2008年12月28日

脳内アラームシステムのノルアドレナリン神経系の亢進に一酸化窒素の産生の補因子のBH4の増加が関与

『自閉症スペクトラムは、NMDA受容体のルートの一酸化窒素の産生効率が影響する記憶の再編成・編集に変調をもつ疾患だとおもいますが、そのNMDA受容体というシグナリングの増幅器は、左右脳の機能形成にも関係するので左脳の言語や右脳の空間感覚の発達にも偏りが、また他の精神疾患とも関係深い部位なのでそちらの影響も受ける疾患だとおもいます。』

その一酸化窒素と活性酸素のスーパーオキシドのバランスにより分解される細胞外マトリクスが変わり、その分解される細胞外マトリクスのひとつのへパリンあり、その変化によりへパリン結合性成長因子などや分泌中枢といわれる脳下垂体に影響するアクチビンなどが影響されますが、その影響を受ける一つに大事なドーパミン神経の形成・維持もあるのだとおもいます。

そしてその一酸化窒素と活性酸素のスーパーオキシドの産生に関係深いのがBH4(テトラヒドロビオプテリン)、このBH4が平常心のセロトニン、睡眠維持物質のメラトニン、警戒ホルモンのノルアドレナリン、生きる意欲のドーパミンの合成にかかわる補酵素でもあります。

BH4の不足するフェニルケトン尿症が小頭症の原因になるようで、息子は乳幼児の時から頭の大きいタイプなので、あるとすればBH4の過剰のタイプなのではとおもっていました。

そして目についたのが『マウスにLPS を腹腔内投与することにより,脳の青斑核におけるNE の代謝回転が亢進したのは,GCHの発現量の上昇によりTH の補酵素であるBH4 の生合成が増加し,結果としてTH 活性の亢進が起こったためであると考えられる.』

ノルアドレナリン神経の体内ストレス系のアラームシステムが対外ストレス系のアラームシステムを亢進させるのにBH4の増加が関係しているということだとおもいますが、息子の状態はBH4の過剰によりノルアドレナリン神経系が亢進していることで、かなり説明できるようにおもえます。

『炎症性サイトカインは細胞内のBH4産生を著しく増加させる』ようで、BH4の過剰を考えられるタイプではそれを抑えるためには抗炎症も視野にいれる必要があるのではとおもいますし、時として抗炎症剤がセルフコントロールを無くさせることにもこの辺りが関係していないかと。

また、BH4の一酸化窒素とスーパーオキシドの産生への影響は、ビタミンB3のナイアシンなどとも関係するようで、一筋縄ではいかないようですが、そのバランスの変化は分解される細胞外マトリクスが変え、人の体内環境を大きい影響を与える元凶になっているのかとも。
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http://www.nibb.ac.jp/catalogue/2006/pub_2829.pdf
基礎生物学研究所 統合神経生物学研究部門

受容体型プロテインチロシンホスファターゼζ (Ptprz) の関わる生命現象とそのシグナル伝達経路

 Ptprz は主に中枢神経系に発現する,プロテオグリカンに属する唯一の受容体型PTP 分子である。我々はPtprzのリガンド分子として,ヘパリン結合性増殖因子であるPleiotrophin とMidkine を同定するとともに,基質分子としてGit1, p190 RhoGAP 等, さらに, 会合分子としてPSD-95 ファミリー等を同定してきた。

また,Ptprz 遺伝子ノックアウトマウス(図2B)の作成・解析によって,胃粘膜上皮細胞に発現している本分子がH. pylori 菌の分泌するVacA 毒素の受容体として働き,胃潰瘍の形成に関与していることを明らかにした。

更に最近,本ノックアウトマウスには空間学習・記憶に関わる海馬の機能・脳内報酬系として知られる中脳.辺縁系のドーパミン神経機能に異常があることを見出した。今後,本分子の脳機能,特に記憶,情動,行動における役割の解明とその分子機構に迫る
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http://www.p3000-signal.jp/tanpaku04.html
細胞接着の構造生物学的解明

図3.GTPシクロヒドロナーゼI
GTPシクロヒドロナーゼI (GTPCHI)は,Znイオンを活性中心にもち,GTPをテトラヒドロビオプテリンBH4へ変換する一連の反応の初発律速酵素である。

BH4はフェニルアラニンなどから神経伝達物質を生合成する酵素群や一酸化窒素合成酵素(NOS)の活性に必須の極めて重要な補酵素である。従って,GTPCHIの変異はジストニアやパーキンソン病などの神経疾患と関係する。

動物細胞においてはGTPCHIの活性はGFRP(GTPCHIフィードバック制御タンパク質)によって精密に制御されている。興味深いことに,GFRPは,正と負の両方のフィードバック制御を行っている。そこで,正のアロステリックエフェクターであるフェニルアラニンとの三者複合体(360kDa-不活性型複合体)の構造を分解能2.8Åで決定した。フェニルアラニンはGTPCHIとGFRPとの境界領域に結合して,GTPCHIを活性状態のコンホメーションに固定することがわかった。
[1is8; Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 1212-1217 (2002)]
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http://meme.biology.tohoku.ac.jp/evol2005/pic/page56-92.pdf
昆虫の多様な色彩世界における色素細胞の潜在的な機能を探る
中越元子(北里大・一般教育)

一方、ヒトではテトラヒドロビオプテリン(BH4)の芳香族アミノ酸水酸化反応やNO合成反応における補酵素活性が重要な意味を持つ。例えば、GTP-シクロヒドロラーゼI (GTP-CH I)はBH4 生合成における律速段階の酵素であり、その遺伝子変異は深刻な神経精神疾患を引き起こす。

しかし、昆虫におけるBH4 の生理学的機能については未知の部分が多い。本講演では、昆虫の色素細胞において、メラニンやオモク
ローム合成と深く関わるプテリジンの機能を探るため、プテリジンよりもオモクローム系色素を多量に蓄積するタテハモドキやカイコ
と、プテリジン系色素と尿酸を多量に蓄積するモンシロチョウなどで展開しているGTP-CH I に着目した研究を紹介したい。
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http://wwwsoc.nii.ac.jp/psj/jpsj/06404/064040071.pdf
26.マウス青斑核におけるGTP cyclohydrolase I mRNA の発現はLPS 投与により増加する
金子葉子,森 啓至,中島 昭,太田 明(藤田保健衛生大学医学部生理学I)

我々はこれまでに,グラム陰性桿菌の細胞壁から遊離されるリポ多糖(LPS)をマウスの末梢に投与すると,青斑核においてノルエピネフリン(NE)の生合成が増加することを報告してきた.今回我々は,LPS 投与によるNE 生合成増加のメカニズムを検討する目的で,NE 生合成に関与している酵素に着目し,その発現量の変化を解析した.

LPS 感受性であるC3H/HeN マウス(♂,8W)にLPSを腹腔内投与し,経時的に脳を取り出し,青斑核を摘出した.

Real-time PCR 法およびin situ hybridization 法でtyrosine hydroxylase(TH),GTP cyclohydrolase I(GCH),6-pyruvoyl-tetrahydropterin synthase(PTPS),sepiapterinreductase(SR)のmRNA の発現量を定量した.

