アマゾンの出版事業、書店や出版社の反発で苦戦
2012年 10月 21日 15:53 JST

米オンライン小売り大手のアマゾン・ドット・コムは書籍の小売りでは大成功を収めた。しかし出版事業はまだ軌道に乗っていない。

Zuma Press A Barnes & Noble store in Florida. The bookseller said it won't stock titles published by Amazon.  この秋のアマゾンの最大の目玉は女優・監督のペニー・マーシャル氏の「My Mother Was Nuts(私の母は変だった)」だ。だが、ニールセン・ブックスキャンの調査では、この単行本は、発売から4週間でわずか7000部しか売れなかった。一方、俳優ロブ・ロウがマクミランズ・ヘンリー・ホルトを通じて昨年出版した回想録「Stories I Only Tell My Friends(仮題:友達にしか話したことのない話)」は最初の4週間で5万4000部売れている。  

すべての有名人本がベストセラーになるわけではない。それに、マーシャル氏はこのところヒット作もない。しかし、この本が売れなかったのは、書店で手に入れるのが非常に難しかったからだ。バーンズ&ノーブル(B&N)の全国689店舗ばかりか、ウォルマート・ストアーズにもターゲットにも置かれなかった。一部の独立系の書店も置かなかった。電子書籍を売るソニー、アップル、グーグルを通じても買うこともできなかった。   

B&Nはマーシャル氏の新著をボイコットしたのだ。同社は1月、アマゾンが出版した本は置かないと宣言した。アマゾンが一部の著者や出版社と、アマゾンでしか販売しないという契約を結んだことを批判してアマゾンの出版物のボイコットを決めた。しかし、マーシャル氏とアマゾンの契約はどの書店も扱うことができるというものだった。ボイコット以降で最も売れ行きが期待された本でもあった。  

他の書店は、アマゾン出版の本をボイコットしているわけではないという。だがアマゾンがライバルであることは影響している。フロリダの書店ブックス&ブックスのオーナーのミッチェル・カプラン氏は「わたしはアマゾンのショールームにはなりたくない」と述べる。同氏はアマゾン出版の書籍は、バーンズ&ノーブルと同様、注文があれば販売する。  

アマゾンの電子書籍「キンドル」のコンテンツ部門のバイスプレジデント、ラス・グランディネッティ氏は、マーシャル氏の本の電子版は単行本より「ずっと」売れているという。ただ、販売の詳細は明らかにしていない。ウォール・ストリート・ジャーナルがまとめる電子書籍のノンフィクション部門のベストセラー・ランキングでは、マーシャル氏の本は最高で2週連続で3位まで上昇したあと低下傾向だ。マーシャル氏の出版エージェントはコメントを拒否した。  B&Nのボイコットは業界の緊張が高まっていることの象徴だ。アマゾン、B&N、アップル、グーグル、ソニーなどが電子書籍、電子書籍端末の販売で競い合っている。  

アマゾンが食料品にまで販売品目を広げる一方、小売り業者も立場を鮮明にし始めた。ウォルマートやターゲットは最近、アマゾンの電子書籍端末キンドルの販売を止めた。一方、B&Nの書籍端末ヌックは販売を続けている。ウォルマートはこの決断について、「商品戦略に沿ったもの」としているだけだ。ターゲットはアナリストに対し、「われわれにとって」適切な判断だと述べている。   

アマゾンは09年に静かに出版業を立ち上げた。当初は過去に実績のある自費出版の著者を扱い、こうした本を「アマゾンアンコール」と名付けた新規事業を立ち上げて大々的に宣伝した。  1年後には、翻訳出版「アマゾンクロッシング」に乗り出した。ドイツ人作家Oliver Pootzsch氏の「The Hangman's Daughter(処刑人の娘)」などのヒット作も出た。  

さらにラリー・カーシュボーム氏を招聘(しょうへい)し、一般向けの書籍の出版にまで事業を拡大した。同氏はタイム・ワーナーの出版部門のトップを務めた人物で、著者に大金を払うことで知られている。同氏を招いたことは、アマゾンが大物著者との契約にも乗り出す方針を意味する。   

マーシャル氏の「My Mother Was Nuts」に、アマゾンは80万ドル(約6300万円)を支払ったと言われている。ということは、従来の計算でいくと、単行本で7万5000部、電子書籍版で3万から4万部を販売しないと元が取れないことになる。あるいは、電子書籍版が10万部と単行本が2万5000部だ。  アマゾンの出版業が勢いを取り戻せるかは、このボイコットへの対応に掛かっている。  

「問題は、アマゾンが売り上げを他の方法で補うことができるかだ」と、出版エージェントのスコット・ワックスマン氏は語る。同氏は、B&Nのボイコット前に元バスケットボール・コーチのボビー・ナイト氏の「The Power of Negative Thinking(ネガティブ思考のパワー)」をアマゾンの出版部門に売った。「もしエージェントがアマゾンの商品戦略が溝を埋めたと確信すれば、アマゾンはいい本を出せるだろう」と同氏はいう。  

作家のティモシー・フェリス氏はB&Nのボイコットにショックを受けている。同氏がランダムハウスのクラウン・アーキタイプから出した「The 4-Hour Workweek(週4時間だけ』働く。」は、米国内で紙と電子版で115万部以上を販売した。来月、アマゾン・パブリッシング・ニューヨークから「The 4-Hour Chef(4時間でシェフに)」を発売する予定だ。  

「わたしは全国的な販売促進キャンペーンを行うときは、いつもB&Nを優先してきた。そのおかげで、B&Nの書店や電子書店には多くの顧客が訪れた。わたしの読者はそこで他の本も買っている」とフェリス氏は話し、「もしB&Nの目的がシェアを拡大し株価を押し上げることだとしたら、今のタイミングで親しい友に背を向けるのは奇異な感じがする」と述べた。
記者: Jeffrey A. Trachtenberg

http://jp.wsj.com 引用流用 

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