日々妄想 -書籍と家電の個人的記録-

一介のサラリーマンの日々の読書記録と家電レビューの覚え書きです。 文庫本を中心に、時々家電の衝動買い、さらにはへっぽこ登山まで?

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舞台はアメリカ、オレゴン州ポートランド。ポートランド国際空港を離陸したカスケード航空の航空機が離陸直後、突如として制御不能となり、墜落。学会の会合に出席していた本作の主人公、トムザックは急遽事故現場へ直行。そのままNTSB(国家安全運輸委員会)墜落事故調査班の主任調査管に任命される。

生存者の救出、事故現場の保全、消防・警察の統括と一連の活動を終え、事故原因の究明へ。そこにはコンピュータによる自己診断システム、ガムランに隠されたある陰謀が...。そして新たなる墜落事故を装ったテロ計画が発覚し…。

いやー、おもしろかったです。上下巻と長編ですが一気に読みました。何と言っても白眉なのが事故現場のリアルな描写。事故現場の保全方法から凄惨な機内の様子、事故関係者のぶつかり合う利害関係。これらが素晴らしく、まさに事故現場にいるかのような感覚を感じることが出来ました。

本作を読んでいる時、まさにアシアナ航空のサンフランシスコ国際空港着陸失敗事故があり、NTSBの記者会見を見ていると本作と情景が被って見え、余計に印象に残りました。

さらに個人的には何度かポートランドに滞在したことがあり、コンパクトなポートランド国際空港やフット山、コロンビア川の情景を思い浮かべることが出来たのも本作に没頭出来た理由の1つかと感じます。

また個性豊かな事故調査官の面々がさらに物語を膨らませてくれます。トムザックと恋人関係にあった音声解析スペシャリストのキキ等。

それに比べるとラストの展開は"えっ?"と思うようなアクション映画ばりの終わり方。これまでの緻密な描写は何だったの?と思わせる、ある意味粗雑な、良く言えばアメリカ万歳!的なハリウッド映画風。このギャップが何とも…。本当に中盤までの展開が素晴らしかっただけに、残念感が高いのですがそれでも本作を読む価値は充分にあると思いました。こりゃ映画化も有りというか、映画化前提なの?。

株式会社ネバーラ北関東支社 (幻冬舎文庫)株式会社ネバーラ北関東支社 (幻冬舎文庫) 
著者:瀧羽 麻子
出版:幻冬舎
(2011-06-09)


外資系の証券会社にてバリバリのキャリアウーマンとして働いてきた弥生。失恋を機に退社、東京から離れた北関東の田舎にて働くことに(本人いわく、リハビリ)。

そこは大手食品会社の下請け、株式会社ネバーラ(すごい名前! しかもネバーランドの略w)の北関東支社。こんな田舎に元キャリアウーマンが転職してきたものだから、みんな興味深々。弥生の所属する経営企画部の課長、年下の沢森くん、東京に憧れるマユミ等々。そして名前から分かるとおり、溢れる納豆愛www。社内では納豆食べ放題、病気は納豆で治せると信じているってどれだけww。

そしてこんな田舎町では街の人達も興味深々。居酒屋店主の桃子さん等々。そんなゆったりとした空気が流れる生活の中で、東京から佐久間さんが転勤してきて…。

全編に渡って感じるのはそのまったりとした空気感。これにひたすら癒されます。ああ、こんなのんびりとした生活が送れたならなあって思わず思ってしまいます。またちょっとズレた感覚のある、個性豊かな登場人物達。この人たちが田舎の感覚をさらに盛り上げているように感じます。

っとここまでは一般的な感想。実際の田舎暮らしは…、私はこの舞台となった街よりも確実に田舎で働いたことがあります。まずバス通勤なんてあり得ません。バスが通勤に使える時点で田舎では有りません。私にとっては立派な都会ですww。また意外に人の出入りはあるため、東京から来たからといってそれほど注目されません。まあ、若い女性の人なら目をひくかもです。

ま、休日等にどこに行っていたかバレバレなのは物語の通りで(笑)。個人的には2〜3年くらいなら楽しめますが、それ以上はちょっとねぇ…。

純粋に読み物としては秀逸だと思いますが、一方で"そんな田舎ねえよ!"と1人ツッコミながら読んでいました。まあ、普通の人より2倍楽しめたということでさらに良かったかとw。

巻末には登場人物の1人である、東京に憧れるマユミの高校時代の短編もありますのでこちらも是非。

フライ・トラップ JWAT・小松原雪野巡査部長の捜査日記 (文春文庫)フライ・トラップ JWAT・小松原雪野巡査部長の捜査日記 (文春文庫) 
著者:高嶋 哲夫
出版: 文藝春秋
(2013-02-08)





舞台は岡山市(作中では架空となっているが)の警察、生活安全課。巡査部長である小松原雪乃は、公園で保護された少年に違和感を覚える。そして背後には少年たちの複雑な家庭環境と事件が広がってゆく…

完全によくある警察小説というかんじで、正直あれっと思ってしました。高嶋哲夫といえば、"熱砂" "ファイアーフライ"等、圧倒的な大スケールで描かれる冒険アクション小説のイメージが強かったもので。

そんなわけで本作では派手なアクション等は無いものの、徐々に事件の全体像が明らかになっていく過程をきっちりと描写しており、一気に読み進めさせられる力がありました。舞台が警察となっただけで、筆者の持ち味というか、その文体が私に合っているんでしょうね。やはり楽しく読むことが出来ました。

主人公である小松原雪乃は、生活安全課の巡査部長でありながらやや跳ねっ返り気味の、多少無茶をするタイプ。そこを幼馴染で白バイ隊員の幸太郎がうまくフォローする。当然2人の間には恋愛感情が有ったり無かったり…。

これはシリーズ化されるかな、という印象。またありきたりではありますが、ドラマ化されやすそう。そういった意味では、まあ、どこにでもあるような警察小説ともいえますが、筆者の執筆力というか、力量で何とか読めるという感じです。出来たら、高嶋哲夫という作家は前述のような冒険小説から入っていって欲しいと思います。本作では筆者の魅力が100%出ていないように思いました。


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