九段新報

犯罪学オタク、新橋九段によるブログです。 日常の出来事から世間を騒がすニュースまで犯罪学のフィルターを通してみていきます。

交通事故

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内閣府政府広報室のやばい意見集

 みんな覚えているかな?
 昨年9月、クラウドワークスというクラウドソーシングサイトで「共産党に票を入れる人は反日」というようなブログ記事を書けば一件につき800円の報酬をもらえる案件が募集されていることが判明して度肝を抜かれたよね。
(中略)
 これね、日本政府の公式ウェブサイトで日本国民の意見として公開されているんだよ。
 韓国のことを「反日を国是のようにする体質」とか言い出したかと思うと、「国内にいる在日と呼ばれる方々が嫌われるのも同じ理由」とか「かの民族」とか、差別的な言動が含まれているよね。
 こういうことを言う日本人がいるのは知っているけどさ、政府が公式ウェブサイトに公開していいようなもんじゃないよ。
 「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(ヘイトスピーチ解消法)」が2016年6月に施行されたわけだけど、その内容や目的を考えると明らかに不適切だよね。
 差別デマを拡散する内閣府のプロパガンダ装置-ロジ・レポート
 これの件です。
 排外主義というのは往々にして排斥したい対象を犯罪者のように扱うこととセットなので、犯罪がらみのものもあるかなぁと思って調べてみたらビンゴでした。
 なので今回は、引用元のブログが引用していないコメントを探りつつできれば犯罪学の視点から突っ込みを入れていきましょう。
 なおコメントは全て平成28年度の部分からとってきています。

