51fbe538.jpg安川寿之輔「福沢諭吉のアジア認識」が出たあと、平山洋氏が「安川氏が福沢のアジア蔑視、アジア侵略肯定の根拠として出した時事新報の社説記事は、実は福沢が執筆したものではない!」といった批判入れて、福沢諭吉のアジア認識に関して安川・平山論争が起きました。☆この平山洋「福沢諭吉の真実」のカバーには、以下のようにあります。特にその中の「福沢諭吉は、アジアを蔑視し中国大陸への侵略を肯定する文章をたくさん残している。それを理由に福沢を全否定しようとする動きも絶えない」は、安川著「福沢諭吉のアジア認識」を暗に批判・牽制(けんせい)してます。

「日本の文明開化を先導した偉大な思想家福沢諭吉は、アジアを蔑視し中国大陸への侵略を肯定する文章をたくさん残している。それを理由に福沢を全否定しようとする動きも絶えない。確かに現在も刊行されている福沢の全集にはその種の文章が多数収録されている。しかし、それを書いたのは本当に福沢本人なのか。もし、誰かが福沢の作品ではないものを福沢の真筆と偽って全集にもぐりこませていたとしたら…。この巧妙な思想犯罪の犯人は一体誰なのか」

平山氏、「この文章は果たして福沢が書いたものか否か」=真筆かどうかの判別方法を確立してるようで、「専門的にやってる平山氏の史料批判・吟味というのは確かだろうから、後期の時事新報社説、福沢全集に入ってるにもかかわらず、これは福沢自身の主張として研究では使えない」ということは、まず言ってもよいと思う。☆しかしながら、安川・平山論争って、福沢を全面批判して乗り越えたい安川氏と、その安川氏による・あまりにも否定的な福沢評価から、何とか福沢を擁護して救い出したい平山氏との感情的対立といった感あります(^^;)。☆それに平山氏の史料批判を全面的に受け入れて、アジア蔑視や大陸侵略肯定の、後期の時事新報社説を福沢の思想から削ったとしても、前期の「学問のすすめ」「文明論之概略」「帝室論」など明らかに福沢真筆の史料を読む限り、「あ~福沢って、やっぱ明治絶対主義のイデオローグ。初期から学問・知識のない人や国家に対する蔑視・愚民観がスゴいし、天皇利用論は打ち出すし、明治国家の富国強兵・対外膨張の帝国主義路線と何ら対立しない。初期福沢のどこが典型的な市民的自由主義者!?」とか個人的には思います。☆だから、「平山氏の史料真贋を駆使しても、初期から一貫した明治絶対主義のイデオローグ=福沢諭吉の全体評価に、そんなに影響ないのでは…。安川・平山論争って、あまり本質的でないなぁ」と私には思える(^^;)。

近年の福沢諭吉に関するものでは、青土社「ブックガイド・日本の思想」に所収の、ひろたまさき「文明論之概略」の解説と、子安宣邦「福沢諭吉『文明論之概略』精読」(岩波現代文庫)が、よく出来てる・うまくまとめられてる・読んでて面白い↑↑って思う。

10月2日・50ページ

人間、愚劣さの前では同調せず、表立って抗議せず、ひたすら黙る。「黙して語らず」です。

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