。より治安の悪い時代なら、もっと程度の低い罪を犯したであろう人間が、セキュリティーをすり抜けやすいターゲットを選んで大きな罪を犯すのである。

究極的には、登下校の時間を中心に保護者や地域住民の目がより行き届くような空間づくりをするよりほかない。

ktu2003 at 19:11コメント(0) 

2019年05月14日

 日本維新の会は14日、丸山穂高衆院議員(大阪19区)が提出した離党届を受理せず、除名処分とした。丸山氏は11日、北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として国後島を訪れた際の懇談会で、団長の元島民に対し酒に酔った状態で「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと大声で質問した。(朝日新聞)

与党に近い野党ということで、政権の外交政策にも影響を与えかねない失言をかばうことはしなかった。日本の国是は「戦争放棄」である。国際紛争を解決する手段としては戦争しない。この点については安倍政権ですら、条文には手をつけないことになっている。この国是に反する発言を、戦争の惨禍にいまだ苦しむ人々に対して投げつけた。酔った上、とはいえそういうときに本心は出るものだ。東大を出て中央官僚になった人物でもこの通りである。ビザなし渡航という、日露の友好を深めている最中の発言というのも印象が悪い。日本の政治家はそう考えているのか、とロシア側に伝わった影響は、小さくはないだろう。

この丸山氏は足立康史氏と並び、維新の中では放言・妄言の多い人物だ。過去には酒でトラブルを起こしたこともあるし、橋下徹氏とも言い争ったことがある。そういう前科を踏まえると、今回はもうアウトだと党も判断したのであろう。

それにしても「戦争」というワードに対してこのように軽はずみな発言をしそうな政治家は、結構たくさんいる気もする。世代が移り変わったら戦争してしまう、というのなら、定期的に人間社会は戦争をする宿命なのか。そうではないと思いたい。

ktu2003 at 21:16コメント(0) 

2019年04月22日

とりあえず選挙について書いておこう。
衆議院補欠選挙は、大阪で維新、沖縄で野党共闘の候補が勝ち、与党は2敗となった。第2次安倍政権発足後、候補者を立てた補選での敗戦は初めてだと言う。沖縄に関してはほぼあきらめた状態、大阪も維新に対して官邸がいい関係、というのでは、力は入らなかったとはいえる。ただ、沖縄はともかく大阪は自民党議員死去に伴うものなので、そこでの1議席を他党に渡すとなると好ましくない。

安倍政権は野党が弱体なので安定しているが、支持が固いわけではないということだ。

さて地方はどうかというと、相変わらず投票率が低い状況。市町村・特別区議会ともに、女性当選者は過去最多になったという話だが、わずかな増加である。目を見張ったのが、諸派に分類される幸福実現党やNHKから国民を守る党が、ともに各地で当選者を出し、大幅に議員数を増やした点だ。ともに主義主張は右派的で、かなり危ない人物もいるらしいが、保守層や野党への不満層の一定の受け皿にはなっているようだ。国政となると力からいって難しいが、地方で基盤を築けば今後はわからない。

泡沫候補として知られたマック赤坂氏が、ついに港区議に当選した。継続は力なり。知名度があって、奇天烈であっても主義主張がある。こういう候補者なら当選もありうるということだ。地方では政治家のなりてがない。もちろん人物を見極めねばならないとはいえ、政治の世界で自分の実現したいことがある、というその志は、大事にしなければならないだろう。

ktu2003 at 19:32コメント(0) 

2019年04月10日

桜田義孝五輪相は10日夜、東日本大震災で被災した岩手県出身の自民党衆院議員のパーティーであいさつし、議員の名前を挙げ「復興以上に大事」などと発言した。その後、記者団に釈明したが、被災地軽視と言える発言の責任を取り、辞表を提出した(朝日新聞)。

まさか「いしまき」の言い間違いで辞めるわけはないと思っていたら、今日も失言をしていたわけである。しかももはやかばいようのない内容だった。このパターンは今村復興相のときと同じである。
桜田氏については昨年10月の任命当時から、「問題がある人物」と当ブログでも指摘しておいた。そのとおりというか、大臣としての資質を疑う言動が続いた。
2月の池江璃花子選手の白血病公表に関する「がっかり」発言には大きな批判が起こった。このときの辞任要求は拒絶したが、こういう人物は治らずに繰り返し失言してしまう。

さきに塚田国土交通副大臣が「忖度」発言で辞任に追い込まれた。それに続いての辞任ということで、盤石にみえる安倍政権へもさすがに打撃になるだろう。そしてこれらの問題発言が二階派や麻生派の議員から出ているというのは、果たして偶然なのであろうか?

その二階氏や麻生氏も地元で敗退し、政治力の低下が語られ始めている。自派の議員がこのような形で役職を辞めていくことは、当然彼らにとっても打撃になる。とはいえ安倍首相自身が、彼らに頼る形で政権運営をしてきた。菅官房長官一派がやはり浮上するのだろうか。

しかし震災復興がらみでどうしてこんなに失言が続発するのか。政治家にとって東日本大震災からの復興というのは、すでに重視すべき対象ではなくなっているという認識が、無意識にであれ広がっていると見ざるを得ない。



ktu2003 at 21:24コメント(0) 

2019年04月08日

統一地方選の前半戦となる、道府県知事選・道府県議会選・政令市長選・市議選が行われた。
もっとも注目されたのは大阪都構想が争点となった大阪府知事・市長選。いずれも維新陣営が勝利し、都構想に向けて前進となった。大阪では府議選と大阪市長選でも維新が議席を伸ばしている。

このほかの知事選・市長選は多くが無風だったが、与野党対決となった北海道は与党勝利、保守分裂となったところは島根・福岡で中央の推薦候補が敗れた。また現職では福井県と相模原市で現職が敗退している。

道府県議選では無投票当選が過去最多となるなど盛り上がりを欠いた。そして投票率も多くの地域で過去最低を更新。全国投票率も過去最低だった。そんな中自民党は議席を伸ばし、初陣の立憲民主党は現有増、国民民主党は大きく後退。公明は現状維持で共産は退潮、という結果だった。政令市も傾向は似ている。

与野党対決というには、あまりにも野党の存在感がない。そのため保守分裂が各所で発生して、そこが一番盛り上がるということになった。大阪も一種そういうところがある。その分裂したところの一方につくという形でしか、野党は存在しえなかった。だから議会選でも低迷するのは当たり前だが、議席を伸ばした自民党とて、喜べる話ではなかった。

大阪では維新の会が、その実績を高く評価されている。このため、反対する自民党が「野党」として「対案がない」という批判にさらされる。国政野党と同様だ。東京や名古屋でも起こったことだが、保守系の対抗勢力が出てくると、大きく勢力をそがれてしまうのが今の自民党である。「保守」の組織が都市部ではかなり流動化しているのだ。また、麻生財務相の地元・福岡、竹下亘氏の地元・島根で中央の意向が通らず、二階幹事長の地元では系列県議が共産党候補に敗れている。「古い自民党」が拒否されている動きがみえるのだ。彼らはいずれも高齢や病気を抱えており、安倍政権が続くにしてもその中での力学は間もなく変わってくるのではないか。

