9月3日から第2次安倍改造内閣がスタートしました。私は当初「閣僚に日本会議のメンバーがいっぱい」みたいな観点で注目していたんですが、松島みどり新法務大臣の暴言のまとめがTwitterでまわってきたので今回はその視点で見ていこうと思います。

 宗教上の理由での食事の配慮は逆差別?
 過剰収容の中の一つの問題としては、外国人受刑者が非常にふえている、このことがあると思います。私、府中刑務所を見たときに思った感想としましては、例えば、イラン人は宗教上の理由で豚肉なしのメニューをわざわざつくるですとか、あるいはパン食したかったら希望をとるとか、逆差別でずるいんじゃないかと。日本人ですと、御飯がいいか、パンがいいか、そばがいいかなんてだれも聞いてくれないのに、何でかという思いが非常にいたしました。

第162回国会 法務委員会 第8号(平成17年3月30日(水曜日)
 パン食ご飯食の希望はさて置くにして、宗教上の理由で豚肉を忌避することは逆差別には当たらないでしょう。宗教上の理由で豚肉を忌避するのは贅沢といった類のものではありませんし、懲役刑も改宗や戒律の無視を要求するものではありません。

 犯罪者の人権などというのは二の次、三の次?
 これは刑務所の入り口と出口の問題に関するのですが、先ほど平沢委員からも人権とは何かという話がございました。私は、人権というのはまず被害者の立場、そしてまた犯罪が起こらないこと、すべての人たちが犯罪に巻き込まれずに日本の治安がきちっと守られること、これが人権にとって大事なことであって、犯罪者の人権などというのは二の次、三の次だと思っております。

第162回国会 法務委員会 第8号(平成17年3月30日(水曜日)
 いやいや、そんな馬鹿な。犯罪者の人権は確かに制限されていますが、それは他の人の人権を侵害あるいは衝突するからです。犯罪者の人権が被害者のものより低いからではありません。
 人権というのは誰かのが高くて誰かのが低いという考え方と相いれないはずなんですが。何を勉強して法務大臣になったのやら。

 犯罪者には内心の自由もない
 その前提で申し上げますと、他人を死傷させたり性犯罪を行ったりした凶悪犯罪者については、心を入れかえたというふうに刑務所でといいますか法務省が判断してからでなければ世の中に出してはいけない、私はそういう思いを持っている人間でございます。
(中略)
 例えば、私も全然素人ですからわかりません、まさか児童ポルノを見せるわけにいきませんから、小学生の女の子たちがプールで水着姿で遊んでいる映像か何かを見せて、変な反応を示さないかどうかなどというのをうそ発見器みたいな形のイメージで点検して、これは真っ当になったと思ったら出す。そうでなければ、裁判官が言った何年が来たって、出されたら世の中は困るんです、もう一度犯罪を犯されると困るんですということを一つ考えております。
 どうやって内心を覗くんでしょうか。ドラえもんの登場が待たれるかもしれません。
 技術的な問題はこの際どうでもいいのですが、私の記憶では日本国憲法は内心の自由を保障していたはずです。気が付かない間に改憲されたんでしょうか。
 例えば強姦でも強制わいせつでも、それ以外の犯罪でも「実行」した時点から違法なわけで、想像することまでは刑法は禁止していません。計画段階で捕まるものもありますが、想像を禁止はしていません。大体想像が禁止なら創作家の8割ぐらいは捕まってるんじゃないでしょうか。
 当然ながら想像することと実行することには大きな開きがあります。再犯を防ぎたいなら想像を取り締まるなどと不毛な試みをしていないで、実行しないように教育をすべきです。あるいは強姦ならホルモン剤で性欲を減退させ、動機を奪うという手もありますが。

 性犯罪への厳罰化
 松島みどり法相は3日夜の就任記者会見で、性犯罪に対する刑罰に関し「刑法の中で物を取るより性犯罪の方が軽く扱われている」と述べ、見直しに意欲を示した。法相は刑法の強姦(ごうかん)致死傷罪の「無期または5年以上の懲役」に比べ、強盗致傷罪の「無期または6年以上の懲役」の方が「最低刑が重い」と指摘し、「これは絶対に逆転するように議論を進めてもらいたい」と語った。 

性犯罪の刑罰見直しに意欲=松島法相 時事通信 9月4日(木)0時56分配信
 今年に入ってからの記事ですね。私も強姦致死傷が強盗致傷より最低刑が軽いのは問題だと思います。最低でも同等にすべきでしょう。もっとも厳罰化すれば解決するような問題でもないということは強調すべきだと思いますが。

 死刑には賛成
 松島みどり法相は3日、初閣議後の記者会見で「死刑執行に署名することも覚悟して、この職を引き受けた。議論は必要かもしれないが、国民の考えに基づいた制度として必要だと考えている」と述べ、死刑制度について肯定的な見解を示した。

松島法相「死刑執行に署名することも覚悟」  日本経済新聞
 まあ反対派の方が珍しいですし。死刑については過去の記事(tag:死刑)でかいたのでそっちをご覧ください。

