さてさて。

田母神俊雄氏の事務所で、政治資金横領疑惑が発覚した事についての資料整理記事の続きです。


その1(島本順光氏経歴)はこちら
その2(島本順光氏経歴)はこちら
その3(都議選収支報告書)はこちら
その4(衆院選収支報告書)はこちら
その5(水島社長経歴)はこちら


ここではチャンネル桜の水島社長の経歴について
整理をして続きを書きたいと思います。


田母神事務所の資金横領疑惑についての話なのに、
なぜ関係の無い水島社長について調べるのか、という方もいる様子です。

が、水島社長は田母神氏の都知事選出馬の時に選対本部長を務めています。
都知事選に関しては水島氏が取り仕切った事は間違いない事実です。
ですから、水島社長は当時選対にいた人物の全てにおいて関係があります

横領事件を起こしたのはほぼ間違いなく、都知事選の時に選対に居た人達ですし、
都知事選以降の資金について、どうなったのかの解明が現在求められています。

ですから、資金の横領に関わっているいないに関わらず、
水島社長について調べる事はごく自然の考え方だと思います。
もし警察がこの事件の捜査に乗り出せば、
少なくとも水島社長が重要参考人である事は間違いのない事実であり
捜査線上の一人となります。
ならば、調べない訳にはいかないでしょう?




前回は、水島氏の経歴でターニングポイントと見られる、
トランスデジタル事件についてまとめました。
この事件を境に、チャンネル桜は自前での経営を断念し、
「チャンネル桜二千人委員会」という有志の寄付援助での放送へと移行しています。
まさに経営状態としては最悪であった時期といえるでしょう。


そしてこの頃、同時に進んでいたのが、
「南京の真実」という南京大虐殺をテーマとした映画製作のプロジェクトです。
この映画の製作は、水島氏の経歴でなんといっても外せないと思います。


先に書いておきますが、今回の検証に関して、
この「南京の真実」の内容が歴史的な事実かどうか、
などの検証は基本的には行うつもりがありません。

なぜなら今回は、この「南京の真実」の制作にあたっての経緯などを検証して
実際に製作資金がどのように使われたのか、などを調べる事が目的だからです。
ですから歴史的な価値がうんたらとかは、今回は全く関係が無いです。

そういった歴史論議も私は好きですが、
後の機会にそれは譲る事とします。



07年1月24日に東京・ホテルニューオータニにて
映画「南京の真実」の製作発表記者会見が行われました。

参考
Youtube「映画「南京の真実(仮題)」記者会見①水島総・渡部昇一(H19.1.28)」



この日に映画「南京の真実」製作委員会が発足。
水島氏を監督に据えたこのプロジェクトでは、
映画を作る為の制作費として
有志からの寄付を3億円を目標に募る事を公表しています。
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しかし、現在はもう2015年です。
映画は三部作で作る、と発表してから、既に8年が経過しています。
しかもこの映画の製作資金のカンパは、現在でもなお継続されています。

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参考
日本文化チャンネル桜「映画「南京の真実」 - 製作支援のお願いとご支援の状況」

http://www.ch-sakura.jp/topix/269.html

しかし、現在のところ作られた映画は、2008年公開の第一作のみ。
実に7年の間、プロジェクトは進んでいません。

この事に関しては、寄付された製作資金の行方について、
一部で疑念の声が挙がるなどしています。
しかし水島社長は現在に至るまで「映画製作のプロジェクトは進行中」と主張。
寄付金の収支報告などもこれまで一度も行われていません。


はたして映画では、どれだけの制作費が使われたのでしょうか。
それが分かれば、口座にいくらのお金が残っていないとおかしいのかも分かります



ちなみに私は以前映像業界におりまして、
製作デスクなどを経験して、10年ほど映像の世界でご飯食べてましたw

ちなみに友人は今でも現役で特殊造詣で現場で働いてますし、
後輩は何人も偉くなって監督やってたりしますw

仕事として自分で絵コンテを切って映像を作って観衆のいる会場で流した事もありますし、
フィルムの製作について最初から最後までを通して管理進行した経験もあります
ですから多少の映像関連の知識はあるつもりです。


この経験を生かしまして、実際の映画の映像と
監督の水島社長が「正論」で連載していた製作日誌の記述から、
果たして制作費がどれくらい掛かったのであろうかを主眼において
内容について以下検証をしてみましょう。



