九段新報

犯罪学オタク、新橋九段によるブログです。 日常の出来事から世間を騒がすニュースまで犯罪学のフィルターを通してみていきます。

こまえーきの犯罪学講座

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こまえーきの犯罪学講座 強姦・強制わいせつ編後書き

 第2回は強姦・強制わいせつに焦点を当てて作成しました。冒頭でも述べているように、性犯罪というのは誤解が多く、それらを纏めてレイプ神話と表現するくらいですから、これの解消は急務だと考えての選定です。
 しかし性犯罪にかかわる話題は多く、また多岐に渡っています。動画ではあくまで初歩の初歩に触れるだけにして、不足した分はここで補足するか、参考文献を読んでもらうようにしました。

 補足その1 ポルノと性犯罪
 動画ではポルノが性犯罪にネガティブな影響を与えると結論していますが、そのこととポルノ規制とはまた別の話です。
 何かを規制しようとするときには、それに悪影響があるかということと、規制してでも防ぐべきかという2点が問題になります。動画では、前者について確かに悪影響があると述べたにすぎません。
 仮に悪影響が認められたとして、しかしそれでも規制をするべきではないという議論はあり得ます。影響の大きさにもよるでしょうし、何を規制するかにもよります。特にポルノでは表現の自由が問題になるため、余程悪影響が大きいとならない限りは規制は認められないでしょうし、規制するにしても限られたものになるでしょう。
 動画では、ポルノの規制論に反するあまり、ポルノが性犯罪にむしろいい影響があるのだという誤った主張が安易に流布する現状に釘を刺しておきたかったのです。
 なお、2次元のポルノについて、メッセージが同じなら影響も同等だろうと述べています。これは、ポルノが放つ、女性軽視的なメッセージ、あるいは性行為に関する誤った信念のメッセージを指します。表現方法が異なっていても、これらのメッセージが同じであれば、人間に与える影響としては同じものが想定できるでしょう。寧ろ、実際には不可能な行為をも描写が可能であるので、よりこれらのメッセージが強く出る可能性すらあります。

 補足その2 動画中の図表
 多分動画中では、画像が小さくて見にくいのでここにも貼っておきます。
 
無題1
Rape-Japan0

 補足その3 宮崎の事件
 ちらっとしか触れていないので、ここで詳しく説明しておきます。
 Yahoo!ニュースの『強姦事件「盗撮ビデオ」で示談を迫った弁護士 「許せない」と怒りの声上がる』が詳しいですが、要するにマッサージ店で強姦被害に遭った女性が、後日加害者側の弁護士に「事件の様子を盗撮したビデオがある。これを処分するから示談金なしで示談に応じろ」と迫ったというものです。
 ビデオの撮影方法が違法で、それをだしに被害者を脅迫する行為が認められないのは言うまでもないことです。
 しかし、このような極端な行為ではないものの、被害者を半ば脅すような形で示談に持ち込む弁護士は少なからずいるようです。裁判での苦労を示唆して被害者に告訴を思いとどまらせるというのが一般的な手口です。
 それ以外にも、記事でも触れられていますが、弁護士が執拗に「抵抗ができたのではないか」などと聞き、それが心的な負担になる場合もあります。抵抗の有無と合意の有無は必ずしも一致しないという話は動画でしましたが、弁護士の中にも基本的な性犯罪の知識が欠けている者が少なからずいるようです。
 もっとも、今回のようなケースではそれ以前の話ですが。

 補足その4 「動機は性欲」論の再生産
 動画では、性犯罪の動機は多様であるという話をしましたが、裁判なので語られる動機は性欲のみに言及したものが少なくないでしょう。
 ここには、レイプ神話の再生産というメカニズムが関わってきます。
 性犯罪者の中には、自分がどうしてそのような行為に至ったのかはっきり分からない者もすくなくありません。そうすると、警察や検察は調書を取る際に苦労する羽目になります。いつまでたっても「なぜやったのか」という部分が埋まりません。
 なので、取り調べをしている者が「性欲が堪えきれなくてやったんだろ?」と犯人に聞きます。犯人は捜査側が提示したストーリーに乗っかり、動機は性欲だったという供述をするに至ります。
 このような提案の背景には、捜査陣の「性犯罪は性欲によるものだ」という思い込みがあります。犯人に言わせる→犯人が言ったからそうなんだ→それを元にまた犯人に言わせるという無限ループです。
 裁判は、別になぜその犯行に至ったのか明らかにする場所ではないので、動機は究極なんでもいいのですが。
 これらの過程は牧野雅子著『刑事司法とジェンダー』に詳しいです。