5μgLPS 投与により,GCH mRNA の発現量のみが上昇し,その他の酵素の発現量に変化は認められなかった.

マウスにLPS を腹腔内投与することにより,脳の青斑核におけるNE の代謝回転が亢進したのは,GCHの発現量の上昇によりTH の補酵素であるBH4 の生合成が増加し,結果としてTH 活性の亢進が起こったためであると考えられる.
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http://bsw3.naist.jp/achievements/?page=dissertation_detail&dsn_code=157
研究業績の紹介 : バイオサイエンス研究科 奈良先端科学技術大学院大学

Maita, N., Hatakeyama, K., Okada, K. and Hakoshima, T. (2004) Structural basis of biopterin-induced inhibition of GTP cyclohydrolase I by GFRP, its feedback regulatory protein. J Biol Chem 279, 51534-51540.

GTP cyclohydrolase I (GTPCHI)は一酸化窒素合成酵素や神経伝達物質生合成経路を下流にもつフェニルアラニンやチロシンの水酸化酵素の制御に重要なビオプテリン生合成の初発律速酵素である。

動物では、ビオプテリン濃度を調節するために、GTP cyclohydrolase I feedback regulatory protein (GFRP)がGTPCHIとフェニルアラニン存在下では活性型あるいはビオプテリン存在下では阻害型複合体を形成することによってGTPCHIの活性を制御している。ここでは、ビオプテリンによって誘導されるGTPCHIとGFRPの阻害型複合体の結晶構造を報告する。

解析の結果、5分子のビオプテリンがそれぞれのGTPCHIとGFRPとの界面にある2つのGFRPにサンドウィッチされた10量体GTPCHIの構造が明らかになった。結合したビオプテリンは2つGTPCHIサブユニットによって形成されるクレフトに埋もれており、活性部位を形成しているペプチド領域における大きなコンフォメーション変化を引き起こし、開いた状態の活性部を誘発する誘導適合の構造変化をともなっていた。DOPA感受性ジストニアの変異位置を三次元構造上に置いてみることによって、酵素を不活性化する変異のみならず、GFRPによるGTPCHIの制御に影響を与えるかもしれない、ビオプテリン結合部位やGTPCHIやGFRPとの境界に位置する変異も見つかった。
(PubMed)
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http://physi1-05.med.toho-u.ac.jp/system_neuro/noradrenalin/index.html
ノルアドレナリン神経
 (1)分布、活動、入力
 (2)ストレスとHPA系
 (3)A1/A2と室傍核
 (4)覚醒との関係
 (5)中脳中心灰白質
 (6)扁桃体
 (7)小脳への入力
 (8)パニック障害
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ノルアドレナリン神経系(2)ストレス、HPA系、CRFとの関係青斑核NA神経系とストレス反応

他方、ストレス性入力を中継してアラーム・システムとして働くNA神経系がストレス性感情障害と関連することは、1960年代の「情動障害のカテコールアミン仮説」3以来、多数のデータで示されている。青斑核を刺激すると、ストレスに対する恐怖反応が増強し、逆に、青斑核を破壊すると、恐怖反応が抑えられる。青斑核NA神経はα2アドレナリン受容体による自己抑制機構を備えているが(前回の解説参照)、α2受容体アンタゴニストであるyohimbineを投与すると、青斑核NA神経活動が増加し、恐怖反応が増強する。逆に、clonidineで青斑核NA神経を抑制すると、恐怖行動が抑えられる。また、コカインはNAの放出を促進させる効果があるが、この薬の乱用は情動障害を誘発する。

室傍核CRF細胞と青斑核NA神経の相互作用

青斑核NA神経→室傍核CRF細胞の関係は単純ではないが、CRFが逆に青斑核NA神経の活動を亢進させることは確かなようである。Nemeroffのグループの報告6によると、ストレス刺激が青斑核のCRF濃度を増加させること、および、 CRFを青斑核に局所投与すると、恐怖反応が増強し、同時に前頭前野でのNAの放出が増大すること、が示されている。このCRFの起源は室傍核を含めて数カ所が考えらている(図1)。

いずれにせよ、CRFが青斑核NA神経の活動を増強させることは、ストレス反応における悪循環を形成させる危険があり、注目に値する。この悪循環を断つことが、ストレス反応を抑制するのかもしれない。
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ノルアドレナリン神経系(3)延髄A1/A2領域から室傍核への投射
バゾプレッシン(AVP)

AVP分泌には体液の浸透圧の変動も重要な因子であるが、この場合には、室傍核近傍の視索上核や脳室周囲器官(第三脳室前腹側部や終板器官など)に存在する浸透圧感受性細胞が賦活され、その情報が室傍核AVP産生細胞に神経性に伝達される2。

免疫-脳コミュニケーション

病原異物、細菌、ウイルスなどの侵入があると、免疫系が活性化され、白血球の一種であるマクロファージや単球からサイトカイン(インターロイキン-1、IL-1など)が血中に放出されて、異物を除去する免疫反応が出現する。この時、炎症性サイトカインは脳へ化学的メッセージ(感染発生の警報)を伝達する役割も果たす。この免疫-脳コミュニケーションは、視床下部・下垂体・副腎系(HPA系)を活性化して、副腎皮質からのコルチゾール放出を促進させる。コルチゾールは免疫抑制作用を持つので、サイトカインによるHPA系の活性化は、免疫反応の暴走に歯止めをかけるフィードバック作用であると考えられる。 HPA系の活性化の鍵は、前回の解説で説明したように、コルチコトロピン放出因子(CRF)を産生する室傍核細胞にある。

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もう一つの経路はA1/A2領域のNA神経を経由する長い神経回路である(図1)。腹腔内あるいは静脈中にエンドトキシンを投与して免疫反応を実験的に賦活すると、IL-1が肝臓のKupffer細胞で産生される。すると、肝門脈領域にあるIL-1受容体が賦活され、その興奮が腹部迷走神経を介して、孤束核に伝達される。それは次いでA1領域にあるNA神経を活性化し、室傍核でのNA放出を修飾して、CRF細胞を興奮させる、という神経経路である4。ただし、この場合にも上記のAVP細胞の場合と同じく、A1領域を介さない別経路が存在し、孤束核近傍のA2領域のNA神経も室傍核に投射して、CRF産生を促進させる。このA1/A2を介する神経経路は、感染発生の警報を脳に伝達する上では最も速いものである。 A1/A2領域のNA神経はHPA系を賦活するだけではなく、さまざまな病床感覚の発現にも関係する。発熱、眠気、食欲減退、不安などの随伴症状の発現への関与である。A1/A2領域のNA神経は、室傍核以外に視索前野/脳室周囲器官にも投射し、そこでPGE2の産生を促す4(なお、上記のように、PGE2の産生は_中のサイトカインが脳室周囲器官に作用しても発生する)。

PGE2は視索前野の体温中枢に働きかけて発熱を誘発したり、睡眠中枢に働きかけて徐波睡眠の増加を促したり、さらに、視床下部の摂食・満腹中枢に働きかけて、食欲を抑える働きにも関係する3。このように、出血や感染など、内部環境の危機的変動の情報は、迷走神経→孤束核→A1/A2のNA神経→室傍核という共通のルートを経由して視床下部に伝達され、それぞれ固有の神経内分泌反応(AVP、CRF)を発現させる。
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http://plaza.umin.ac.jp/JPS1927/fpj/topic/topic_123_46.htm
テトラヒドロビオプテリンとスーパーオキシド
藤田保健衛生大学医学部薬理学 野村隆英

キーワード:テトラヒドロビオプテリン,スーパーオキシド

テトラヒドロビオプテリン(BH4)はフェニルアラニン水酸化酵素,チロシン水酸化酵素,トリプトファン水酸化酵素など芳香族アミノ酸モノオキシゲナーゼの補酵素であり,カテコールアミンやセロトニン合成に重要な役割を果たしている.