 外国人差別と同居するコメント群
外国人の犯罪について 移民反対
 警察庁国際管理官が公表しておられる様に、外国人の犯罪に関し、余りにも検挙数が多すぎる。安易な観光客の受け入れは、犯罪の温床になりやすい。通称の使用禁止と実名の報道を求めます。背乗りなどを防ぐ為にもマイナンバーカードが海外に渡らない様に注意して下さい。
 (滋賀県 中村 隆宏 男性 40代 無職、その他)
 平成28年度分の意見等 > 危機管理・防災 > テロ対策 > 外国人の犯罪について 移民反対
 警視庁の統計によると、平成27年の時点で来日外国人の検挙人員は6千人ちょっと、一般刑法犯に占める割合はわずか2%未満です。これを多いと判断する基準では、外国人による犯罪は一生減少しないでしょう。
米国同様、犯罪歴のある外国人を強制送還すべき
 トランプ次期米国大統領が、犯罪歴のある移民を祖国に強制送還することを発表しました。こうした政策こそ日本は米国に倣って導入すべきです。日本では犯罪を犯した外国人を強制送還するどころか、日本人を殺害するような凶悪犯罪でも日本人容疑者に比べて刑が軽かったり、ペルー人による日本人6人殺人事件のように、心神耗弱だなんだと被害者にも日本の国益にも何の得にもならない理由をつけて裁判すら開始しない。その間の拘留費用は日本国民の税金という有様です。英国のEU離脱投票をはじめ、欧州でも今や自国第一主義、行き過ぎた人権主義や寛容な政策が招いた治安の悪化や社会不安に国民が憤慨し、自国民の保護を優先し、自国の利益に沿わない外国人には厳しく当たる政治家が選ばれる潮流となっています。日本にも不法滞在外国人や犯罪歴のある外国人が溢れ、国民が安全に暮らす権利という大切な日本人の人権が侵害される前に、彼らを追放すべきです。
 (東京都 女性 30代 専門・技術職)
 平成28年度分の意見等 > 危機管理・防災 > テロ対策 > 米国同様、犯罪歴のある外国人を強制送還すべき 
 外国人が日本人に比べて刑が軽いというエビデンスは特にないでしょう。法心理学の知見を援用すれば、むしろマイノリティは刑が重くなる危険性すらあるといえましょう。加害者の人権を守ることを「国益にならない」というのは、そりゃそうでしょうとしか……。
入国管理と国籍表記について
 最近、特定の国籍を有する者の犯罪が際立っているようですが、即刻、ビザ無し渡航を取り止めるべきですし、犯罪を犯した者は例外無しで遅滞なく国外退去させなければなりません。日本国政府は日本国民を守ってしかるべきではないでしょうか。また、国籍表記もできれば帰化三世まで、最低でも帰化一世は○○系日本人とすべきです。帰化したとはいえ、出生国を背負っているのですから、その尊厳は大切にしてあげなければなりません。いずれにしても外国人にばかり気遣いして、日本国民を不幸にする政治や行政であってはいけません。
 (千葉県 男性 50代 管理職)
 平成28年度分の意見等 > 危機管理・防災 > テロ対策 > 入国管理と国籍表記について 
 日本人を守れというその口で、同じ日本人となったはずの帰化人を差別する矛盾。この人は外国人にばかり気遣いして日本国民を不幸にしているらしい日本がある世界線からの来客です。
日本人へのヘイトスピーチを規制せよ
 日本人による対韓国朝鮮への合法デモが問題になってますが、妨害派の違法行為はメディアであまり取り上げられないようです。テレビ・新聞の情報を鵜呑みにされている人は真実を知らないかもしれません。私はデモに参加していますが、妨害派の発言やプラカードはデモ参加者への誹謗中傷ばかりで、挑発行為も多くみられます。また、デモ終了後もデモ参加者を恫喝する、さらに、デモ開始前にデモ主催者一人を大人数で取囲んで動けないようにして罵声をあびせすなど、やりたい放題です。こういった日本人へのヘイトスピーチを規制すべきです。
(東京都 男性 50代 販売・サービス・保安職)
 平成28年度分の意見等 > 警察関係 > 治安 > 日本人へのヘイトスピーチを規制せよ
 日本人へのヘイトスピーチなる用語を使用する人が例外なく不勉強であることを示すコメントです。既存メディアへの不信も加えてよくこんな短文に要素を詰め込めたものだと感心してしまいます。一般市民を装っていますが文章からわかるようにレイシストの一員です。
外国人犯罪は受け入れた組織の責任も明確にすべき
 外国人が殺人やテロなど重大な犯罪を犯した際には、国や企業など外国人を受け入れた組織の責任を明確にする法整備が必要です。ドイツでは「寛容な難民政策」により性犯罪や殺人、テロが発生し治安が大幅に悪化、一般市民は安心して街を歩けないほどの状況です。これは政府による自国民の生存権の侵害ですが、難民を歓迎する政府や企業、団体は誰も責任を取らず、ドイツ国民だけが苦難に喘いでいます。自国民の犯罪の場合、社会が人を育てたという考え方が通用しますが、外国人は違います。元々倫理観や善悪基準などが明らかに違う外国人を進んで受け入れたのは政府や企業であり、万が一国民の人権がそれによって危機に陥った場合は、自己責任でというのはあまりにも身勝手です。具体的には犯罪被害者となった国民への賠償は外国人を受け入れた企業や団体が行う。政府は速やかに情報公開を行い、外国人受け入れ政策の是非について国民に信を問うなど責任を取るべきです。
 (東京都 女性 30代 専門・技術職)
 平成28年度分の意見等 > 警察関係 > 治安 > 外国人犯罪は受け入れた組織の責任も明確にすべき
 ドイツが暗黒街であるかのような書きぶりですが実際には違います。詳しくは『ケルン集団暴行事件を考える』『続・ケルン集団暴行事件を考える』を参照してください。なるほど、社会的な責任を受け入れ団体に転嫁することで直接的にではなく間接的に外国人を差別するというのは名案です(褒めてはいない)。

