今更というかなんというか、沖縄に関わる百田発言で米兵によるレイプが取り上げられていたので関連する記事を纏めておきましょう。琉球新報がわかりやすい検証記事を出しているのに私が何か言うのも蛇足な気もしますし。
 25日の自民党若手勉強会での主な発言要旨は次の通り。
(中略)
 ▽別の出席議員 関連だが、沖縄の特殊なメディア構造を作ってしまったのは戦後保守の堕落だった。左翼勢力に完全に乗っ取られている。
 ▽百田氏 沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)は田んぼの中にあった。周りに行けば商売になるということで(人が)住みだした。騒音がうるさいのは分かるが、選んで住んだのは誰なのかと言いたくなる。基地の地主は年収何千万円だ。六本木ヒルズとかに住んでいる。ですから基地が移転したら、えらいことになる。沖縄に住む米兵が犯したよりも、沖縄県民自身が起こしたレイプ犯罪の方が、はるかに率が高い。左翼の扇動に対して立ち向かう言葉とデータをもって対抗しないといけない。
 「県民の強姦の方が…」百田氏発言はもっとカゲキ-日刊スポーツ
 百田尚樹氏は性的暴行の発生率について、在沖米兵に比べて県民の方がはるかに高いとの発言をした。2012年、13年、14年に米軍人・軍属が性的暴行で県警に摘発された件数は1件、0件、1件だった。12年に摘発された日本人は16件に上るなど件数だけで比較すれば、米兵が特別に凶悪との印象は受けない。
 だが公務員であり日米地位協定で守られている米兵と、一般県民を同列に比較することを疑問視する声がある。米兵による性犯罪に詳しい宮城晴美氏は「性的暴行の起訴率も十数%という米兵と日本人とは罰せられ方が違う」と話す。
  性的暴行件数:単純比較できずに疑問-琉球新報
 作家の百田尚樹氏が自民党国会議員の勉強会で「米兵の犯罪者より沖縄人が犯したレイプ犯罪の方がはるかに率が高い」と述べた。
 ネット上ではこの種の文言が広く流布している。沖縄の学生ですらこれを信じる人は多いという。
 だがこれは明らかなうそだ。むしろ悪意の込もった中傷といえる。
(中略)
 しかも米軍人軍属は治外法権的な特権に守られている。公務中の犯罪は日本に裁判権がないからそもそも表面化しない。公務外の犯罪も、日米地位協定により日本側は原則として身柄を拘束できない。
 米側の基地内での拘束は「基地の外に出てはいけない」という単なる禁足程度の例が多い。基地内は自由だから証拠隠滅、口裏合わせも可能である。事実、強盗事件の公判で米軍の将校が、容疑者たちは証拠隠滅や口裏合わせが可能だったと証言した例もあった。
 その上、犯罪見逃しの密約もあるのだ。1953年の日米合同委非公開議事録にこうある。「日本は米軍人軍属に対し日本にとり著しく重要と考える例以外は裁判権を行使するつもりがない」。在日米軍法務部の担当者は01年の論文で「日本はこの合意を忠実に実行している」と書いた。米軍関係者の一般刑法犯起訴率は今も1割余で、大部分は罰を受けてないのだ。
 <社説>犯罪率比較のうそ 悪意の込もった中傷だ-琉球新報
 そもそも米兵の犯罪が問題視されるのは、彼らが罪を犯しても身柄を拘束すらされないという治外法権のためだったはずです。百田発言はそれを件数の問題にすり替えています。
 しかもそれだけではなく、まるで沖縄県民が凶悪で狡猾な犯罪者であると言いたげですらあります。前後の発言を考慮すれば実際にそのように言いたいのでしょう。これは犯罪という要素が、自分が貶めたい相手に対する都合のいいスティグマと化している実態をよく示しています。皮肉なことに、このようなスティグマの殆どが事実に基づかないものであることの実例でもありますが。
 データに基づかないデマ、犯罪のスティグマとしての利用にレイプ神話による被害者へのセカンドレイプが加わって数え役満ですね。まあ、ネトウヨとしての面目躍如だと思いますよ。

 同じ日本に住む同胞の被害を被害者のせいにして、部外者である米兵を擁護する保守が一体何を保守したいのかわからなくなる昨今です。 
 今回の百田発言が唯一もたらした利益は、このようなネット上のデマをわかりやすく否定する記事が登場したことでしょうか。もっとも、こんな発言が出なくても理解しておくべきことなのですが。