また,BH4は一酸化窒素合成酵素(NOS)のコファクターとして一酸化窒素(NO)の産生にも関わっている.

さらに,BH4は生体内でスーパーオキシド(O2 −)を低下させる抗酸化物質として機能していることが報告され,BH4の生体機能の調節や病態発生への関与を考える上で大変に興味深い.

BH4が組織中のスーパーオキシドを低下させる機序としては次の2つが知られている.一つは,BH4がアスコルビン酸同様にスーパーオキシドを化学的に還元し消去することによるものであり,他の一つは,BH4がNOS にコファクターとして結合し,NOS のスーパーオキシド生成を抑制することによるものである(Free Radic Res.2003;37:121-127).

BH4量が不足した条件下ではNOS はNOではなくスーパーオキシドを生成することが知られている(Biochem J.2002;362:733-739).

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一方,Tajima らはBH4によるNAD(P)H 酸化酵素の活性化がスーパーオキシドの生成を引き起こすことを報告している(Br J Pharmacol. 2000;131:958-964).彼らはNO の血小板凝集抑制作用が外因性のBH4によって阻害されることを観察したが,この時,外因性BH4の作用はスーパーオキシドジスムターゼやスーパーオキシド生成阻害剤で抑制されることを見出した.又,NAD(P)H酸化酵素の特異的阻害薬を添加するとBH4の効果は解除された.彼らは,BH4が血小板のNAD(P)H 酸化酵素を活性化してスーパーオキシドを生成し,この結果,NO が不活化されるためにNO の血小板凝集抑制作用が阻害されると考えた.

BH4が生体内でスーパーオキシドを減少させる因子として振る舞うのか,逆に,酸化ストレスを生じる因子として作用するのかは,組織中のBH4濃度やその作用部位により異なるのかもしれない.炎症性サイトカインは細胞内のBH4産生を著しく増加させることが知られており,炎症という病態発生へのBH4の関与は興味ある問題であり,今後の詳細な検討が必要である.
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http://www.gak.co.jp/TIGG/54PDF/GT54-1.pdf
ヘパラン硫酸プロテオグリカンの新しい分解経路
 石原 雅之 防衛医科大学校・研究センター・医療工学部門

ヘパリンやHS は細胞外マトリックスタンパク質、増殖因子、ケモカイン、細胞外スーパーオキサイドジスムターゼのような酵素等多くのタンパク質と相互作用する。すなわち、NOは細胞外マトリックスHSPGを分解することによりこれら機能分子の遊離を制御していると言える。マクロファージや好中球は多量のNOや超酸化物を放出し、過酸化窒素を生成する。これは、HSPGでなくヒアルロナンの分解を増加させる結果となる。関節骨液中のヒアルロナンの分解や合成の変化は、慢性関節リウマチと相関していることが知られている。

NOと超酸化物とのバランスが細胞外マトリックス中のどのグリコサミノグリカンを分解するかを決定し、いろいろな病態進行を制御する重要な要因であるもしれない。このように、NOや超酸化物が細胞外マトリックス代謝の制御と病理に関係していると言うことができる。
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Posted by kuni3344 at 11:58Comments(0)TrackBack(0)

2008年12月21日

自閉症はNMDA受容体のルートの偏りによる障害、そのポイントは一酸化窒素との幾重にもある相互作用だと(3)

引き続き同じ状態で
『本業の最盛期でブログの更新が滞っておりますが。

自閉症スペクトラムは、NMDA受容体のルートの一酸化窒素の産生効率が影響する記憶の再編成・編集に変調をもつ疾患だとおもいますが、そのNMDA受容体というシグナリングの増幅器は、左右脳の機能形成にも関係するので左脳の言語や右脳の空間感覚の発達にも偏りが、また他の精神疾患とも関係深い部位なのでそちらの影響も受ける疾患だとおもいます。』

その「NMDA受容体のルートの一酸化窒素の産生効率」は発生から老化までに係るルートで、『生存と生殖とエネルギーをバランスさせる基本回路』だとおもっています。

そこの回路のキーが一酸化窒素と活性酸素のスーパーオキシドのバランスにより分解される細胞外マトリクスが変化することで、視床下部に影響するアクチビンや後ろにGF(成長因子)とつくEGFやFGFなどのへパリン結合性成長因子からの情報伝達に影響すること。

中島みゆきや松田聖子の宣伝している化粧品に入っているアスタキサンチンは光に関係する一重項酸素を強く解毒する働きがあり、それによりヒスチジンなどが一重項酸素の解毒する費消を免れ、一酸化窒素を産生する酵素活性があがり、化粧品に多く配合される後ろにGFとつくへパリン結合性成長因子の活性をあげるのだろうと。

また前からとりあげているキトサンは、へパリン様物質でここの情報伝達を強制的に活性化させるもので、人によって一度具合が悪くなる「好転反応」は補酵素の不足などで止まっている一酸化窒素の産生を上げるために、一時的により補酵素などの不足を招くのではとおもいます。回復するのは、強制的に活性化させることにより補酵素の不足などの原因が変化するためなのではと。

この一酸化窒素のへパリン結合因子の作用は、ドーパミン神経に影響を与えるものなので、ドーパミン神経にかかわる疾患もここに原因がある場合があるとおもいます。

その一酸化窒素と活性酸素のスーパーオキシドの産生に深く関係していそうなのがテトラヒドロビオプテリン(BH4)、不確かですが20数年前、ドーパミン神経の関係するパーキンソン病に効くのではという話の中で自閉症に効くのではということで我が家も右往左往した騒動になったものだとおもいます。

BH4の不足するフェニルケトン尿症は小頭症の原因になるようですので、大頭の息子の自閉症には関係しないのではとおもいますが、ちょっと気分がハイかなと思うときにスーパーオキシドを含む広い範囲の活性酸素を解毒する白金ナノコロイドを飲ませると落ち着きがでるようにおもえますので、アスタキサンチンによる一重項酸素の解毒と同じような影響もあるとおもいますが、スーパーオキシドを解毒することでBH4に何らかの影響を与え、現在の気分の変動には何か関係するのではと。