全国の議会選挙を眺めてみると、与党であれ野党であれ、若くていきのいい候補が求められていることがわかる。高齢・多選の現職が敗れている。そして女性当選者は、遅々とした歩みながらも今回過去最多を記録し、ようやく全体の1割まで到達した。世界の流れからは大きく立ち遅れているが、それでも変化はしている。議会全体の勢力は大きく変化していないが、こうした小さな変化こそが次への糧となる。あとにひかえる市町村の選挙も同じである。


ktu2003 at 19:02コメント(0) 

2019年04月01日

菅義偉官房長官は1日午前11時40分ごろ、首相官邸で記者会見し、新しい元号は「令和(れいわ)」と発表した。典拠は奈良時代に完成した日本に現存する最古の歌集「万葉集」。日本で記された国書に由来する元号は確認できる限り初めてとなる。(朝日新聞)

何もそこまで各テレビ局が特番を組むこともないのではないか、と思ってしまったが、私自身新元号を知ったのはネット中継である。首相官邸も配信していたというし、街の人もスマホで知った人がけっこう多いのではないか。そのあたりにも、時代の変化はうかがえる。

予想されていたように、過去の元号で頻繁に使われた字と、まったく使われていない字。この組み合わせだった。「平成」もそうだったのである。ただ、「令」の字を予想した人はかなり少なそうである。というのは、「令」の時から持つイメージは「命令」「法令」などというような高圧的なものだからだ。

ところが示された典拠によると、「令月」という「良い月、めでたい月」という言葉からとっている。なるほど「令嬢」「令息」など、良い意味で使われることもある。しかし一般的によく使うという言葉でもないし、堅いイメージはある。「和」は昭和でなじんでいるように、有識者を含めて元号に使う漢字として違和感がなかったのだろう。

平成のときとの比較でいうと、天皇の死による改元でなかったので、予想がいろいろ飛び交ったりしてにぎやかだった印象だ。ただ実際の決定の仕方は、学者による原案・有識者懇談会での議論・閣僚会議、ということであまり変わっていない。有識者懇談会のメンバーについては、平成のときはマスコミ関係3名、理系・文系の学者1名ずつ、大学の学長2名、女性団体代表、というものだった。これが今回は、マスコミ3名は変わらず、元学長1名、理系の学者1名、財界代表1名、法曹代表1名、女性作家と元キャスターの女性2名だった。平成のときに比べると学術系の代表が減り、実務者と女性が増えたということで、この点は世の中の感覚を幅広くとろうという人選になっている。

そして典拠として示されたのは「万葉集」だった。日本古典からとられたのは確認される限りでは初めてだという。この点については、政権の意向があったかもしれない。どのみち前近代の文献で中国の影響から逃れるのは無理だが、「万葉集」は貴族から庶民までの歌を収録しているという点で「国民的」を演出するには悪くない選定だろう。

さて、元号についてだが、今後公文書も含め、事務的な部分では利用は減らざるを得ないと思う。コンピューターの普及や、外国人の増加など世界共通のものが便利な場面は増えるからだ。一方で、天皇や戦争などの歴史と結びつけることの少ない若い世代にあっては、ある種の記号や時代の呼称などとして、ファッション的に元号を使うことになっていきそうである。

ktu2003 at 18:56コメント(0) 

2019年03月30日

 統一地方選前半戦の41道府県議選と17政令指定市議選が29日午前、一斉に告示された。夏の参院選での政治決戦に向け、与野党は地方議員の議席を確保して支持基盤を広げたい考え。(朝日新聞)

選挙を盛り上げようにも、候補者がいない。
市町村議会では議員のなり手不足が問題になっているが、県議会レベルでも厳しくなってきている。

いろんな要因が指摘されている。
・野党の弱体化
旧民進党が分裂し、立憲民主党と国民民主党になったが、擁立自体が難しくなっているようだ。また、共産党や社民党といった左派政党は資金力・人材が衰退しており、維新や希望の党など第三極といわれる勢力も候補を絞り込んでいる。

・地域社会の衰退、高齢化
現職議員が引退したあとの後継者を探すのすら苦労している状況では、選挙戦になどなるはずがない。人口減少や、市町村合併による地方議員の減少も要因としてある。

・政治自体への関心の低下
投票率は一貫して下がっており、また長い経済の低迷が続く中で、政治的な実績が挙げにくく、有権者に活躍が示しづらいというのもある。さらに市町村議ほど身近でないという声もある。

なり手がいないのなら定数を減らす、というのが一つの方策ではある。ただ、これも時間が過ぎるとその減った定数に合うような人選になってしまうし、そもそも、「議員が減る」ことが本当にいいことなのだろうか?もちろん数が多くなれば変な議員が増えるのは確率論的に仕方ないのだが、少なくなればより多様な意見を拾えなくなる。
無投票になっている県議選の選挙区をみると、1人区が多い。保守系の現職が地盤を築くと、対抗馬が出づらくなるのである。そして多様な意見は封じられる。1人区は小選挙区だから、大政党・与党に基本的には有利になる。

「県議は身近でない」という声があるのだとすると、すでに提言されているように、比例代表制を導入するというのも手だろう。そもそも無投票はなくなるし、市町村議との役割分担からいっても、県議には県全体のことを考えてもらうように仕向けることもできよう。女性や新人の擁立もしやすい。

選挙区の区割りも見直したほうがいい。今は都市部にかなり偏った配分で、田舎の選挙区が定数1、というケースが多い。これを、都市部ではもう少し細かく区割りする一方、地方は統合して定数を複数にする。かつての衆議院の中選挙区のイメージだ。

政治への関心が低下し、議員との意識の乖離が進むと、結局は政策や条例への理解が進まず、協力も得にくくなる。今の日本の停滞は、一つにはそういった事態が進んでいることの現れだと思う。


ktu2003 at 09:49コメント(0) 

2019年02月25日

沖縄県民投票は24日、投開票され、県内の41市町村すべてで、埋め立てに「反対」が最多となった。投票率は52・48%だった。(朝日新聞)

この結果をどう評価すべきか。
法的拘束力がなく、国の決めたことだから意味がない、という見方もある。意思表示をすることが大事だという意見もある。それぞれに理はあろう。私は、結果として辺野古に新基地が建設されたとしても、それが「県民の反対にもかかわらず」という但し書きをつけうる事実が残されたことが重要だと考えている。安倍政権がそういう政権だったことを、歴史に記録することができる。安倍政権は長期政権にはなったが、その評価を後世なすときに、これは肯定的なものとならないだろう。

投票率52%は低いと感じられる。ただ、もともと沖縄県は選挙の投票率は低い地域。しかも政権与党は積極的に投票呼びかけをしなかった。無関心層がもともと多いことに加え、政権支持層、さらに住民投票自体に反対する層もいただろう。そう考えれば悪い数字というわけでもない。
すべての市町村で反対が多数だったことも注目してよい。当初投票参加を渋った地域や、普天間を抱える宜野湾市も反対多数だったのだ。また、政権支持層であっても投票に行った人のかなりが反対票を投じている。
安倍政権がかたくなな姿勢を続けるなら、賛否よりもその手法に反発する層も出てくるだろう。保守の翁長前知事の姿勢は、その結果ではなかったのか。

基地建設そのものの費用が当初見通しよりかなりはね上がることも明らかになってきた。地盤の不安があるという。設備として適切なものができない可能性もある。工期が長引けばその間に世界の情勢も変わる。米軍の配備計画とてどうなるかわからない。撤回しないにしても、一度立ち止まって対話を始める選択はあり得ないのだろうか。


ktu2003 at 19:41コメント(0) 

