日々妄想 -書籍と家電の個人的記録-

一介のサラリーマンの日々の読書記録と家電レビューの覚え書きです。 文庫本を中心に、時々家電の衝動買い、さらにはへっぽこ登山まで?

2013年06月

モップの精と二匹のアルマジロ (実業之日本社文庫)モップの精と二匹のアルマジロ (実業之日本社文庫) 
著者:近藤 史恵
出版:実業之日本社
(2013-04-05)


近藤 史恵の人気シリーズ、清掃作業員キリコシリーズの4作目。今回は初の長編となります。夫である大介と同じオフィスビルで働き始めたキリコ。ある日、見知らぬ女性(真琴)からオフィスビルで働く美形男性(キッチン王子・友也)について調査を頼まれて…。これがきっかけで大介共々事件に巻き込まれて行き…。

このモップシリーズ(と勝手に呼んでいます)、基本は短編でキリコの清掃中に発見した小さな証拠から事件を解決してゆくキレの良さがありましたが、本作では長編ということもありキリコと大介の夫婦生活等も織り込んだ、少しゆったりとした展開となっています。これが非常に良かったです。

今までは短編ということもあり、掃除大好き、料理も完璧なギャル風の女の子、という少し謎めいた(?)設定のままで私生活等は分かりにくく、個人的には掴み所のないキャラクターというイメージがありましたが、本作を読むとああ、キリコも普通の女の子だったんだなあと少し安心(?)してしまいました。

物語の展開は、依頼者である真琴が夫である友也の浮気を疑い、キリコに依頼を行います。友也には夜な夜な通うマンションがあり、浮気の疑いが濃厚。そんな中、友也がひき逃げにあい、過去3年分の記憶が無くなる記憶喪失になる…。そして徐々に明らかになってゆく友也と真琴の夫婦の関係…。

今回はキリコの名推理が冴え渡る、という感じではありませんが、キリコと大介、そして友也と真琴という2組の夫婦の対比を鮮やかに描き出し、そして心がホッコリとするラストへと繋がってゆきます。そしてタイトルにある、2匹のアルマジロの意味も明らかになります。

今までのモップシリーズとは少し展開が異なりますが、登場人物のプロットを活かしつつ長編小説に仕立て上げており、今までのモップシリーズを読んだことがある人には強くお勧め出来るかと思います。

枕女優 (河出文庫)枕女優 (河出文庫)
著者:新堂 冬樹
出版:河出書房新社
(2010-06-04)



枕女優。役を獲得するために監督、プロデューサー等に性的接待を行う女優のこと。本作の主人公、鳥居水香が入った芸能プロダクションでは組織的に枕営業が行われていた…。水香も芸能界で有名になるために枕営業を行い、そしてトップ女優へと登りつめていく…。

タイトルからして刺激的な本作品、枕営業や芸能界の生々しい描写もさることながら、最も印象に残ったのは役作りに没頭していき、常に女優・鳥居水香に成り切ってゆく鈴木弘子(鳥居水香の本名)の精神が崩壊していく点でした。女優になるためには、全てを捨てなければならない、全てを捨て、常に女優を演じ続けられるものだけが生き残れる世界…。そして弘子は最終的には…。

どちらかと言えば下世話な内容かな、と読み始めた本作ですが、最終的には細かい心理描写に圧倒されました。新堂冬樹という作家は、"忘れ雪"のような純愛作品と、"悪の華"のような芸能・風俗界のエンターテイメント作品に大きく分かれるように思います。私個人では、前者の作風のものについて好んで読んでおり、後者の作風については今回初めて読んだのですが、高いエンターテイメント性に加えて、純愛路線に見られるようなきっちりとした心理描写も加わってかなり魅力的に感じました。これは別作品も読んでみなければ。

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