息子のタイプはテンプル・グランディンさんに似たタイプだとおもいますが、タイプの違うドナ・ウィリアムズさんには、空を見ると何か模様が見えるという症状があったようにおもいます。これはたぶん眼の中のヒアルロン酸が変性しているのを瞳孔が開いていない状態でみることにより見えるもので、ドナさんのタイプには一酸化窒素とスーパーオキシドのバランスにより分解される細胞外マトリクスの変化があるのではとおもいますし、それにたいしてBH4が何か関係しないかと。
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http://www.gak.co.jp/TIGG/54PDF/GT54-1.pdf
ヘパラン硫酸プロテオグリカンの新しい分解経路
 石原 雅之 防衛医科大学校・研究センター・医療工学部門

ヘパリンやHS は細胞外マトリックスタンパク質、増殖因子、ケモカイン、細胞外スーパーオキサイドジスムターゼのような酵素等多くのタンパク質と相互作用する。すなわち、NOは細胞外マトリックスHSPGを分解することによりこれら機能分子の遊離を制御していると言える。マクロファージや好中球は多量のNOや超酸化物を放出し、過酸化窒素を生成する。これは、HSPGでなくヒアルロナンの分解を増加させる結果となる。関節骨液中のヒアルロナンの分解や合成の変化は、慢性関節リウマチと相関していることが知られている。

NOと超酸化物とのバランスが細胞外マトリックス中のどのグリコサミノグリカンを分解するかを決定し、いろいろな病態進行を制御する重要な要因であるもしれない。このように、NOや超酸化物が細胞外マトリックス代謝の制御と病理に関係していると言うことができる。
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http://www.nibb.ac.jp/catalogue/2006/pub_2829.pdf
基礎生物学研究所 統合神経生物学研究部門

受容体型プロテインチロシンホスファターゼζ (Ptprz) の関わる生命現象とそのシグナル伝達経路

 Ptprz は主に中枢神経系に発現する,プロテオグリカンに属する唯一の受容体型PTP 分子である。我々はPtprzのリガンド分子として,ヘパリン結合性増殖因子であるPleiotrophin とMidkine を同定するとともに,基質分子としてGit1, p190 RhoGAP 等, さらに, 会合分子としてPSD-95 ファミリー等を同定してきた。

また,Ptprz 遺伝子ノックアウトマウス(図2B)の作成・解析によって,胃粘膜上皮細胞に発現している本分子がH. pylori 菌の分泌するVacA 毒素の受容体として働き,胃潰瘍の形成に関与していることを明らかにした。

更に最近,本ノックアウトマウスには空間学習・記憶に関わる海馬の機能・脳内報酬系として知られる中脳.辺縁系のドーパミン神経機能に異常があることを見出した。今後,本分子の脳機能,特に記憶,情動,行動における役割の解明とその分子機構に迫る
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http://www.ristex.jp/examin/brain/program/pdf/int02.pdf
学習機構の生後発達の分子基盤の解明とその応用
研究代表者 真鍋俊也 (東京大学 医科学研究所 教授)

(2)チロシン脱リン酸化と記憶の生後発達チロシン脱リン酸化酵素も、学習能力の生後発達機構に関与する可能性があるが、チロシン脱リン酸化酵素の一種である Z型蛋白チロシン脱リン酸化酵素(Ptprz)が LTPと場所記憶の生後発達に関与することを見出した。

Ptprz欠損マウスでは、NMDA受容体のチロシンリン酸化と NMDA受容体シナプス伝達に異常はみられなかったが、海馬 CA1領域における LTPの週齢依存的な障害がみられた。つまり、若年マウスにおいては、野生型マウスと変異型マウスの間に差はみられなかったが、成熟マウスでは、変異型マウスで LTPが有意に増大していた。Ptprzの基質のひとつとして p190RhoGAPがあるが、これはRho−ROCK経路を介してシナプス後部での細胞骨格系の制御を行っている。

そこで、Ptprz欠損マウスでの年齢依存的な LTPの障害にRho−ROCK経路が関与している可能性を検討するため、ROCK阻害剤の存在下で LTPを誘導したところ、変異型成熟マウスでの LTPが正常化した。したがって、LTPの週齢依存的な制御にRho−ROCK経路が重要な役割を果たしていることが強く示唆された。この変異マウスにおいては、やはり週齢依存的な場所記憶能力の異常が観察された。
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http://www.jst.go.jp/kisoken/crest/report/heisei17/pdf/a20/f01/s004.pdf
「網膜内領域特異化と視神経の発生・再生機構」
平成13 年度採択研究代表者野田 昌晴(自然科学研究機構 基礎生物学研究所 教授)

2)受容体型プロテインチロシンホスファターゼPtprz
Ptprz については、視神経に加えて、他の中枢神経系あるいは末梢組織におけるPtprz の発現と機能を解析することによって、そのシグナル伝達機構を明らかにしつつある。

Ptprz 欠損マウスでは、成熟依存的な空間学習能力の低下とそれに対応した海馬CA1 領域における長期増強(LTP)レベルの有意な亢進がこれまでに報告していた。この異常なLTP 亢進分は、Rho 結合性キナーゼ(ROCK)阻害剤によってキャンセルされること、及び、Ptprz の基質の一つであるp190RhoGAP はRho シグナルを負に調節することから、Ptprz 欠損マウスにおいてはp190RhoGAP-Rho シグナルの異常がシナプス可塑性の異常の原因になっていることが推測された。実際、海馬依存性の恐怖条件付け学習の前後における野生型とPtprz 欠損マウスの海馬p190RhoGAP のリン酸化変化に有意な差異が認められた。

また、Ptprz 欠損マウスは覚せい剤メタンフェタミンに対して低感受性を示すことを見いだしており、ドーパミン神経系の機能的変化が推定された。実際、Ptprz 遺伝子欠損マウスではメタンフェタミン投与後の線条体のドーパミン取り込み活性が低下していることが明らかになった。今後、これに関わるPtprz シグナルカスケードを解明する予定である。
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テトラヒドロビオプテリン フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

テトラヒドロビオプテリン(Tetrahydrobiopterin)、サプロプテリン(sapropterin)またはBH4は、フェニルアラニンをチロシンへ変換するフェニルアラニン-4-ヒドロキシラーゼ、チロシンをレボドパへ変換するチロシン-3-ヒドロキシラーゼ、そしてトリプトファンを5-ヒドロキシトリプトファンへ変換するトリプトファン-5-ヒドロキシラーゼの3種の酵素に必須な天然に生成する補因子である。また、一酸化窒素合成酵素(NOS)による一酸化窒素の合成にも必須である。

臨床での重要性
テトラヒドロビオプテリン合成と再生の欠乏はタイプIVのフェニルケトン尿症(PKU)および神経伝達物質(ドーパミンとセロトニン)の欠乏の原因となる。フェニルケトン尿症患者のフェニルアラニンの血中濃度の長期的な上昇は、知能の遅滞を含む過度の精神異常、小頭症、言語能力の遅滞、発作、異常行動に繋がる。
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http://plaza.umin.ac.jp/JPS1927/fpj/topic/topic_123_46.htm
テトラヒドロビオプテリンとスーパーオキシド
藤田保健衛生大学医学部薬理学 野村隆英

キーワード:テトラヒドロビオプテリン,スーパーオキシド

テトラヒドロビオプテリン(BH4)はフェニルアラニン水酸化酵素,チロシン水酸化酵素,トリプトファン水酸化酵素など芳香族アミノ酸モノオキシゲナーゼの補酵素であり,カテコールアミンやセロトニン合成に重要な役割を果たしている.

