August 03, 2005

ストーン・ローゼズ


ザ・ストーン・ローゼズ DVD

 7月9日スミス、21日ジーザス&メリーチェインの続きです。ジザース&メリーチェインの功績はパンクの復活と思われがちですが、実はメロディの重要さを久々に思い出させた事にあるんじゃないか、ということを書きました。イギリスのロック史の中ではストーン・ローゼズの登場は突然変異みたいな形でとらえられがちですが、メロディということで考えればジーザス&メリーチェインとの繋がりも何となく見えてきます。またストーン・ローゼズのギャング集団のようにツアーをするスタイルはジーザス&メリーチェインの臨時ドラムだったボビー・ギャレスビーのプライマル・スクリームに影響をされていたというのは有名な話です。「シュガー・スパン・シスター」などの初期のイアン・ブラウンの歌詞のサイケデリックな感じはボビー・ギャレスビーぽいですよね。
 
 あのブラックプールのライヴがDVDになってます。ホワイト・ストライプのDVDと同じ会場です。ロンドンで100人もお客さんを集められないバンドがイギリスの北部で本当に6千人も集められるビッグ・バンドというのを証明した偉大なライブです。イアンが「俺たちビッグだぜ」としきりに言っているのはロンドンの評論家に向けたメッセージです。

 このライヴでジョン・スクワイアが弾いているグレッチが後にオアシスの1枚目の最後の曲「マリード・ウイズ・チルドレン」で聞けるあのギターです。ジョンに内緒でグレッチを持っていったのが、このライブでモニターをやっていたオーエン・モリス、後のオアシスのプロデューサーです。オアシスのDVDで語られてます。感動。

 何かこのライヴを見てるだけで、色んなことが見えてくるな、友達にこのライヴに来いと言われたんだけど、行かなかっただよな。この日全てが変わったのだ。このライヴでイギリスは本当にパンクの呪縛から解放されたのだ。スミスはトップ・オブ・ポップスに出ることによってやっとハシエンダをソールド・アウトすることが出来るバンドになった。ジーザス&メリーチェインはNMEの煽動によって話題のバンドになることが出来た。ストーン・ローゼスは本当に自分たちの力で何千人も集めることが出来た。北部の人間がロンドンなんかいらないと証明した瞬間だった。
 
 イアン・ブラウンはちょうどライブの終わり間際に飛ぶようにアシッドかエクスタシーをやっていたのではないだろうか?自分を祝福するためにライヴ最後でのどんよりさは笑う。ストーン・ローゼスの成功とはダンス・ビートを取り入れたと言うのは当たり前で、彼らが目指したものはレイヴでのドラッグ体験での、自分が生まれ変わったような気になる感動を何とかみんなに提示しようとしたことだったのではないだろうか、「I AM THE RESURECTION」はまさにそのことについての歌だ。それがスミスやジョイ・デヴィジョンが背負ってきたマンチェスターからの解放であり、パンクからの解放であった。“毎日同じ生活が嫌なら、変えれるぞ”と歌ったパンクやロックと同じメッセージなのだが。このライブを見ていてもその意思は十分伝わってくる。いつまでも同じでいることの危険性、変わることによって前進しようとする意思、ストーン・ローゼスは10年前パンクがやったように、20年前サイケデリックがやったように、25年前ビートルズがやったようにそうしたのだ。

 ストーン・ローゼズの終焉はレディング・フェスティヴァルだった。オリジナル・メンバーは2人しかいなかった。あのライヴはストーン・ローゼズの復活を証明する重要なライヴだったのにイアン・ブラウンはブラックプールの再現を夢みたのか、ありえないぐらいのドラッグをやっていた。NMEの表紙を飾ったイアン・ブラウンの顔のアップは瞳孔が開ききっていた。その表紙のタイトルは確かなことは忘れたがストーン・ローゼズ・イズ・デッドみたいなことだった。

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シネマのオーディションと聞いて、女優デビューの第一歩!と気合十分のゆうなちゃん。審査員の前で迫
カリビアンBOM【宮下彩子】at August 03, 2005 07:54
この記事へのコメント
最近なかなか更新されてないので、なんとなく「久保さん大丈夫かなぁ」と心配になってきました。bounce.comの方は更新されましたね。俺なんとなくでエコバニって聴いたことないんです、やはり1stから聴けばいいのでしょうか? 
ギャロがB-BOYだったのはギャロ好きの間では結構有名で、ギャロ自身「バスキアにジャズ教えたのは俺だ」て自慢してました。本当かどうかという問いは彼の前では愚問な気がします。では。
Posted by uechi yasushi at August 18, 2005 18:32
89年にイギリス行って、マンチェスター行って、それまでの音楽観が変わった。

おおげさながらもローゼズはピストルズ以来の最高のバンドだと認識したものだ。

今思い出したけど、このレモンの表紙のアルバム(アナログ)当時マンチェナイトでDJしてたクラブで若いガキに盗まれてしまったな〜

12インチ死ぬほどあるしベストも持ってるからいいんだけどやっぱりオリジナルのアルバムほしいな。

今高いんだろうなあ〜〜
Posted by MoscoW at August 19, 2005 21:14
すいません。フェスで8月は無理みたいですね。ギャロのB-BOYは普通の話だったんですね。
Posted by 久保憲司 at August 22, 2005 09:15
初めまして。ローゼズ話で盛り上がりました。うおー!。

写真撮ったり音楽やったりしているものです。
ブログやっています。
お忙しいでしょうが、覗いてみてください。

medsブログ
http://blog.goo.ne.jp/moricky1
Posted by meds at July 03, 2007 15:20
歴史マニア必見!歴史が好きな歴女が集まる歴女専門サイトの誕生です!同じ歴史好きならすぐに仲良くなれるはず!
Posted by 歴女 at July 02, 2011 15:16