2019年02月19日

衆院予算委員会は18日、統計問題をテーマに集中審議をした。賃金の動向を示す「毎月勤労統計」の調査手法の変更について、厚生労働省に「問題意識」を伝えた元首相秘書官は「私個人の考え。首相の指示ではない」と答弁。安倍晋三首相も自身の関与は否定したものの、「問題意識は当然」と元秘書官を擁護した。(朝日新聞)

安倍政権の支持率が大きく下がっていないとか政権時代の野党にも責任があるとか、そういう議論の問題ではない。日本政府がこの国を「統治」するに足る力があるかの問題である。
実際に統計を担当するのは官僚。その現場責任者が責任を問われるのは当然だが、なぜそのようなことが起こり、そして長年にわたり放置されたのか、是正されなかったのか。「政権の意向」だったとすれば論外の話だが、そうでなかったとしても深刻である。

行政は日々様々な統計を根拠に政策を立案し、実行している。政策の正しさを担保するのも統計である。国会でもいろんな統計をもとに議論しているはずだ。しかし統計に疑義が出てくると、議論の前提が崩れてしまう。この国を、社会を運営する上での基盤が崩れるということでもある。与党も野党もない。

統計がずさんだったから戦争をやり、負けてしまった。吉田茂がGHQに語った故事が紹介されていたが、当時の日本が統計の技術的なミスをしたわけではない。軍や戦争推進派による恣意的な数字が横行していたのである。辻褄を合わせ、戦争を正当化した。しかし現実をそれでごまかすことはできず、日本の歴史上最悪の悲劇を招いたのはつい70年ほど前である。

確かに不正があったことそのものについては、安倍政権「だけ」の責任ではない。しかし安倍政権「も」責任の一端を負うし、事実関係をきちんと明らかにすることについては、現政権にいうまでもなく責任があるのであって、野党に転嫁できない話だ。問題をうやむやにするのなら、現政権の失政になるだろう。

そして安倍政権のもとでは、公文書なりデータなりといった、政策を考える上での基礎的な記録に関する不祥事が多すぎる。昔からそうだったのが今たまたま明らかになっているのか、現政権のもとでゆがみが露骨になり、表に出てきているんではないのか。私は後者のような気がするのだ。あまりに安倍政権が「権力」の行使について無頓着な振舞いをしていることが、諸々の問題に結びついているようにみえる。


ktu2003 at 21:33コメント(0) 

2019年02月07日

全国の警察が昨年1年間に認知(把握)した刑法犯は81万7445件(暫定値)で、前年を10・7%下回った、と警察庁が7日発表した。戦後最少を4年続けて更新した(朝日新聞)。

いいニュースはちゃんと受け止めないといけないし、また犯罪の傾向がどう変わっているかもみておかねばならない。毎日ニュースで犯罪が伝えられるので、実感とはかけ離れる部分もあるが、ふと考えてみると、近年は昔よく聞いた犯罪のニュースを聞かなくなっている。

たとえば銀行強盗だったり、身代金目的誘拐だったり。暴力団員も年々減少しているから、暴力団の犯罪も減っている。かつて大阪などは「ひったくり」が全国一、なんて言われたがそんなこともなくなり、件数は激減している。すなわち、全体の7割を占めるという窃盗事件が大きく減っているのである。殺人・窃盗については戦後最少の件数になった。

戦後のピークは2002年だった。90年代、日本が長期の不況に突入したことと関係して、犯罪が激増した。そのころは、治安の悪化とともに検挙率も急激に低下。社会不安さえささやかれた。しかし、各種の防犯システムが整備されていったのもこの時代である。防犯カメラがそこらじゅうに設置されるようになった。オートロックのマンションも当たり前になり、自動車や住宅の防犯システムも広く普及している。地域住民が防犯活動に取り組むことも多くなった。街中で犯罪を犯すのは、かなり難しくなっている。「治安」という意味では、日本は世界一を維持しているといってもいいだろう。
また、犯罪捜査も進歩しており、DNA鑑定や携帯の追跡などもできるし、ドライブレコーダーが普及してひき逃げなども逃亡しにくくなった。

少子高齢化社会ももちろん影響している。年を取れば、犯罪者も体力がなくなる。若者が減って、荒っぽい犯罪が減る。少年犯罪もひところ騒がれたが、件数自体はどんどん減っているのである。

では今の犯罪はどうなっているのか。たとえば児童虐待やDVなどが増えているというように、家庭内や親しい間柄で行われる犯罪は増え続けている。多分にこれは認識の変化とみることができよう。また、詐欺やサイバー犯罪など、ネット上での活動による犯罪は高どまりしている。全体に、街中ではなく室内での犯罪が増えているということになる。

これからは、より狭い人間関係や密室、ネットという狭くて広大な仮想空間の世界が、犯罪の主な舞台となるだろう。とはいえ社会が変化すれば動向はわからなくなる。格差拡大・外国人の増加・ドローン、自動運転、AIなど新たな技術の普及が与える影響もあろう。



ktu2003 at 19:21コメント(0) 

2019年02月06日

「暴力を止めてほしかった」――。千葉県野田市のマンションで小学4年の栗原心愛(みあ)さん(10)が死亡した事件で、父親の勇一郎容疑者(41)の共犯として母親のなぎさ容疑者(31)が傷害の疑いで県警に4日逮捕された。(朝日新聞)

この事件に関しては、相当な報道量がある。昨年、悲劇的なノートを残した5歳の女の子の事例があったが、それ以来であろう。
小学校4年生だから、意思を自分で表現することができる。現に、様々な機会に発信していた。しかし、結果的には周りがそれを受け止めきれなかったのである。女の子が答えたアンケートを父親に渡してしまった野田市教委の対応、リスク判断をあやまった柏児童相談所の対応にも批判が集まっている。

児童虐待は、ある日突然起きる事件ではない。日々の生活の中で積み重なっていくものであるし、エスカレートすれば、外からみてもわかる。だが、今回の場合も、両親はもちろん、学校・児童相談所・近所まで含め、大人に恵まれなかった。こうなってしまうと小学生ではどうにもならない。

ノートを残した女の子の死は昨年3月。これも父親の暴力だった。共通点が多い。一時保護があったこと、遠方に転居したことなどである。前者は、もともと問題がある家庭だとは認識されていたことを示すし、後者は学校や児童相談所の連携ミスを招きやすい。さらに父親が行政や学校に強い態度を取ったことも共通しているという。

対応の難しいケースというのは傾向が出てくるようだ。ならば、そういうケースについては特に注意を払うということが、関係機関には必要だろう。

格差社会の時代である。少子化の時代ではあるが、こうした事件が明るみに出ることは今後増えそうだ。収入の問題、社会的地位の問題、人間関係の問題。そうしたもろもろが折り重なって「家庭」を押しつぶす。




ktu2003 at 19:23コメント(0) 

2019年01月25日

沖縄県議会の自民党会派代表者は24日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非を問う県民投票不参加を表明している5市長について「県議会で(3択案が)全会一致で可決されれば、投票に参加すると確認できた」と明らかにした。(共同通信)

沖縄県民が改めて、基地問題に対して意思表示をする。これはたとえそこに法的拘束力がなくても、意味は間違いなくある。話をまとめるために、そこにいろんな打算や妥協があったとしても。