 なお、たまに「凶悪事件の犯人が語る凶悪犯の心理」みたいな本がありますが、基本的にそういう本は信頼できないと思います。自分の心のことは自分では意外とわからないものですし、上述のような、神話の再生産に飲まれている場合も少なくないでしょう。

 

こまえーきの犯罪学講座テロリズム編 後書き

 今まで「投稿しました」という体で記事を書いていたのですが、別に書くこともないなと思い出してきたのでこれからは後書きという体で記事を書いていきます。

 さて今回から始まった新シリーズは犯罪学の知見それ自体を解説することを目的としています。まあ解説の途上で実際の犯罪に触れることは避けられないんですが、そこはメインじゃないということで。
 去年の秋ごろに動画は作ったんですが、エンコードが出来ない状態に陥っていました。そしてそのままデータも削除され、その代わりに3分犯罪解説シリーズが生まれたというわけです。この動画は1年越しに私の構想が実現したものでもあります。
 動画のフォーマットはまだ完全に定まってはいないので次回以降変更があるかもしれません。ですがおおよその流れはあの通りにしようと思っています。 

 動画のテーマをテロリズムにした理由ですが、はっきりいって覚えていません。なんせ1年前のことですし。偶々テロに関する本を見つけたからかもしれません。偶然にも様々な国で政治情勢が悪化している状態となりましたし、知っておくにはいい機会かもしれません。 
 動画で述べたようにテロというのはその国ごとの歴史的経緯や政治情勢に大きく影響される犯罪でもあります。故に犯罪として語るよりそういったものの1つの流れとして語る方が適しているかもしれません。しかしそれはある意味でキリのない作業でもあります。どこの国のテロリストはこんな感じだと1つ1つ解説をするより、テロリズム全体に当てはめることが可能な知見を得る方が結果としてテロリズムの理解に役立つかもしれません。

 今回の動画で特に知っておいてほしいのは、テロの様々なタイプとそれに立ち向かう方法、そしてもう1つあげるならテロの定義が難しいという話です。
 ネットでよく目にする論争に伊藤博文と安重根の話があります。韓国では安重根は英雄だが日本から見るとテロリストというあれです。「韓国はテロリストを英雄視していてけしからん」といった短絡的な結論にまとめる人は多いですが実際はそんなものではありません。この話はテロリズムの定義の難しさをよく示すものと言えるでしょう。
 当時日韓併合に反対する側から見れば、韓国総監府の長である伊藤博文は憎き仇敵ともいえる存在でした。そんな伊藤を暗殺した安重根はまさに「自由の闘士」といって差し支えないでしょう。逆に日本から見れば有能な政治家を暗殺した彼ら凶悪なテロリストに他なりません。
 一方の伊藤も英国公使館を焼打ちしたりと幕府側から見ればテロリスト以外の何物でもない行為を行っていた過去があります。しかし現在の日本では彼のテロリストとしての側面は殆ど顧みられていません。彼が新政府側、つまり官軍であることも影響しているのでしょう。
 伊藤のような例は他にも探せばいくらでも見つかります。当初は政府にテロリストとして拘束されたものの、その後反アパルトヘイトの闘士としてノーベル平和賞を受賞しているネルソン・マンデラが顕著な例でしょう。このようにテロリズムの定義はその時代の価値観や政治情勢によっていくらでも変わりうることは覚えておくべきでしょう。

 
犯罪心理学者(途上)、アマ小説家。カクヨム『アラフォー刑事と犯罪学者』『生徒会の相談役』『車椅子探偵とデスゲームな高校』犯罪学ブログ『九段新報』など。質問はhttps://t.co/jBpEHGhrd9へ
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