2017年01月26日

「道外行政調査報告書」 

                   調査期間:2016年11月15日(火)〜18日(金)

士別市議会 総務産業常任委員 国忠 崇史

【 序:議会質問と調査の重要性について 】 

私は議員生活7年あまりのなかで、定例会での一般質問等、演壇に立つ機会があれば必ず質問しているが、正直に言って「これは失敗だった。取り上げなければよかった」と反省する質問テーマもこれまでにいくつかあった。良い答弁が引き出せない技術的な稚拙さもあるのだが、やはり根底にあるのは調査不足ないし勉強不足である。
それを補って根拠のしっかりした質問をするためには文献調査や座学も欠かせないが、近頃はインターネットで検索して諒とすることも多くなった。しかしそれでは底の浅い理解ではなかろうか。
実際自分の目でみて感じて、またその土地の空気を吸って初めて理解できたことは、地元士別に帰ってからの質問づくりに非常に役立つ。逆に言えば、調査しておいて質問等を怠ることは経費(税金)のムダと言われてもしょうがないのかもしれない。

以前、私自身が(副委員長の任にあり)旅程を作る立場のときは、ローカル鉄道や路線バスなど地元密着した交通機関を利用しての移動が可能であれば多くしてきた。できるだけ「地元の人がどう暮らしているか?」にも目を配りながら、各自治体の施策説明を聞くことで理解も増すのである。
今回、井上委員長・大西副委員長の体制であったが、JR日光線・水戸線に初めて乗車する機会を作っていただき感謝したい。


1. 【 栃木県日光市:11月16日 】 

 日光とセットで語られることの多い「鬼怒川温泉」には、20年ほど前まで東京でサラリーマン生活をしていた頃に業界の宴会などで何度も赴いたことがあるが日光はまさに初めてであった。早朝の自由時間を使って観光エリア散策もしてみたが、風光明媚な山の景色があり、澄んだ空気のため写真をキレイに撮れるということで写真マニアの聖地になっているとのことだった。また市内各地に日光の伏流水の飲み場があって、水に不自由しないところでもある。以上2点は、上川管内東川町とよく似ている側面だ。

(1) 空き家バンクについて
東川町も最近は移住者が増えてカフェなどが多くなり『東川スタイル』などという本も出ているくらいだが、日光市に移住を希望する人も多いのだろうと考えていた。やはり徳川時代以降200年来のブランドが確立した避暑地であるし、首都圏から近いことを考慮すると当然ではある。
ところが「5市町村が合併したことで、日光ブランドはやや薄まったのではないか?」と、市の担当者の説明を聞いていて感じた。狭い意味の「リゾート日光」に移住したい人は多くても、例えば「旧:今市市」に移住したい人は果たして多いのか? と疑問があった。
日光市空き家バンクは「日光市空き家等の適正管理に関する条例」に基づく施策だけれど、実際の成約数がどうのこうのではなく、むしろ市側の体制に注目した。それは即ち、不動産業者との連携がよく取れていることである。かつてリゾートブームや別荘地開発などで実績のある業者もいるということで、空き家の紹介にも適している。不動産業者の少ない士別市と比べると羨ましい気もするし、商売には向いていない「お役所」が前面に立つよりはずいぶんマシな体制である。

(2) 公共施設マネジメント計画について
今回の調査で当委員会からの関心も高かったのは以下の件である。
・計画期間が「40年間」 (士別市は25年間)
・専門部署を設けて、町内会・自治会の寄り合いに出前説明している
・高校生、大学生にマンガ広報を描いてもらって重要性を訴えている

まず感じたのは「5市町村合併であるから相当強い意志で推進しないと『ウチのまちには体育館残せ』『俺ん所には音楽ホールだ』といった綱引きが延々と続く可能性がある」ということだ。しかし、公共施設に大ナタをふるう事で「やっぱり合併しなけりゃ良かった」との反応も出てくる懸念もあるだろう。
私見では、大規模な合併を経た自治体ほど;
・カリスマ的な首長や幹部職員を必要とする
・あるいは、かなり強烈な施策を進める
そのことで、住民の統合を促すわけだ。しかしよく考えてみれば、日本各地の公共施設にはバブル時代の無理なハコモノ行政の遺物もあるにはあるが、例えば国民体育大会(国体)をやるから政府補助で各市町村に「総合運動公園」を作るだとか、国家の意思で作られたハコモノも相当数ある。政府は、作るときはそんなふうに補助率を高めて自治体を引きつけておいて、人口減少・過疎化に転じた途端に、後始末はすべて自治体にやらせようという少し勝手な理屈も感じる次第だ。

