2008年09月22日

東京大学 千葉実験所に新交通システム実験線

千葉市内にある東京大学 生産技術研究所 千葉実験所
千葉大学の西千葉キャンパスに隣接している施設で,
ここには全長95.0mの鉄道の試験線が敷設されている。

千葉試験線 【写真】 千葉試験線
2008.05.28.(水)16:12頃

車体のない台車だけをクレーン付きトラックで牽引するというものだけど,
開通式以来,実際に走らせているところを見たためしがない。

しかし,これとは別のシステムの,新たな実験線を敷設するようだ。

「日経ビジネス」 2008年9月15日号(第1457号)によると……

そのシステムの名前はエコライド
遊園地にあるジェットコースターの原理を応用し,
石油も電気も使わずに傾斜に沿って走行する究極のエコ交通システムだそう。

独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
2006年から研究開発の支援を始めており,
今年10月に東大の生産技術研究所が実験線を設けるらしい。
担当は千葉実験線と同じ須田 義大(すだ よしひろ)教授

プロジェクトの主体は,泉陽興業(せんようこうぎょう)と,その製造子会社の泉陽機工。
観覧車などの遊具を製造する,大阪市 浪速区のメーカーだ。


エコライドのシステムは,ジェットコースターとほぼ同じで,
レールに付いたワイヤを車両下部の装置で掴んで上昇し,その先は位置エネルギーで下る。
車輪がレールを上・側面・下の3方向から掴み,安定を保つ。
但し,暴走する訳ではなく,20〜30km/h程度の低速で走る予定だそうだ。

停車時は車両下部から垂直にぶら下がっているフィンと呼ばれる突起を
レール側のブレーキ装置で両側から押さえ込んで減速する。
途中駅からの発進時はフィンを押し出して,また緩やかに下る。

想定する営業区域は,複合商業施設や大規模商業施設,大規模住宅団地,
大学の大規模キャンパスの中の移動手段といった狭いエリア。
路線の長さは最大で10km,駅間は300〜500m。
試作車は1両12人乗り,最大で1編成4両の48人という小型のもの。

車両が小型軽量のため,線路や駅もコンパクトで済む。
レールの幅は1.5m,支柱1本だから,用地の取得が容易。
既存の中量輸送システムと比較して建設費が安くなる。
案内軌条式の新交通システム ゆりかもめ の建設費は約140億円/km,
沖縄都市モノレール(ゆいレール)は約86億円/km。
一方,このエコライドは約20億〜25億円が目標なんだそう。
1/4〜1/5のコストで済むのだ。

仕組みは単純だけど,制御はそんなに簡単ではないらしい。
レールに付着する霜や潤滑油の粘度の変化,乗車人数によって速度が変わってしまうのだ。
途中で止まってしまうこともあるかも知れない。
そんな事態に備えて補助動力が必要になる。
レール側ではなく車両側に回生ブレーキを利用した動力を付ける案があるものの,
重くなって速度が出なくなってしまう可能性もある。
そこで,NEDOからの補助金を使い,10月から東大で検証するのだ。
千葉実験所に100mの実験線を設置し,
明電舎の協力で補助動力を搭載した試作車を走らせ,データを収集するという訳だ。

振動と騒音を抑えるため,ウレタンゴムを巻いた鉄車輪を採用。
ばね式サスペンションを台車に組み込んで乗り心地も良くする。

複数の列車を走らせるためには制御システムが必要。
(1) 車輪の回転から速度を検知。
(2) レールに速度センサーを設置。
(3) 全地球測位システム(GPS)で計測。
といった三重のシステムで速度と位置を正確に把握するそうだ。

追突事故を防止するため,
レール上の2つのブレーキ装置の間に1列車しか入れない仕組みも開発するという。
要するに鉄道の閉塞区間のような概念を導入するのだろう。

NEDOの研究開発プロジェクトには,
独立行政法人 交通安全環境研究所が安全性の検証,
三菱総合研究所が市場調査として参加しているということで,
10月からの実験でも連携するとのこと。

実用化の目処は2012年だそう。
ライバルはLRT(軽量軌道交通。次世代型路面電車)。
LRTの設備投資は20億〜30億円/km,最高速度は20〜40km/h,輸送能力は2500〜5000人/h。
輸送能力2000〜2500人/hを目指すエコライドと,規模もコストもほぼ同じ。
モノレールは輸送力が格段に大きいけど,コストも高い。
高架軌道を走るため地上を走るLRTより路線の自由度が高く,
交通渋滞や事故の心配がないのは強み。
ビル同士を結ぶ輸送手段としても使えそうだという。

この実験線が,外部から見えやすい場所に出来るかどうかは分からないけど,
近くで新しい交通システムの実験が行われるということで,かなり気になる。

ところで,東大 千葉実験所の敷地を千葉大学に譲ってもらい,
千葉大の松戸キャンパス(園芸学部)を移転させるなんていう構想もあるみたいだけど,
そうなると実験線は……??


● 関連記事  千葉試験線


国仲 涼太|10:28|再読み込みコメント(6)トラックバック(0)
カテゴリー: 鉄道一般 

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この記事へのコメント
M-T|2008年09月22日 11:03
と、なると、11月の一般公開、期待できそうですね(笑)
また、今年も見に行こうかな〜。

ライバルはLRTだよ
ゼンセはきっとジェットコースター
……
何でもないです(^^;)
けん|2008年09月22日 11:13
w(゜o゜)w・・傾斜だけで走らせるシステムですか・・・確かに、これだと動力は必要ないですね・・ただ、どの程度の傾斜があれば走れるのか・・・初心者の私には分からないです。

短距離の輸送手段としては期待が持てそうですね。ただ、モーターの音がしないのは、少々寂しいか(謎爆)

ちなみに、国仲さんの部屋にも実験線があるようですが・・・現在どのような実験をされているのかな?

まさか、360Km運転のテストとか・・・以後自粛・・・
1369F|2008年09月22日 14:05
まさに通勤用のジェットコースターですね。1両で12人ということは着席での利用が前提といったところでしょうか。

でも高架の駅に上がるor地下の駅に降りるのが前提となると、地上を走るLRTのほうが優れているような…。意外に面倒なんですよね、駅の上下方向の移動って(^^;)
国仲 涼太|2008年09月22日 19:26
● M-Tさん
エコライドに関する展示とか,作業風景とか見られるといいな〜(*^_^*)

● けんさん
詳しい仕様はこれからの実験の結果を検討しながら決めていくのでしょうね。
それなりに勾配がないと動かないような気がします。

我が家の実験線……軌間9mmの調ナローゲージのことですか!?(笑)

● 1369Fさん
車両がミニサイズなので,着席するくらいの人数しか乗れないんじゃないかな。

確かに,地上からの乗り降りという点ではLRTのほうが便利かも。
ビル間の移動となると途中階から使うのは楽なのかも知れません。
けん|2008年09月23日 00:12
国仲さん、9mmの超ナローゲージで360Km運転の試験をしているのですか??????(嘘爆)

ちなみに、広島環状線は予算不足で実現するかどうか危惧されています(爆)
国仲 涼太|2008年09月23日 19:52
● けんさん
うーんと……それは広島環状線にお任せします(笑)