当初は知事と与党が強行突破をはかろうとしていた。たとえ不参加の自治体があっても、予定通りに、と。しかし5市が不参加表明をして、県民の3割(知事含む)が投票できなくなるとなれば、さすがに調整が入らざるを得なかった。そこで動いたのが公明党である。公明党は、沖縄県においては反辺野古の姿勢を貫きつつ、知事に対しては野党的立場にいる。公明党は選択肢を3択にする案を示した。当初与党側は反発したが、5市が3択なら姿勢を変える感触があるということで、容認に傾いていった。加えて知事自身もその考え方に乗った。

5市の姿勢はニュアンスが多少違う。いずれも保守系の市長であることは共通点だが、
石垣市と宮古市は離島であり、本島の基地問題に関しては当事者性が薄い。むしろ、国防の観点から中央との結びつきを強めている。また、歴史的に本島とのあいだにわだかまりがある。
宜野湾市はいうまでもなく、普天間基地を抱える。移転を最優先に考えてほしい、という姿勢がある。
うるま市と沖縄市は、議会が反対するからやむを得ない、という姿勢だった。投票のあり方が問題だ、ということだ。
そのあたりはしっかり見ておく必要がある。「反基地」だけが沖縄の「民意」ではない。とはいえ、ばらばらに県民が意思表示をしても、対立と分断がまた県に押し付けられるだけだ。

そして自民党は、投票の選択肢を増やすことを主張し続けていて、独自の3択案を持っていたが、これを引っ込め、「3択」になったことを評価したというわけだ。仲介に公明党が入っており、選挙協力を考えれば強硬姿勢を貫くのも得策ではなかった。自民党会派が投票に賛成したことで、保守系のおさえる各市も反対する理由がなくなった。

全県実施を求めるハンガーストライキや、訴訟の動きもあった。「意味がない」ということはないのである。何もしないで冷笑している人間より、やってみる人間のほうがえらい。

「国が決めることだから仕方ない」という姿勢で、近年の日本でどんなことが起きたか。それではだめなのである。意思をさまざまな形で示し続けることには、断固として意味がある。そうでなければ、起こってしまった出来事、未来に対して申し訳ない。そして、この問題は単なる「沖縄問題」ではないということを繰り返しておきたい。だからこそ、「法的拘束力がないから県民投票に意味はない」という議論にはまったく与しない。


ktu2003 at 11:18コメント(0) 

2019年01月23日

 秋篠宮家の長女眞子さま(27)との結婚が延期となっている小室圭さん(27)が22日、母親と元婚約相手の男性との金銭トラブルについて「解決済みと理解してきた」とする文書を、代理人弁護士を通じて公表した。(朝日新聞)

この話題には基本的にはふれないつもりだったのだけれど。

厳密にいえば小室氏本人の責任というよりは、親の責任に属する事柄である。400万というお金は大金ではあるが、皇室との縁ができるような家なら用立てできない金額とは思えない。ただ、事実として学費や生活費の援助を受けたということがあるのだから、法的には「借りた」ということにならなくても、世話にはなっている。そういうことへの感謝のコメントがあってもよかった。

当事者同士できちんと話し合いが行われていないようで、そんな状態のままなら皇室でなくとも、懸念はふくらむのではないだろうか。結婚すれば皇室の親族としての振舞いが、好まなくとも求められる。その前にいろいろきれいにしておくのは、礼儀だろう。

「彼女に迷惑はかけられない。」という発想には、ならないのだろうか。その発想があれば、おのずからとるべき行動も決まってくる。待たせるのは一番よくない。


ktu2003 at 22:05コメント(0) 

2018年12月29日

海上自衛隊のP1哨戒機が韓国海軍艦艇から射撃用の火器管制レーダーを受けたとされる問題で、防衛省は28日、哨戒機が撮影した当時の映像を公開した。(朝日新聞)

問題が沈静化するどころか、主張の応酬になっている。
「映像を公開」したことで「動かぬ証拠」を突き付けた狙いにしたいのだろうが、軍事情報を公開できる範囲には「限り」があるとしてしまうと、結局「編集されている」として水掛け論になるだけだ。防衛省は公開に慎重だったというが、首相の意向だと伝えられる。

確かに問題だが、内々に処理できない問題とまではいえないように思う。それがこじれているのは、慰安婦問題や徴用工問題など、韓国側への不信感の高まりが背景にあり、また拉致問題や歴史問題、ヘイトスピーチなど朝鮮半島との感情的な対立悪化が社会の中にあって、日本の強硬な姿勢が支持されているからだ。もちろん韓国の側にもいえる。ほんとうは拉致・核問題を考えれば韓国側とは協力関係を築いておきたいが、互いの不信感が降り積もっており、なかなか難しいだろう。首相の責任だけでないとはいえ、長期政権の中で政策転換ももはや難しい。

韓国軍の姿勢がかたくななのは、北朝鮮漁船の救助活動を日常的に行っていることを、知られたくなかったのではないか、という報道があるが、だとしても完全にその思惑が外れてしまっている。いずれにしろ映像と説明が食い違い、その説明も変遷していることを考えると、韓国側が分が悪い。

ともあれもともと中国・韓国に対して強硬気味の安倍政権と、左派を背景とする韓国の現政権は相性が悪く、しかも政治家同士のパイプも弱くなっている。こじれたときこそ真に話せる相手が必要だ。

それはそれとしても、安倍政権の外交はどこを向いても行き詰まりが目立つ。確かに「主張する外交」にはなっているのかもしれないが、それで事態がいい方向に進んでいるかといったらそうではない。そしてあまりそれが世論の支持にマイナスにならない以上、姿勢も変わらないだろう。前にも書いたが、少なくとも外交的行き詰まりを打破するためには、もはや長期政権はマイナスでしかない。


ktu2003 at 10:19コメント(0) 

2018年12月24日

政府は約30年ぶりの商業捕鯨の再開に向け、クジラ資源の管理を担う国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を早ければ25日にも決定し、その後表明する見通しだ。日本の国際機関脱退は戦後ほとんど例がなく極めて異例。国際社会から協調軽視との批判を浴びることは必至だ。(共同通信)

珍しく外交で自己主張する、というのがこういう形とは、少しさびしい。捕鯨に関しては長らく、「自然保護」と「食文化」との対立が続いてきた。日本は「調査捕鯨」という形でなんとか捕鯨を維持してきたが、その調査捕鯨もままならない中で、ついに強行手段に打って出たわけである。

世論の反発や懸念は少ない。クジラもいろんな種類があり、近年では増え過ぎたという指摘もある。そして、クジラをめぐる文化に対する「西洋の無理解」という枠組みもかなり定着した。グリーンピースがテロ的行為で調査捕鯨を妨害する様子も伝えられた。

しかしここで急に話が進んだのは、二階幹事長の地元や、安倍首相の地元と捕鯨が縁深いことも背景にあるのでは?とささやかれる。さもありなんだろう。また、この一事をもって国際社会で大きなダメージを受けることはない、という判断もある。もっとも、外務省の懸念を押し切る形のようだが。

ともかくこういった場合、日本は他の捕鯨国とどう連携を取れるのか。その戦略なしに、脱退して好きにやっていくにしてもいらぬ損をするだけだろう。また、商業捕鯨自体が今や商売としてどれほど有望なのかもわからない。そういう意味でいうと、上記のような「政治案件」だったとするならば心配である。

ktu2003 at 09:06コメント(0) 

