台風直撃の東京を、北朝鮮の特殊部隊が襲撃、高層マンションを占拠する。訓練された部隊にSATは壊滅、自衛隊特殊部隊も輸送ヘリを撃墜され甚大な被害が。自衛隊総合情報部の真下は、犯人の所在と真意を突き止めるために3人の部下たち共に捜査に乗り出したのだが…。

人気作家のゼロシリーズの第2作ですね。始めに断っておきますが、私はこの種のクライシスミステリーが大好きですのでどうしても評価が甘くなってしまいます。大筋のストーリー展開としては予期せぬ襲撃、警察組織の敗北、自衛隊投入、となる前の政治的駆け引き、戦力の逐次投入による自衛隊の敗北、と王道的な展開です。この種の作品を読んだことが無い人に取っては息詰まる展開なのでしょうが、まあ読み慣れていますからww、ああ、いつもの展開が来たな、といった感じです。

しかし後半からはちょっと様相が変わってきます。自衛隊による一大攻勢、とはならず、さらに劣勢が続いてしまいます。焦点は情報官の真下とその部下達に当たってきます。この辺りが、良くある日本国内テロ小説とは異なる点でしょうか。

そして犯人達の真意については、ミステリー的要素が高く、充分に楽しめます。その真意については、え〜っ、そういうことだったの?となって結構良かったです。そうです、本作はクライシス物の体裁を取っていますが、本格ミステリーでもあると。さすが、売れているだけのことはあります。そんな訳で一気読みです。これは第1作の"生存者ゼロ"も読まないと。