……という状態が示すように、ヤフーの記事にリンクが張られたためにPV数がえらいことになって、いちゃもんとしか言えないようなコメントもそこそこ湧いて出たというのが現状です。
 リンクされた記事は去年のものですし、実に簡易的に、一般通念として言われている「外国人の犯罪が多い」という部分を否定するために書いたに過ぎないので、論理に穴があるのも事実です。そこで今回は、もっとデータを充実させつつ、抜けのない論理展開で「外国人の犯罪が多い」という幻想をぶち壊していきたいと思います。

 外国人犯罪の現状
 外国人犯罪の現状については、犯罪白書に毎年言及があります。平成26年度版で言えば、第4編/第2章/第2節/1がそれにあたります。
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 グラフを見ればわかることですが、全体的に横ばい傾向です。どれだけ悪意的に見ても、昔に比べてほんのちょっぴり増えてるといえないこともないという程度です。ちなみに日本における検挙人員に占める外国人の割合は、3~4%程度です。
 なお検挙件数が急激に減っている理由ですが、浜井浩一氏が『2円で刑務所、5億で執行猶予』で指摘しているように、警察での方針転換が原因です。警察では余罪を追及する際に、余罪1件1件に対してきちんと書類を書くようになったので、大量の余罪を捌ききることが出来ずに適当なところで追及をやめるということが起こっています。なにも警察が捜査に手心を加えているというわけではありません。
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 ちなみに、2010年の国勢調査の結果(p25)によれば「その他の外国人」にあたる常住外国人人口は一貫して増加傾向にあります。 
 またJTB総合研究所によれば、来日外国人も基本的に増加傾向にあります。つまり、来日外国人にしてもその他の外国人にしても、人数は増えているけど検挙人員は増えていない、割合で考えれば減っているという結論になります。 

 邪推を否定する
 率の話に入る前に、この手の話によくみられる邪推を否定しておきたいと思います。
 外国人の定義として国籍を用いると、帰化している人間を見落としているからデータに意味がないという批判、というよりはいちゃもんを受けます。凶悪犯罪が帰化人によって引き起こされているという主張自体は何ら根拠のない妄想と切って捨ててもいいのですが、いくつかの状況証拠はこの妄想に否定的な示唆を与えてくれます。
 まず、帰化人の人口ですが、当然帰化すれば日本人として扱われるのでそんな統計はありません。しかし法務省によれば毎年15000人から10000人くらいが帰化しているという統計があります。もし戦後から一貫して同じくらいの人数が帰化しているとすると、大体70万人くらいになるんじゃないでしょうか。少なくともどれだけ多く見積もっても100万人は超えないと思います。帰化人の子供まで帰化人に含めたいならもっと多くなりそうですが、そういうことまで考えると元々の日本人とのハーフはどうなるんだとか、外国人の血が少しでも混ざっているなら帰化人扱いなのかみたいなことまで考慮に入れる必要がありますし。DNAが犯罪性に影響すると信じている立場からすればそこまで入れるべきなんでしょうが、そこまでいくといささか病的な気もしますね。
 ともかく、外国籍のままの者まで含めて300万人に満たない人々と、1億人を突破する日本人とを比較して、前者の方がテレビに頻繁に写るという考えるのは確率的に考えてあり得なさそうな話です。外国人の犯罪率が50%くらいならあるいは、ありうるのかもしれませんが。
 テレビが外国人(主に在日朝鮮人)の犯罪報道に際して通名を使用し民族名を出さないために日本人が犯罪を犯したように思われているという邪推もありますが、これも苦しいものだと言わざるを得ないでしょう。
 先日の「熊谷6人殺傷は警察の不祥事か結果論か」で言及した事件の様に、外国人が犯罪を犯すと報道の際に枕詞のように国籍を報じるというのが現在の日本メディアの姿勢です。このような姿勢を考慮するに、もし民族名なんてわかりやすいものがあればデリカシーも人権意識も脇において晒すだろうと推測するほうが自然でしょう。卒業アルバムまで晒す人々が本名を晒すことに抵抗を覚えるとは思えません。
 テレビ局が在日に乗っ取られているという陰謀論の立場に立てば、通名報道されているという主張にはいささか説得力があると思うかもしれませんが、もし本当に在日にテレビ局が乗っ取られていれば韓国・北朝鮮disな報道がこうも頻繁にされるわけがないし、そこまでいって委員会なんで番組が存続するわけがないのでやはりあり得ない想定でしょう。
 ましてや警察が外国人犯罪に対して手心を加えるということはまずありえません。朝鮮総連に対する見せしめ的な家宅捜索にせよ、ヘイトスピーチ取り締まりへの消極性にせよ、警察は大抵の場合悲しいほどマジョリティの味方です。これは別に日本の警察に限った話ではありません。アメリカで黒人が警官に射殺されるたびに思い出すといいでしょう。