2018年12月15日

果してそうなるのかどうかはまだわからない。
新天皇即位後の飛行機・新幹線移動について、貸し切りを止めることを皇太子が検討している、と伝えられている。
警備上の問題があって、一般客とは別の便を仕立てて移動していたが、経費がかかることを考慮してなのだという。
先日の秋篠宮の記者会見では、大嘗祭の費用についてかなり強い主張が行われた。来年の即位儀礼でも式や祝典での経費節減策が決まっている。これらはもちろん、天皇家の意向でもあるだろう。

新天皇が、現天皇と違う何を打ち出すのか。
平成の場合、昭和との違いは明確だった。戦前の大元帥時代をどうしても引きずりがちだった昭和に対し、現代的な天皇像を打ち出せばよかったからだ。しかしその課題は、次の天皇にとってはもう当たり前のこと。

新しい天皇家は天皇と皇嗣となる秋篠宮が中心になる。親子ではなく兄弟であるため、大きな家の方針などは共同で考えていくことになるだろう。そして、公務で動ける皇族はあとはすべて女性である。この事態はかなり困難である。ひとつの答えとなるのは、全体として活動の範囲を狭くし、諸経費を節減していく流れである。新天皇は即位時に59歳。活動を活発に展開できるのは多く見積もっても20年というところ。そのころ悠仁親王はまだ30代前半。とてもじゃないが、天皇・皇嗣の仕事を一手に引き受けるなどできない。つまり、よりつつましやかに、簡素にして、みんなの負担を減らす。もちろん、日本の財政事情の悪化も背景にある。

さきの秋篠宮の主張と合わせると、新たな方向性が見えてきたようである。トータルで、より一般社会に近づいていくということ。そうしなければ、悠仁親王の妃選びも難航するし、将来的な旧宮家復活が考えられるとしても、一般人化した彼らを迎え入れるのが極めて難しくなる。

ただ、天皇家がそう考えたとしても、宮内庁や、保守派がどう考えるかはわからない。そういう面での対立が、むしろ深まる可能性もある。



ktu2003 at 09:27コメント(0) 

2018年12月09日

 外国人労働者の受け入れ拡大に向けた改正出入国管理法(入管法)が、8日未明の参院本会議で採決され、自民、公明両党と日本維新の会、無所属クラブの賛成多数で可決、成立した。賛成161票、反対76票だった(朝日新聞)。

見出しに示したとおりである。すでに生活実感として感じられる。若い世代がどんどん減少している日本社会で、その穴を埋められるのは外国人の移民しかいない。そして、保守か革新か、あるいは民族主義かどうかではなく、資本主義が勝利する、というのも見立て通りである。

左右両側から批判がある。自民党は日本の治安や、伝統・慣習の維持という観点から。野党は外国人が底辺労働者化するという、人道的観点から。何せ法案の内容は在留資格だけで、実際にどういう人材を、どれくらいの人数受け入れるのか、待遇面の具体的な部分はこれから決めるというのだから大変だ。諸外国でもここまでいい加減な「移民受け入れ」はあり得ないだろう。

人手不足という現実は明確である。それを何とか乗り越えるため、現行の技能実習制度ではもう限界なので、新たな制度にしてほしい、というのが財界の要求で、それに政権がこたえたにすぎない。「外国人」を受け入れること自体について、実は社会的に反対は少ない。差別はいけないというのは、総論では賛成できる。だが自分の身近に入り込まれると困る。

欧米の移民をめぐる摩擦をみると、日本も早晩そうなるのではないかという、不安が募る。もちろん、海を隔てているという地理的条件や、日本語がかなりの障壁になるということ、さらに人口減少で経済の伸びがあまり期待できない、ということを考えると、大挙して移民が押し寄せることもにわかに想定しづらい。ほんとうに人がいなくなった地方よりも、職がある都会に行かれると人手不足も解消されない。

日本に主にやってくるのは中国や、東南アジア出身者だろう。彼らがやってくることによって、日本社会の雰囲気はどう変わるんだろうか。かつて「大東亜共栄圏」と称してアジア各地に出ていった日本人。逆の流れがこれから起きるんだろうか。

ktu2003 at 18:28コメント(0) 

2018年12月07日

水道事業を「民営化」しやすくする改正水道法が6日の衆院本会議で採決され、賛成多数で可決、成立した。水道の民営化をめぐっては、海外で水道料金の高騰や水質悪化などのトラブルが相次いでおり、野党側は「審議不十分」などと反発していた(朝日新聞)。

急に注目されたかのようにみえるが、大半の人が使用する水道だけに、その影響は注目度に比してきわめて大きい。
「民営化」とかっこがついているのは、海外事例のように完全に民間企業が水道事業を経営する、ということとは少し違うからだ。施設は自治体に所有権があり、経営にしても行政の監視機能はある。しかし運営面、実際に現場で携わる人は民間会社員の身分になる。
すでに下水道事業においては、宮城県でこの方式による運営が始まっている。しかし水道事業ではまだ例がない。

海外では民営化によって大幅な料金値上げが発生したり、水質悪化が問題になったりして、再び公営に戻した例があるという。その例をわずか3例しか厚生労働省が調べていないということで、問題になった。また結論ありきで、根拠がいい加減でも国会を通ってしまう現状が反映されてしまった。

もうかなり前から議論になっているはずだが、「民間」に任せればよくなる、という信仰のような議論はいつ収まるのだろうか?これはつまり、公的事業の「コスト」減らしが、政治的実績として評価されてしまう現代的風潮を背景としている。しかしその「コスト」減主義が、今やほんとうに必要な部分にまで及んできて、サービスの低下を招いているのではないか、という指摘はとみに言われるところである。

JR北海道の現状を見よう。民営化されて、よくなるどころか利益が上がらず、事業規模自体をますます縮小せざるを得なくなってきた。もちろん地域の発展にはつながらない。郵政事業を見よう。郵便事業は世の中の変化で利益が上がりにくくなり、窓口業務や配達体制の縮小が始まろうとしている。結局のところ、利益が上がらないところのシステムを切り捨てていく方向に行きがちだ。民間企業なら、それは合理的選択である。だが、利益が上がらなくても必要なシステム・事業はたくさんある。そして人々の生活に必要であれば、そこは公が責任を持って維持しなければならず、利益を上げるのが難しいなら人々の合意のもとで税金を投入しなければならない。

水道は必要性において、社会的合意をとるのは比較的容易なはずである。現状を丁寧に住民に説明して、理解を得る努力ができているか?大都市と地方でも状況は違うだろう。また、利益が上がらないからといって給水をやめる、というわけにはもちろんいかない。

「民間」なり「民営化」信仰をやめないと、あらゆる分野でかえって生活に困る事態が増えてくることを懸念している。




ktu2003 at 14:06コメント(0) 

2018年11月30日

 秋篠宮さまが30日の53歳の誕生日を前に紀子さまと記者会見し、天皇の代替わりに伴う皇室行事「大嘗祭(だいじょうさい)」について、「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」と述べ、政府は公費を支出するべきではないとの考えを示した。この考えを宮内庁長官らに伝えたが「聞く耳を持たなかった」といい、「非常に残念なことだった」と述べた。(朝日新聞)

