第2回です。
 ここから様々な議論を進めていくつもりですが、その前提を確認する必要があります。
 それは、Twitter社には社会的責任があるという点です。「あぁそうだよね」と思う方は、以降の議論を読む必要はありません。至極当然のことを書くだけなので。

 企業の社会的責任
 私が『またTwitter”クソ”社にアカウントを凍結されてしまった&チキチキ第1回片っ端から通報実験』などで、Twitterの対応を批判したところ、結構な頻度で「Twitterは私企業なんだから、ルールが嫌なら使うのをやめるべき」という反応をもらいます。

 しかし、これは明確に間違っています。
 私企業だから何をしてもいいわけではないからです。
 さらに言えば、企業はその業務内容と規模に応じて、社会的責任を負っています。

 例えば、運送会社のトラックの後方に「安全運転で走行します」と書かれたステッカーが貼ってあるのをよく目にします。あんなステッカーを貼っても企業には1円の利益にもなりません。しかし、運送業を営み道路を頻繁に使う(しかも大型車で)企業には、道路の往来の安全を守る一定の責任があります。積極的に安全運転をして、ほかのドライバーに注意を呼び掛ける責任もあるかもしれません。そこで、ああいうステッカーを貼ってアピールをしているのです。

 Twitterで考えてみましょう。Twitterは現在、ネット上で最も大きなSNSの1つであるといえるでしょう。巨大な言論インフラであるともいえます。であれば、その巨大な言論インフラを運営していく中で、そのインフラを適切かつ健全に保つ責任があるといえます。

 Twitter社が果たす責任とは
 具体的に言えば、Twitter社には言論の自由を最大限確保すると同時に、差別主義者を許容しない対応が求められます。
 ブロックで済むような罵り合いにいちいち口を挟まず、ブロックで済まないような差別やなりすましといった被害に対して注力すべきです。

 そのような対処は利益に結び付かないとか、人手が足りないといった「言い訳」じみた推測も聞かれます。しかし、Twitter社の社会的責任が「言論インフラの適正管理」にある以上、そのような「言い訳」には意味がありません。

 もちろん、警察のような完璧で徹底した対処は望むべくもないでしょう。ですが、程度問題として、百田や高須といった明らかな差別主義者のアカウントを放置しない、また「差別的発言に言及しながらそれを批判する」行為を誤爆して凍結しない程度の運用は当然求められてしかるべきであろうと考えます。

 前回求めた要求のうち、下の2つはそのような「社会的責任」に根拠づけられたものです。
2.使用するとアカウントが機械的に凍結される言葉のリストがある場合、それを公開せよ
3.凍結基準を見直し、問題ないアカウントを凍結しないようにするとともに、問題あるアカウントを適切に凍結するようにせよ
 利用者はルールに服従すべきか
 「規約が不満なら使うのをやめろ」という主張は、ほかの点でも間違っています。
 第一に、Twitter社が社会的責任を果たさない悪影響は、Twitterユーザー以外の者も受けるからです。Twitterが差別主義者のたまり場となり、Twitterがそれを是認すれば、彼らは差別をヘイトデモのような街頭での行為へ発展させる可能性があります。その被害を受ける人は、Twitterユーザーとは限りません。

 第二に、Twitterは巨大な言論インフラで、言論インフラとしては比較的独占的な立場を占めているからです。つまり代替サービスを探すのが難しく、Twitterに不満があろうがなかろうが使わなければ目的に対し支障をきたすことが多々あります。このような独占的な立場を占めている場合、市場による競争が働かず、市場原理によってTwitterの問題が改善する機会は少ないでしょう。であればこそ、社会的責任による改善が求められます。

 最後に、属する集団にせよ使用するサービスにせよ、おかしいと思う点があれば批判するのは、それを改善するための行為であり、同時に、我々にはそうする自由があるためです。「嫌なら出ていけ」というのは、まさしくこのような批判を抑圧する、表現の自由から真っ向に反する発言です。憲法が表現の自由を保障している限り、むしろ批判が嫌だというほうが出ていく必要があるともいえましょう。


 とりあえず今回は、Twitter社に一定の倫理的、道義的、社会的責任を果たす義務があることを確認しました。具体的な問題は次以降に論じます。