 沖縄への蔑視
 広報室のコメントで犯罪関連のものを漁っていると、下手すると中国韓国への差別的視点よりも沖縄に対するそれのほうが強いのではないかという気すらしてきます。おそらく、デモをする権利への無理解と「国防に大切な基地へ反対するなんて!」という「義憤」がブーストをかけているのかもしれません。
大阪府警機動隊員の暴言問題について
 もちろん、差別的な暴言は許されざることですが、そのような暴言を吐くに至った経緯、そもそも大阪府警機動隊員がなぜ沖縄にいるのかといった観点では一切報道されていない。しかしながらいわゆる「基地反対派」の人たちの数々の脅迫暴行等の不法行為は有名です。沖縄の警察は見て見ぬふりをしているらしい。それ故に大阪から機動隊員を呼ばざるを得ないのではないか。日本は法治国家です。沖縄県警が不正な対応をしているのであれば、県警本部長等の責任者を更迭するなど、ぜひ綱紀粛正をはかって頂きたい。
 (東京都 男性 50代 販売・サービス・保安職)
 平成28年度分の意見等 > 警察関係 > その他 > 大阪府警機動隊員の暴言問題について
 基地反対派の不法行為は有名らしいのですが、結構不起訴になっているような。あと国家権力である警察とあくまで一般市民(プロ市民だろ!とかそういう話ではなく)である反対派を同じ基準で扱う無茶も考えてほしいところですね。
全国の警察の協力で沖縄を浄化する
 沖縄では正義が通りにくい。暴力まがいや暴言などで脅かしながら基地移転に反対している一部の左翼思想者(議員も多く関わっている)と、日本の弱体化を狙う外国人(中国人・韓国人)が声を大にして基地反対運動を繰り広げているにもかからわず、その実態はメディアで報道されず、市民を守ろうとする機動隊が一言言い返しただけで、メディアは取り上げバッシングが始まる。今はネットが普及し、沖縄の実態が動画で可視化され始めているため、そのバッシングも弱くなったが、今まではもっと酷かった。左翼勢力が警官の家族にまで脅すなどということもあり、沖縄では警察も動けない。こんな卑怯で陰湿な県にしたのは誰か。勿論左翼と売国勢力だが、それを許してきたのは政府である。沖縄は非常にどす黒い。徹底的な洗い出しを全国の警察の力で行い、市民が住みやすい、意見を言いやすい県へと変わるべきであろう。
 (大阪府 女性 50代 専門・技術職)
 まるで沖縄県自体が暴力団であるかのような物言いです。これをそのまま掲載する意味を広報室は考えなかったのでしょうか。大阪府在住という情報で「お前が何を知ってんねん」感も満載。