2.【 茨城県笠間市 : 11月17日 】 
2つめの視察地、笠間市まではJR日光線、JR水戸線を乗り継いで行った。暖かな日差しのある秋の北関東、沿線では柿が実り、こんにゃく畑や、かんぴょうの原料になる「ゆうがお」などの畑を見ることができた。また夕刻とあって水戸線にはたくさんの高校生が乗ってきて、賑やかで微笑ましかった。

☆プチ田舎体験施設「笠間クラインガルテン」視察

2012年の「経済建設常任委員会」視察で千葉県鴨川市の「大山(おおやま)千枚田」を視察したときに、「東京から一番近い千枚田」とのキャッチフレーズで農業体験観光を売り込んでいた。今回の「笠間クラインガルテン」も、年間40万円も利用料金がかかるのに、それでも東京方面からの利用者で抽選になるほどの人気施設だ。一年じゅう泊まり込んでいる人もいるとのことだ。いかに「農業体験」が人気を呼ぶか、また、ふだんパソコン等を相手に仕事している都市住民にとって、太陽の下での野良仕事がいかに新鮮かを改めて痛感した。

やはり百聞は一見に如(し)かずと言う。ガルテン内を徒歩で周遊したが、まずラウベ(宿泊棟)一軒一軒を囲む「生け垣」からして手入れが行き届き、椿の花が咲いている場所もあり、ひたすら溜め息が出た。北海道ではこういう「塀、門」といった部位への関心が一般に低く、積雪の問題もあって手入れもあまりしない。しかし施設の格調というものは、こうした「生け垣の手入れ」等に現れるものである。植わっている作物も葉物やイモ類など、多品種でうらやましい。「クラインガルテン」自体は北海道でも岩見沢市栗沢町ほか3か所にあるが、ここまで多くの品種を栽培はできないと聞いている。説明員によれば笠間市は「ミカンの北限、リンゴの南限」とのことだ。すばらしい位置にある。黒字経営で市の財政への負担もかけてなく、本当に優良施設だった。

笠間市議会事務局の勧めもあり、帰路に「笠間稲荷神社」に赴いた。日本三大稲荷に入るとのことだが、ちょうど「菊まつり」期間中で、ものすごい壮観な菊に迎えられた。私は花に疎(うと)いし、士別で菊といえば11月初旬の市民文化祭で少し見かける程度だが、笠間稲荷の菊はまさに「爛漫」であって人を圧倒するものだ。しかもただの展示ではなくNHK大河ドラマ「真田丸」の主要場面を菊人形で表現したりと、まさに菊づくし。

北海道民には旅行先として北関東はなじみが薄いし、ましてや笠間市は地味な印象もある(士別市もだけど)。しかしこんなに見所があり、市内周遊観光バスも走っているくらいだから、ぜひプライベートで再訪したいと感じた。
 余談だが、早朝ウォーキングで宿泊先の「友部シティホテル」から友部駅周辺にかけて散策したときも、すれ違う子どもからも大人からもほぼ9割方「おはようございます!」とあいさつしていただけることにも大変好感を持った次第だ。

3 【 神奈川県寒川町 : 11月18日 】 

最後の視察地、寒川町へはJR常磐線友部駅から「特急ときわ(全席指定)」で品川まで乗車、品川から東海道線に乗り換えて藤沢まで乗ったのだが、平日の夕刻でラッシュに巻き込まれ、私も横浜を過ぎたあたりから気分が悪くなった。他委員も大荷物を抱えながらガマンの道中であったろうと拝察する。
さて寒川町では「議会・行政説明員へのICT(情報通信技術)導入」をめぐっての調査である。議会議場へのタブレット端末導入をかなり強力に推進していることは、黒沢善行議長が冒頭のあいさつだけで退場せずに残られ、みずからタブレットを手に説明し、私達一人一人の席まで来て指導して下さったことでよくわかった。
コスト面でも、紙の資料を逐一印刷、製本、郵送(さらには訂正・差し替え)する手間や、私のような散らかし魔が資料整理できずに毎回「資料発掘」する時間のバカバカしさを考えると、全然安いものである。だから確かに一部委員が強力に賛同するように、ICT導入は一般論では早いほうがイイとも言える。

