オーケストラ・アンサンブル金沢・定期公演ゲスト尾崎紀世彦東京から金沢まで、はるばる行ってまいりました。
オーケストラをバックに貫禄の公演、
素晴らしい歌唱力で感動しました。
また逢う日まで
ゴッドファーザー 〜愛のテーマ〜
アズ・タイム・ゴーズ・バイ
イフ
カム・トゥー・ミー
ラブ・オン・ザ・ロックス
オール・バイ・マイセルフ
アランフェス・モナムール
ハワイアン・ウエディング・ソング(アンコール)

「また逢う日まで」と「ゴッドファーザー」以外は前田憲男さんとのジョイント・コンサートの時と同曲でしたが、違った魅力が出ていました。
毎年こういうコンサートがあると嬉しいです。

キヨはタキシードで、中に着たシャツの小さな黒いボタンがステージのライトに、
時々キラリと光っていました。髪は少しだけ栗色でした。

パンフレットに響敏也さん(作家・音楽評論家)がキヨについて書いています。


『大人がほろ苦い時間』

不思議な言い方だけれど、「大人がほろ苦い」という言葉がある。
ある程度の年齢に達しないと理解できない心の位置を表した言葉だ。手っ取り早く考えて、例の「人生の酸いも甘いも噛み分けた」という、あの境地に近いものだと思われる向きがあるかもしれない。しかし、それでは町内の古老の悟りきった境地や、物分かりのいい顔に近くなってしまう。

そうじゃないのだ。ここで言う「大人のほろ苦い」とは、大人の心が燃え立って、その炎の勢いと煙に、顔をしかめながらも、苦笑いで耐えている、そういう心なのだ。

そこで、思い出すのは古い歌。あの『煙が目にしみる』という名歌は、恋の炎が燃え立って目にしみる、と歌っているはずだった。そして、この「大人がほろ苦い」という表現は、人生の山川を越え続けてきた大人が、さらに何かに向かって点火させる挑戦の炎、それが燃え立って、ほろ苦いのだ。「いまさら」という気恥ずかしさもある。ふとよぎる「若くはないんだから」という心身への不安もある。しかしなお、抑えても抑えても燃えようとするもの。それを我ながら「まだ当分は悟れないな」と、苦笑いで眺める心なのだ。

クラシック音楽の分野で言えば、この感じにいちばん近いのは、ブラームスだろうか。外面は整然とした技巧と理性に支えられ抜群の安定感ながら、内なる世界は燃えに燃えている。熱っぽい激しさすら伝わってくる。ブラームスは大人がほろ苦く燃えて聴く音だ。

そして。敢えて言うなら、
いまの日本の歌い手で、ジャズもソウルもロックもポップスも全部の分野をひっくるめて「大人の炎」の色と温度を歌いきれる人といって第一に挙げるべきは、もちろん尾崎紀世彦、その人なのだ。というより、第一があって、第二も第三もないようなことなのだ。それほどに、大人心を燃やせる歌手は希少だ。さらに付け加えれば、こういう大人の生き方の姿勢、格好良さを発散できて、若い人に「俺たち若造には、かなわないな」もしくは「俺も、あの年代になってもいいかな」と、思わせる大人が少ないから社会が不健全なことになる。「早く大人になりたい」と若者が大人に憧れている社会こそが、健全な安定感を持つはず。

とはいえ、そんな理屈を並べずとも、きょうの客席に居れば、すべては伝わる。

オーケストラが奏でる1970年前後の名作の数々も、6年前に97歳で世を去ったスペインの盲目の作曲家ロドリーゴのギター協奏曲『アランフェス』の第2楽章に歌詞をつけた
『アランフェス・モナムール』も、あなたの大人心をほろ苦くさせる。そして究めつけ、『また逢う日まで』だって、あの頃とはまた違う深みを持って、あなたに届くだろう。心に点火する温度とともに。

きょうは、大人が確かな自信を持てる時間になる。



以上です。
キヨ・ファンの皆様の心の中には既に「大人の炎」が点火し「燃えに燃えて」いますね(^^)
キヨの歌を聴くたびにひとつ、またひとつ、と新しい炎が点火されます。
その美しい炎の数々はいつまでも燃え続け、輝き続けます。熱い熱いアッチッチ(^^;

チラシの裏にも響敏也さんのコメントがありましたので引用させて頂きます。
このチラシは配布されませんでしたので、会場の事務所に頼みました。


『若い人が憧れる大人の世界を』

社会が複雑になると、人が一人前と認められる年齢は、どんどん高くなるのだという。

大人になるのが遅くなるわけだ。そこで、社会全体の娯楽なども、どんどん低年齢化してゆくらしい。そういえば確かに、人気のある放送番組の内容も、流行している歌も、どれもが多くは大人向け(というより青少年向け)や、若年層向けに作られている。社会の中心の大人が、落ち着いて楽しめるものは意識的に忘れられているような気がする。

そんななかで、
貴重な「大人の歌」を聴かせてくれる大物が、尾崎紀世彦。大人の歌といっても、過ぎた昔を懐かしんでいるような後ろ向きの姿勢じゃない。的確に時代を捉えながら、それでいて流行に流されない確信に満ちた歌の姿、それがある。

OEKとの共演の舞台では、さらに心のゆとりと贅沢(それこそが大人の世界ですね)を、前田憲男の名編集とともに、客席に届けるはず。

若い人には追いつけない大人の世界を探すなら、この日の客席にある。


以上です。
響さんがおっしゃる通り、若い人達に「俺たち若造には、かなわないな」と思わせる事が出来るのはキヨですね。テレビ番組『夜もヒッパレ』では若い人達の歌の100曲近くを(ほとんどの)元歌よりも素晴らしく歌ってみせました。ネットを読んでいても若い人のHPに「尾崎紀世彦は凄い」とよく書いてあります。

あれだけの歌を歌える人はいませんから当然ですね。
本物の歌手を若い人に見てほしい、聴いてほしいです。

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