また,BH4は一酸化窒素合成酵素(NOS)のコファクターとして一酸化窒素(NO)の産生にも関わっている.

さらに,BH4は生体内でスーパーオキシド(O2 −)を低下させる抗酸化物質として機能していることが報告され,BH4の生体機能の調節や病態発生への関与を考える上で大変に興味深い.

BH4が組織中のスーパーオキシドを低下させる機序としては次の2つが知られている.一つは,BH4がアスコルビン酸同様にスーパーオキシドを化学的に還元し消去することによるものであり,他の一つは,BH4がNOS にコファクターとして結合し,NOS のスーパーオキシド生成を抑制することによるものである(Free Radic Res.2003;37:121-127).

BH4量が不足した条件下ではNOS はNOではなくスーパーオキシドを生成することが知られている(Biochem J.2002;362:733-739).

血管内皮細胞内でのBH4不足が血管内皮の傷害に重要な役割を担うことが近年注目されている.スーパーオキシドはNO をパーオキシナイトライトに変換したり,ヒドロキシラジカルを発生させたりして,細胞に傷害を及ぼす.またスーパーオキシドはリポ蛋白の酸化,サイトカイン遺伝子の発現,また,平滑筋細胞の分裂などを促進したりして動脈硬化症を発症・進展させる.従ってBH4や細胞内でBH4に変換されるセピアプテリンなどを薬物として投与することが,動脈硬化症,高血圧症,高コレステロール血症,糖尿病性血管障害の治療・防止に役立つと考えられる(Am J Physiol HeartCirc Physiol. 2001;280:H2484-H2488; Am J PhysiolHeart Circ Physiol. 2001;281:H981-H986; J Clin Invest.2003;111:1201-1209; J Pharmacol Sci.2003;91:187-191).

ところが最近,ある状況下ではBH4そのものが生体内でスーパーオキシドを発生させる原因物質になりうることが報告されている.Yang らはSHR ラットの大動脈を用いて張力実験を行い,NG-ニトロ-L-アルギニン存在下ではBH4がアセチルコリンによる内皮依存性の血管収縮反応を増強することを報告した(Hypertension. 2003;41:136-142).ジヒドロビオプテリンやセピアプテリンにはその作用はなかった.又,彼らは同一の実験系でキサンチンとキサンチン酸化酵素を添加することによってもアセチルコリンに対する内皮依存性の血管収縮反応の増強が起こることを観察した.このBH4作用はスーパーオキシドジスムターゼとカタラーゼの添加により抑制された.彼らはBH4の自己酸化で生じたスーパーオキシドによりSHR ラット大動脈でのアセチルコリンによる内皮依存性血管収縮が増強されたと結論している.組織においてBH4が分子状酸素と反応してスーパーオキシドを生成出来るという仮説は,Kirsch らがESR スピントラップ法により試験管内ではじめて直接的に証明した(J Biol Chem. 2003;278:24481-24490).

一方,Tajima らはBH4によるNAD(P)H 酸化酵素の活性化がスーパーオキシドの生成を引き起こすことを報告している(Br J Pharmacol. 2000;131:958-964).彼らはNO の血小板凝集抑制作用が外因性のBH4によって阻害されることを観察したが,この時,外因性BH4の作用はスーパーオキシドジスムターゼやスーパーオキシド生成阻害剤で抑制されることを見出した.又,NAD(P)H酸化酵素の特異的阻害薬を添加するとBH4の効果は解除された.彼らは,BH4が血小板のNAD(P)H 酸化酵素を活性化してスーパーオキシドを生成し,この結果,NO が不活化されるためにNO の血小板凝集抑制作用が阻害されると考えた.

BH4が生体内でスーパーオキシドを減少させる因子として振る舞うのか,逆に,酸化ストレスを生じる因子として作用するのかは,組織中のBH4濃度やその作用部位により異なるのかもしれない.炎症性サイトカインは細胞内のBH4産生を著しく増加させることが知られており,炎症という病態発生へのBH4の関与は興味ある問題であり,今後の詳細な検討が必要である.
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http://www.ieice.org/ken/program/index.php?tgs_regid=103fb2fe687d8b674f745ab66a2e178571ec0f8fb306b4a3cc6b3471f7641209&cmd=show_form&form_code=2Avd&layout=&lang=jpn
電子情報通信学会 研究会発表申込システム - 講演論文 詳細

持続式携帯腹膜透析(CAPD)患者において、長期透析後の限外濾過不全などの腹膜機能障害の原因として、生体組織由来の一酸化窒素(NO)の産生および代謝の異常が関与していると推測されている。NOは生体組織中のNO合成酵素(NOS)によって産生されるが、その活性維持には補酵素のテトラヒドロビオプテリン(BH4)が必須である。本研究では、CAPDの腹膜機能低下におけるNOおよび関連物質の関与を検討するために、CAPD透析液排液中のNOと関連物質の濃度計測を行なった。CAPD透析液中NOおよびBH4濃度は、透析液の腹腔内滞留時間が長いほど高値を示したことから、腹膜組織およびその周辺組織からNOが産生されていると推測され、その産生量の変動にBH4が関与しているものと示唆された。以上の結果から、NO濃度の直接計測は、CAPDにおける腹膜機能の変化におけるNOの関与を検討する有用な手段となりうると考えられた。
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http://hobab.fc2web.com/sub2-no.htm
2.NOと活性酸素  

 血管内皮細胞やマクロファージでは、NOとスーパーオキシド(O2-)が同時に発生する。
 NOは、スーパーオキシドを捕捉し、スーパーオキシドを消去する。しかし、この際に、ペルオキシナイトライト(パーオキシナイトライト:peroxynitrite:ONOO-)という、より強力な酸化力や毒性を持つラジカルが生成される(NO+O2-→ONOO-)。
 この、NOとスーパーオキシドとの反応速度は、SODとスーパーオキシドとの反応速度より、3倍も速い。

 このように、NOは、スーパーオキシドが産生されると、消去されてしまう。
 しかし、NOは、ミトコンドリアの電子伝達系を障害して、スーパーオキシドの産生を増加させる。
 他方で、NOは、スーパーオキシドを消去する細胞外SODを増加させて、スーパーオキシドによるNO自身の消去を抑制している(フィードフォワード機構)。
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http://www.h3.dion.ne.jp/~kelkans/NOlevel.html
一酸化窒素と乾癬の症状

乾癬患部に多く存在する好中球からコラーゲナーゼ(コラーゲン分解酵素)のMMP-8が産生される。MMP-8はperoxynitrite(ONOO-)に依って活性化され、MMP-8の活性化を介して形成調節が起こる。

「MMP」:matrix metaloproteinase:マトリックス分解酵素。関節炎、歯周炎、眼疾患など多くの疾患と関係があるという。
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http://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/119/5/273/_pdf/-char/ja/
心筋障害の調節因子とアデノシン産生
 小畑俊男 大分医科大学薬理学教室