 もうちょっと勉強してほしいコメント群
成人年齢を引き下げるのなら18歳の犯罪も成人と同じ
 来年に成人年齢20歳を18歳に引き下げる案がありますが、18歳の犯罪も成人と同等に扱うべきだと要望します。今年の参議院選挙から18歳も投票ができるようになりました。権利ばかり与え、罰則は少年法の規定のままになっていたらおかしいと思いますので、成人年齢の引き下げると同時に少年法の改正にも着手してもらいたいです。先日も河川敷で複数の少年らの暴行によって、一人の少年が亡くなる事件がありました。川崎市で起きた事件と同じで、あれから何も変わっていません。彼らには罪の意識が薄いように感じられます。厳罰化の方向にすべきだという国民の声は多数です。
 (愛知県 女性 30代 無職、その他)
 平成28年度分の意見等 > 警察関係 > 非行防止 > 成人年齢を引き下げるのなら18歳の犯罪も成人と同じ
 18歳成人にしたら犯罪もそのように扱うべきなのはその通りかもしれませんが、厳罰化したら何とかなるというのは大間違いです。暴行くらいの犯罪であれば少年犯罪として扱われるほうがはるかに大ごとで犯罪者にとっては厄介ですし、そもそも殺人事件は原則として逆送され、最高刑期などを除けば成人と同じように扱われます。あと犯罪に対する責任は権利の代償ではありません。
高齢者の運転免許返納制度
 年齢で一律に運転免許返納にすべきではないだろうか。能力に個人差があることは承知しているが、例えば家族が危険を感じても当時者に理解してもらうのは難しい。
 (兵庫県 女性 40代 専門・技術職)
 平成28年度分の意見等 > 警察関係 > 交通安全 > 高齢者の運転免許返納制度
高齢者の自動車運転
 高齢者による自動車事故が相次いでいます。やはり、高齢者の運転は制限すべきではないでしょうか。交通の問題がありますが、その結果、運転する高齢者より若い人、特に児童の怪我や死亡事故はゆるせません。一概に決めつけることはできませんが、車を持つ余裕があるなら、タクシーを利用するなどの金銭的な余裕もあると思います。人生の終盤に、自分より若い人を殺傷する事の意味を、もっと、啓蒙するべきと考えます。
 (京都府 男性 60代 管理職)
 平成28年度分の意見等 > 警察関係 > 交通安全 > 高齢者の自動車運転
高齢者免許
 高齢者の自動車事故が多発する中、先日87歳の高齢者男性が事故で児童の命を奪ってしまった。高齢者の寿命、運動能力は高くなっているが、認知症の割合も高くなっているので危険極まりない。来年の3月にこれらに対しての改正があるらしいが、認知症検査や運転能力でなく年齢で確実に免許を返還にしてもらいたい。運転する側からは迷惑だろうが、被害者の気持ちや今後事故を減らすほうに考えてもらいたい。
 (埼玉県 女性 40代 主婦・主夫)
 平成28年度分の意見等 > 警察関係 > 交通安全 > 高齢者免許
 犯罪とはちょっと違いますが、単純明快な規制を求める声が多いのも気にかかります。元来運転もその人の行動の自由の1つであり、それを年齢という理由だけで奪ってしまうのは問題があるでしょう。とりわけ、地方では交通機関が貧弱なままであり下手すると大げさでなく本当に生存権に関わりかねない提案です。
男=悪・犯罪者の広告はもうやめよう
 絵画等を用いた犯罪防止を呼び掛ける広告には、犯罪者を男性として描いているものがよくある。既に1年以上前だが、新聞掲載の政府広報ですら、児童ポルノ単純所持禁止(個人的には「単純所持」への罰則には反対だが)の加害者が男性として描かれていた。仮に男性の犯罪者が多いとしても、犯罪者の絵を男性として描くのは良くない。なぜなら男性=悪のイメージを植え付け、痴漢冤罪のように男性への冤罪を招いたり、うっかり女性トイレに間違って入ったり、善意で迷子の少女に声を掛けたりした男性まで捕まってしまうような騒ぎも聞いているから。こんな極端な事が起きるのは「男性=悪」の先入観が蔓延しているからではないか。そのため、特に犯罪防止広告に男性を加害者犯人として描くのをある程度規制するとか、あるいはそういう描き方をするのを自然にやめていく様な風潮を作ってほしい
 (福岡県 男性 30代 無職、その他)
 平成28年度分の意見等 > 警察関係 > 防犯 > 男=悪・犯罪者の広告はもうやめよう
 最近よく見る感じのあれです。でも犯罪者の大半は男なので、実際に即した描写なんですよね。むろん、ダーティーオールド仮説の世にステレオタイプな描写は逆効果なのでやめるべきですが。
暴力的精神疾患者と性犯罪の再犯者にチップを
 先日相模原市の重症養護施設で痛ましい殺人事件が起こりました。背筋が凍るような残虐な事件でした。新聞報道では異常な精神の持ち主で、精神鑑定で刑の可否が決まるでしょうといわれています。最近こうした犯罪が多いように思います。さらに事前に防止できなかったのか口惜しさがあります。性犯罪も同様に感じられます。米国ではこうした人物にはチップを挿入しているそうですが、社会が歪んで多様な人物がいる昨今は、こうした方法もいいのではないかと思います。法制化の方向で考えていただきたい。
 (兵庫県 刈谷 昌道 男性 70代以上 無職、その他)
 平成28年度分の意見等 > 警察関係 > 防犯 > 暴力的精神疾患者と性犯罪の再犯者にチップを
 おぉ、この時代にメーガン法の話を聞けるとは!って感じのコメントです。メーガン法については『【書評】性犯罪者から子どもを守る』『日本にメーガン法は必要か』を参照のこと。性犯罪者の中に精神障害者が加わるというのが世相を反映していて興味深いですね。

 差別にまみれたコメントを垂れ流す意味
 このようなコメント群は、一部は関係省庁の返答を加えられますが大多数がただ掲載されているだけの現状です。無知から生じる、現状に対する誤った認識をしているコメントをそのことを指摘しないまま掲載するのも誤った印象を再生産するだけで問題ですが、さらに問題なのは明らかに差別的なコメントをそのまま掲載していることでしょう。
 引用元のブログも指摘しているように、このコメントはただ掲載しているだけではなく、不適切であれば掲載しないと断ったうえで載せているものです。つまり政府広報室はこれらのコメントが不適切でないとお墨付きを与えたうえで垂れ流しているわけで、これでは差別思想に是認を与えるだけの役割しか果たしていないことになります。

 しかし不思議なことに、極端な意見は必ずと言っていいほど右側からのもので、「市民を弾圧する警察は糞だ!死ね!」みたいな方向性の極端なコメントは探した限りでは見られませんね。
 あと大量にある犯罪に対する誤解コメがそのまま放置なのも座りが悪いので、時間があるときに一斉に指摘していきたい気も。大変でしょうけど。

