2009年08月05日

自閉症スペクトラムでも、汗をかきにくいタイプには、身体を温める系の食事を考えるなど寒証に対する対応が有効なのでは?

熱証や寒証と関係しそうな、汗をかきやすい、かきにくい、これが自閉症スペクトラムや発達障害での目安にならないかと考えています。

前に書いたのが『自閉症スペクトラムは、だいたいが実証で熱証と寒証に分かれるとおもっています。

熱証寒証はたぶん亜鉛シグナリングでは活性・抑制の反対に分かれますが、その状態は固定したものではなく移行することも、そして注意欠陥を合併するタイプはSOCS3の強い寒証のタイプに多いのではと。

脂肪細胞からでるホルモンに活性化されるのがSTAT3、そのレプチンの感受性を落とすのがSOCS3と考えると、STAT3が活性化しすぎるタイプでは脂肪分の少ないものを、またSOCS3の活性化しすぎるタイプは逆に脂肪分を欲するのかも。

その証の見分けがつけば、実証の熱証・寒証の人に向いた食材などもネットで得られるので、それによりしんどさの軽減も見込めるのではとおもいますし、大雑把には下記の蚊の研究のように熱証・寒証を見るのに汗をかく・汗をかかないなどが使えないかと。

繰り返しになりますが、熱証・寒証は固定したものではなく、今は名が変わっているようですが、ファンケルの旧 記憶サポート(いちょう葉エキス、ギャバ、ホスファチジルセリン、DHA)を飲まれて今まで出なかった汗がどっと出るようになり気持が悪いと言われた高機能の方もおられますし、息子のことを考えても、この間を振れていたかもしれないなと。』

汗をかくことは、温度を感じることや汗腺と関係深いNGFやその受容体であるTrkAの活性とつながり、その辺りが活性化しているかしていないかが漢方の基本の証の熱証・寒証につなががってい、自閉症スペクトラムでもここの違いによりタイプが分かれてくることになるのでは。


『CREBによって転写がコントロールされている蛋白には、神経栄養因子であるBDNF(brain-derived neurotrophic factor)、NGF(nerve growth factor)や抗アポトーシス因子のbcl-2など』でBDNFはその活性の度合いにより自閉症のサブタイプが別れるのではと言われていたとおもいます。

汗の関係と注目している、同じく転写のコントロールを受けるNGFは痛みの関係や5HT2Aなどとの関係、またPACAPの関係などからサイトカインのIL-6に関係し、そのIL-6は漢方の基本の熱証・寒証の土台だとおもうSTAT3-SOCS3に活性抑制される亜鉛トランスポーター・亜鉛シグナリングに影響する。

最近は、汗をかきにくい子供が多いと書いてあるものもありますが、その背景に漢方の基本の寒証に通じる身体の変化を表しているのではとおもいますが、自閉症スペクトラムでも、汗をかきにくいタイプには、身体を温める系の食事を考えるなど寒証に対する対応が有効なのでは?
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http://utomir.lib.u-toyama.ac.jp/dspace/bitstream/10110/1954/1/20000403.pdf
ヒトスジシマカの吸血誘引性に及ぽす証の影響

白井 良和 押上村 清早)関 太輔9)諸橋 正昭b)
a)富山医科薬科大学医学部感染予防医学教室,b)富山医科薬科大学医学部皮膚科学教室

緒言
今回,著者らは東洋医学的見地から,実証型,虚証型や熱証型,寒証型などの証により蚊の吸血誘引性を評価することが可能かどうか,また,吸血誘引性に影響を及ぼす要因について検討を行ったので報告する。

(4)虚証・実証型:虚とは,病原菌などに抵抗する力が弱り,病気に対する反応が十分でなく,容易に身体の内部まで病気が達する状態であり,予備体力が小さく,胃腸が虚弱であり,実とは,抵抗力が旺盛で,体内の病気に同じくらいの力で張り合っている状態であり,予備体力が大きく,胃腸が丈夫である。 また,生気の不足状態,やせ型,下痢症は虚証,活動的で声に活気があり,筋肉質で便秘がちは実証である。例えば,寒がる,四肢が冷たい(手足の指先が冷たい,夏でも暑がらない),疲れやすいといった症状は,陽虚に必須の症状である。