7. 一重項酸素とアデノシン
反応性の非常に高いラジカル種に一重項酸素(1O2)が知られているが,その代表的なスカベンジャーは必須アミノ酸の一種であるヒスチジンである.ヒスチジンはアデノシン産生を増加させる(37).このように虚血障害によって生成される1O2はヒスチジンの枯渇によりアデノシン産生を抑制しているものと考えられる.
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http://kassei.namni.net/2005/10/post_45.html
一重項酸素のスカベンジャー

一重項酸素の主な抗酸化物質は次のようなものです。

・酵素:SOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)、グルタチオンペルオキシターゼ
・ビタミン:ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンE
・食品栄養素など:リコピン、カロチノイド、メチオニン、ヒスチジン、トリプトファン
・その他:尿酸、女性ホルモン、ビリルビン
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2008年12月14日

自閉症はNMDA受容体のルートの偏りによる疾患、そのポイントは一酸化窒素との幾重にもある相互作用だと(2)

本業の最盛期でブログの更新が滞っておりますが。

自閉症スペクトラムは、NMDA受容体のルートの一酸化窒素の産生効率が影響する記憶の再編成・編集に変調をもつ疾患だとおもいますが、そのNMDA受容体というシグナリングの増幅器は、左右脳の機能形成にも関係するので左脳の言語や右脳の空間感覚の発達にも偏りが、また他の精神疾患とも関係深い部位なのでそちらの影響も受ける疾患だとおもいます。

そういうことで自閉症スペクトラムは一酸化窒素の産生に過剰過少の偏りをもつことが多いとおもいますが、その中で一酸化窒素のシステイン残基のニトロシル化による活性の抑制が偏ることでの影響も大きいのだろうと。

細胞死に関係するカスパーゼは、システインプロテアーゼに含まれる塩基性で活性化されるタンパク質のカッターですが、その切れ味に一酸化窒素の産生が影響することも細胞死に変調がある自閉症スペクトラムと何か関係しているのではと。
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NMDA型グルタミン酸受容体 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

NMDA型グルタミン酸受容体(—がた—さんじゅようたい)はグルタミン酸受容体の一種。記憶や学習、また脳虚血などに深く関わる受容体であると考えられている。

構造
NR1 と NR2 のヘテロ2量体2セットからなる4つのサブユニットで構成されているとされており、ゆえに全ての NMDA受容体は NR1サブユニットを含む(ただしいくつものスプライスバライアントが報告されている)。NR2サブユニットにはさらに NR2A、NR2B、NR2C、NR2D の4種類がクローニングされており、それぞれ生体内での発現部位や発現時期が異なる。たとえば、NR2Dサブユニットは胎生期に選択的に発現するサブユニットであると考えられている。なお、NR2サブユニットにグルタミン酸受容サイトがあると考えられている。

近年、新たに NR3A、NR3B という二つのサブユニットがクローニングされたが、これらはグルタミン酸受容サイトを持たず、NR1 とヘテロ多量体を形成して陽イオンを通す、興奮性グリシン受容体として働くという報告もされている。

アゴニスト・アンタゴニスト
この受容体を構成する主要サブユニットの一つ、NR1 サブユニットにはグリシンを受容するサイトがあり、グリシンを受容していない NMDA型受容体は、活動できない。また通常、細胞外マグネシウムイオン (Mg2+) によって活動が阻害されている(後述)ため、脱分極刺激などで Mg2+ を外してやらないと、活動できない。また、つまり、活動には2種のリガンドと Mg2+ の除去が必要と言える。
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http://www.jst.go.jp/pr/announce/20081118/index.html
右脳と左脳の構造の違いを発見
−記憶をつかさどる海馬に違い−
 ヒトの右脳と左脳の機能的な違いについては、例えば言葉は左脳優位、空間認知は右脳優位、と知られています。しかし、神経のつながり方が右脳と左脳でどのように違うのか、を明らかにした研究はありませんでした。

<参考図>
図2 シナプスの大きさによって豊富に含まれるグルタミン酸受容体の種類が違いました。
 シナプスにおける信号の受け手である“グルタミン酸受容体”をつくるたんぱく質には、その分子構成によって様々な種類が知られています(NR2B、GluR1など)。本研究によってシナプスの大きさによって、その分子構成が異なることが分かりました。小さなシナプスではNR2B(青色)と呼ばれるグルタミン酸受容体の割合が、大きなシナプスではGluR1(赤色)と呼ばれる受容体の割合が多くなっていました。

図3 左脳と右脳で、神経のつながり方によって、シナプスの大きさやグルタミン酸受容体の密度が異なっていました。
 海馬(特にCA1とよばれる領域)の神経の右脳と左脳のシナプスの違い。左脳では、同じ左脳からの信号(海馬CA3領域からの信号)をうけとるシナプスは小さく(緑色)、反対側の右脳からの信号をうけとるシナプスは大きくなっていました(黄色)。右脳ではそれと正反対になっていました。
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http://www.nips.ac.jp/kenkyukai/2003/10.pdf
シナプス後肥厚部PDZ 蛋白質の立体構造学的研究
 杤尾豪人 横浜市立大学・総合理学研究科・計測科学講座

nNOS はNMDA 受容体流入性のCa イオンにより活性化されるが、これはnNOS がPSD-95 を介してNMDA 受容体近傍に局在することにより実現している。PSD-95 は三つのPDZ ドメインを持ち、nNOS も酵素ドメインの他にN 末端側にPDZ を持つ。NMDA 受容体はPSD-95 のPDZ1 に結合し、さらにPSD-95 のPDZ2にnNOS PDZ が結合することにより、NMDA 受容体−PSD-95−nNOS が複合体を形成する。筆者らは各々のPDZ ドメインの立体構造を決定し、変異体作製、表面プラズモン共鳴法、溶液NMR を用い、in vitro でのPDZの相互作用を調べ、アミノ酸レベルで明らかにした。
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http://www.asas.or.jp/jsnp/pdf/topics/14_20080229.pdf
D-セリンと統合失調症
 西川 徹 東京医科歯科大学大学院精神行動医科学分野

D-セリンは、
(1)NMDA 型グルタミン酸受容体の生理的活性化に不可欠なグリシン調節部位の刺激作用をもつ、
(2)哺乳類において脳優位に含まれ、D 型アミノ酸としては例外的に高い濃度が恒常的に維持される、
(3)脳内分布がNMDA 受容体R2B サブユニットと酷似している、
(4)前脳部でD-セリンを選択的に分解するとNMDA 受容体機能の低下が見られる、

などの特徴から、グリシンとともに、哺乳類脳のNMDA 受容体に対する内在性コ・アゴニストと考えられている。
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http://www.j-tokkyo.com/2005/A61K/JP2005-336081.shtml
【発明の名称】 NR2B−NMDA受容体の再発現抑制剤
【発明者】 【氏名】清末 和之 森下 竜一

