九段新報

犯罪学オタク、新橋九段によるブログです。 日常の出来事から世間を騒がすニュースまで犯罪学のフィルターを通してみていきます。 (筆者は素人なのであまり内容は信用しないでください) 皆さんに少しでも話題を提供できたら幸い。

高畑容疑者の事件で噴出する「日本の犯罪認識のダメなところ」

 真田丸にも出演している女優高畑淳子さんの息子で俳優である高畑裕太容疑者が引き起こしたとされる強姦事件をめぐる報道や周囲の人の反応は、日本の犯罪、とりわけ性犯罪に対する認識の酷さを一度に噴出させており、ある意味壮観とも言えます。1つずつ見ていきましょう。

 1.母子家庭バッシング
 俳優の高畑裕太容疑者(22)の逮捕を受け、テレビ各局、映画会社などは対応に追われた。日本テレビは、高畑容疑者が出演していた「24時間テレビ39 愛は地球を救う」(27、28日)のスペシャルドラマで、急きょ代役を立てて撮り直しすると発表した。母親で女優の高畑淳子(61)も大きなショックを受けているという。
(中略)
 多忙で家に居られないことが多かったが、夏休みには高畑容疑者を地方公演に同行させ、空き時間に海水浴に行くなど、限られた時間は育児に全力投球。高畑容疑者は千葉の暁星国際高校で野球部に所属していたが、仕事の合間を縫って試合観戦にも訪れた。
 高校卒業後、高畑容疑者が俳優デビューすると、バラエティー番組でたびたび共演し、息子をバックアップ。空気を読まない息子に母が的確なツッコミを入れるなど、仲の良さを披露。都内の自宅に同居しており、今年の母の日(5月8日)には高畑容疑者がインスタグラムで、母親とビールで乾杯する動画をアップしていた。
 先月、淳子が出席した舞台の製作発表では「裕太君がとても忙しくしているので体が心配。帰るとソファに倒れこんで死んだように寝て。体に気をつけて長くこの仕事を続けてほしい」と仕事が増えた息子をおもんばかっていた。その一方、演劇関係者から「甘やかしすぎ」という声も上がっていた。
 高畑淳子「甘やかしすぎ」の代償…裕太容疑者強姦致傷逮捕-スポーツ報知
 まず、高畑親子が母子家庭であったことからそれを犯罪の遠因とする報道がありますが、それが本当に原因であったかどうかは今となってはわからないことです。
 この記事を書いた人には、犯罪を起こした今となっては、平均とは違うことがもうすべて原因のように映るのかもしれませんが、それはあくまで結果論です。このような犯罪を起こすかどうかは母子家庭であるかどうかとはあまり関係がないように思えます。
 よしんば、高畑容疑者の養育過程に問題があったとして、その全責任が母親に帰せられるべきだとも思いません。子育ては親だけがするものではないのですし、周囲の大人の対応にも責任の一端はあるでしょう。

 2.親が謝るべきか
v前橋市内のビジネスホテルで女性従業員に乱暴するなどしたとして、強姦(ごうかん)致傷容疑で逮捕された俳優、高畑裕太容疑者(22)=東京都渋谷区=の母で俳優の淳子さん(61)が25日、前橋署を訪れ、裕太容疑者と面会した。面会に先立ち、報道陣の問い掛けに「本当に申し訳ありません」と深くお辞儀し、謝罪した。
 母淳子さん謝罪 前橋署で面会-毎日新聞
 報道では母親である高畑淳子さんが謝罪会見を開くとか、被害者に会ったという話も聞くのですが、どこまで親は子供の行為の責任を取るべきでしょうか。容疑者は既に22歳ですから、そのような責任を取らなければならない年齢ではないと思います。
 無論、それでも何かしたいのが親の心情なのでしょうし、そうすることをわざわざ止める必要まではないと思いますが、それを当然視して期待することは止めるべきでしょう。