>十月二十六日(金)
>成城の東宝撮影所に。途中、緑山スタジオが突然、オープンセットロケを
>キャンセルできないかと申し入れてきたことを聞く。


まず、考えれば当然の事なのですが、
セットを組むには場所が必要となります。

そして、場所が確保できたならばセット組まねばなりません。
なぜならセットは瞬間で出来上がる訳ではなく、組むのに何日もかかる訳で。
こんなふうに。
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そして、これは良く忘れられるんですが、
撮影が終わったらセットは取り壊して、綺麗さっぱり片付けないといけないんですね。
ちゃんと現状復帰して返さないといけないんです。
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ですから、セットを組むにはスタジオの場所代、材料費、
そして美術さんの立て込みの費用(大工の手間賃)、さらに終わった後の解体費用まで掛かるんです。


>十一月一日(木)
(中略)
>緑山のオープンセットへ。処刑場のセットもほぼ完成していた。


はい。この11月1日でほぼオープンセットが完成していた、ということですので
およそ立て込みには一週間程度かかったということですね。

>十一月五日(月)
>オープンセットでのロケ撮影初日。
(中略)
>十四時より実景撮影開始。
>ほとんど実物大で作った処刑場のオープンセットも、
>撮影終了後、壊してしまうのが惜しい気がする。
>夜本降りになったものの、強引に撮影続行。
>子供が能面をつけて動作するオープニングのシーンを撮影。
(中略)
>撮り終えると零時を回っていた。


緑山05
緑山02
緑山03
こちらがTBS緑山スタジオで組まれた
巣鴨プリズンのオープンセットの映像です。
さすがに結構良くできていると思います。

まあ、後ろから見ると映画のセットはこんな風になってたりしますけどw
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この冒頭の桜のシーンも、製作日誌によると緑山スタジオで撮った様ですね。

>十一月七日(水)
>(緑山スタジオ・オープンセット撮影 十一月五日~八日)
>前日から、朝六時まで撮影
>再び十四時頃から撮影準備開始
>十七時には暗くなってきているので、撮影に入る。
>広田弘毅(寺田農)、板垣征四郎(山本昌平)、木村兵太郎(久保明)、
>三人の処刑場までの徒歩移動と処刑場入り口で教誨師花山(三上寛)との最後の別れのシーン。
>撮影はやはり朝までかかり、三日連続の徹夜となった。


>十一月九日(金) 
>朝六時半オープンセットの全ての撮影終了。
>夜明けの処刑場全景や朝風景などが撮れてよかった。
>それにしても何十カット撮ったか分からないくらい撮りに撮った。


このように緑山のオープンセットでは
撮影は4日間の工程だった様子です。

解体の工程まで考えると、緑山スタジオのオープンスペースを借りたのは
およそ二週間程度
といった所でしょうか。



さて、ここからは横浜の緑山スタジオから、
調布の日活撮影所へと場所を移しての撮影となります。
この辺は映像関係が多くて、私も調布のラボにはしょっちゅう出入りをしてました。


>十一月六日(火)
>ナベさんが迎えに来て日活撮影所。スタッフルームへ。
>夕方から撮影準備。
>処刑直前の松井石根、東條英機、土肥原賢治、武藤章被告のシーンを集中的に撮る。
>朝焼けが見えてきた五時終了。


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この日撮影されたのはこのあたりのシーンの様ですね。
全てを緑山撮ったのではなく、室内セットについては
調布の日活撮影所にセットを組んで撮った事が分かります。


スタジオでセットを組む利点は、
道具や素材が揃っているので、立て込みや解体がシステマチックにできる点ですね。
スタジオの大道具の倉庫に行った事のある人は分かると思いますが、
たとえばこんな箱みたいなのが沢山あったりして。
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これは別に体育の跳び箱とかではなく、
セットを組むにのつかう土台のようなものです。
木でできてますので、この箱みたいなのを積み重ねて、
直接材料をネジとかで固定すると、セットが出来たりする訳です。

もちろん映画などで予算と期間がある場合は、
もっと本物に近い形で立て込む事もありますが、
数日の撮影とかなら、こういったものだったり、
単管パイプを組んで作るので十分な訳でして。

>十一月十一日(日)
>調布の日活撮影所へ。
>親友の古美術商池田に電話して、もう一体必要なので立像の仏像を貸してくれと頼む。
>セットの立て込み具合を見る。処刑場セットは第七スタジオの天井まで作られた
>本物と変わらぬ立派なものだった。
>本邦初の事実に基づいたリアルで厳粛な処刑シーンとなるだろう。


日活04
日活03
こちらが実際に映画で使われた処刑場セットの映像です。
確かに立派なセットが出来ていると思います。

>十一月十六日(金)
>日活撮影所スタジオ、第七ステージの撮影クランクイン。
>絵コンテの確認と暖かいコーヒーを飲む。
(中略)
>松井石根(浜畑賢吉)、東條英機(藤巻潤)両大将と武藤章(十貫寺梅軒)中将への死刑執行宣告シーン。
>独房前廊下シーン。
>今日はここまでとしたのが翌日の午前四時。