【0052】
結果)
海馬は記憶に重要な器官である。この海馬の培養神経細胞を用いて、神経回路の再編成の機構のメカニズムを解明することを目標としている。我々の開発してきた海馬神経細胞培養系では、培養日数に応じてシナプス形成をし、ネットワークとしての活動を高めることが明らかとなっている。また、受容体の発現様式を検討すると、NMDA型受容体(NMDARs)のうち、NR2Bサブユニットを含むNMDAR(NR2B-NMDARs)が、発生初期に多く、徐々に減少し、それと対照的にNR2AサブユニットをもつNMDARsが増加することが、明らかになっている。
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http://web.kanazawa-u.ac.jp/~cdmtd/sousetsuf/sousetsu3.htm
アポトーシスと炎症は親戚関係
(The apoptosis is kin to the inflammation)
須 田 貴 司

2-i) カスパーゼと炎症性サイトカイン

IL-1と言えば代表的な炎症誘導サイトカインである。その一つであるIL-1βは不活性な前駆体として産生され、IL-1β converting enzyme (ICE)によって前駆体ドメインが切断されて活性型となる。別の炎症関連サイトカインであるIL-18も同様の機構でICEにより活性化される。そして良く知られるようにこのICEこそ最初に発見されたカスパーゼ(カスパーゼ1)である(図2)。カスパーゼはアポトーシスの実行過程を司る一群のシステインプロテアーゼである(カスパーゼの項参照)。実際にICE/カスパーゼ1を過剰発現させるとアポトーシスが誘導されることが示されている(1)。カスパーゼ11もカスパーゼ1の活性化を介してIL-1βやIL-18の活性化に関与している(2)。即ち、アポトーシスを司るカスパーゼの一部が代表的な炎症性サイトカインの活性化を制御しているのである。このことだけでも炎症とアポトーシスの間にはドグマに反して深いつながりがあることが予感される。

図2 カスパーゼと炎症

リポポリサッカライド(LPS)などで刺激すると、カスパーゼ11,カスパーゼ1が順に活性化され、活性型カスパーゼ1によりIL-1βやIL-18などの炎症性サイトカインが活性化される。カスパーゼのカスケード反応はアポトーシスばかりでなく、炎症でも働いているのである。
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http://www.ricoh.co.jp/abs_club/Science_f/Science-2008-0523.html
Science (AAAS) May 23 2008, Vol.320
S-ニトロシル化の制御(Regulating S-Nitrosylation)

S-ニトロシル化によるタンパク質の共有結合的修飾は、細胞における生化学的な活性制御に関する重要なメカニズムの一つである。しかしながら、タンパク質の脱ニトロシル化のメカニズムはあまり解明されていない。アポトーシスを促進するタンパク質分解酵素カスパーゼ-3はS-ニトロシル化により抑制され、そして細胞死-促進受容体Fasが活性化されている細胞において脱ニトロシル化される。Benharたち(p.1050,Holmgrenによる展望記事参照)は、カスパーゼ3の脱ニトロシル化を触媒するタンパク質分画を精製し、そして脱ニトロシル化の活性を引き起こす最も有望なタンパク質としてチオレドキシン-1(Trx1)を同定した。Trx1の枯渇により、培養細胞においてS-ニトロシル化カスパーゼ-3と他のS-ニトロシル化タンパク質の蓄積をもたらし、そしてカスパーゼ-3のFas-誘導の脱ニトロシル化がチオレドキシン還元酵素2の枯渇により抑制された。このように、Trx1によるターゲットタンパク質の脱ニトロシル化の制御が、S-ニトロシル化によるカスパーゼ-3と恐らく他のタンパク質の酵素的な制御の主要なる要素であろう。(KU)
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http://www.molmed730.com/JTRA/JTRA-K-program2.pdf
一酸化窒素によるアクアポリン- 5 水チャネルの機能制御
熊本大学大学院医学薬学研究部 薬物活性学分野
 礒濱洋一郎

【目的】Aquaporin-5 (AQP5)は水チャネルの一種で,多くの外分泌腺に存在する.欠損マウスの表現型からAQP5 が唾液,汗および気道液等の分泌に重要な役割を果たしていることは知られているが,AQP5 の機能調節機構については,水銀イオンが本水チャネルの孔構造近傍のシステインに結合して水分子の透過を抑制することを除けば,ほとんど明らかにされておらず,種々の炎症等の病態時に生じる水分泌異常とAQP5 の機能との関係についても不明である.

一方,一酸化窒素(NO)は炎症時に産生される主要なメディエーターの一つである.近年,NO はシステイン残基をニトロシル化することで,種々のタンパク質の活性を調節することが明らかにされてきている.そこで本研究では,AQP5 の活性もNO によるS-ニトロシル化により調節を受けるのではないかという仮説のもと研究に着手した.

【結果・考察】
これらの成績より,NO はAQP5 活性をS-ニトロシル化に基づく機能的抑制と,細胞内取り込みに基づく細胞膜表面での発現抑制の両機序を介して抑制し,細胞膜の水透過性を低下させることが解った.本研究は,炎症時の水分分泌の異常と,その薬理学的治療を考える上で興味深い.
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http://www.sbchem.kyoto-u.ac.jp/mori-lab/thesis/recent.html
【森研究室<代表的論文紹介>】京都大学大学院工学研究科 合成・生物化学専攻 分子生物化学分野
Nitric oxide activates TRP channels by cysteine S-nitrosylation.

TRPチャネルは様々な細胞刺激に対するセンサーとして機能する。本研究によって、システインS -ニトロシル化を介した新規TRPチャネル活性化機構を発見した。

一般的にTRPCファミリーは受容体活性化型チャネル、TRPVファミリーは温度感受性チャネルとして分類されている。しかし、これらの分類を超えてTRPC1, TRPC4, TRPC5, TRPV1, TRPV3そしてTRPV4が一酸化窒素(NO)に応答し細胞内にCa 2+を流入させることがわかった。
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http://www.rinshoken.or.jp/ER/PRBP/researchers/uehara.html
神経変性疾患発症における一酸化窒素による小胞体膜存在ユビキチンリガーゼの機能変化
 上原 孝 北海道大学 大学院薬学研究院 薬理学研究室 准教授

アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患発症のメカニズムについては精力的な研究が展開されているものの、今もって不明な点が多く残されている。脳萎縮・神経脱落部位では変性蛋白質の蓄積が認められ、蛋白質品質管理系に何らかの異常が起こっていることが示唆されている。パーキンソン病の家族性疾患ではユビキチンリガーゼの触媒活性部位に変異が認められること、大多数を占める孤発性疾患では酸化ストレスの一つである一酸化窒素(NO)が触媒領域のシステイン残基をS-ニトロシル化し,E3活性を著しく変化させることが報告されている。したがって、疾病発症に連関した異常蛋白質あるいは変性蛋白質の蓄積過程に、ユビキチン・プロテアソーム系におけるE3リガーゼの変異や酸化による機能消失が関与していることが強く示唆されている。
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2008年12月04日

何か関係ありそうな自閉症とアレルギー、グリシン・セリンに影響される関係なのでは?

