九段新報

犯罪学オタク、新橋九段によるブログです。 日常の出来事から世間を騒がすニュースまで犯罪学のフィルターを通してみていきます。 (筆者は素人なのであまり内容は信用しないでください) 皆さんに少しでも話題を提供できたら幸い。

「テロ等準備罪」そのやばい点を改めて

 先日参院を通過したことでテロ等準備罪が成立しました。それを受けてのこのツイートに
 この反応でした。
この発言はさすがに馬鹿過ぎませんかね?
そもそも著作権違反は現状親告罪ですし、二次創作を推奨してる作品もあります。
あなたが動画にしてる東方とかですね。
またコミケはオリジナル作品なども少なくないですし、表現そのものに対する障害にどういうケースが当てはまるのか例を出せますか?
どういう方法でどういった内容の合同誌のどんな形式の打ち合わせをしょっぴくのか、想定がまったく成立してないので陰謀論に怯えてる人みたいですよ。 
 「強姦被害者が処女かどうかは捜査に必要な情報」という主張へのコメント
 なので今回は、この法案の危険性をのほほんとしている人たちへ伝えるべくまとめてみました。

 共謀は親告罪なのか
 まずこのコメントの誤謬の1つは、「罪そのものが親告罪である」ことと「共謀が親告罪として扱われる」ことの区別がついていないことです。著作権法違反とその共謀ではそもそも罪が違うので、一方が親告罪でももう一方が非親告罪であるということはあり得ます。
 では今回成立した共謀罪では、実際どうなっているのでしょうか。条文全文を見てみましたが、少なくとも私は共謀が親告罪になるという部分は見つけられませんでした。まぁ、条文が長ったらしいので見落としている可能性はあると思いますが、共謀が親告罪であると主張したいならば探してみればいいんじゃないでしょうか。
テロ等準備罪法案における言葉の定義及び著作権法等の扱いに関する質問主意書
提出者  丸山穂高
(中略)
 二 法案の別表第三及び第四に掲げる罪において引用元の罪が親告罪の場合は本法案においても親告罪となるのか。例えば、著作権法第百十九条第一項及び第二項の罪が含まれているが、この法案においても親告罪なのか。

衆議院議員丸山穂高君提出テロ等準備罪法案における言葉の定義及び著作権法等の扱いに関する質問に対する答弁書
(中略)
二について
 お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、今国会に提出している組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「改正後組織的犯罪処罰法」という。)第六条の二の罪における実行準備行為を伴う計画行為の対象である犯罪が親告罪である場合、すなわち、仮にそのままその計画に基づき、その犯罪が実行され、実際の法益侵害に至ったとしても告訴がなければ公訴を提起することができないとされている場合には、当該法益侵害を未然に防止するためにその前段階の行為を処罰の対象とする同条の罪についても、同様に親告罪となるものと考える。
 ちなみに、答弁では親告罪の共謀も親告罪になるといっていますが、条文になければ「法解釈上可能」で終わる話なのであまり信頼しきるのも考え物でしょう。

 親告罪とはそもそも何か
 親告罪というのは、簡単に言えば「告訴がなければ起訴できない犯罪」です。ここでいう告訴は、被害届とは違うことに注意してください。
 この定義からもわかるように、あくまで起訴ができないのであり逮捕や捜査は可能です。もっともこの辺は学説にもよるようですし、共謀で捕まえるより適当な軽犯罪をでっちあげる方が簡単な気もしますが、少なくとも危険性が増すというありがたくない状況があるのは確実でしょう。
 というか、現行犯逮捕が可能であるはずなので、「こいつら共謀してるぞ!捕まえた!」みたいなシャレにならない状況も十分考えられるわけですが。
 弾圧には起訴できなくても逮捕できれば十分であるということを、説明する必要はないでしょう。

