今年最後の靴磨きだ。
(正確にはそうじゃなくて今年最後の靴記事アップなだけで、靴は毎日磨く)

最後はドクターマーチンでいこう。
超汚くてボロいから。


近年のドクターマーチンはアジア生産に移行してからPOPなデザイン性とソツとムラのない製品作りでそれはそれで好感が持てるのだが、やはり醍醐味で言えば近い将来絶滅するであろう古き(文字通り履き倒されてボロボロの)イングランド製ドクターマーチンに限る。

ドクターマーチンというのはこの8ホールブーツなのだ。100年後だって。

もしも僕たちが2016年という最新の時代に、わざわざこのアホ臭いほど武骨なマーチンを履くのだとしたら、きっとそのブーツは僕たちに何かしらの教えをもたらしてくれるかもしれない。くれないかもしれない。

たぶんくれない。


ピカピカのドクターマーチンなんてとても気恥ずかしくて履けない、と思える人じゃないとこのブーツは履けない。
ドクターマーチンを侮ってはいけない。
ドクターマーチンは実に敷居が高いことを人々は知らない。


IMG_2752



IMG_2755



超汚い。

こんなことで恐れをなす人はドクターマーチンを履けない。

ものすごく安い汚れ落としクリームと栄養クリームでクリーニングする。
ここで高級な靴クリームなど必要ない。
高級なクリームを使ったからといってドクターマーチンがより輝くことはない。
高級なクリームを使ったからといってドクターマーチンがより長生きすることもない。
そんなヤワな自己満足などドクターマーチンは受け付けない。
サラダ油を塗っておいたって微動だにしないような皮革だ。
どうせひび割れるし、それでいてどうせ壊れない。
ざまあみろだ。


IMG_2758



磨けばそれなりに光る。
だがここで黒い墨をいれちゃうような人にはドクターマーチンを履きこなせないだろう。
傷があろうが擦れていようが無色のクリームとか油とか唾とかでいい。
キレイに履きたいなら別のブーツを買っとけよ、バーカ!ってマーチンは言う。


IMG_2760



やっぱりマーチンには丸ヒモだろ?って言うだろう。
そうだよ。俺もそう思う。
だが近所の靴量販店に売ってなかった場合に(黄色の丸ブーツヒモなんか売ってるわけがない)、いちいち滅げて逃げ帰ってくるような人や、わざわざアマゾンに注文して到着まで指をくわえて待っているようなせせこましい現代野郎にはマーチンは似合わない。

平ヒモしか売ってないならそれを通せばよい。マーチンはそんな小さいこと気にしない。

150センチのヒモがほしいのに120センチしか売ってなくても(いい加減もうちょっと品揃えろよな)、いちいち滅げて逃げ帰ってくるような人をドクターマーチンは許さない。
ヒモの長さが足りないからなんだっていうんだ?死ぬわけじゃあるまいし。履けるだろ、バーカ!って言ってる。
マーチンが言ってる。


以上のことから、あなたがドクターマーチンを選んだなんていうおこがましい考えを持ってはいけない。
ドクターマーチンのほうが、それを履く人を選ぶのだ。
審査は非常に厳しい。ハードルは高いのだ。

そして、ドクターマーチンをもしも僕たちが履く場合、輝かせなければいけないのはブーツそのものではなく、履く人そのものである。ブーツはボロボロでよい。
万が一、履く人が輝きを帯びていない場合、安全靴を履いてコロッケを買いにきたただのオッサンにしか見えない。
このブーツを履く時は、ブーツに光を当ててやるくらい自分が輝かないと辛い。


かのように、ドクターマーチンはもはや神の領域にある。

そして今夜僕がこの記事に書いたようなどうしようもなく無意味でくだらないこだわりを、まるで人生哲学のように言い切ってしまうような変人じゃないと、来たる2016年にドクターマーチンを履き続けるなんていうことはできないだろう。


靴を磨いて、良いお年を。