自閉症は左脳右脳の違いを作るNMDA受容体のルートの過活性により言語脳の左脳の機能の発達に影響を受けていることが多い疾患だとおもいますが、そのNMDA受容体を活性化させるのがグリシンやそれに近くより活性化させるのがD-セリン。

そのグリシンやD-セリンの元のL-セリンを合成するのに補酵素としてビタミンB3のナイアシンが関係し、それが充足しているか不足しているかで左脳右脳の機能の発達に影響がでるとおもっています。

子供のアレルギーには、アトピーから喘息へ移行するパターンがありますが、肌にうるおいを与えるセラミドがL-セリンからできたぶんアトピーはL-セリンの不足型、喘息をおこすロイコトリエンC4がグリシンを含むグルタチオンから産生されるので喘息はL-セリン充足型。

体内最重要の抗酸化物質と書いていたグルタチオンが喘息と関係するとは意外でしたが。

酵素活性の中心に多いヒスタミンの前駆物質のヒスチジンの過剰により、その補酵素のナイアシンの過不足が起こり、L-セリンの産生に影響し、それがNMDA受容体に影響することで左脳右脳の機能差に関係する部分の発達にも影響するのだと。

何か関係ありそうな自閉症とアレルギー、グリシン・セリンに影響される関係なのでは?
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http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2007/070716/detail.html
喘息やアレルギーの治療薬開発に確かな道しるべ見出す
- 炎症物質を産生するタンパク質の立体構造を世界で初めて決定 -
                      平成19年7月16日

独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、米国のハーバード大学(President Drew Gilpin Faust)ブリガム婦人病院と共同で、喘息や炎症を引き起こす物質であるロイコトリエンC4(LTC4)を「ロイコトリエンC4合成酵素」(LTC4S)が合成する仕組みを解明しました。

 LTC4Sは、膜貫通型タンパク質※1の一種で、免疫、炎症に関わる細胞が活性化した時に働き、LTC4という脂質メディエーター※2を産生します。すなわち、LTC4S は、脂肪酸LTA4とグルタチオン※3からLTC4を産生する反応で、触媒として機能しています。合成したLTC4とその代謝物は総称してシステイニルロイコトリエン(Cys-LT)と呼ばれ、アナフィラキシー※4遅延反応性物質(SRS-A)※5のひとつとして、肺の気管支収縮活性を示すヒスタミン※6より1,000倍強い収縮機能を持つことが、40年以上前から知られています。しかし、LTC4SがLTA4とグルタチオンからLTC4を作る際の、その働きや反応の実態については謎でした。

※3 グルタチオン
天然には動物、酵母その他ほとんどの生体細胞中に含まれ、きわめて重要な役割を果たす。アミノ酸が3つ(グルタミン酸、システイン、グリシン)繋がったトリペプチドである。

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http://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/130/6/458/_pdf/-char/ja/
グリシントランスポーターによる神経因性疼痛の制御
日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)130,458〜463(2007)

森田 克也1),本山 直世1),北山 友也1),森岡 徳光2),土肥 敏博1)
広島大学大学院医歯薬学総合研究科

3. 坐骨神経部分結紮神経因性疼痛モデルマウスにおけるGlyTs 阻害薬の抗侵害作
2)GlyT2 阻害薬の作用様式

近年,ヒトびっくり病患者の内にGlyT2 をコードする遺伝子に変異が見つかり,GlyT2 機能不全が驚愕反応の病的な亢進、幼少児期の筋緊張の亢進等のびっくり病症状に関係することが示され,トランスポーター病のひとつであることが明らかにされた(29, 30).

4. 各種疼痛モデルマウスにおけるGlyTs 阻害薬の抗侵害作用

 神経因性疼痛の患者は症状が類似していても治療効果が異なる場合が多く,発症あるいは維持のメカニズムは多彩である.また,各々の神経因性疼痛モデル間でも障害の程度や部位の違いが疼痛の発症機構に影響する.GlyTs 阻害薬はPSL モデル以外にもstreptozotocin誘発有痛性糖尿病性ニューロパシーモデル,Complete Freund’s Adjuvant(CFA)誘発慢性炎症性疼痛モデルで同程度の抗アロディニア効果を現した.

私達は,血小板活性化因子(PAF)がATP およびグルタミン酸の遊離を介してアロディニアや痛覚過敏を引き起こし,その機序に『NO-cGMP 系によるグリシン受容体機能の抑制』が関係することを明らかにしており(31,32),PAF およびATP 誘導体,cGMP 誘導体.PGE2 の脊髄腔内投与によるアロディニアや痛覚過敏反応もGlyRα3 ノックダウンやGlyTs 阻害薬で消失した.

いずれにしても,グリシン作動性抑制系は痛覚伝導制御に重要な役割を果たしており,GlyTs 阻害薬は炎症や神経障害で惹起される抑制性神経制御の消失を抑制あるいは逆転させることができた.このことは様々な原因でおこる疼痛に普遍的に有効な可能性を秘めた,今までの鎮痛薬とは全く異なった作用機序を有する新しい治療薬開発の可能性を示すものである.
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http://www.mt-pharma.co.jp/general/science/04/2004_5_7/sci_jsumm.htm
サイエンス
グリシン受容体サブタイプ(GlyR 3):脊髄におけるプロスタグランジンE2(PGE2)を介した炎症性疼痛感作に必須の標的

PGE2は、炎症性疼痛感作の非常に重要なメディエータである。今回われわれは、PGE2が誘導する受容体のリン酸化によって、特異的なグリシン受容体サブタイプ(GlyR 3)が阻害され、この阻害が中枢性炎症性疼痛感作の根底にあることを実証した。ここに、GlyR 3が脊髄後角の表層にはっきり発現されていることを提示する。GlyR 3欠損マウスでは、野生型マウスでみられるようなPGE2によるグリシン作動性神経伝達の抑制が見られないだけでなく、PGE2の脊髄内注入や末梢性炎症による疼痛感作が低下することもわかった。したがって、疼痛治療において、GlyR 3はこれまで知られていなかった分子標的となるかもしれない。
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http://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/128/3/128_169/_article/-char/ja
最近の統合失調症モデル
山口 和政1), 中谷 晶子1), 村澤 寛泰1), 藤村 京子1), 巽 義美2), 巽 壮生2)
1) 株式会社 日本バイオリサーチセンター 2) 株式会社 奈良病理研究所

要約: 統合失調症は「神経発達障害仮説」が提唱されている.非競合的NMDA受容体拮抗薬であるフェンシクリジン(PCP)を新生児期投与したICRマウスとSDラットでは,イボテン酸の生後6日腹側海馬注入ラットモデルと同様に12日齢時の脳切片で前頭前皮質,中隔,視床および小脳で神経細胞とS-100陽性アストロサイトのアポトーシスの発現がみられた.また,rostral migratory stream中では増生した幹細胞でGLASTの発現がみられた.一方,新生児期にPCPを投与したマウスにD-cycloserineを皮下投与したときには上記の病理変化はみられなかった.新生児期PCP投与マウスでは4-6週齢の行動観察でPPIの障害,PCP投与運動亢進の抑制およびモーリス水迷路学習能の障害がみられた.以上,この統合失調症モデルの利用は統合失調症の病因の解明,セリンおよびグリシンをターゲットとした新規治療薬の開発の一助となることが期待される.

キーワード: 統合失調症, フェンシクリジン(PCP), rostral migratory stream(RMS)
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