 準備行為の定義は
 上掲のコメントでは、どのような打ち合わせが逮捕されるのか想定していないといういちゃもんが付いていますが、しかしこれは意味のない指摘でしょう。そもそも何が犯罪を構成する準備行為に当たるのかがあいまいであるので、いったい何をすると逮捕されるかは全く想像がつかないのです。
 本来法律は、セーフの行為とアウトの行為を明確に分けます。そうしなければ、人は自分の行為が犯罪になるかどうか自信をもって判断することができず、行動が委縮されるからです。このような観点からも、共謀罪は危険であるといえます。

 以上の観点から考えれば、同人活動には大分ありがたくない法律であることは明々白々であるはずですが、しかしなぜか同人活動を盛んにしている人の中には相当数、この法案に賛成している人がいるのが事実です。私には理解できない理屈でもあるんでしょうか。

「強姦被害者が処女かどうかは捜査に必要な情報」という主張

 前回でも言及した、フリージャーナリストに対する準強姦事件に関することです。
 「捜査員のみなさんから、『処女ですか?』と質問されました。『なんのための質問ですか?』と聞いたら、『聞かなくてはいけないことになっている』と。捜査のガイドラインに載っているんだと思いますが、そうならとてもおかしいことだと思います」
 そう話すのは、元TBSのジャーナリスト山口敬之氏(51)から、レイプ被害を受けたと訴えているジャーナリストの詩織さん(28)。詩織さんは5月29日、山口氏が不起訴処分になったことを受け、検察審査会に不服申し立てをしたあと“実名・顔出し”の記者会見を行い、注目を集めた。
(中略)
 「捜査の過程では、被害者として耐えられないことがたくさんありました。所轄の高輪署では、男性警官がいる前で私が床に寝転がり、大きな人形を相手にレイプされたシーンを再現させられました。さらにそれを写真に撮られるんです。口頭で説明すれば状況はわかることなのに、なんでこんな屈辱的なことをしなくちゃいけないのか。ほんとうに苦しかった……」
 詩織さんの口からはまさに“セカンドレイプ”のような捜査の実態が語られた。8日、性犯罪に関する刑法の厳罰化に向けた法改正が衆議院で可決された。しかし詩織さんは「こういう捜査の方法から変えていかないと、被害者が警察に届け出できない。いくら性犯罪の法律が厳罰化されても救われない」と指摘する。
 とくに詩織さんのように知人からレイプ被害を受けたと訴えた場合、「合意があったのでは?」と被害を受けた側が疑われ、被害届を受理されるのすら難しいという現実がある。
 「処女ですか?」と聞かれ…詩織さんが語る“捜査中の屈辱”-女性自身
 強姦被害者が、残念ながらたいていの場合直面する困難の1つに、捜査を担当する警察官からのセカンドレイプがあります。ここでは主に、処女かどうか何度も尋ねられたことと、自身が事件の再現をさせられた点が指摘されています。
 再現の点に関しては後述するとして、ここで注目するのは被害者の処女性に関する部分です。