(5)寒証・熱証型:一方,全身や手足の冷え,温かい飲み物を好む人は寒証,冷たい飲み物を好む人は熱はの証とされることなどから,アンケート項目のうち,「汗をかきやすい」「手のひらに汗をかく」「飲み物について」「水分を(よくとるか)」「暑がりですかP」「手の指先が冷たい」「足の指先が冷たい」「冬期,靴下をはいて寝る」「冬期,あんか(足ごたつ)を使う」「体温が低い方だと思う」の10項目を寒証・熱証型の判定項目に選び,これらの項目のみについて合計点数を求め,点数が低いものから,寒証型,寒熱中間型,熱証型の3つの型に分類した。
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http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/pain-hypo.html
痛みと鎮痛の基礎知識 - Pain Relief

[先天性無痛無汗症 CIPAの病態]
 ---常染色体劣性の遺伝病で、TrkAが関与する交感神経節ニューロン、温痛覚を伝える感覚神経、脳のアセチルコリンニューロンの消失。
 ---幼小児期からの反復する高熱、反復する外傷、骨折、自傷行為、それに時として精神発育遅滞がみられる。

汗腺を支配する交感神経節後線維の欠損ないし減少するために、エクリン腺があるにもかかわらず、汗をかかない。

DRGの小型ニューロン、温痛覚を伝えるAδ線維/C線維、後根の小径線維、脊髄のLissauer路が欠如するために、痛みを感じない。
痒みを伝えるC線維も欠如する。

アルツハイマー病で消失するマイトネルト基底核のアセチルコリンニューロンも、TrkAを持つ。CIPAの精神発育遅滞は、これらの核の機能の消失の可能性が示唆される。

熊本大学小児科の犬童康弘先生が、1996年に世界に先駆けて、CIPAの責任遺伝子がTrkAの遺伝子の変異であることを同定した。[PubMed1/2] ---常染色体劣勢遺伝性疾患
CIPA患者のTrkA遺伝子の変異の有無を検討したところ,3 家系それぞれTrkAのチロキシナーゼドメインをコードする遺伝子領域に欠失・スプライス異常・ミスセンス変異が認められた。
ヒトのTrkA遺伝子は1番染色体の長腕(1q21-q22)にあって、23kbの塩基配列、17個のエキソンをもっている。
CIPA患者の末梢神経は痛覚線維を欠いている。

この発見はNGFとTrkAが痛覚線維の発生に必要不可欠であることを示す決定的な証拠になった。
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http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/subs-algo.html
■物質 │発痛物質 Algogenic substance, Pain Producing Substance: PPS│ ←→ 受容体

┏内因性発痛物質ーK+ │ブラジキニン/カリジン │H+ │5HT │ヒスタミン │アセチルコリン │ATP
┣発痛増強物質ーPG
┗外因性発痛物質ーカプサイシン(→起炎物質)

ブラジキニンとは、「モルモット腸管の収縮(kinein)がゆっくり(brady)と経過する。」ということから、命名された。
 ギリシャ語 brady-(緩徐)+kinein-(to move)  ←→tachy-(速い) →tachykinin-サブスタンスP
炎症が起きると、血管内皮細胞が活性化されたり、障害を受けたりして、血液は凝固しやくなる。
ブラジキニンは、血液凝固に伴って、産生される。
ブラジキニンは、血管内皮細胞の破壊に伴ない、血液凝固の第XII因子が活性化され、カリクレイン・キニン系で、産生される。
ブラジキニンは、血管透過性を亢進させるとともに、疼痛を引き起こす。

血管内皮細胞では、血漿カリクレインが高分子キニノーゲン(HMW-Kg 分子量8万)を亜鉛イオン依存性に作用し、ブラジキニンが生じる。

セロトニン serotoin=5-Hydroxytryptamine:5HT
 [痛覚過敏]
組織での炎症とセロトニンの放出に伴う痛覚過敏には5-HT2A受容体が関与している。
5-HT2A受容体アゴニストを注射すると、脊髄 後角にc-Fosタンパクが発現する。
5-HT2A受容体アンタゴニストのケタンセリンを前投与すると、c-Fosタンパクの発現が抑えられる。
5-HT2A受容体mRNAを発現するDRGニューロンは、小型から中型で、DRGニューロン全体の約9%。
5-HT2A受容体mRNAを発現するDRGニューロンの96%がCGRP mRNAを同時に発現する。
DRGの5-HT2A受容体陽性細胞のほとんどがCGRP陽性で、IB4陰性細胞
NGF感受性の小型DRGニューロンの一部が5-HT2A受容体を発現し、末梢においてセロトニンに感受性を示す。
炎症時には末梢組織においてNGFなどの産生が増加することから、5-HT2A受容体の発現も増加し、さらに感受性を増す。
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http://www.ncnp.go.jp/nimh/pdf/kenkyu50.pdf
発達障害のモデル動物研究の現状と展望
 成 田 正 明1)  成 田 奈緒子1)