しかしそれでも私は「そう急ぐこともない」とあえて言いたい。なぜならば、じっくり導入すればするほどコストは安くなるからである。例えば個人でも、普通の携帯電話(ガラケー)からスマートフォンへと早々と乗り換えれば結構な負担があったが、スマホが普及し尽くしてからはいくぶん安くなったし、「格安スマホ」なんてのも現れたのと同じ理屈である。

ただ逆に、議会としての導入が遅くなると今度は「俺の(私物の)タブレットを使わせてほしい」という議員が現れて、議案配信などの規格が統一できなくなるデメリットはあるようだ(そのことを雑談で、某寒川町議がおっしゃった)。したがって、私としては議会・議場のICT化については流れができるに任せたいと思う。無責任なようだが。

4 【 考 察 】 
 これで私自身4回目の「道外行政調査」となり、視察の流れや眼目など私なりに習熟してきたと思う。議員の視察も時代の流れとともに、方式が少し変わったりしてきた。また、経費の使いかたも曲がり角に来ているようだ。
 例えば、牧野士別市長がよく言うのだが以前は移動に「ジャンボタクシー」を使用した分は公費支出が認められず、やむなく私費負担したそうだ。確かに重い荷物を持ってバスや鉄道の細かい乗り換えは大変だから、ジャンボタクシー使用での公費による支出を認めるようになったのは、進歩である(繰り返しになるが、私自身は地元の人が日々利用するような交通機関を利用するのが視察の副目的でもあると考えるが)。
 しかし一方で、鉄道の「グリーン車」利用は未だに認められない(=私費負担)とのことである。例えば、上述したが品川-藤沢間の東海道線での移動にあたって、満員電車でとても苦労した。いまJR東日本では在来線グリーン車に力を入れており、1回1,000円以内で利用できる。新幹線のグリーン車こそまだ高嶺の花だが、在来線では身近な存在になってきた。だからこの点は今後公費支出の緩和に向けて検討の余地があるのではないか。
 逆に厳格化したほうがいいのは「昼間の飲酒」であろう。午前中で視察日程を終えた場合に一種の解放感があり、昼食にビールなど酒類を摂取したくなる気持ちはわかる。しかし、議会事務局員すなわち一般行政職員に随行・領導してもらっている席であり、彼らは一般に午後5時15分までは厳格な職務専念義務が発生しているのである。つまり市役所でデスクワークしているのと原理的に同じである。そうした行政職員を巻き込んで、仮に昼から飲酒したとなれば、懲戒などに道を開く場合があるから、議員諸氏も職員の立場を尊重し、夕食までは飲酒を慎むべきだ。さらに、職員や(私などの)飲酒していない議員も含めてワリカンで結果的に「昼酒」を公費支出してしまっている点も、市民から批判を浴びる可能性は排除できない。視察自体は熱心に行い、その場での質問も多数しているだけに、とても残念なことだ。
こうした例は常任委員会による視察以外のときも見かけることがある。早急に意識改革しなければならない。

5 【 謝 辞 】 
3カ所の視察市町どこでも歓待をいただき感謝に堪えない。が、特に寒川長の黒沢善行議長と、手取り足取りタブレット端末操作指導をいただいた杉崎隆之議員には深く感謝したい。先進地視察の名目で同工異曲の議員団を迎える機会は多く、同じような質問に何度もお答えいただいているだろうに丁寧にお答えいただき、心より敬服いたす次第だ。

最後に、井上久嗣委員長以下の当常任委員諸氏と、士別市議会事務局の前畑美香随行員にこの場を借りて、お疲れさまとねぎらいを申し上げる次第である。


(21:06)

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