 裁判官は再犯を予測しろ?
 実は、これは執行猶予つきの判決の問題なんですが、執行猶予つきの判決が非常に多くてけしからぬと私は思っているんですけれども、昨年、この委員会での私の質問に対する答弁で、強姦で二三%執行猶予がつく、強制わいせつで七二%執行猶予がつくことが明らかになりました。性犯罪に対する、法律も甘いんですけれども、判決の甘さは目に余ります。
  この中で性犯罪の再犯率の高さも指摘されているところです。
 青森で自分のことを王子様とか御主人様と呼ばせていた男、この男は複数の女性を監禁した罪で捕まり、執行猶予中に再逮捕されました。このときの問題ですが、執行猶予中に黙って移動していたということで保護観察所の責任が問われるなどいたしましたが、そもそも悪いのは、保護観察所以前の問題で、執行猶予つきの判決を出した裁判官の判決こそ問題ではないかと私は考えております。
 そこで、提案とともに、最高裁から御返事をいただきたいんですが、深く反省しているとか、再犯のおそれは少ないと言って執行猶予つきの判決を出した被告が再犯を犯した場合、どの裁判官のこういう判決に対して再犯率が幾らかということがわかるような形で国民に情報開示をしていただきたいと思っております。そういう資料はあるんでしょうか。

第164回国会 法務委員会 第2号(平成18年2月24日(金曜日)
 それは無理あるでしょう。確かに更生の可能性を理由に減刑や執行猶予の処分を行っている以上再犯の責任の一端は裁判官にあるかもしれません。しかし犯罪の原因は多岐にわたり、多忙な裁判官が完全に再犯の恐れを推測することは不可能です。裁判官に限らずどんな人でも不可能でしょう。
 犯罪者の発生にはいろいろな人が関わります。言いかえれば犯罪者が生まれる原因と責任は社会全体にあるということです。再犯の原因を裁判官の判決に求め、それを人事に反映するというのは、再犯の原因の大部分を見落とすことになりかねません。

 韓国人は危ない
 韓国人に対する短期査証、いわゆるビザの免除を恒久化することが決まりました。これは、愛知万博の期間及びその後ことし二月までの追加的期間に問題がなかったから、三月以降恒久化するというふうに外務省では発表されています。
 しかしながら、最近も韓国人のすり三人組が逮捕されるという事件が発生しました。この二月に、上旬には銀座で三人組、中旬には渋谷で事件を起こしていた三人組が逮捕されました。いずれも短期ビザで出入国を繰り返していたのが犯人たちの実情でございます。
 韓国人のすりというのは、全国的にはそれほどの数ではないかもしれません。しかし、東京など都会に集中して、駅やデパート、電車内など、人込みの中で発生します。そしてまた、逮捕されそうになると柳刃包丁を振りかざすなど暴力的で、本国でもすりを経験しているような、いわばプロ集団が来ていると言われております。だれが被害に遭うかわからない、怖い、これはまさに体感治安の問題であると思います。また、それ以外にも、韓国のアシアナ航空の元社員が入管で不法入国の手引きをして逮捕されました。
 こういったことを考えますと、そしてまた、日本の刑務所の外国人受刑者は、中国人が断トツで一位ですが、二位はイラン、三位がブラジル。このブラジルというのは、ほとんどが若い日系人であるという特殊事情があります。そして、四位が韓国でございます。韓国に対する短期査証免除の恒久化は、私は時期尚早だと考えております。
 
 第164回国会 法務委員会 第2号(平成18年2月24日(金曜日)
 外国人の犯罪の実態については先日『外国人の犯罪は多いのか検証してみた』でまとめた通りです。記事では来日外国人の犯罪について言及はしませんでしたが、リンク先のデータを見てもらえばわかるように来日外国人による犯罪も増えてはいません。一応この委員会があった年の前後は増えているんですが、同時に来日外国人の数自体も増えているのでその影響でしょう。
 そのあと質問の回答者が述べているように、大量の人間が入ってくる中で犯罪者を完璧に弾くというのは不可能です。もし仮に絶対犯罪を企んでるかわかる機械があったとしても日本に来てから犯意を抱いたら見抜けません。
 犯罪が増えている、凶悪化しているという誤った主張をするときによく用いられる手段に、上述の発言のように1つの凶悪な事例を強調するというものがあります。1つ凶悪な事例があることと全体がどうだという話には関連は全くないのですが、人々の危機感を煽れるのでよく使われます。具体的な統計を出さない議論というのは、それを出すと主張のぼろがでるからそうしているので十分注意が必要です。
 また体感治安を引き合いに出すという手段も使われています。住民が感じている治安というのは確かに行政上においては重要なデータでしょうが、実際に治安が悪くなっていると無邪気に解釈するのはまずいでしょう。実際の治安の状態は統計を確認すべきで、そこと体感に大きな矛盾があるならその原因を探るように活用すべきでしょう。 

 さてここまでほとんど批判的に見ていきましたが、選択的夫婦別姓に賛成したり刑務所の出所者の就労支援を求めたりと賛同できる発言もみられます。彼女の発言に注意していくべきでしょう。