沖縄で在日米軍に所属する兵士が女性を強姦する事件がありました。
 沖縄県内のホテルで、廊下で熟睡していた女性に性的暴行を加えたとして逮捕されたアメリカ兵の男が14日、身柄を那覇地検に移されました。
 準強姦の疑いで送検されたのは、アメリカ海軍の一等水兵、ジャスティン・カステラノス容疑者(24)です。
 カステラノス容疑者は13日未明、自身が滞在していた那覇市のホテルで、廊下で熟睡していた40代の日本人女性を部屋に連れ込み、性的暴行を加えた疑いが持たれています。
 警察の調べにカステラノス容疑者は「その時間はバーで酒を飲んでいて、ホテルにいなかった」と容疑を否認しています。
 沖縄、女性暴行の疑いで米兵を送検-Yahoo!ニュース
 普段、日本国民の安全のために云々と説いて回っている人々が多いネット上では、日本人女性が傷つけられたことに対してさぞかし怒りの声が上がっているだろうと思ったのですが、どうも様子が違うようです。

 被害女性へのセカンドレイプ
 まず目につくのは、被害女性への非難です。上掲記事のコメント欄を見ていただければわかるように、相変わらずの酷い有様です。
 非難の大部分を占めるのは、廊下で寝ていた女性が悪いという、責任転嫁です。言うまでもなく、被害者がどこで寝ていようが被害を受けるいわれはありません。
 また被害者の40代という年齢を揶揄するものもありますが、性犯罪被害が若い女性にしか起こらないという誤謬に基づいたものです。実際には、どの年代でも起こり得るものです。
 このように、性犯罪被害の基本すら理解しない非難がみられるのですが、米軍基地を必要だと思う人の「日本を守るためにいる米軍が犯罪に及ぶなど許せん!」という視点からの反応が全くないのが気になります。大義名分と相反する事件は、基地肯定派にとっても都合が悪いでしょうし、それ以前に基地を肯定する理屈を援用すれば許せるはずがないと思うのですが。

 米軍の犯罪は多いか
 このような記事が出ると、基地に反対する側が過去の事件を例に挙げ、米兵の犯罪を強調するような報道が出てくるのも事実です。実際に多いか少ないか、詳しいことはわかりませんが、過大な数字が流布しているという指摘があります。
 しかし、こうした報道によって、米兵はしょっちゅう犯罪を行っているようなイメージを持ってしまうのは早計である。
 元在沖縄海兵隊幹部のロバート・D・エルドリッヂ氏は、著書『オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白』で、次のように述べている(以下「 」は同書より引用)。
 「米軍の犯罪発生率は高いという印象の背景には、日本弁護士連合会が2000年夏に発表した報告書があります。この報告書は沖縄におけるアメリカ人の犯罪統計が地元市民の10倍にのぼると指摘し、地元メディアに大きく取り上げられ既成事実化しましたが、後になって、この報告書のデータには重大な誤りがあることが判明しました。
 新聞には小さな訂正記事が出たものの、いまだに集会などでは講演者がこの数字を引用するため、悪い印象は消えません」
 たしかに、2000年に発表された報告書は、「人口1万人あたりの米兵の犯罪件数は県民の10倍」としたが、その後「ほぼ同じ」と訂正されている。
 また暴行罪で逮捕 米兵の沖縄での犯罪率は高いのか-Yahoo!ニュース
 一方で、沖縄県民のそれと比較するかのような言説も出てきます。かつて百田尚樹がそのような発言をし、このブログでも『沖縄と米兵のレイプ』でその誤りを指摘する琉球新報の記事を紹介しました。
 一応、公的な統計に表れる犯罪はさほど多くないようですが、上掲記事で琉球新報が指摘するように、表に出る犯罪も少ないでしょうし、米兵の起訴率も低いのが現状です。

 多寡の問題ではなく
 しかし、この問題は件数の多寡の問題ではないでしょう。
 無論、多ければそれだけ問題ですが、最も重要なのは、犯罪者を裁くこともままならない現状、かつそれが「日本を守る」という大義名分で派遣された米軍によってもたらされているという事実です。
 米軍が必要だと思うなら、せめて国内での米兵の犯罪くらいはきちんと裁けるように制度設計をするべきだと思うのですが、そういう声は基地肯定派からはやっぱり聞こえてきません。