最近私たちは米国のNelsonらの報告24)を参考に、自閉症患者で血清BDNF(brain-derived neurotrophic factor 脳由来神経栄養因子)値が高値を示すことを報告18)し、血清BDNF値測定が自閉症診断に有用であることを明らかにした。
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http://www.ils.u-toyama.ac.jp/text/tanaka.htm
転写因子cyclic AMP response element binding protein (CREB)を介するシグナル伝達活性化による脳保護
神経内科学 田中耕太郎

研究の背景と目的
Cyclic AMP response element binding protein (CREB)は恒常的に種々の細胞核内に発現している転写因子の一つであり、そのセリン残基(Ser133)がリン酸化されると、その転写活性は活性化され、CREモチーフを有する各種蛋白DNAからmRNAへの転写が進み、蛋白が産生される。

CREBによって転写がコントロールされている蛋白には、神経栄養因子であるBDNF(brain-derived neurotrophic factor)、NGF(nerve growth factor)や抗アポトーシス因子のbcl-2など、神経組織の保護、再生に重要なものが多く含まれている。
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http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_200929_j.html
1.タイトル:「ガラクタ」RNAの遺伝子活性化における新しい役割

2.発表概要:
ゲノム情報の「暗黒物質(ダークマター)」といわれる非翻訳型RNA(ノンコーディングRNA)の出現とともに、段階的にクロマチン構造が緩み、遺伝子の発現が活性化される機構が、国立大学法人東京大学(小宮山宏総長)と独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)の共同研究により、世界で初めて明らかにされた。


上記の結果は、長鎖非翻訳型RNAがRNAポリメラーゼII※4によって合成される過程で、順次fbp1プロモーター領域のクロマチン構造が弛緩していき、これがカスケード的に生じることで、転写が段階的に活性化される可能性を示唆している。そこで、この考えを検証するため、fbp1プロモーター領域の複数の箇所に転写終結配列※5を挿入した酵母株を作製し、fbp1の発現やクロマチン構造を解析した。

その結果、長鎖非翻訳型RNAの合成を途中で終結させると、大規模なfbp1の転写活性化が起こらなくなること、また長鎖非翻訳型RNAの終結点以降でのクロマチン再編成が起こらなくなることを確認した(図3)。

分子レベルの解析で、長鎖非翻訳型RNAの転写には、RNAポリメラーゼII、fbp1プロモーター領域に結合するCREB/ATF型転写因子、C2H2Znフィンガータンパク質※6、Groucho型の転写共抑制因子※7が協調的に関わることが示された(図4)。さらに、分裂酵母の全ゲノムをカバーするゲノムタイリングDNAチップ※8を用いて、グルコース飢餓で転写が誘導されるほかのいくつかの遺伝子でも、同様な長鎖非翻訳型RNAが誘導初期に転写されることを明らかにした。

  以上の結果から、非翻訳型RNAの転写を伴う段階的なクロマチン再編成が、遺伝子の活性化にも重要な役割を果たすことが示された。

意義と波及効果
  CREB/ATF型の転写因子や、Groucho型転写共抑制因子は、糖代謝のほか、高等真核生物では発生や分化にも関わることが知られている。

また、記憶に必要な神経細胞の長期増強の際にも、CREB/ATF型の転写因子が関わるクロマチン再編成が起こることが報告されている。

これらのことから、今回発見したタイプの非翻訳型RNAは、おそらく発生や分化、長期記憶などの過程に関わる遺伝子群においても活躍しているものと考えられる。近年のクロマチンをベースにした研究で、真核生物の転写制御機構の概念は、大腸菌をモデルとしたジャコブとモノーのオペロン説※9から大きな発展を見せつつある。

今回発見された機構も、真核生物の遺伝子制御に関する研究に、新しい展開をもたらすものと期待される。また、ヒトなどで同様な機構を調べることで、糖尿病などの代謝異常疾患や、人間の記憶の仕組みが解き明かされる可能性がある。

※6C2H2Znフィンガータンパク質:亜鉛を配位することでDNA結合活性を示すドメインを持つタンパク質のうち、亜鉛の配位が2つのシステインと2つのヒスチジンによるもの。遺伝子発現に重要な役割を果たす。
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