日活05

>十一月十七日(土)
>処刑場へ向かう直前の松井、東條、武藤、土肥原賢二(渥美國泰)らの
>最後の仏間前廊下セレモニー。ここで仏像に礼拝し、ブドウ酒を飲み。署名し、
>水杯を交わすシーンである。・・・・・・ドラマとしては冗長になるが、
>七人の取った行動はひとつひとつをきちんと再現しようと、演技させ、撮影する。
>二十一時にて終了。


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この日はこのあたりのシーンですね。
演出的には山ほど言いたいことがあるんですが、
今回の話では重要ではないので割愛。

>十一月十八日(日)
>処刑前後の仏間のある廊下と処刑場の準備シーン。今日は花山信勝教誨師(三上寛)のシーンが中心。
>十九時で撮影を終え、その後子役等の録音。

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>十一月十九日(月)
>撮り残した処刑前の廊下のシーン。
>手錠のままの一同による「天皇陛下万歳」と「大日本帝国万歳」の三唱。
>チャンプレンスルームでの、それぞれの述懐シーン。
>撮影終了二十八時。

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>十一月二十日(火)
>三十年前と変わらず撮影所の食堂で、藤巻さんたち役者と一緒に食事。
>処刑シーン。クレーンでワンシーン・ワンカットの撮影。
>昨日撮り残したチャンプレンスルームの告白シーンの撮影。
>二十四時終了。

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>十一月二十一日(水)
>チャンプレンスルームと独房棟廊下、最後の聴聞室のシーンで、役者もほぼ全員の出演となる。
>撮影終了は二十二日の午前六時。

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とまあ、水島社長の製作日誌からご紹介をした訳です。

ここからの情報ですと、緑山スタジオのオープンセットで4日間の撮影、
そして調布の日活スタジオで5日間の撮影を行った事が分かります。

この「南京の真実」は170分の映画です。
超撮影期間短いですねw


製作日誌で水島社長も絵コンテを描いているというくだりがありましたが、
基本的に映像を作る際には、こういった設計図を作ってから撮影をします。
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これが通常「絵コンテ」と呼ばれるもので、実写映画の場合は作らない監督もいます。
香港映画なんかでは作らないで撮影しますし、アニメでは必ず作成しますね。


なぜこういった設計図を作るか、というと、
撮影を一日やるといくら掛かるか考えれば分かります。
役者さん、撮影スタッフ合わせて一日30人居たとしましょう。
そしたら日当だけで、およそ50万円くらいは一日で無くなりますよね?
他にも、スタジオのレンタル料、撮影機材のレンタル料、
スタッフの弁当やら交通費やら…一日で百万単位でお金が消えていく訳です。

ですから、無駄に時間と労力を浪費しない為にも、
何をいつどうやって撮るのか、という段取りは非常に重要となる訳です。

で、その段取りをして、それでカメラを回した時間が合計9日
効率が良いといえば良いですけどねw


ちなみに映画の撮影では、どれくらいの期間を撮影するのが普通なのでしょうか。

ちょうど一番分かりやすい参考がありましたので こちらを読んでみて下さい。
参考
教えて!Goo「映画をつくるのに費やす時間・日数はどのくらいですか」

http://oshiete.goo.ne.jp/qa/2525714.html

>邦画の低予算(3000万円クラスくらい)の作品だと撮影実数が
>2週間から3週間くらいでしょうか。ピンク映画だと2日から3日くらいです。


参考
Yahoo!知恵袋「映画の撮影期間って一般的にどのくらいですか?」

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1255446367

>作品の規模、内容、予算によって違います。
>でも、一般的な予算内容規模で描かれる邦画は「撮影前準備」が1〜2ヶ月。
>「撮影期間」が2週間〜1ヶ月半程度です。



はい。だいたい仰るとおりだと思います。

もちろん大作映画なんかですと、もっと期間も予算も大きいので
撮影期間も何ヶ月も掛かる事もザラです。

もうひとつ解説しておきますと、「撮影期間」と「製作期間」は別のものです。
「製作期間」には、カメラで撮る前のプリプロダクション作業(ロケハンとか、脚本、絵コンテなど)もあれば
撮った後のポストプロダクション作業(音声作業や、編集作業など)も入ります。

これに対して「撮影期間」とは、カメラでの撮影開始(クランクイン)から
撮影終了(クランクアップ)までの間の事ですね。

そしてこの「南京の真実」の第一部は、カメラでのスタジオ撮影が9日間であったということなのです。
他にロケとして、興亜観音のシーンと、靖国神社の大鳥居前のロケがありましたが、
撮影に要した時間はそれぞれ一日づつと言ったところでしょう。
こうして考えると、「南京の真実」という映画は、比較的短かめの撮影期間であった事が分かります。
短いという事は、当然の事ながら費用も一般的に考えればそれなりという事です。