 3.容疑者発達障害説
 23日、“紫綬褒章女優”高畑淳子の長男で俳優の高畑裕太容疑者が、撮影のために宿泊していた群馬・前橋市内のビジネスホテルにおいて、40代女性従業員に対し性的暴行を加えたとして、強姦致傷の容疑で逮捕された。警察の取り調べに対し、高畑容疑者は犯行を認めているが、計画性に関しては全面否定しているという。
 テレビの情報番組やスポーツ紙などでは、法律家の解説を基に「懲役7年」「懲役3年」などバラつきはあるものの、被害者が告訴を取り下げなければ実刑になる可能性を示している。その一方で、高畑容疑者が発達障害ではないかという見方も広まっている。
 母親の淳子がいつも「デキの悪い息子」と呼んでいるように、淳子自身のこれまでのメディアを通した証言はもとより、高畑容疑者自らの言動にも、その片鱗が見受けられていたとの指摘もなされている。
 たとえば、淳子はかつて出演したテレビ番組内で、幼少時代の高畑容疑者が左耳で音を聞き取れない難聴で、4歳になるまで話すことができなかったと明かしている。小学生になると忘れ物が多く、毎日のように何かを忘れ、淳子が忘れ物を届けに学校に向かう途中に、高畑容疑者がコンビニで本を立ち読みしていたこともあったという。
 さらに、高畑容疑者自身のおかしな言動も多く見られる。昨年放送されたテレビ番組『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)内では、淳子が受章した紫綬褒章について「取りたい」と発言。「アホか」とツッコまれ、「ごめんなさい。天皇に嫌われる!」と天皇陛下を呼び捨てにしたため、坂上忍が激怒するシーンも見られた。
 発達障害の特徴としては、周りの空気を読めず、コミュニケーション能力が乏しいことなどが挙げられる。そのため、高畑容疑者の突拍子もない言動がバラエティなどで受けた半面、発達障害ではないのかとの見方が広まっているのだ。
 高畑裕太容疑者、発達障害との見方も…問題発言や不可解行動、以前より社会生活困難か-Business Journal
 当然、医師でも何でもない記事の執筆者が直接会ってもない人物を診断できるはずがありません。確かに、ADHDには注意力の散漫さや衝動性がありますが、それがあったからと言って必ずADHDであると診断されるわけではありません。
 犯罪行為と精神疾患を安直に結びつけるような無責任極まりない報道は止めるべきです。

 4.被害者の顔写真と年齢
 Twitterでは、被害者の顔写真とする写真が出回っていたようです。また、被害者の年齢に驚くような反応も多く見られました。もしこのようなツイートを真に受けていたのなら、レイプ神話の影響を強く受けていることが予想されるので、性犯罪について発言することをとりあえず控えることをお勧めします。
 巷では、性犯罪は若くてきれいな女性しか被害に遭わないと思われていますが、それは間違いです。ありていに言えば、性犯罪者の好みも千差万別だろうと考えればすぐに気がつくはずです。また、性犯罪者が被害者を選定するときには、行為の遂行が容易かを第一に考えるので、容姿などは二の次にされることもよくあります。
 つまり年齢や容姿からでは、性犯罪に遭うかどうかを判断することは全く出来ないということです。

 5.周りに迷惑をかけて……
 フリーアナウンサーの羽鳥慎一(45)が8日、司会を務めるテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜前8・00)で、女優の高畑淳子(61)の長男で23日に強姦(ごうかん)致傷容疑で逮捕された俳優の高畑裕太容疑者(22)について言及した。
 番組では高畑容疑者が出演する予定だったドラマやテレビ番組の一部を紹介。羽鳥アナは「これだけの仕事を抱えていると、行動も自覚を持つことになると思います。何かをした場合に自分一人の人生が狂うだけじゃなくて、これだけの人に迷惑がかかるというのは、もう20歳も過ぎてますし…」と犯行動機の理解に苦しんだ。
 羽鳥アナ 高畑容疑者逮捕に衝撃「自分の人生が狂うだけじゃない」-スポニチアネックス
 多くの報道や反応の論調は、周囲に迷惑をかけた、24時間テレビという大仕事の直前で……というものです。確かにそれもそうなのですが、第1に甚大な影響を被ったのは被害者です。その辺が抜け落ちた報道になっていないか今一度確かめてみるべきでしょう。
 性犯罪の被害者に触れるというのはテレビにとっては面倒な仕事かもしれませんし、容疑者が有名人なので、その筋からコメントを取ってくればいくらでも時間は埋められるというのもあるでしょうが、そんなニュースには対して価値はありません。これだけ耳目を集め、様々な憶測が飛んだ事件ですから、被害者に寄り添って、有益な情報が広まるような報道であって欲しいと思います。 