飲酒運転減少は本当に「厳罰化」が理由か

 平成28年に全国で起きた交通事故の死者数は3904人だった。昭和24年以来実に67年ぶりの3千人台で、統計を開始した23年以降3番目の少なさである。最も死者数が多かった45年の1万6765人と比べると4分の1以下に減少した。
 最近の傾向で顕著なのは、飲酒運転による死亡事故の減少である。昨年は213件で、612件だった平成18年の3分の1程度に減った。これは厳罰化の効用であり、成果であると評価したい。
 道路交通法は19年、飲酒運転と飲酒検知拒否罪に対する罰則を引き上げ、車両の提供、酒類の提供、同乗行為の禁止・罰則を新設した。21年には酒気帯び運転の違反点数を引き上げるなど、行政処分も強化した。
 きっかけは、18年8月、福岡県で飲酒運転の乗用車に追突された車が海に転落し、幼児3人が亡くなった痛ましい事故だった。
 事故への同情、怒りから、厳罰化は社会に支持された。同時に飲酒運転に対する社会の目も厳しくなった。各企業も従業員の飲酒運転や事故に厳罰で臨むことが当然となり、運転者の意識も変化するきっかけとなった。
(中略)
 厳罰化と犯罪抑止力の関係には多くの議論があるが、飲酒運転に関しては大いに効果があったと評価すべきだろう。これが社会に支持された厳罰化であったことにも留意したい。
 犯罪や違法行為に対する罰則の設定は、いわば国家の意思表示である。安心で公正、公平な社会の構築のため、立法に関わる人々は不断の努力を続けてほしい。
(中略)
 交通死亡事故を減らすため、今後も総力を挙げたい。高齢者の事故防止にも知恵を絞りたい。有効な厳罰化に、躊躇(ちゅうちょ)はいらない。
 【主張】交通死亡事故減少 厳罰化の成果評価したい-産経新聞
 という話です。また産経です。
 確かに統計上は飲酒運転は減っていますし、その前後で厳罰化があったのも事実です。しかしそれだけをもって「厳罰化に効果あり」と結論するのは、実に産経らしい短絡的な主張であると言えるでしょう。
 記事が申し訳程度に触れている、安全技術の発展も要因としてあるでしょうし、もしかすると厳罰化の効果なんて殆どなくて減少は安全技術のみによるものかもしれませんが、今回はそういう話がしたいのではありません。

 厳罰化にも2通りある
 さて、厳罰化と言うと罰を重くするという方向に考えがちかもしれません。現に産経が言及している違反点数の上昇もこれに当たります。しかし、厳罰化にはもう1つのパターンがあります。それが取り締まりを厳しくし、違反者を確実に検挙するという方向のものです。
 飲酒運転対策では、こちらの厳罰化も行われました。検問所が多数設けられ、もし飲酒運転で捕まればほぼ確実に職まで失うという状況に今やなっています。
 ですから厳罰化に効果があると主張するには、罰を重くしたから効果があったのか取り締まりを厳しくしたから効果があったのかをはっきりとさせる必要があります。

 罰の重さに意味はない
 そうなるとこの飲酒運転対策、どちらが減少に貢献したかという問題になります。私は恐らく取り締まりの確実性の上昇が原因であり、罰の重さは対して効果がなかっただろうと考えています。
 現に過去の国内外の研究では、罰の重さよりも確実性、公平さなどが犯罪者の意識や再犯率に影響していたという結果が得られています。いくら罰が重くとも課せられない可能性が十分にある状況では、人がその罰を考慮して行動しないのも当然と言えるでしょう。特に事故に関する罰則は「事故らなければ適応されない」と解釈できるので、効果が薄いと思われます。
 一方摘発の確実性をあげる方法は、事故ろうが事故りまいが見つかれば確実に損害を被る状況を作り出すので、じゃあやめておこうかと思わせる効果があるのでしょう。社会が飲酒運転に対し厳しくなり、会社などからも相応の処分がまず間違いなくなされるようになったのも確実性の上昇と言えますし、効果があったのでしょう。

 産経は結語で、まるで厳罰化に有効性があるかのように論じていますが、本当に効果があるのかは以上のような観点から慎重に検討すべきでしょう。
犯罪心理学者(途上)、アマ小説家、動画投稿者。カクヨム『アラフォー刑事と犯罪学者』ニコニコ動画『えーき様の3分犯罪解説』犯罪学ブログ『九段新報』など。TRPGシナリオなどにも手を出す。
E-mailアドレス
kudan9newbridge@gmail.com
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