日々妄想 -書籍と家電の個人的記録-

一介のサラリーマンの日々の読書記録と家電レビューの覚え書きです。 文庫本を中心に、時々家電の衝動買い、さらにはへっぽこ登山まで?

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製菓会社の広報宣伝部に異動となった山田が突然言われた一言、「お前は今日から当社のゆるキャラだ!」。あまりに突然のことに戸惑いつつも一生懸命職務を全うしようとする山田。縦割り冷たい視線、宣伝の失敗等の苦難を乗り越えて…。

いや、これは掴み一発勝負ですね。何だよ、一介の社員がそのままゆるキャラだなんて。そう感じてしまった時点で完全に作者の思うツボですねw。こんな感じで突拍子の無い話が突き進んでいくかと思っていたら、中身はある意味全うなお仕事系小説でした。どちらかと言えばもう青臭いくらいの。

良いなあと思ったのは、所々に山田の名言(?)が有るんですね。幾つか挙げていきます。"人生フルスイング"、"半径5メートルの範囲で変えていければ良い"等々。どうです、何か良くないですか?。何となく、部長が山田をゆるキャラに選んだ理由が分かるような気さえしてきましたよw。

無論、この手の小説につきものな個性豊かな同僚、恋愛話も盛り込まれていますので不足無し、お仕事小説の王道路線ですので文句無くオススメできるかと。

さて、現実の世界に戻って山田のような存在が周りにいるかと言うと…、うーん、難しいですね。山田のような発言の裏には打算が隠れていたりするし。今時、あまりに保守的な役員等はすぐに外されるし。現実の世界はやっぱり小説より厳しいや。




台風直撃の東京を、北朝鮮の特殊部隊が襲撃、高層マンションを占拠する。訓練された部隊にSATは壊滅、自衛隊特殊部隊も輸送ヘリを撃墜され甚大な被害が。自衛隊総合情報部の真下は、犯人の所在と真意を突き止めるために3人の部下たち共に捜査に乗り出したのだが…。

人気作家のゼロシリーズの第2作ですね。始めに断っておきますが、私はこの種のクライシスミステリーが大好きですのでどうしても評価が甘くなってしまいます。大筋のストーリー展開としては予期せぬ襲撃、警察組織の敗北、自衛隊投入、となる前の政治的駆け引き、戦力の逐次投入による自衛隊の敗北、と王道的な展開です。この種の作品を読んだことが無い人に取っては息詰まる展開なのでしょうが、まあ読み慣れていますからww、ああ、いつもの展開が来たな、といった感じです。

しかし後半からはちょっと様相が変わってきます。自衛隊による一大攻勢、とはならず、さらに劣勢が続いてしまいます。焦点は情報官の真下とその部下達に当たってきます。この辺りが、良くある日本国内テロ小説とは異なる点でしょうか。

そして犯人達の真意については、ミステリー的要素が高く、充分に楽しめます。その真意については、え〜っ、そういうことだったの?となって結構良かったです。そうです、本作はクライシス物の体裁を取っていますが、本格ミステリーでもあると。さすが、売れているだけのことはあります。そんな訳で一気読みです。これは第1作の"生存者ゼロ"も読まないと。

削り屋 (小学館文庫)
上野 歩
小学館
2015-03-06



歯科大に通い、歯科医になる予定だった剣拳磨。ひょんなことから大学を辞め、あてもなく歩いていた時に見つけた旋盤工募集の看板。歯科実習で研磨の腕を褒められたことを頼りに旋盤工の道を歩みだすのだが…。

旋盤、って言っても分かんない人多いんだろうなあ。ましてやNC機でない汎用旋盤なんて。私自身、学校の実習で使ったくらいかなあ。まあ、仕事上ではそれなりに接点があったので分かりますが。

基本的なストーリーは旋盤による金属加工の奥深さにハマった主人公が、汎用旋盤に拘る頑固な師匠の下様々な困難を乗り越え、ついには技能五輪を目指す青春ストーリーなのですが…、まあ何と勢いのあるストーリーというか、荒削りと言うか…。

例えば剣磨が最初に大学を辞めるくだりであるとか、永遠の(?)ライバル、コンツェルンの息子との因縁とか、強引なストーリー展開が結構目立つように思いました。部分部分で見ていくと、最初に旋盤を触って上手く削れなかったけど上達していく場面や、東日本大震災により応援に行かされる話であるとか、良いなあと思う場面が多いのですが、全体として見ると細かいプロットを丹念に拾って全体のストーリーを組み立てていく力が欠けているのかなあと感じました。

しかしですね、この部分が良くなるととんでもなく化ける作家さんかもしれません。題材の選定、力のある筆力、章単位でのストーリーの組み立てには眼を見張るものがあるように思います。それだけに何とも荒削りな仕上がりなのが惜しいというか、あっ、旋盤が題材だけにわざと荒取りしただけのかw、だとしたら凄すぎるや。

実際のところ、私もこういった精密加工に関わっていたことがあるのですが、もう殆どが段取り命ですね。ツールの選定、ツールの状態チェック、ワークの固定(旋盤ならバイトの固定、かな?)。後はNC機だろうが汎用機だろうがあんまり差は無いかなあ。全くの素人が覚えるまでの時間は大きく違うけど。決して職人の世界!とか変に持ち上げず、うまく旋盤に関わる事象を紹介しているように思いました。

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