ブルキニ禁止はISの思うつぼ

 少し前になるのですが、フランスでブルキニという、女性のイスラム教徒の着る水着が着用禁止になったというニュースがありました。
 フランスの2つのリゾート地で、身体をまるごと覆い隠すタイプの水着「ブルキニ」を公共のビーチで着用することが禁止された。
 ブルキニは、ビーチで肌を人目にさらしたくないイスラム教徒の女性向けに売り出されている水着だ。フランス南部カンヌのダヴィッド・リスナール市長は7月28日〜8月31日にかけて、ブルキニの着用禁止を宣言した。しかし、この水着はウェットスーツと見た目が変わらない。
 そして南仏のヴィルヌーヴ=ルべやコルシカ島のシスコでも同様の禁止令が出された。
 カンヌの公共のビーチでブルキニを着る女性は、今後は別の水着に着替えるか退場を迫られる。NPRによると、違反すれば38ユーロ (約4300円) の罰金となる。禁止令はこの8月末まで適用されるが、その後延長されるかどうかは未定だ。
(中略)
 カンヌのリスナール市長は、「この規則は女性に恩恵をもたらすように定められた」と述べた。
 ニューヨーク・タイムズによると、リスナール市長は「ブルキニを着て泳ぐ女性は、人々の注目を集めて公共の秩序を乱す」と語った。「こうした女性を注目を集めないように保護する対応をとるために、私は決めたのです」
 この言い分では、リスナール市長はまるで女性差別主義者の考え方を認めたも同然だ。なぜなら、この考え方に従えば、女性を「保護する」最善の方法は、女性に嫌がらせし傷つけるのを防ぐ方策を立てることではなく、女性がしていいこととしてはならないことを法律で縛ることだからだ。
 そして、もしリスナール市長が本当に「人目を惹き、公共の秩序を乱すこと」を心配しているのであれば、カンヌでセレブたちが人前に現われるのも禁止すべきではないだろうか。
 フランス南部でイスラム教徒用の水着「ブルキニ」禁止、これって性差別じゃないの?-ハフィントンポスト
 禁止の口実はテロ対策ですが、いろいろとおかしなところがあります。

 なぜ着用禁止なのか
 市長の言うように、仮にブルキニを着用することが人々の注目を集め秩序を乱すのであれば、それは誰が悪いのでしょうか。ブルキニを着用した女性ではなく、彼女たちに注目し反応する周囲の人物であることは言うまでもありません。もしトラブルを避けたいのであれば、取り締まるべきはブルキニではなくそのような人物であることは明白です。
 このようにトラブルの原因ではなく、目立ってかつ要請にしやすい対象に行動の自粛を促すことによって回避を試みる事例は珍しくありません。「女性の夜の一人歩きはやめましょう」というのもそのような例です。確かに女性の一人歩きは犯罪被害のリスクを上昇させるかもしれませんが、それはそもそも女性を襲う犯罪者が存在するのが原因であり、社会の役目はこのような犯罪者に対処することです。女性に一人歩きを自粛することは、短期的な処置としてはあり得るかもしれませんが、根本的な問題解決にはなりませんし、そのような対策で満足して原因を取り除かない姿勢にも問題があります。
 まさに記事が指摘するように『女性を「保護する」最善の方法は、女性に嫌がらせし傷つけるのを防ぐ方策を立てることではなく、女性がしていいこととしてはならないことを法律で縛ることだから』という女性差別主義の考えを体現したものと言えるでしょう。
 なお、これはあくまで公共の場で宗教的なシンボルを身に着けるべきではないという政策の背景にある「ライシテ」の延長であり、女性差別やイスラム差別とは無関係であるという主張もあるようですが、そもそもライシテが現在ではイスラム教徒を差別する体のいい道具になっていることから目を背けることはできないでしょう。確かに「公共の場で宗教的なシンボルを身に着けるべきではない」というのは、文言だけ見ると宗教による区別のない規定ですが、そもそもパッと見でわかりやすいシンボルを身に着ける必要があるのがイスラム教徒のような一部の宗教の教徒に限られており、彼らにだけ特異的な不利益が降りかかることが明白です。

 ISの思うつぼ
 市長は、イスラム教徒とイスラモフォビアの衝突、ひいてはISによるテロなどを警戒してこのような法律を作ったのかもしれませんが、このような規定はむしろISの思うつぼと言えるでしょう。
 この規定は、イスラム教徒を海水浴場から排除する方向に働きます。そのような法律があるということ自体、ISにとっては実に都合のいいテロの口実です。
 また、このような種々の規定によってイスラム教徒が社会から疎外されれば、イスラム教徒の中の欧米諸国に対する不満は高まり、ISに合流しようとする者が増加する可能性があることは想像に難くありません。本来であれば、社会との繋がりをつくりこのような組織にからめとられる可能性を減らすべきところを、全く逆の政策を行ってしまっています。

 最後に、この件に対するカナダのドルトー首相の反応を引用します。
 【オタワAFP=時事】フランスの一部自治体が、肌の露出を抑えたイスラム教徒女性向け水着「ブルキニ」の着用を禁止した問題で、カナダのトルドー首相は22日、同国では禁止しない方針を示し、「個人の権利と選択の尊重」を呼び掛けた。閣議後、記者団に語った。
 トルドー氏は対話の重要性を強調。「受容、寛容さ、友好、理解がわれわれの目指すものだ」と述べた。
 フランスでは、86人が死亡した7月14日の南部ニースのトラック突入テロを受け、公共の秩序を乱すとして、同市を含め15自治体がブルキニの着用を禁止。カナダ東部のフランス語圏ケベック州選出の国会議員らも着用禁止を求めていた。
 ブルキニ、カナダは禁止せず=首相「個人の権利尊重」呼び掛け-時事ドットコムニュース
 流石カナダとしか言いようがありません。しかし、こんな単純なことにたどり着くのが非常に大変なのですが。