 割合は
 さてようやく割合の話です。旧版のデータの再検討でもいいのですが、どんな計算をしたのか正確に思い出せないこともあって新たに作り直すことにしました。
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 データは全て平成24年のものです。人口は、外国人は法務省の在留外国人数にある中長期在留者と特別永住者の合算値と外国人入国者数を、日本人は総務省統計局の人口推計にある日本人人口を利用しました。犯罪率は%です。なお日本人の検挙人員はその年の検挙人員から外国人の分を引いて求めています。
 この割合に有意な差があるのかということが主な注目点ですが……あれ。こんなに差ってなかったけか。なんでだろう。
 まあともかく、面倒な計算抜きで納得してもらえそうな数字が出たのは大変喜ばしいことです。流石にこの数字を見て「外国人の方が犯罪率が高い!危険!」という間抜けはいないでしょうし。 
 ちなみに、前回の数字に関して、0.2%と0.6%を比べて「外国人は日本人の3倍も危ない!」と吹き上がった人がいたのでびっくりしています。彼にとってはこの差と20%と60%の差は共に3倍だから等価値なのでしょうか。私には理解しがたい価値観です。
 それと、外国人犯罪者の中の中国人や韓国人の割合が多いことをもって危険性を喧伝する者もいますが、単に外国人に占める中国人や韓国人の割合が多いというだけの話です。これも数字で証明したいところですが、国籍別で分類されている警視庁の統計では来日外国人とその他の外国人が区別されていないといった不都合があるのでやめておきます。適当な数字を出してまたぞろ槍玉にあげられても面倒ですし。

 今までにあげた数字からいえることは、外国人による犯罪は言われているほど多くないし、割合としても日本人に比べて大きな差があるわけではないということです。
 犯罪、とりわけ凶悪犯を外国人という外集団によるものだと思いこむという思考は、日本が抱えている問題を直視せず、真正面から取り組まないという姿勢に繋がります。現実、犯罪の96%近くは日本人によって行われており、日本における犯罪は誤魔化しようもなく日本の問題です。もっとも、外国人によるものだとしてもやはり日本社会が抱える問題であるといえるのですが。
 また、特殊な例を過度に一般化する思想でもあるでしょう。言うまでもなく、人間というのは多種多様な存在であり、ある人が犯罪者だからといって同じ集団に属する別人も犯罪者であるということにはなりません。過度な一般化思考に囚われる限り、日本人による犯行を日本人でないと言わなければ自分まで犯罪者である気がしてくるでしょうし、外国人の犯行であることにすれば他の外国人まで犯罪者に見えて、排外的な主張に行き着くことになるでしょう。
 日本人が犯罪者ではないとか外国人が犯罪者だとかではなく、犯罪者が日本人だったり外国人だったりするというだけの話です。
 犯罪者が皆外国人だと信じている人がまず最初に行うべきは、日本人にどれほど凶悪な犯罪者がいたところであなたへの評価は1ミリも変化しないということを理解することかもしれません。