生々しい声が出てきた。
平成の次の天皇、ならびに皇室はどのような「皇室像」を打ち出していくのだろうか。その一つを明確に示したといってもよい。すなわち、「もっと自由に発言する」ということである。秋篠宮はこれまでも、比較的自由な立場で発言をしてきたという印象がある。基本的に天皇にはならない、という前提があったからだ。現在は状況が変わり、次の次の天皇になる可能性が高まっているが、受けてきた教育や環境はそれを想定していなかった。

もちろん今回の発言については賛否両論がある。だがポイントとして、ではどこからどこまでの発言が皇族には許されるのか、そもそも「政治的発言」が許されないという現状がそれでいいのか?という疑問については、まったく議論されていない。彼らも日本社会で生きる人間である以上、何等かの政治的意見を表明すること自体が許されないとしたら、人権問題となるだろう。法で縛るのは無理がある。それとは別に、公の場で暴露する話だったのかどうか、言い方がどうかという点でいえば、宮内庁のメンツを完全につぶしたという点で問題があったかもしれない。

大嘗祭については平成のときにも訴訟案件になったりした。果たして国費を投入していいのかどうか、というのは政教分離の観点からみて、あるいは天皇家の私的な行事である側面からみて論争となった。秋篠宮のいう「私費」というのも実はもとの財源は税金である「内廷費」ではあるのだが。

このところ、天皇退位をめぐっても、眞子内親王の婚約問題をめぐっても、あるいは皇族の公務負担のあり方をめぐっても、皇族と宮内庁との間にいろんな対立があることが表面化してきている。かつては秘されていたことだが、今の時代完全に隠すのも難しいし、皇族の側もあえて発信しようとしている節がある。それは超保守の現政権が、皇室の今後のあり方を議論すること自体回避している現状に対する不満のようにも見える。


ktu2003 at 10:10コメント(0) 

2018年11月24日

 2025年国際博覧会(万博)が大阪市で開催されることが決まった。博覧会国際事務局(BIE)の総会が23日、パリで開かれ、BIE加盟国(170カ国)の代表による2回の投票で、日本がロシアとアゼルバイジャンを抑えた。(朝日新聞)

「夢よもう一度」はオリンピックに続いて、万博でも繰り返される。
これは前の東京オリンピック決定時にも書いたことだが、決定は世界で行われたものであるので、決まった以上は責任を持って成功に向けた努力をするべきである。

「オリンピック」を大義名分に、本当にやるべきかどうか疑問な政策が次々と行われているが、それが万博でも繰り返されるだろう。なるべくそれを少なくするための努力も必要である。

すでに東京では、オリンピックが迫る中で様々な問題点が浮上している。それらのいくつかは解決するだろうし、あるいはトラブルを抱えたまま見切り発車となるかもしれない。万博ではそうした問題点をなるべく少なくしたいものだ。

万博といえば、「愛・地球博」が2005年に開催されている。全体としては成功だったようだが、その後日本全体が活気に満ち溢れたかといえばそうでなかったことは現状が示すとおり。無事に、黒字を少しでも出せれば成功だと思ったほうがいい。過度な期待はしないことだ。時代が違う。

とはいえ、オリンピックが終わったら、と景気低迷を心配する声が多かった中で、ともかく次の万博という目標を設定できたことは、政財界にとっては幸いだろう。問題はそのスローガンに皆がついてきてくれるかどうかだが、オリンピックをめぐる現状をみると、なかなかそれは難しい。それだけ、日本の国力は落ちてきている。

政治的には、松井大阪府知事・吉村市長と大阪維新の会は大きな得点を挙げたといっていい。一方で、都構想に向けてはずみになるかといえばそう単純ではない。彼らにとって、無理をして都構想を推進しなくとも、政治的な実績は獲得できたということになる。「万博成功のために都構想」となるか、無理をせず大阪維新の会の勢力維持につとめるか。公明党の動きをにらみ、タイミングをはかりながらの展開になりそうである。

ktu2003 at 09:57コメント(0) 

2018年11月19日

日産自動車(本社・横浜市)の代表取締役会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が、自らの報酬を約50億円少なく有価証券報告書に記載した疑いがあるとして、東京地検特捜部は19日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで、ゴーン会長と同社代表取締役グレッグ・ケリー容疑者(62)を逮捕し、発表した。(朝日新聞)


突然のニュースだった。おそらく本人にとっても。
動きは素早い。会社側はゴーン氏らの「重大な不正」を指摘。会社の資金の私的流用もあったとすれば、背任や横領の疑いも出てくる。内部からの通報があって、数か月にわたり調査していたという。地検にリークしたうえで、会社としても調査を進めていたようだ。

ゴーン氏といえば、日本経済が大不況に陥った時代、その代表的企業であった日産に乗り込んで、大胆なコストカットを行って経営を立て直したことで知られる。時代を代表する人物だった。乗り込んでくる「外資」の象徴でもあった。フランス・ルノー社の副社長から、日産、そしてルノーのトップも兼務し、不祥事で傾いた三菱自動車を傘下に収めた。グループの売上台数は世界2位となっていた。ゴーン氏の年収は10億円程度と報告されているが、容疑によるとその倍はあるということだ。

会社は立ち直ったかもしれないが、多くの犠牲があったことも疑いない。日本社会のそこかしこでみられたであろう光景である。そして今回の経緯をみると、日産内部にも相当な不満が存在し、一種のクーデターが発生したという見方もできる。昨年起こった無資格者による完成検査問題のダメージも残る中、今度は会社のトップに不正が発覚したとなれば、会社の今後にも大きな影響がありそうだ。

一大自動車企業をたばねる人物がいなくなったら、果たしてひとつのまとまりでいけるのか。


ktu2003 at 21:35コメント(0) 

2018年11月16日

安倍晋三首相は14日、訪問先のシンガポールでロシアのプーチン大統領と会談し、1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させることで合意した。56年宣言は平和条約締結後に歯舞(はぼまい)群島、色丹(しこたん)島の2島を引き渡すと明記している。日本政府は従来、国後(くなしり)、択捉(えとろふ)の2島も含めた北方四島の一括返還を求めていたが、首相は今後の交渉で2島の先行返還を軸に進める方針に転換した。(朝日新聞)

北方領土については、日本側は長らく「4島一括」での返還を求めてきた。しかしそれでは話が先に進まないということで、事実上「4島一括」を放棄するということである。「2島先行」で最終的に4島返還にたどり着くならよい、という解釈だが、実際問題としてそういう話にはおそらくならないのだろうな、という推測も成り立つ。

平和的に領土がある国から他の国に移動することなど、常識的にいってなかなかない。アメリカが沖縄はじめ占領地を返還したのとはわけが違う。あくまでもその場合は軍事占領であり、軍隊以外は日本人の社会が存在していた。北方領土には今、日本人が誰もおらず、ロシア人の社会だけがある。日本の領土になったら、彼らはどうなるのか?この一事を考えるだけでも、相当な難題である。

ロシア側としては、日ソ共同宣言の有効性は認めている。平和条約を結ぶこともやぶさかではない。だが領土の移動となれば話は別だ。無条件というわけにはいかない。おそらく様々な条件をつけ、できるだけ引き延ばすだろう。そして日ソ宣言に基づいて「2島返還」となったとしても、それは「引き渡し」であって返還ではない、というだろう。すなわち不法占拠ではない、という立場だ。さらに国後・択捉の2島はロシア領として、最終決着をはかるだろう。その立場からいうと、今回日本が「4島一括論」を放棄したのは、重要な外交的成果といえる。

