松本が「乱暴された」の不思議さに引っかかる気持ちを語る。
 「クリスマスイブに、彼女ですよね。お酒をたらふく飲んで、どういうつもりだったんですかね」
 この松本の発言を受けて、ジャーナリストの堀潤氏がスウェーデンの法律が「交際中であっても明確な相互の同意なしに性的行為に及んだ場合は違法になった」を解説。
 松本が、「それはどうかな。それはどうかな。それはどうかな」と否定的な態度を取ると、指原莉乃が小さく首を振って「いや、いや、違います」と制する。松本は笑いながら、
 「これはなんか嫌な火薬の匂いがする。松本、しっかりせえよ。松本、しっかりせぇ!」
 仕切り直して、炎上を回避しようとして笑いを誘った。
 松本人志、「明確な同意なし性行為は違法」に反論 「途中でイヤァンって言うやん」-ネタりか
 感想はツイートの通りです。ぶっちゃけそれ以上の何かが必要だとも思わないのですが……しかし最近、また松本人志かよで終わっている気もするので、今回は彼の失言暴言を逐一取り上げてそれへの批判を加えることで、間接的に彼を重用し続けるマスメディアの異常さも指摘しておこうと思います。

 炎上を笑いごとに
 上掲引用部の誤りは前回記事で指摘したので深くは書きません。ここで問題としたいのは、松本が「炎上した」という過去の事例を笑いごととしてしか捉えられていないことです。これは彼が、なぜ自分が批判を浴びたのかという根本を結局のところ理解できていないことの証左といえましょう。そもそも本当に分かっていれば、あのコメントへの批判を「炎上」などという雑な表現で解釈するわけがないのですが。

 「それは、お得意の体を使ってなんとかするとか……」
 NGT48・山口真帆の暴行被害告白騒動をめぐる松本人志(ダウンタウン)の発言が物議を醸していたが、その発言を向けられた当事者であるAKBグループのHKT48・指原莉乃が“見解”を発信した。
 問題となっている松本の発言は、13日放送のテレビ番組『ワイドナショー』(フジテレビ系)内で発せられた。山口の事件を紹介するコーナーで、指原は運営元について「すべての対応が悪かった」と語り、さらに再発防止策としてメンバー全員に防犯ベルが配布されたことについても、「それが自分のなかで一番気になっていて。その瞬間防犯ベルを引っ張って音が鳴って、誰がどうしてくれるの? っていう話で」と疑問を呈した。
 指原の発言を受け、松本は「自分の娘くらいの子をマネジメントしてると考えたら、もうちょっと真剣に考えると思う」とコメント。社会学者の古市憲寿は指原に「引退するんだし、NGTのトップになったら?」と提案すると、指原は「現状として、えらい人が仕切っても何もできない状況。私が立ったとしても、何もできないと思う」と見解を示したが、松本は「それは、お得意の体を使ってなんとかするとか……」と発言。さすがに指原は「何言ってるんですか? ヤバ……」と驚いた表情を見せたのだった。
 指原莉乃、松本人志を“公開処刑”状態…松本の笑えないセクハラ発言に“笑い”で返す-ビジネスジャーナル
 で、その「炎上」の発端となったのはこの発言でした。
 NGTメンバーが被害にあった、その一因に組織の構造上の問題があり、指原がトップに立ったとしても難しいだろうという内部批判であり、指原の見識は全く妥当なものであると同時に、立場上カメラの前でそのことに言及するのも勇気が必要であっただろうと察せられます。それに対する返しがこれなのですから、まったく信じられません。
 「体を使って」云々というのは、要するに今回の一因である構造上の問題へそのまま迎合する態度であり、やはり全く問題の本質を理解していないというべき発言です。しかも「お得意の」と常にそういうことが行われていることを匂わす、そういう常態化をそのまま受容するかのような発言は考えられません。

 「セクハラ、パワハラって、本当に境界線が難しくて」
 ちなみに、『ワイドナショー』で松本は、この件について、「セクハラ、パワハラって、本当に境界線が難しくて、相手がどう思ってたかなんてそのときわかんないんですよね。そのときは楽しく飲んで、楽しく帰ったはずなんですけど、後でなんか言われるみたいなこともきっとあるんだろうなとは思います」とコメント。
 ブラウスに手を突っ込まれたり、スカートをまくって下腹部を触ったりされて、「そのときは楽しく飲んで、楽しく帰った」という状況になるはずはない。触った側の認識に「彼女も楽しかったはずだ」という認知の歪みが生じているだけだ。ここでそういった一般論をもちこむのは、登坂アナ擁護のための話のすり替え以外のなにものでもない。
 元NHK登坂淳一アナが『ワイドナショー』で無反省ぶりを露呈…松本人志も勘違い発言で歪んだ性暴力認識の垂れ流し-Wezzy
 少し前にはこういうのもありました。
 まず、セクハラやパワハラが境界線の難しいものであるという認識が誤っています。確かに、実際にどのように処罰すべきかという段階になると、どの行為に対してどのような処罰が妥当なのかという判断が複雑化し、場合によって判断が分かれるという事態も起こるでしょう。しかし実際に生活するレベルでは、相手が不快に思うことをしないというただそれだけのことであってさほど難しいことではありません。相手の権利をきちんと尊重できる人にとっては。
 また処罰までいくのは大半がグレーな境界的な事例ではなく真っ黒もいいところなので(そこまでいかないとなかなか被害者が動かないというのもある)、そういう意味でも難しいというのは誤りでしょう。

