72e875bd.jpg宮尾瑛祥(みやお・えいしょう)「宮尾のアッと驚く英語長文読解ルール」。☆以前に代ゼミ(代々木ゼミナール)にて、大学別対策講座で「早稲田英語」を担当していた、宮尾氏執筆の大学受験参考書。

本書の帯に推薦の言葉があって、「わかった!英文はこうやって読むのか!代々木ゼミナール講師・原秀行先生・絶賛!!」。☆一目見て、明らかに原さんと分かる(笑)、氏の髭面(ひげづら)顔イラスト掲載と共に推薦文があります。☆私は代ゼミ本校に通ったこともないし、宮尾、原両氏の英語講義も実際に受けたことないのですが、なぜか噂で両氏のことは知ってて(^^;)、今となっては特に原秀行氏なんて本当に懐かしい人。

原秀行という人は、学生を前にした直の対面授業に徹底して・こだわる方。☆原氏は1980年代当時、相当の実力と人気があって、衛星回線使って代ゼミ本校での講義映像を生中継で全国支店の各地方校舎に飛ばす「サテライン・ゼミ」を代ゼミ教務や理事長から直々に何度・頼まれても、「あれは間接授業だから…」と断り続ける。☆その他、書店売り参考書の執筆もラジオ講座の出演講師などのメディアへの露出も、いくら依頼があっても断固として断る。

そんな映像や音声の間接教材出演や、書籍参考書執筆を断り続ける、自身のことに関し一貫して頑固に露出拒否な原さんが、他人のことになると信念曲げて、代ゼミ同僚で友人な宮尾氏の英語参考書の帯に自身の顔イラスト付き推薦文を割合、脇が甘く、あっさり載せて露出したりする。☆原秀行氏みたいな人を「粋(いき)な人」という。私はそう思います。☆原さんは粋だ(^^)。

さて宮尾瑛祥「アッと驚く英語長文読解ルール」は、ミクロな一文読解の精読ではなく、マクロな視点から文章全体の論理展開パターンを見切って読み解く英文読解教授に特化した本。☆ゆえにチャプター1の「問題演習前の英語長文読解のコツ」は、「マクロの目で英文を読む」、「英米人の論理的思考に慣れる」、「英語の論理的世界」、「日本語の国語力を鍛える」、「ワード(単語)からコンテクスト(文脈)で読む」の5つの節からなり、同様にチャプター2の「英語長文読解のルール」は、以下の6つのルールにより構成されます。☆すなわち、

「ルール1・センテンスの構造。ルール2・パラグラフの構造。ルール3・キーセンテンスからパラグラフ・リーディング。ルール4・英文の構造とその論理的思考。ルール5・論理パターンの語句、ルール6・文語体と口語体」

今でこそ論理展開パターン把握やパラグラフ・リーディングの全体からの英語読みは、予備校でも高校でも普通に幅広く教えられてますけど、本書が出版された1980年代では、そういったマクロ視点な英文読解アプローチを教える人は、またまだ珍しかった。☆だから、「アッと驚く英語長文読解ルール」みたいな、受験生を「アッと驚かせる新発見ルール」のような大げさな参考書タイトルになってるわけです(笑)。☆やはり昔は、構文重視で英文を一文ずつ正確に精読して、その一文ごとの精読読解を積み重ねていったら、やがては自然に英文全体が読めて要旨把握ができ大意要約もできるとする、構文主義に基づく「一文精読信仰」みたいなのが根強くあった(^^;)。

宮尾さんは80年代に代ゼミで「早稲田英語」の対策講義を担当してて、早稲田大学は近年でもそうですが、早稲田の英語は昔から細かな一文精読よりも、論理展開パターンを見切る全体把握のマクロな英語読みを受験生に要求する大学で、例えば、順接か逆接か添加など、論理接続語を空欄補充で語群から選ばせたり、適切要旨や主題のキーワードとなる語句を記号選択させたりする。☆それで宮尾氏は早稲田の英語を対策授業で教えていたので、そういったパラグラフ・リーディングなどマクロな英語読みに対する意識が、特に高かったのだと思う(^^)。