 捜査に必要?そのわけは
 この点、擁護の使用もないだろうと私は考えていたのですが、人によっては考えを異にするようです。
 彼らの主張によれば、強姦罪と強姦致死傷罪で量刑が違い、捜査方針も異なるから確認が必要だということです。
(強姦)
 第百七十七条
 暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。
(親告罪)
 第百八十条
 第百七十六条から第百七十八条までの罪及びこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
(強制わいせつ等致死傷)
第百八十一条
 第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 第百七十七条若しくは第百七十八条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は五年以上の懲役に処する。
 刑法から関係する条文を引用しました。強姦罪は同意を得ない性行為に対する罪、そこに傷害や殺人が加わると強姦致死傷となるというイメージでいいでしょう。親告罪ではない犯罪が組み合わさるから、セットになっている強姦に関しても非親告罪として扱われるといった感じでしょうか。確かに、条文を見る限り2つの罪ではその捜査方針が大きく異なり、故に傷を負ったかの確認は必要だという主張は正しいでしょう。
 しかし、それでもなお被害者に処女かどうかを尋ねることに正当性が保証されるとは考えられません。というのも、被害者が処女かどうかという情報は、それだけでは被害者が強姦された際に傷を負ったかについて何も語らないからです。
 このような捜査の背景として、強姦時に処女膜が破裂した場合強姦致傷となるという判決があるようです。しかし医学の常識として、処女であるからと言って必ずしも処女膜があるとは限りません。この場合、被害者が処女だったとしても強姦致死傷には当てはまらないということになるはずです。一方被害者が非処女であっても、被害の際に怪我を負えば強姦致死傷に当たる可能性があるはずです。
 要するに、警察官が本来尋ねるべきなのは被害の際に怪我を負ったかどうかであり、被害者が処女かを確認することではありません。というかこんなこと、被害者に聞くよりも先に被害者を治療した医師に尋ねたほうが確実だと思うんですがね。病院にかかっていた場合。
 ちなみに元検事の弁護士氏はこんなことも言っていましたが、後続のツイートのように意味はさっぱり分かりませんでした。

 再現に関して
 事件の再現に関しては、ある証言によると前は人形ではなく男性捜査員でやっていたようで、警察の前時代性を思わせる話だと思います。
 どうしても再現が必要ならば別の女性捜査員が行って、被害者は口述で説明するとか、今ならCGを使うとかいろいろできそうなので、その辺はきちんと強姦事件における事情聴取のあり方を見直すべきでしょう。

「なんでこのタイミングで?」と思った人はレイプ神話と親和性が高いよ

 野々村竜太郎被告への取材に対する長谷川豊(とマスコミ)の傲慢さ
 道徳上の良し悪しと法律上の良し悪しは区別しような
 長谷川豊なんかの発言をまともに聞いちゃだめだよ? 前編(死刑の話)
 長谷川豊なんかの発言をまともに聞いちゃだめだよ? 後編(相模原のやつ)
 上掲のようなくそみたいな発言でおなじみの元アナウンサー長谷川豊氏がまたやってくれました。
 「私はレイプされた」――。ジャーナリストの詩織さん(28)が元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(51)を告発した問題が、波紋を広げている。
 詩織さんは15年4月、都内のホテルで山口氏にレイプされたとして警察に刑事告訴。警察は逮捕状を手に米国から帰国する山口氏を成田空港で待ち構えていたが、なぜか直前で逮捕は見送られた。詩織さんはその直後、捜査員から「上からの指示があり逮捕できなかった」との連絡を受けたとしている。
 山口氏は安倍首相と極めて親しいため、国家権力によって逮捕を免れたのではないか、と疑われている一件である。
 レイプ疑惑は検察審査会へ 山口敬之氏は「起訴」されるか-日刊ゲンダイ
 フリージャーナリストの女性を強姦し、その後不可解な介入で逮捕と起訴を免れた山口氏の事件に関するコメントです。この件に関してはいろいろ言いたいこともありつつもう言い尽くされている感じもしていたので記事を書きそびれていたのですが、皮肉にも長谷川氏のおかげで内容が固まりました。