「五輪閉会式映像に制服女子高生」が批判された背景

 オリンピックの話題を書くことがあるとは思いませんでした。先日閉会したリオオリンピックの閉会式では、次期開催国である日本が作成した映像が流れました。夜景と、夕日のような色をした日の丸をバックにアスリートが活躍する映像がメインで、時々キャラクターを入れつつ全体としては穏当な感じに仕上がっていたと思います。
 しかし1つ、批判を呼んでいる部分があります。それは映像の冒頭部で制服姿の女子高生が象徴的に使われているシーンです。なぜ、どういう理由で批判を呼んでいるのかその前提となる背景と共に論じておこうと思います。

 前提1:なぜそこに制服
 そもそものことの発端は、必然性のないところに制服姿の女子高生がいる理由がさっぱりわからないというところです。
 例えばこれが、若者の力をメインに取り上げるというテーマで作られていて、映像の中に未来のオリンピック選手となりそうな学生が多数登場するというのであれば、必然性はあります。が、実際の映像では制服姿の人物はこの1人だけであり、あとは競技用のユニフォームを着用しています。よしんばそのような意図があったとしても、1人だけでは全く伝わってこない失敗した表現ですし、男子高校生がいてもいいところになぜ女子だけを使ったのかという問題は依然として残ります。
 漏れ聞いた話によると、この女子高生は体操で有名な選手らしいのですが、だったらなおのこと競技用のユニフォームでよかったと思うのですが。意図がさっぱりわかりません。
 恐らく、製作者はあまり深く考えずに登場させたのかもしれません。擁護論の多くも深読みのしすぎという意見です。が、深く考えなかった結果が「必然性のないところで制服の女子高生がアイコンとして利用される」という結論なのだとしたら、そこにたどり着いた過程や背景は深く考えられてしかるべきでしょう。

 前提2:日本はどう見られているか
 このような表現を考えるにあたっては、そもそも国際社会で日本がどのように認識されているかを知っておく必要があります。
 『「JKビジネス13%」と「痴漢防止バッチ」への反応が明後日すぎる』などで既に何度か取り上げたように、国際社会は日本を「児童買春の対策が遅れている国」として認識しています。実際、日本は児童買春に関して十分な対策がなされているとは言い難く、野放しどころか現状把握すらままならないというのが純然たる事実です。この問題が何度か国内で取り上げられた時にも、セカンドレイプ的なバッシングに終始し問題は一向に改善しないという醜態をさらし続けています。
 そのような国の作成した映像において、女子高生を象徴的に利用しアピールすることは当然慎重になるべきでした。今のアメリカがオリンピックのPR動画のトップに白人選手の射撃競技を持ってくるようなもので、外の目から見れば、ポジティブに解釈されることはまずないでしょう。
 国際社会に披露しPRする映像において、この問題は自分が外からどう見られているか考えられていないことを露呈してしまっています。
 これらのような社会状況を踏まえた上で、上述のように深く考えなかった結果「必然性のないところで制服の女子高生がアイコンとして利用される」というところに到達したということを考えると、日本社会は女子高生を都合よく利用できるものとしてしか考えていないという解釈にならざるを得ません。彼女たちの直面する、すぐにでも解決すべき問題を無視しつつPRに利用しているわけですから、当然です。

 制服のエロ目線は誰のせいか
 ちなみに、制服に性的な意味合いを見出しているフェミニストこそが制服とエロを接続している原因であるという反論も、この手の議論ではお約束という感じがしてきましたが、責任を転嫁するためになされる議論でしかありません。
 そもそも制服とエロが接続されている最大の原因はメディアやらなんやら(とそれを中心的に構築している成人男性)であって、フェミニストはその事実を指摘しているにすぎません。このような反論は自身の脳内にある制服とエロの接続を自覚すらできていないことを露呈しているにすぎません。

 これらの問題を語る上での最大の問題は、議論の前提がそもそも共有されていないことに端を発しています。大抵の場合は、擁護する側が女性が今までどのように表現されてきたかという史実と、日本がどのように見られているかという客観視を持ち合わせていないのですが。 
「え―き様の3分犯罪解説」「えーき様と罪人どものCoC」シリーズ投稿中です。http://t.co/5M9KbypdQP 自称アマチュア犯罪学者。ブログで犯罪学についてあれこれ書いております。TRPGだけやってる垢だと思ってると痛い目にあう。
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