もう一つはアメリカの了解である。日ソ共同宣言後に日米安保の改定が行われ、当時のソ連側が猛反発して領土交渉はとん挫した。アメリカ軍の軍事拠点がおかれる可能性を、ソ連側は想定し、いまだにロシアも想定している。2島が日本のものとなれば、当然アメリカは対ロシアの軍事拠点を欲しがるだろう。それに抗することが、今の日本に可能だとは思えない。

さらに今のロシアをめぐる国際情勢のなかで、平和条約を結ぶこと自体、相当ハードルは高い。ウクライナ問題で欧米と対立している国との友好関係を深めるのは、欧米側の不信を招く可能性が大きい。ロシア国内でも、プーチン政権への支持率が低下していると伝えられる中、世論の支持を得られない領土返還に踏み切るとは、なかなか考えにくい。

現実問題、平和的に4島を返還するという未来が近い将来あるとは考えられない。そもそもロシアが不法占領だと思っていないものを、どうして他国に「返還」ということになるだろうか。さらに北方領土の旧住民も高齢化し、子孫は思い入れも薄れるだろう。何せ時間が経ち過ぎた。だからもし2島でも返還というところで話をまとめるなら、それは非常な外交的成果といえる。だが同時に、それで最終決着となっても仕方がない、という結論しかないかもしれない。

となるとあとは知恵の問題となる。領土自体は取り返せなくても、日本人が様々な形で北方領土とのかかわりを持てるようにする。経済特区のような形で、双方の利益につながるような枠組みを作れれば、多少は前向きな話になる。しかしそんな将来を、安倍政権の残りの任期という短い間で描けるとも思えない。

すぐにも事態が動くような話にはならないとみておくべきだ。日本側が方針を転換したとして、ここからの交渉がまたまた長くなる。


ktu2003 at 07:47コメント(0) 

2018年10月27日

シリアで拘束されていたフリージャーナリストの安田純平さん(44)が解放されたことを受け、日本新聞労働組合連合は25日、「安田さんの帰国を喜び合える社会を目指して」とする声明を発表した。(朝日新聞)

またぞろ浮上した「自己責任」論。
「危険だと警告が出ている場所に行ったのだから、自己責任」。で、それを言い立てて安田氏を批判する人たちは、要するにどうしたいのか?
「迷惑をかけた」と謝罪してほしいのか、「今後は取材やめます」と宣言でもしてほしいのか、かかった経費を払わせたいのか。そういうことをすれば、彼を許すのかといえば許さないだろう。単純に、自分たちが正しかったと満足するに過ぎない。「警告を出している政府に逆らったのが悪い」。そういいたいだけなのかもしれない。

昔から、「君子危うきに近寄らず」ということわざも確かにある。重要な処世術だと思う。しかしながら、危険なところに行かなければ、危険な行動をしなければ得られないものもある。歴史に名を残す戦場ジャーナリストやカメラマンたちの行動は、安田氏の批判者からいえば間違っていたのだろうか?

また、紛争地帯で人道支援活動に従事している人たちがいる。イラクで、アフガンで。捕らえられて殺された人もいるし、無事だった人もいる。彼らは間違っていたのだろうか?

もちろん危険地帯に足を踏み入れるなら、それなりの覚悟と、そして対策は必要だ。その点で安田氏の対応が最善を尽くしたものだったかどうか。それは、本人や関係者が検証すべきだろう。そして、ジャーナリストとしてその力量がないとなれば、活動をやめるしかない。それはたしかに「自己責任」である。








ktu2003 at 07:56コメント(0) 

2018年10月12日

靖国神社は10日、小堀邦夫宮司(68)が退任する意向だと発表した。後任の宮司は26日の総代会で決定する。小堀宮司は、神社内の研究会で「陛下は靖国神社をつぶそうとしている」などと皇室批判をしたと週刊誌で報じられ、波紋が広がっていた(朝日新聞)。

小堀宮司は今年2月に就任したばかりである。靖国神社の宮司は、旧華族など名家出身者が就くことが多い。だが小堀氏は伊勢神宮出身の神職。そして文筆活動を行い、強い保守的傾向の人物だ。なぜ彼のような人物が就任したのだろうか。

前任の徳川康久氏は、徳川家の出身。その背景もあろうか、賊軍合祀の是非についての発言があり、それが問題視されたとして退任している。昨年、神社の元職員が『靖国が消える日』と題した著書を出版し、靖国のあり方を批判した。どうも靖国神社の方向性をめぐって、神社内部や支持者を含めて対立が発生しているのは間違いないだろう。

靖国神社は来年創建150周年を迎えるが、大きな曲がり角を迎えている。戦後70年を過ぎ、神社の主たる「崇敬者」である戦没者遺族が、高齢化のため社会集団として消えつつある。今の遺族を考えれば、戦没者の子供の世代であっても最年少は70歳代前半。社会的に積極活動できる年齢ではない。孫やひ孫の世代は、それは「子孫」であって「遺族」とはいいがたい。意識も低くなる。すると、主たる崇敬者をどこに求めるかといえば、靖国神社が掲げる戦争観・歴史観に賛同する人々たちだ。それは、多くの場合右翼・保守派といわれる層で占められる。ただ、彼らに依存するようになれば、過激な右翼的発言や行動がこれまでより表面化するようになる。小堀宮司の今回の発言は、保守派の中に渦巻く現天皇への不満が表出したものである。そしてこれを靖国側が事実と認めて宮司が辞任するという流れになったのは、小堀宮司に批判的な考えを持つ側のカウンター的な動きであろう。

周知のとおり、昭和天皇は1978年のA級戦犯合祀を理由に、靖国参拝を取りやめており、現天皇も踏襲している。靖国神社にとって、天皇参拝が実現しないのは首相参拝以上に痛恨であろう。このため、A級戦犯を分祀して天皇参拝の復活を考える向きが出てきても、おかしくない。しかしそうすると、A級戦犯を肯定することになって靖国の掲げる歴史観と食い違ってくる。そのジレンマに、今神社は陥っているのである。

ひるがえって徳川前宮司の賊軍合祀発言を考えると、靖国神社の性格を変更して歴史観をよりマイルドなものに変えていき、賛同者を増やす試みであったとも評価できるのだ。敵味方をこえ、真に戦争で亡くなった「戦没者」をしのぶ場とする。その先には、A級戦犯の分祀も念頭にあったと私は考えている。だがそうした動きには反発も強いだろう。今保守が抱えている思想的矛盾が、靖国神社という場に典型的に表れている。

と同時に、結局は神社経営の行き詰まりを背景にしているともいえる。どこに主たる支持者を求めるのか。靖国に関心を持ってくれる層=社会の多数派ではなく、むしろ社会から異端視される右翼層になると、一般からますます忌避される。後任人選含め、靖国神社の動きはもっと注目してよい。



ktu2003 at 19:33コメント(0) 

2018年10月02日

2日発足した第4次安倍改造内閣の顔ぶれに対し、野党各党は「在庫一掃、閉店セール内閣」「政治が責任を取っていない」と批判を強めた。(朝日新聞)

だいたい野党は内閣の顔ぶれを批判するものだが、今回は親安倍の政治評論家すら「悪い顔ぶれ」と言っているぐらい、ひどい。「在庫一掃」は自民党サイドから聞こえているという。

首相が政権の中枢と位置付けている菅官房長官、麻生副総理・財務相は留任した。このほか後継者候補ともいわれる河野外相、茂木経済再生相らが留任。それ以外は代えた。いや、代えないとポストが用意できない。そういうことだろう。