 タイミングそれがどうした
 しかし、この女性、かなりキレイ…ではなく、山口氏もFacebookで疑問を呈していたのだが、そもそも…
 なんでこのタイミング?
 なのだろうね。
 「性的被害にあった」と主張する女性には、私は基本的に「その話を信じる前提」で話を聞くようにしてきた。私自身、何度も性的被害を受けた女性本人にインタビューをしている。
 性的な事件は絶対に許すことは出来ないし、私は個人的に彼女が主張しているホテルの防犯カメラの映像などは、可能であれば公開すべきではないかと考えている。彼女が薬物を使って昏睡状態にさせられ、レイプされたのであれば、それは許してはいけない犯罪だ。
 が、同時に山口氏の投げかけた
 「なぜこんなタイミングで?」
 という疑問にも、この女性には答えてほしい気はする。以下、山口氏のFacebookから。
 「当該女性がもし、純粋に不起訴という結論に不満だったなら時をおかず不服申立していたと考えます。なぜ私がメディアに露出するようになってから行動が起こされたのか、なぜ当該女性の主張を一方的に取り上げた週刊誌の報道が先行したのかなど、今後の対応を検討する為に全体状況を理解しようと努力しています」
 この疑問には一定の説得力を感じる部分も否定できない。
 基本的にどっちでもいいのだが、この「自称」被害女性は「なんでこのタイミング」だったのだろう…-本気論本音論
 要するに「このタイミングで会見なんてなんか意図があるんじゃない?」というわけですが、まあ下種の勘繰りの一種であると断じてしまってもいいでしょう。レイプ神話の1つに「強姦の告発は大半がでっち上げだ」というものがありますが、これは言わばその亜種のようなものと考えていいでしょう。
 まず今回の不服申し立ては、被害女性側が決められた期間内に不服申し立てをしたというそれ以上でも以下でもない話です。その期間内であれば当然申し立てが認められているので、不起訴が決まった直後に申し立てせねばならないというルールもなければ文句を言われる筋合いもないでしょう。
 加えて、まず押さえておくべき事実として一般的に強姦被害者が被害を訴えるには相当の労力と決断を要し、結果として訴えが迅速に行われない場合が多々あるということがあげられます。今回の不服申し立てもその例に漏れなかっただけでしょう。
 山口氏の言う「なぜ」や長谷川氏の主張には、テレビに露出し始めてから行動を起こしたのは嫌がらせ目的だろうといった含意があると思われますが、時系列を考慮すると不起訴決定前に書籍が出版され、そのあとからメディア露出が始まっているので因果が逆である可能性もあるわけです。まあ仮に、自分を強姦している人間がのうのうとテレビに出ているのを見て許せなくなったという可能性もありますし、そうだったとしてもやはり文句を言われる筋合いはないわけですが。

 そもそも本当に「信じる前提」なの?
 そもそもの話、引用部で長谷川氏が主張しているように被害者の話を「その話を信じる前提」で聞いているとは思えません。第一、信じる前提であればブログのタイトルに「自称被害者」なんて表現使わないでしょう。自称というのはたいていの場合、確認が取れず疑わしいことを含意する場面でしか使用しない表現だからです。それに「基本的にどっちでもいい」ならこんな記事書かなければいいんじゃないですかね。そのほうが精神の下劣さを開陳しないだけ有益です。
 向こうが下種の勘繰りをするので負けじとこちらもその手の勘繰りをするのであれば、「彼女が薬物を使って昏睡状態にさせられ、レイプされたのであれば」と前提条件がくどくどと書かれているのも実に怪しいと言えるでしょう。長谷川氏のこれまでの主義主張を考慮すれば、本件に関しては薬物を使用されているから「許してはいけない犯罪」と言っているだけで(それでもなお不服申し立てのタイミングに関しては難癖をつけているわけですが)、薬物が使われていないのであれば「自己責任」と書きかねなかったでしょう。長谷川氏はそういう人間ですから(これが無理筋な勘繰りだと思うのであれば、タイミングに云々するのはもっと無理筋な勘繰りだとわかるはずです)。
 最後に、いちいち女性ジャーナリストの容姿に言及するというのも氏がレイプ神話と親和性が高い可能性を示唆します。別に被害者が不細工だったら訴えの信頼性が変わるわけではない……なんてことはさすがに説明するまでもないと思いますけど。
「え―き様の3分犯罪解説」「えーき様と罪人どものCoC」シリーズ投稿中です。http://t.co/5M9KbypdQP 自称アマチュア犯罪学者。ブログで犯罪学についてあれこれ書いております。TRPGだけやってる垢だと思ってると痛い目にあう。
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