【文庫】 ニホンブンレツ (文芸社文庫)ニホンブンレツ (文芸社文庫)
著者:山田 悠介
出版:文芸社
(2013-02-02)


時は2027年、ふとしたはずみで日本が東西に分裂、東経138度ラインに東西の壁が建設されてしまった! 東西の国は経済封鎖、お互いの状況は知ることも出来ない!

本作の主人公である東条博文はこの東側陣営で小学校の教師をしているが、出身は広島県。そして彼女であり、結婚を約束した西堀恵美を西側陣営に残しているのであった。

東条は東西陣営の小競り合いに徴兵され、西側陣営にしんにゅうすることとなる。そして明らかになる西側陣営の事実と、西堀恵美との再会。物語はクライマックスへ…

本書の帯には"切ないラストまで一気読み!"とありますがまさにその通りで、これ以降の物語は読んでからのお楽しみとなりますが、日本を舞台としたSF物となりますので、いかにSF物といえども少なからず感情移入してしまう面もあり、スムーズに筆者の世界に入っていけるように感じました。

一方で物語のストーリーとしては中盤まではある程度予想出来る展開でもあり、中だるみというかかなり飛ばし気味に読んでしまいました。

そして終盤からラストにかけては、えっ、そうなっちゃうの?と思うような展開となり、一気に目が覚めます。そしてラストはちょっぴり寂しい、でもほっとするような展開に。これは是非実際に読んで確かめて欲しいと思います。

筆者の作品については"オール"等、あまり多くの作品を読んだわけではありませんが読後感爽やかな印象を持っていましたが本作も同様の印象を持ちました。

さらに感情移入のしやすいSFということもあり、ある意味お手軽、深く考えずに気持ちよく本を読みたい時には最適かと感じました。これは決して軽い読み物、という意味では無く筆者の文章力の高さに感心している訳で、こういった読んだ後に心晴れやかになる小説を書かせたら筆者はピカ一かと思います。

それにしても東西陣営のプロットは何処かの国がモチーフにありそうではあるもののどこか違い…、やっぱりこの辺りの絶妙な舞台設定を見るに筆者は只者ではないというか…、さすがプロの作家ですよね。今後も筆者の作品については継続して読んで行きたいなと強く感じました。