 加えて、この発言が飛び出した背景も考える必要があります。この発言は元NHKアナウンサーのセクハラ報道に関して、その加害者が復帰し番組へ出演してのやりとりでした。セクハラとは言われていますが、報道を見る限り強制わいせつというべき行為であり、また加害者が全く反省していないこともうかがえます。そのような「真っ黒」な事例を目の当たりにして「境界線が難しい」などというコメントを言うということは、松本はこの事例を「相手がたまたま気難しかったから」くらいにしか捉えていないのでしょうか。

 「すんごいブスがいっぱい乗ってるでしょ、女性専用車両」
 31日放送の情報番組「ワイドナショー」(フジテレビ系)で、ダウンタウンの松本人志が、公共交通機関などの女性専用車両について「ブスばっかり」とコメントする一幕があった。
(中略)
 ここで土田晃之が、女性専用車両を増やしてみてはどうかと提案したところ、松本が「すんごいブスがいっぱい乗ってるでしょ、女性専用車両」と、利用客の容姿を批判した。
 この発言にスタジオはしんと静まり、山崎夕貴アナウンサーは口に手を当てて唖然としていた。
 司会の東野幸治は「いやいや」と、松本の一言をすぐさま否定した上で「(視聴者の)皆さん、大量の苦情の電話お願いします」と呼びかけた。土田も驚きの表情で「こんな偏見聞いたことないですよ」と意見してみせた。
 松本人志が女性専用車両に指摘「すんごいブスばっかり乗ってる」-ライブドアニュース
 2015年にはこんなことも。痴漢ないしは性犯罪と被害者の容姿を結び付けて考える典型的にレイプ神話が詰まった脳みそをお持ちです。このような発言は、どのような経緯で女性専用車両が設置されるに至り、そしてなぜ未だにこのような緊急避難的な措置が続いているのかということを全く知らないが故に飛び出すものです。

 「自分の娘が色んな男に輪姦されても仕方がない」
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 さらに著書の中ではこのようなことも言っていました。仮に女性蔑視的な男性を批判する文脈だったとしても、その責任を本人ではなく娘へ負わせようとする認識が意味不明です。また性犯罪を罰や攻撃のように扱う思考は性犯罪者のそれと同じであり、非常に危険な認識を持っているともいえるでしょう。

 「先生が生徒に暴力を振るったって、僕はあまり思ってなくて」
 ダウンタウン・松本人志が27日、レギュラーコメンテーターを務めるフジテレビ系「ワイドナショー」に出演し、東京・町田市の都立高で50代の男性教師が生徒の顔を殴るなどの体罰を加える様子と「ツイッターで炎上させようぜ」という撮影者の声が入った動画が拡散したことを受け、持論を述べた。
 松本は「生徒って教えを受けるものじゃないですか。これは教えを受けるものじゃないから。先生が生徒に暴力を振るったって、僕はあまり思ってなくて」とし、「そもそも生徒じゃないのを、学校に送り込んだ側の責任ないかなぁっていう感じはしますね。生徒じゃないもんね」と先生の行為よりも、生徒側とその家庭を問題視した。
 松本人志、炎上体罰問題に持論「生徒への暴力とは思っていない」-デイリースポーツ
 性暴力を肯定するなら当然の帰結として、体罰もばっちり容認します。どういう背景があれど教師が暴力をふるってはいけないという原則論が通じません。やはり危険な認識です。
 3日放送の「ワイドナショー」では、平幕・貴ノ岩への暴行問題の責任を取って、11月29日に引退を表明した元横綱・日馬富士の引退会見の模様を放送した。
 日馬富士の引退について、松本さんは
 「引退する必要はなかったと思ってますね」
 と、日馬富士の引退に納得していない思いを明かした。
 松本さんは「もちろん酒の場で物(リモコン)を使ってやりすぎたってのはありますよ」と、日馬富士の貴ノ岩への行為が行き過ぎた行為であったことは認めながらも、
 「(相撲は)人を張り倒して投げ倒す世界じゃない。その世界で土俵以外のところで一切暴力がダメっていうのは正直ムリがあると思うんですよ。だったらどうやって稽古つけんねやろって」
 と持論を展開。続けて
 「あの、稽古と体罰ってすごいグレーなとこで、でもそれで強くなる力士もいると思うんですね」
 と、日馬富士の行いの根底にあるのは「正義感」であるとして、自身はそうした日馬富士の味方であることを断言した。
 松本人志、「暴力ダメは正直ムリ」 日馬富士問題で発言、SNSで批判の声相次ぐ「心底がっかり」-J-CASTニュース
 加えて、日馬富士の暴行問題についても同様のことを言っています。暴行をしてはいけないという原理原則を守り擁護するのはそんなに難しいことでしょうか。

 注目すべきは、著書での発言を除きすべてが『ワイドナショー』でのものであるという点です。注目されやすいという側面もあるのでしょうが、フジテレビはこのような発言を繰り返す人物を公共の電場に乗せることに関して、明確に説明する責任があります。