重工メーカーである四星工業が航空自衛隊向けに開発した練習機、TF-1。TF-1をベースにした単座型の要撃戦闘機を開発することとなり、開発技術者である沢本が奔走するが・・・。

同じTF-1の事故調査を追った航空系ミステリーである「推定脅威」の続編というかシリーズものとも言える本作。主人公である沢本由佳はそのままに、恋人でありよき理解者である倉崎など前作の登場人物に新しい人物も登場し、前作を読んだ人は懐かしくもありいきなり本作を読んでも楽しめる内容となっています。まあTF-1=T-1からF-1支援戦闘機への開発を思わせるのは未須本さんならですねw。

本作の一番の見所はやはり防衛産業というある意味特異な体質のなか進められる開発体制が詳細に描かれている点でしょうか。年度単位での予算割、節目毎のいちゃもんにちかい監査、まあ防衛産業に限らず日系企業なら大なり小なり似たような光景が繰り広げられている訳なのですがww。

そのような障害(?)の中、沢本たちのチームは旧知の仲間たちの力を借りて開発を推し進めていくわけですが、、、うーん、ちょっと物足りないなあ。自衛隊や重工メーカーの細かい描写は”読ませる”ものがあり満足度は非常に高いです。しかしストーリー展開としては、、、前作の「推定脅威」のプロットに頼りすぎているというか、人間関係が既に出来上がっちゃっているからこの先どうなるのだろうというワクワク感が少ないというか、、、。物語としても航空機開発のみならず他の要素も織り込んでいることから話がブレやすいというか、、ブルーインパルスの墜落事故の件についてはぶっしゃけ不要なのでは?とも感じてしまい・・・。

基本的には題材として非常に興味深く、面白いと思うのですがどうせ読むなら「推定脅威」のほうでしょ、とも感じてしまいます。それだけ前作が出色の出来でもあり、その続編というかシリーズものを作ることの苦労は並大抵では無いんだろうなあというのが読後の感想です。