前回でも言及した、フリージャーナリストに対する準強姦事件に関することです。
 「捜査員のみなさんから、『処女ですか?』と質問されました。『なんのための質問ですか?』と聞いたら、『聞かなくてはいけないことになっている』と。捜査のガイドラインに載っているんだと思いますが、そうならとてもおかしいことだと思います」
 そう話すのは、元TBSのジャーナリスト山口敬之氏(51)から、レイプ被害を受けたと訴えているジャーナリストの詩織さん(28)。詩織さんは5月29日、山口氏が不起訴処分になったことを受け、検察審査会に不服申し立てをしたあと“実名・顔出し”の記者会見を行い、注目を集めた。
(中略)
 「捜査の過程では、被害者として耐えられないことがたくさんありました。所轄の高輪署では、男性警官がいる前で私が床に寝転がり、大きな人形を相手にレイプされたシーンを再現させられました。さらにそれを写真に撮られるんです。口頭で説明すれば状況はわかることなのに、なんでこんな屈辱的なことをしなくちゃいけないのか。ほんとうに苦しかった……」
 詩織さんの口からはまさに“セカンドレイプ”のような捜査の実態が語られた。8日、性犯罪に関する刑法の厳罰化に向けた法改正が衆議院で可決された。しかし詩織さんは「こういう捜査の方法から変えていかないと、被害者が警察に届け出できない。いくら性犯罪の法律が厳罰化されても救われない」と指摘する。
 とくに詩織さんのように知人からレイプ被害を受けたと訴えた場合、「合意があったのでは?」と被害を受けた側が疑われ、被害届を受理されるのすら難しいという現実がある。
 「処女ですか?」と聞かれ…詩織さんが語る“捜査中の屈辱”-女性自身
 強姦被害者が、残念ながらたいていの場合直面する困難の1つに、捜査を担当する警察官からのセカンドレイプがあります。ここでは主に、処女かどうか何度も尋ねられたことと、自身が事件の再現をさせられた点が指摘されています。
 再現の点に関しては後述するとして、ここで注目するのは被害者の処女性に関する部分です。

 捜査に必要?そのわけは
 この点、擁護の使用もないだろうと私は考えていたのですが、人によっては考えを異にするようです。
 彼らの主張によれば、強姦罪と強姦致死傷罪で量刑が違い、捜査方針も異なるから確認が必要だということです。
(強姦)
 第百七十七条
 暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。
(親告罪)
 第百八十条
 第百七十六条から第百七十八条までの罪及びこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
(強制わいせつ等致死傷)
第百八十一条
 第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 第百七十七条若しくは第百七十八条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は五年以上の懲役に処する。
 刑法から関係する条文を引用しました。強姦罪は同意を得ない性行為に対する罪、そこに傷害や殺人が加わると強姦致死傷となるというイメージでいいでしょう。親告罪ではない犯罪が組み合わさるから、セットになっている強姦に関しても非親告罪として扱われるといった感じでしょうか。確かに、条文を見る限り2つの罪ではその捜査方針が大きく異なり、故に傷を負ったかの確認は必要だという主張は正しいでしょう。
 しかし、それでもなお被害者に処女かどうかを尋ねることに正当性が保証されるとは考えられません。というのも、被害者が処女かどうかという情報は、それだけでは被害者が強姦された際に傷を負ったかについて何も語らないからです。
 このような捜査の背景として、強姦時に処女膜が破裂した場合強姦致傷となるという判決があるようです。しかし医学の常識として、処女であるからと言って必ずしも処女膜があるとは限りません。この場合、被害者が処女だったとしても強姦致死傷には当てはまらないということになるはずです。一方被害者が非処女であっても、被害の際に怪我を負えば強姦致死傷に当たる可能性があるはずです。
 要するに、警察官が本来尋ねるべきなのは被害の際に怪我を負ったかどうかであり、被害者が処女かを確認することではありません。というかこんなこと、被害者に聞くよりも先に被害者を治療した医師に尋ねたほうが確実だと思うんですがね。病院にかかっていた場合。
 ちなみに元検事の弁護士氏はこんなことも言っていましたが、後続のツイートのように意味はさっぱり分かりませんでした。

 再現に関して
 事件の再現に関しては、ある証言によると前は人形ではなく男性捜査員でやっていたようで、警察の前時代性を思わせる話だと思います。
 どうしても再現が必要ならば別の女性捜査員が行って、被害者は口述で説明するとか、今ならCGを使うとかいろいろできそうなので、その辺はきちんと強姦事件における事情聴取のあり方を見直すべきでしょう。