72e875bd.jpg10代の中高生向け読み物のジュヴナイルである岩波ジュニア新書は、1979年の創刊で2019年には創刊40年の節目を迎える。その際にジュニア新書編集部が創刊40年記念冊子として出したのが、「ホンキのキホン・岩波ジュニア新書読書ガイドブック」(2019年)であり、先日私は本冊子を入手しつらつらと読んでいた。

冊子の巻頭にある、創刊当時からジュニア新書全冊の最終ページに掲げられているマニュフェスト「岩波ジュニア新書の発足に際して」の抜粋文章が、まず何よりも目を引く。

「きみたち若い世代は人生の出発点に立っています。…ですから、たとえば現在の学校で生じているささいな『学力』の差、あるいは家庭環境などによる条件の違いにとらわれて、自分の将来を見限ったりはしないでほしいと思います。個々人の能力とか才能は、いつどこで開花するか計り知れないものがありますし、努力と鍛練の積み重ねの上にこそ切り開かれるものですから、簡単に可能性を放棄したり、容易に『現実』と妥協したりすることのないようにと願っています」(「岩波ジュニア新書の発足に際して」)

創刊時に考えられ以後40年に渡り継続して巻末掲載されているマニュフェストなのだから、岩波ジュニア新書編集部による相当に本気な文章なのだろうが、編集部の大人が中高生の若者に配慮し気遣った、いかにもな「教育的」文章で私は笑ってしまう。「たとえば現在の学校で生じているささいな『学力』の差、あるいは家庭環境などによる条件の違いにとらわれて、自分の将来を見限ったりはしないでほしいと思います。…簡単に可能性を放棄したり、容易に『現実』と妥協したりすることのないようにと願っています」とある。

私の10代の頃を振り返り「確かにそうだったかな」とも思わないこともないけれど、若い人は昔から今も変わらず、学校で勉強が出来なくて「学力」が足りなかったりするだけで、また家庭環境が他の友人達よりも劣って苦境にあったりすると、そんなに簡単に将来の夢を見限ったり自身の可能性をさっさと放棄したり、「現実」とたやすく妥協して自暴自棄になったりするのか。

人間は若いことは素晴らしいけど、若いことが同時に青臭くて苦しいこともあるかもしれない。若い時分は比較的体力もみなぎり、新たな経験も多くて何かと新鮮であるけれど、その反面、知識と経験があまりないゆえに感情コントロールが出来なかったり、自己肯定の自尊感情の欠如で自分が苦しかったり、それで周りの人達や環境のせいにして安易に不良化したり堕落したり、時に無気力になったりすることもあるのかな。まぁ人間生きていればいろいろあるわな、ということになる。

岩波ジュニア新書の創刊40年記念冊子「ホンキのキホン」は、著名人(作家で演出家の鴻上尚史ら)による推薦岩波ジュニア新書の紹介や、学校図書館司書や書店員からの「おすすめの1冊」、「入試に出た!ジュニア新書」企画やジャンル別のジュニア新書好評既刊目録が掲載されてある。

岩波ジュニア新書は10代の中高生に向けたジュヴナイルではあるが、10代をとうに過ぎた私でも、本冊子の目録を参照し「この機会に是非手にとって読んでみたい」と思わせる触手が伸びるジュニア新書が数多くあった。