総裁選で石破氏が健闘した。そして沖縄県知事選では与党が敗北した。この結果も多少は影響を与えているだろう。支持率は顕著に下がってはいないものの、上がり目もあまりない。もう、新しいものを打ち出せないのである。そして自分を支持した派閥への配慮が目立つ格好となった。すると人事は、入閣待ちに応える内容となる。12人の初入閣がいるにもかかわらず、ほとんどが60代以上で、政治的に目立った活躍をした人物はほとんどいない。

それだけなら「実務者」といいつくろえるが、明らかに過去に問題になった人物が含まれている。片山地方創生相は、たびたび発言で物議をかもしているうえ、委員会の無断欠席などで与党からも批判を浴びた。桜田五輪相は河野談話や福島に対する問題発言があった。原田環境相は学歴詐称が発覚して副大臣を辞めた経験があり、保守的な発言が問題視されたこともあった。再入閣だが、厚労相の根本氏は受動喫煙対策への強硬な反対論者である。この時期にこういう人間をトップにすることの意図を疑う。入閣待ちになったのには、他の人物も含めてそれなりの理由がある。

若くして入閣した柴山氏・山下氏は思想的にはともあれ、仕事はしている人物で、これはその実力でもって起用しているとわかる。比べてみるとそういうことである。山下法相を起用することで、石破派はずしをしない、というのを見せることもできた。

官邸や党役員人事ではさらに露骨である。不祥事で辞めた甘利氏が復権、防衛大臣で保守派からも総すかんを食らった稲田氏が特別補佐になった。失態が相次いで首相が叱責した加藤前厚労相が総務会長だったりする。つまりそういう人間しかもはや使えないのか、あるいは支持率はそれでも落ちないとたかをくくっているのか。

野党からすると攻めやすくてありがたいのではないか。責任を明らかにしていない麻生大臣はもちろんだが、与党内ですら評判の悪かった人物が含まれているのだから。大臣の失態を狙えば、憲法改正どころではなくなる。


ktu2003 at 22:18コメント(0) 

2018年09月30日

 沖縄県知事選が30日投開票され、前自由党衆院議員の玉城(たまき)デニー氏(58)が、前宜野湾市長の佐喜真(さきま)淳(あつし)氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=ら3氏を破り、初当選した。最大の争点だった米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画に、玉城氏は「反対」を主張してきた。県民は翁長雄志(たけし)知事が当選した前回知事選に続いて、辺野古移設にノーを突きつけた形となった。(朝日新聞)

翁長前知事の死によって早まった選挙戦。大接戦が伝えられていたが、当確が出るのは早かった。
選挙結果の分析は今後なされるだろうが、出口調査では自公支持層がかなり割れたということである。

そもそも4年前の選挙を勝った翁長氏は、沖縄自民党の大幹部だった。それが党を割る形で立候補し、当選を果たす。「辺野古新基地反対」を明確に掲げての選挙戦だった。安倍政権の姿勢は露骨であり、翁長氏の当選の挨拶にすら会おうとしなかったほどである。その後も締め付け一辺倒で、ほとんど話し合いの余地はない、という姿勢が続いている。

自公支持層が割れたのは、そういう安倍政権への不信感があっただろう。とくに公明党は、沖縄にあっては「反基地」が明確である。これは本部や学会の締め付けがあっても容易に崩せない。また、自民支持の保守層にも、沖縄への差別意識については強い不満がある。安倍政権はとくに、そうした保守層への配慮も欠けているようである。

玉城氏を推した野党は、それぞれの党派色を薄めた。「オール沖縄」の体制は盤石とはいいがたいものだったが、前知事の弔い合戦という要素もあり、最後にはまとまりを見せたようである。玉城氏はタレント経験もあり、父は米海兵隊員という、これまでの知事たちとは違う背景を持っている。

前回衆院選でも沖縄では4選挙区中3選挙区で野党側が勝利した。基礎票では自公は苦しいのだ。市町村長という局地戦では、地域利益を前面に出すことによって勝利できる。だが沖縄の将来、というテーマに持っていったとき、やはり基地問題、沖縄差別の問題が浮上するのだろう。

「反基地感情」は、抗議運動に表立って参加しない層も含めて広範に存在する。その上で、基地は所与のものとして、他の問題を重視する向きも、若い世代にはあるという。ただ、若い世代だけでものが決まるのが社会というわけではない。より上の世代には、歴史を見つめてきて思うところがある。そこに折り合いをつけねばならない。とくに辺野古の場合は、まったくの「新基地」であるというのが従来とは違う。普天間がなくなるのと差し引きすれば削減になる、というのだが、「新基地」ができる先例を残せば、未来永劫沖縄から基地が去らないかもしれない。基地問題は、「解決」するのではなく「移動」するだけである。その重みを、若い世代は引き受けられるのだろうか。また、基地にとどまらない様々な沖縄の課題を考えるべきだという意見にも重みはある。

沖縄が「分断」されている、ないしは「中国に取り込まれている」なんていう評があったりするが、沖縄を本土と違う何者かとして取り扱いつづけておいて、その言い草もないものだ。安倍政権のような聞く耳持たない姿勢では、日本への「帰属意識」も薄れていくだろう。そして常に、沖縄の選択が注目され続けるわけだが、以前にも記したようにこれは「沖縄問題」ではないのである。日本が問われている問題なのだ。「沖縄の問題」としてとらえている限り、解決することはあり得ない。




ktu2003 at 23:05コメント(0) 

2018年09月26日

LGBTをめぐる寄稿や企画が批判されている月刊誌「新潮45」について、発行元の新潮社は25日、休刊を決めたと発表した。(朝日新聞)

何も休刊にすることはない。一般論としてはそう思う。だが、言論を発信する媒体としての何ほどかの覚悟が、この雑誌や記事からはまったく感じられなかった。まさしく、「売れれば何でもよし」という思考の行き着く果てである。社会はもとより、社内からも多くの批判が出され、社長までが突き放したのである。

冷めた言い方をすれば、紙面で問題をわびて、雑誌を生き延びさせるほどの価値も、もはやなかったということなのだろう。杉田論文ももちろんひどいが、その「擁護」と称する諸論文が輪をかけてひどいというのも、何とも珍しい。「痴漢する権利」にまで言及した論文があった。LGBTと何ら関係がないばかりか、犯罪を肯定する醜態である。まともに勉強していないだけならいいが、ヘイトをまき散らすのだから悪質だ。だが彼らは、別の保守系媒体で存分に書いている。なにごともなかったように、ほかで書くだろう。

損をしたのは名門・新潮社だ。影響が、作家や翻訳家など書き手からの仕事拒否につながっていった。この「休刊」という措置で食い止められるかどうかわからない。もちろん商業出版だから売れなきゃ話にならないのだが、水準以下の出版物を出していいということにはならない。そして一番よくないのは、誰の論文の、どの部分に問題があったのか何ら言及なしに、休刊という措置がとられたことだ。だから検証のしようがない。

それにしても言論界にはびこるこの種のヘイト的な文章が、一定程度居場所を持って受け入れられているという点に、日本の知的荒廃ぶりがみえる。世のため人のため、に言論活動をしているのではなく、誰かを攻撃して、傷つける言論で飯を食う人たちがいるのである。


ktu2003 at 21:15コメント(0) 
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