日々妄想 -書籍と家電の個人的記録-

一介のサラリーマンの日々の読書記録と家電レビューの覚え書きです。 文庫本を中心に、時々家電の衝動買い、さらにはへっぽこ登山まで?



高速道路で発生した交通事故。単なる交通事故かと思いきや、日本の核武装を計画したPCが何者かによって持ち去られる・・・。調査を命じられた防衛相の真名瀬。重工メーカー幹部、防衛相大物OBの関与が発覚する中、東シナ海尖閣諸島では海上自衛隊と中国海軍の衝突が発生し・・・。

いやあ、長編ですがあまりにリアル。日本の核武装論がリアル、というより核を持っているかもしれない、核を作る能力が有る、という疑心暗鬼のみで発生しうるパワーがリアル。まるでかの国と同じことを日本がもし行えば、という想定が怖すぎる。核物質の入手は別にして、日本の原子力技術があれば核爆弾の製造が可能となる可能性は非常に高いのは事実でしょう。もしかしたら我々の知らないところでこの物語のような事実が起きているかもしれない。そういった意味でも実にリアル。

ストーリー展開、長編なのに飽きさせない筆力、そして最後の落し所はさすがの高嶋哲夫さん。安定感がありその面では安心して読めました。もう序盤からこの本に外れは無いな、とw。脇を固めるのはっ米国留学時代の米中の友人。しかしいずれもそんなに政治中枢に近い所で働いている、という設定はなかなか苦しいですね。まあこの米中とのやりとり、あるいは恋人を介したジャーナリズムの関与が物語に厚みを加えているのは間違いないです。

核の是非、日本の核武装論については置いておいて、核っていうのは本当に不思議ですね。現代において核を使用すれば、その国・武装勢力は間違いなく壊滅に追いやられる。国同士の経済依存が高度に発達した現代において国同士の全面的な紛争は発生しずらく、まず核が使用される恐れは無い。それなのに核爆弾を開発している、あるいは持っているかもしれないというだけでこれほどまでに周囲に大きな影響を与えられるなんて。そういった意味では非常に費用対効果の高い軍事力なのかもしれないです。

Bluetoothスピーカーの市場拡大に伴って、いわゆる高級スピーカーメーカーもお手軽なBluetoothスピーカー商品を投入しており、本製品もその1つです。英国の老舗オーディオメーカー、ケンブリッジオーディオが投入したBluetoothスピーカー、Yoyo Sです。そのサイズや構成は典型的な高級Bluetoothスピーカーの法則に則ったものであり目新しさはあまり有りませんが、その音作りには感心するものが有ります。それでは詳しく見ていきたいと思います。



ケンブリッジオーディオは1968年英国創業のオーディオメーカーで、比較的低価格で音質が優れた製品を出す印象があります。BluetoothスピーカーについてもあくまでステレオスピーカーであることにこだわったYoyo M、Bluetoothスピーカーの利便性にこだわったYoyo Sの2つをリリースしました。Yoyo SはBose SoundLinkⅢに代表される大型の一体型スピーカーであり、まさにSoundLinkⅢをイメージしてもらえれば良いです。外観は流行りのファブリック調、というよりファブリックを使用しています。英MartonMills製のファブリックを使用とのことで、外観の品質は価格なりのものを有していると思います。色もダークグレー、ライトグレーにブルーと渋い色が揃っており、インテリアになじみやすいと思います。上面は樹脂製になりますが、あまり安っぽさは感じません。電源ケーブル等は全て下面から引き出せるのは背面がスッキリして良いですね。



仕様面で特記するようなものはあまり有りません。USB給電有り、ハンズフリー用マイク内蔵、連続14時間再生と普段使いには困らないと思います。面白いのはジェスチャーコントロールと呼ばれる、本体上面を手で左右にかざすだけで再生一時停止、スキップ等が行えることです。実際に試してみましたが・・・、比較的本体に近いところでジェスチャーを行う必要があるため、これなら本体上面に専用のボタン設けたほうが良くない?と感じてしまいます。まあ付加機能としては面白いですね。

では試聴してみます。スピーカーユニットはフルレンジ×2にパッシブラジエターと標準的です。フルレンジスピーカーについては上位機種のYoyo Mと同様と奢っています。音質は、実にバランスの良い音を出すなあ、と。どちらかと言うと中高音を重視しているように思いますが、基本フラットに近い味付けです。注意深く聞くと低音もそれなりに出ているのですが、変に欲張っていない分中高音の良さが際立っているように感じます。解像感もこのクラスですので十分、これは良い音です。

ライバル機との比較ではまずはBoseでしょうか。これは音作りの方向性が全く異なりますので好みの問題。重低音重視か、全体のバランスを重視するかで決められますね。Sonyの高級機ではどうでしょうか。Sonyはややドンシャリ強め、ケンブリッジオーディオはおとなしめといった感じ。高級機メーカーで言えばB&O、傾向は似ていますがYoyo Sのほうが柔らかい音質というのでしょうか、このクラスになるとメーカー毎の味付けが明確で良いですね。

本機の実売価格は20,000円程度、高級機のメインストリームですね。この音質とメーカーのブランドバリューを考えるとコストパフォーマンスも良く、重低音一辺倒なBluetoothスピーカーの中で比較的フラットな味付けを持つ本機は貴重な存在で、音のレベルも高い。フラットな音作りを好む人にはうってつけの機種だと思います。

(Amazon) ケンブリッジオーディオ Yoyo S
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引きこもり等から社会復帰を目指す中間就労。しかし実態は最低賃金以下での労働を強いられる派遣労働に過ぎず・・・。人材派遣で財を成した原沢の娘をジョブトレーナーである沖田と食品加工場で働く派遣労働者達が誘拐をしたのだが、、、。身代金はわずか400円。この奇妙な誘拐劇の行方は・・・。

いやあ、ここまで後味悪い小説もなかなか無いというか、、。普通に考えれば、沖田や準主役である元引きこもりの柳瀬に感情移入するのが普通かと思うです。そして中盤までは想定通りの痛快な展開が続くのです。しかしやり手の経営者である原沢。一筋縄では行きません。まさに手に汗握る攻防、一進一退、まさかの逆転劇と非常に良く練られたストーリー展開は読むものを飽きさせません。そして終盤、我々読者はどのような結末であれ、感情移入してしまった沖田や柳瀬達に一縷の希望を与えてほしいと心のどこかで願いながら読んでしまうものです。しかしそれをも裏切るような展開・・・。

いや、つまらないとか読む価値無い、とか言う類ではないのです。むしろ面白いというか、今回初めて大門剛明さんの作品を読んだわけですが別の作品も読んでみたいと思わせる出来たった訳です。それでもなお、読後には何らかの爽快感を求めてしまう私にとっては非常に重い結末というか、ただただ絶句してしまうのです。

冷静に分析すれば逆転に次ぐ逆転のスピード感、誘拐の動機等、重層的に練られたストーリー展開。そして派遣労働、引きこもり、リストカット等の社会的テーマを題材に織り込んだ力作だと思います。そしてこれらの題材を扱いながら、(私的には)ハッピーエンドで終わらせない辺り、出色の出来であることは間違いないと思うのです。しかしなあ・・・。

最後にネタバレになってしまいますが、このように後味スッキリしない中で希望を見出させてくれたのは誘拐された原沢の娘の想い。もうこの1点のみに柳瀬の今後の希望を託したい、ただそれだけの思いで本作を読み終えたのでした。

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