本書での問題演習は、早稲田を始めとする実際の私大入試の過去問で各問、常に以下の手順で進みます。☆まず問題英文掲載があって、次に「解答アプローチ」というのがある。☆この「解答アプローチ」は、前掲の問題英文掲載と同じなのだけど、ただし著者がいう「論理パターンの語句」、つまりは「論理構成を作る語」や「注意語・RED・ALERT」などパラグラフ・リーディングの全体読みを進める上で絶対に見落としてはいけない論理接続語(but、however、for・example、firstl、finally、in・short、must、have・to…など)が太字で濃く示されてる。☆それら重要論理語や注意語を漏れなく意識し注意できたかどうか、ここで各自・確認する。

それから「リーディング・メソッド」というのがあって、そこでは論理構造の確認や、次段落の内容展開予測も含めたパラグラフ読解や重要主題文の見極めなどマクロな大きな読みをやる。☆そして、さらに「パラグラフ・リーディング」というのがあり、今度はミクロな一文ごとの文の繋がり説明や問題の解答解説を段落別に細かく詳しくやり、最後に問題英文の全訳を載せて一題の問題演習は終わります。

以上のように、宮尾著「アッと驚く英語長文読解ルール」は大変に親切で良心的な、まさに「英語長文読解ルール」のマクロな読みに徹した好著だと思います。☆しかし、多少の難点があることも確か。

何よりも、掲載の演習問題英文に片寄りがあり過ぎる↓↓。☆まずテーマの内容的には言語論がほとんどで、ウンザリするほど言語論がテーマの問題英文ばかり繰り返し連続で出てくる。☆また論理パターンとして対立構造を持つ英文ばかり…これまた繰り返し載せてくる(笑)。☆問題英文全体の要旨把握の要となる、絶対に看過してはいけない重要読解部分や、設問の下線部空欄補充にて、やたら「not・A・but・B」の「AではなくてB」か、「not・only・A・but・also・B」の「AのみならずB」の、基本「AとBの対立」か、もしくは・その「AとBの対立発想」を根底に持つ添加・追加の構文が相当な確率で毎回、重複して出てきます(^^;)。

予備校講師がやる大学受験指導にて、特に現代文と英文解釈において、その講師の説明方法に見合った、その解法テクニックを使って効果的に解くことができる大学入試の過去問ばかり講師自ら・わざと不自然に片寄って選択して集め、そして学生の前で軽々と解いてみせて、まだ人を疑うことを知らない、純真な(?)大学受験生は予備校講師の鮮やかな(?)解法解説に納得し感動する。☆最悪、その講師の「信者」にさえなる 。

予備校での演習テキスト掲載の過去問が恣意的に集められた、案外その講師にとってのみ、解法解説上「都合のよい」問題ばかりで、しかし予備校授業での納得の感動とは裏腹に現実の大学入試や対外模試では、普段演習で繰り返しやってる予備校テキストにあるパターン以外の対応を迫られる問題も実際あって、そういう問題に出くわし受験生が成績向上に伸び悩む…。☆特に現代文と英文解釈での予備校指導にありがちな、そういったペテンの事例が、誠に申し訳ないのですが(^^;)、ふと頭を・よぎる。

もちろん宮尾氏ほどの人なら、代ゼミでの通年講義や夏期・冬期の集中講習を受けていれば、そのような「自身の解き方の解法に見合った大学入試過去問ばかりを集めて解法解説して、受験生を、その場限りで何となく納得・満足させる」ことはないのでしょうけど、片寄り過ぎた内容テーマと同一論理パターン英語ばかり集めた本書を読んだだけだと、そういった危惧も否めなくもない…。☆直接の授業を受けずに、この参考書だけ読むと、そんな疑いも多少は残る…というのが読後の正直な感想(^^;)。