そしてこの「南京の真実」という映画では、カメラでの撮影部分と併せて、
戦争当時のニュースフィルム映像などが大量に使用されています。

このフィルムは米国国立公文書館(ナショナルアーカイブス)に保管されていた資料であり、
水島社長は国際政治学者の藤井巌喜氏を通して
ジャーナリストである山田順氏に依頼。
アメリカと中国への留学経験のある山田氏の娘が渡米。
米国国立公文書館にて南京関連のフィルム資料を検索網羅し、
コピーを発注する作業を行いました。
この作業にはおよそ一週間掛かったとのことです。
参考
東洋経済Online「南京大虐殺と、“日本人”としての娘の戦い」

http://toyokeizai.net/articles/-/13530?page=5

この作業では、公文書館のあるメリーランド州カレッジパークへの渡米および滞在費、
そしてフィルムのコピー作成を発注する費用、そして資料発掘の作業料などが掛かります。

あとは発掘された資料フィルムを取捨選択し、どのように繋ぎ合わせるか、という作業ですが
いわゆる編集作業をするだけですので、頭と手間は掛かりますが、
費用は自前でやるならばさほどは掛かりません。
外部に発注したにしても、編集作業が主ですから、莫大な費用は考え難いです。



あと、画面の背景がやたら暗い、というか黒ベタなのも
非常に気になった点でしてw

靖国01

こんな感じで、全編バックは黒一色なんですね。

もちろん、東京裁判のA級戦犯が処刑されたのが深夜だった、というのはあります。
観念的、情念的な表現をする為にバックを黒で統一する手法もあります。
ですが、映像を製作するものとして、
バックが黒ベタである理由ですぐに思いつくのはアレ
です。

背景が映らないとセットを作らなくていいから安上がり。

という理由です。

映像は、当然の事ながら、映るものは全部映ります。
ですから、逆に何かの理由で映す場合には、必ず実物を準備する必要があります。
しかし室物を作るにはお金が掛かります。
お金を掛けないにはどうしたらいいか。

はい、映さなければお金はかかりませんw

背景が黒、という事は、バックに映る建物等を作らなくていいので、
お金があまり掛からなくてリーズナブルなんですねw




まあ、ここまで書けば、だいたい私の言いたい事はお分かりでしょう。
そうです。この「南京の真実」という映画、
改めて映像をチェックして費用がどの程度掛かったのかを目算してみましたが、
とりたてて莫大な費用が掛かった様子は無い、という事なんですね。

上で引用したリンクで「低予算邦画」が「3000万円程度」とありましたが、
それだって「低予算映画」としては使っていると思います。

私個人の見立てでは、この「南京の真実」という映画、
おそらく製作費用は5000万円から6000万円程度ではないかと見ます。
無論、役者のギャラがいくらかですとかは不明ですし、
あくまで映画を見ての見積もりなので、
見た人によって費用の見立ては若干前後すると思います。
ですが、映像製作に関わった事のある人間が見れば、
大きく金額が食い違う事はまず無いという事は言えるでしょう。

この映画を製作している2007年後半でおよそ寄付金額は2億程度。
現在では3.5億の募金が集まっているそうです。

3.5億から制作費として1億を引いたとしても2.5億残ります。
はっきり言えば、3億弱の金額が募金口座に残っていなければおかしい事になるのです。

証拠は、水島社長が撮ったこの「南京の真実 第一部」の映画そのものです。
もし、募金口座に残っているお金が大きく減っているのであれば、
それはなんらかの理由で使ってしまったという事
になります。



これまでもう、何度も言われている様子ですが、
映画の制作費は、反日プロパガンダに怒りを覚えた有志の浄財です。
単に商業的に出資をされたお金とは性格が異なります。

一般的に募金の寄付金というのは集められてしまえば
収支の報告を公開する義務は法的には無いようです。

ですが、「南京の真実」のプロジェクトを取り仕切る水島社長には、
それでも収支を公開する義務があると思います。
7年もの間プロジェクトが停滞している状況は
すでに製作を放棄していると言って良い状態です。
説明を放棄している状態のままであれば、
水島社長には、様々なプロジェクトで寄付金を募る資格も大義もありません

ですから説明をする義務があると思うのです。


また、映像を製作していた人間としての意見を言えば、
一般の目に触れない状態の映画には意味や価値などありません
映画とは見るためのものです。



さて、記事も長くなりましたので、
水島社長の経歴の続きはPart.3へと続ける事とします。
時系列で整理を重ねる事によって、徐々に行動や考え方のパターンが見えてきます。
引き続き検証をしたいと思います。


とりあえず、では。