日々妄想 -書籍と家電の個人的記録-

一介のサラリーマンの日々の読書記録と家電レビューの覚え書きです。 文庫本を中心に、時々家電の衝動買い、さらにはへっぽこ登山まで?

2014年07月

東京ポロロッカ (光文社文庫)
原 宏一
光文社
2013-12-05



ポロロッカ;干潮の影響で、川に逆流現象が発生すること。南米アマゾン川で発生するものが有名。高さ数メートルの波が上流800kmにまで押し寄せる。


サーファーたちの冗談でしかなかった多摩川大逆流。冗談が多摩川流域を河口から上流へ遡るにつれて大事になってゆき...。多摩川流域を舞台とした、人の噂を題材とした連編小説。


相変わらず原宏一さんの小説は面白いです。最初は誰も信じていなかった噂が、不動産屋の思惑により話が徐々に大きくなり、官庁が絡むことによりレポートは書き換えられ、まさに波のように徐々に、静かに話が大きくなって真実味を帯びてくる様子はデマって怖いなあと思わせるものがあります。最初の一作目は、うーん?、という感じでしたが上流に進むにつれて面白くなってきましたw。


ただ、本作はそういったデマの伝播を主題としている訳で無く、ポロロッカという噂を耳にした多摩川流域に暮らす人々の生活を描くというか、デマをきっかけにほんの少しだけ人生を変えることの出来た人々のお話です。


面白いのは、みんなポロロッカなんて来ないと分かっていながらデマに乗ったり、便乗していることです。何でも良かったのです。何かを変えるきっかけが欲しかっただけで、そのきっかけがポロロッカだったのです。あえてデマに乗り、幸せを手に入れる。そう考えると、良いデマってあるんですねw。


個人的には気に入ったのは、カフェを経営する栞の回です。栞の恋の行方だけは結末でもはっきりせず(良い方向であることは匂わせるのですが)、すごく気になります。


多摩川、個人的には多摩沿線道路を良く使用しますので馴染みがありますが、関東の河川でも何か別格の雰囲気を感じますね。ジョギング、バーベキュー、野球、サッカー...。何か、河川敷には幸せ一杯という雰囲気で、ちょっと気持ちが落ち込んでいる時には通るとさらにブルーになりますww。そんな幸せ溢れる多摩川から、本作に登場する人々も幸せのパワーをもらったのかなあ、と感じたりしました。



モノラル一発のコンパクトなスピーカーの中では圧倒的にクリアな中高音を出すJBLのMICRO WIRELESS。私も愛用しており、特に出張時には欠かせないアイテムとなっています。そんなJBLから新しいモノラルBluetoothスピーカー、JBL CLIPが登場しました。外観からしてMICRO WIRELESSのマイナーチェンジ版と想像出来ますが、音の面で変化があれば買う気十分で試聴してきました。

まずはスペックから。それぞれCLIP/MICRO WIRELESSの順になります。

(公式サイト) JBL CLIP


出力;3.2w / 2.7w
Bluetooth;ver3.0 / ver2.1+EDR
スピーカーユニット;40mm / 40mm
重量;150g / 130g
サイズ;直径88mm(最大107mm) / 直径93mm(最大98mm)
再生時間;5時間 / 5時間


うん、スペック的にもほぼ同一です。出力が若干増えていますが誤差の範囲ですね。Bluetoothのバージョンが3.0へアップデートされているのと、ハンズフリー機能が実装されたことにより関連のプロファイルが増えたことが特記事項でしょうか。スピーカーユニットが同一と予想出来ますので、あまり低音が期待出来ないのと連続再生時間が5時間のままなのは今となっては競合機種に劣る部分になるかと思います。また、ペナペナの収納袋の付属が無くなってしまったようです。


まずは外観から。手で持った感じでは、MICRO WIRELESSよりも一回り大きくなった感覚を受けます。重さはスペック上は若干重くなっているようですが、体感上差は感じませんでした。プラスチック部はラバー塗装が成されており、いかにも樹脂、といった部分が無く質感はMICRO WIRELESSより向上しているように感じます。カラーが黒以外に増えたのも良いですね。個人的にはブラックがシックで良いなあと思います。外観から防水もしくは防滴仕様? と思ってしまいますが防水仕様でありません。この点も競合機種に劣る点になりますね。

そして本機の名称通り、カラビナ等を引っ掛けるフックが大きく、頑丈になりました。また別途カラビナ等準備しなくても本機のみで引っ掛けられるようになったのは良いと思います。恐らく、バックパック等に引っ掛けて使用することを想定しているのでしょうが、個人的にはホテルの部屋でハンガーに引っ掛けて使用出来て非常に使い勝手が良さそうだなあと考えます。JBL CLIPのような外形が丸い機種は、どうしてもスピーカーユニットを真上、天井に向けて使用することになります。それはそれで悪く無いのですが、中高音が綺麗な本機では出来たら視聴者に正対してスピーカーユニットを配置したくなります。今まではベットボードに立て掛けたり、タブレットスタンドに置いたり、一苦労してきたのですがこのフックならハンガーに引っ掛けるだけでOKでしょう。アウトドアのみならず普段使いでもこのフックは便利そうです。

そして肝心の音質は...、うん、MICRO WIRELESSと殆ど変化なしです。低音は量は少なめながら締まった感覚、その代わり中高音はクリアでモノラル一発の割りに華やかな印象はまさにMICRO WIRELESSです。

競合機種と比較すると、まずSonyのSRS-X1とではまず低音は完敗。対して中高音は伸びの無いX1が完敗(音を拡散させるディフューザーの影響が大きいです)。音の指向性が少ないX1が気軽に使えるのに対し、CLIPはスピーカーの置き場に工夫が必要となりそう。ただしドンピシャにハマれば気持ちいい中高音が得られそう。

TDKのTREK Micro A12とでは同様に低音は完敗。中高音はどちらも出ているけど、音の気持ちよさと解像度の点では僅差でCLIP優勢かなあ、といったレベル。万人受けするのはA12でしょう。本体の質感はCLIPのほうが良いですね。

その他、AUXケーブル内蔵で別途ケーブルを準備することなく有線で使用可能、有線にて2台繋げる機能等はMICRO WIRELESSと同等。まさにマイナーチェンジ版と言ってよさそうです。

総括すると、JBL CLIPはJBL MICRO WIRELESSのマイナーチェンジ版。MICRO WIRELESS登場時にはこのクラスで一番の音質を持っていましたが、競合他機種のレベルが上がってきた現在ではそれほど大きなアドバンテージを持たないように思います。特に低音を強化した機種が増えてきている現状では、音に厚みが無いなあ、と感じてしまう面は否定出来ません。また防水機能、パッシブラジエター搭載、長時間再生、TWS機能によるステレオ化といった現在のトレンドにも乗り遅れており、やや商品力が落ちているような印象も持ちます。しかしながらそのクリアでキレの良い中高音は改めて聴くと"良いなあ"と感じます。マイナーチェンジ版ということもあって新機種ながら価格も安価であり、特に高音重視であれば本機種はなかなか魅力的な1台だと思います。

個人的には...、MICRO WIRELESSからは乗り換えることは無いかなあ。


(レビュー) 小さくともJBLサウンド (JBL MICRO WIRELESS)

(Amazon) JBL CLIP(Black)
(Amazon) JBL CLIP(Red)
(Amazon) JBL CLIP(Blue)
(Amazon) JBL CLIP(Gray)
(Amazon) JBL MICRO WIRELESS






東川篤哉さんの人気シリーズ、烏賊川市を舞台にした名探偵シリーズの短編集です。名探偵(?)、鵜飼杜夫が主人公のギャグミステリーであるこのシリーズ、結構好きで何冊かは読んでいるのですが短編集は今回が初めてとなります。あのギャグミステリーが短編となることで出来栄えになるのか楽しみにして読み始めました。

と、最初の作品”藤枝邸の完全なる密室”においてノックアウトされてしまいました。この作品が本作の中で最も短い作品なのですが、一番特徴的というか...。いつも通りの感覚で、鵜飼杜夫とその助手、戸村流平の軽妙な掛け合いをフンフンッ、と楽しんでいたらもう謎が解けて終わってしまった!。あれっ、何と言うか、テレビで面白いコントを見ていたらいつの間にか全て終わってしまっていたというか、不思議な感覚を受けました。

短編であるため、長編でどうしても感じてしまう中だるみのようなものが無く、一気にラストまで辿り着けるのが良いですね。また全体のストーリー構成が複雑にならない分、相対的にギャグの部分の比率が増えているというのもプラスに作用しているように感じます。書籍を読みながら"ダチョウ倶楽部かよっ!"っと一人ツッコまずにはいられなくなりますww。

ただし、本書のというか、烏賊川市シリーズの真骨頂はこのギャグの部分にあらず、軽妙なギャグの部分に隠された、ミステリーの謎解きの確かさにあります。ハードボイルドに憧れ(?)、ある意味形式美とも言えるほどのボケを見せる鵜飼がラストには何故か鮮やかに推理を展開し、事件を解決する、この落差にやられてしまい、だから烏賊川市シリーズはやめられないというか、私にとっては外れの無い鉄板の、読みたい本が無い時の保険のような存在です。

本書で残念なのは、烏賊川市シリーズでの名脇役である二宮であるとか、刑事等登場せずあくまで鵜飼と戸村の二人に登場人物が限られる点でしょうか。出来たら短編でも鋭くツッコむ二宮朱美なんてのも見てみたい訳ですが w。ま、本書は烏賊川市シリーズのエッセンスをギュッと凝縮した短編集で、気にいったのであれば是非長編シリーズを読んでくれ、ということでしょうか。

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